最終更新日:2026年10月27日
不実証広告規制とは、効果や性能の表示について、消費者庁が「表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料」を求める仕組みです。期間内に資料を出さない場合や、根拠と認められない資料を出した場合は、優良誤認表示として扱われます。措置命令ではみなされ(景品表示法第7条第2項)、課徴金納付命令では推定されます(第8条第3項)。提出期間は、求める文書を交付した日から15日を経過する日までです(景品表示法施行規則第7条第2項。以下、施行規則)。
根拠と認められるには、2つの要件があります。資料が客観的に実証された内容であることと、表示した効果・性能と実証内容が適切に対応していることです。本記事では、消費者庁の「不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針」(不実証広告ガイドライン。以下、運用指針)と公表資料をもとに整理します。2要件、15日の提出期間、資料を事前にそろえる手順とNG表示を順に見ていきます。
不実証広告規制の早見表
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 対象 | 商品・サービスの内容の優良性を示す表示のうち、主に効果・性能の表示 | 景品表示法第5条第1号、運用指針 第2 |
| 措置命令では | 期間内に資料を出さない、または出した資料が合理的な根拠と認められない場合、優良誤認表示と「みなす」 | 第7条第2項、消費者庁「不実証広告規制」 |
| 課徴金納付命令では | 同じ場合に、優良誤認表示と「推定する」(期間経過後も新しい資料で反論できる) | 第8条第3項、消費者庁「不実証広告規制」、同「第8条に関する考え方」第7 |
| 提出期間 | 文書を交付した日から15日を経過する日まで。具体的な期限は文書に記載される | 施行規則第7条第1項・第2項 |
| 要件1 | 客観的に実証された内容(試験・調査の結果、または専門家等の見解・学術文献) | 運用指針 第3の2 |
| 要件2 | 表示された効果・性能と、資料で実証された内容が適切に対応している | 運用指針 第3の3 |
| 期限の延長 | 正当な事由があれば延長され得る。新たな・追加の試験や調査が必要という理由は、正当な事由と認められない | 施行規則第7条第2項ただし書、運用指針 第4の2 |
資料を「出せるか」だけでなく、表示と「対応しているか」まで問われる点がポイントです。15日で新たな試験を行うのは通常難しく、そのための期限延長も認められないため、根拠は広告を出す前にそろえておく必要があります。
不実証広告規制とは?景品表示法7条2項の仕組み
景品表示法は、商品・サービスの品質や効果を実際よりも著しく良く見せる「優良誤認表示」を禁止しています(第5条第1号)。不実証広告規制は、この優良誤認表示を素早く規制するための仕組みです。景品表示法の全体像は「景品表示法とは」、優良誤認の判断基準は「優良誤認とは」で解説しています。
導入の経緯は、運用指針の「はじめに」に書かれています。以前は、行政側が「表示どおりの効果がない」ことを立証する必要がありました。専門機関の調査・鑑定に時間がかかり、その間も販売が続いて被害が広がるおそれがありました。そこで2003年の改正で導入されました(当時は第4条第2項。2003年11月23日施行)。
現在は、消費者庁長官が期間を定めて資料の提出を求めます。事業者が資料を出さなければ、措置命令では優良誤認表示とみなされます。消費者庁が効果のないことを具体的に立証する必要はありません(運用指針 第1の2(3))。法律上の権限は内閣総理大臣にあり、消費者庁長官に委任されています(景品表示法第38条第1項)。
措置命令は「みなす」、課徴金は「推定する」(7条2項と8条3項)
資料の提出を求める規定は2つあります。1つは措置命令(違反行為の差止めや再発防止を命じる行政処分)に関する第7条第2項です。もう1つは課徴金納付命令(対象商品の売上額に応じた金銭の納付を命じる処分)に関する第8条第3項です。どちらも、資料を期間内に出さない場合や、出した資料が合理的な根拠と認められない場合が対象です(消費者庁「不実証広告規制」)。
違いは効果です。第7条第2項は優良誤認表示と「みなす」、第8条第3項は「推定する」と定めています。課徴金では「推定」なので、期間の経過後でも新しい資料を出して反論できます。消費者庁の「第8条(課徴金納付命令の基本的要件)に関する考え方」(以下、課徴金の考え方)が、そう説明しています。根拠の判断基準と提出の手続は、どちらも運用指針と同じです(第7)。
どちらの場面でも、判断の材料は表示の裏付けとなる資料です。運用指針も、効果・性能を強く訴える事業者は、合理的な根拠をあらかじめ持っているべきだとしています(第3の1)。
違反した場合の措置と罰則
措置命令は公表され、一般消費者への周知や再発防止策が命じられます。課徴金は、原則として対象商品の売上額の3%です(第8条第1項。算定額が150万円未満なら命じられません)。次の両方に当たる場合も、課徴金は命じられません(同項ただし書)。1つは、その表示をしていた期間を通じて、表示が優良誤認などに当たると知らなかったことです。もう1つは、知らないことについて相当の注意を怠った者でないと認められることです。後者の判断では、表示の根拠となる情報を確認していたかなどが見られます(課徴金の考え方 第5の1)。金額の計算は「景品表示法の金額基準」で解説しています。
刑事罰もあります。措置命令に違反すると、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。情状によっては両方が科されることもあります(第46条)。法人には3億円以下の罰金が科されます(第49条)。2024年10月1日施行の改正では、優良誤認表示への直罰も新設されました。直罰とは、措置命令を経ずに直接科される刑事罰です。罰金は100万円以下です(第48条、令和5年改正景品表示法の概要)。
なお、「みなす」「推定する」は、措置命令と課徴金納付命令についての定めです(第7条第2項・第8条第3項)。条文に「同項の規定の適用については」とあり、刑事罰(第48条)に当てはめる定めではありません。
対象になりやすい表示(痩身・空気清浄・害虫駆除・抗菌など)
原材料・成分・容量・原産地などは、取引書類や商品を確かめれば表示どおりか判断できます。一方、痩身効果や空気清浄機能のような効果・性能は、それだけでは判断が難しいものです。そのため、この規制の主な対象になります(運用指針 第2の1)。運用指針は、過去の事例から次のような表示を挙げています(第2の2(1))。
- 背丈を伸ばす効果(長身機)、鼻を高くする効果(隆鼻器)
- 燃料消費量の節約効果(自動車用品)、永続的な切れ味(包丁)
- 食事制限を伴わない痩身効果(美容サービス、茶)
- ゴキブリ・ネズミの駆除効果(駆除機)、ニキビ除去効果(化粧品)
「開運」「気分爽快」「健康になる」のような神秘的・主観的・抽象的な表示だけなら、通常は対象になりません。ただし、具体的で著しい便益を主張・暗示し、著しく優良と受け取られる表示なら対象になり得ます(第2の2(2))。最近では、防カビ剤の防カビ効果や、スマートフォン用コーティング剤の傷防止・抗菌などの表示にも適用されています(後述の事例)。
「合理的な根拠」と認められる2つの要件
運用指針は、提出資料が合理的な根拠と認められるには、次の2つを両方満たす必要があるとしています(第3の1)。
- 提出資料が客観的に実証された内容のものであること
- 表示された効果・性能と、提出資料で実証された内容が適切に対応していること
メーカーから得た情報をもとに、販売店がカタログや店頭で効果を表示することもあります。この場合、販売店が自ら試験をすることが常に求められるわけではありません。メーカー等の試験データの有無と、その方法・結果の客観性を自ら確かめた書面なども、根拠として提出できます(第3の1)。
要件1:客観的に実証された内容であること
「客観的に実証された内容」は2種類あります(第3の2)。試験・調査によって得られた結果と、専門家・専門家団体・専門機関(以下、専門家等)の見解または学術文献です。資料の種類ごとの条件は次のとおりです。表の「留意事項」は、消費者庁の「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」を指します。
| 資料の種類 | 認められるための条件 | 認められない例 |
|---|---|---|
| 試験・調査の結果 | 学術界・産業界で一般的に認められた方法か、専門家多数が認める方法で実施する(例:抗菌効果のJIS試験)。そうした方法がなければ、社会通念上・経験則上妥当な方法で実施する | 対照品が商品とまったく別の商品だった、被験者の選び方が恣意的だった、被験者の食事内容を記録していなかった(留意事項) |
| 体験談・モニター調査 | 無作為抽出で相当数のサンプルを選び、統計的な客観性を十分に確保する | 自社の従業員や家族の体験談、送られてきた体験談だけの集計、一部地域の少数モニターの調査 |
| 専門家等の見解・学術文献 | その専門分野で一般的に認められたものである | 特定の専門家の特異な見解、査読者のいる学術誌に載っていない文献、成分に関するウェブ情報やレビューのまとめ(留意事項) |
自社や関係機関が行った試験でも、適切な方法で実施していれば根拠として提出できます(第3の2(1)ウ)。生薬の効果のような言い伝えや経験則を根拠にする場合も、専門家等の見解や学術文献で確認されている必要があります(第3の2(2)ウ)。
要件2:表示と実証内容が適切に対応していること
資料自体が客観的でも、表示した効果・性能と対応していなければ根拠と認められません(第3の3)。ここでいう効果・性能は、文章、写真、引用した数値、イメージ図、体験談などを含めた表示全体から消費者が受け取るものです。運用指針は次の例を挙げています。
- 例1:家屋内の害虫を駆除すると表示。試験は、アクリルケース内で害虫が一時的に回避行動をとることを確かめただけだった
- 例2:あらゆるエンジンオイルで燃費10%向上と表示。試験は、特定の高性能オイルでの結果だけだった
- 例3:紫外線を99%カットと表示。学術文献は、素材が紫外線を50%遮断することを確かめたものだった
- 例4:「食べるだけで1か月に5kg痩せます」「医学博士の試験で効果は実証済み」と表示。専門家の見解は、主成分の含有量・一般的な摂取方法・適度な運動により脂肪燃焼の促進が期待できる、というものだった
健康食品については、留意事項が次のような理由も挙げています(第3の5)。
- 成分の論文はあっても、商品自体の効果を示していない
- 論文の摂取量と、商品の含有量がかけ離れている
- 動物実験のデータで、ヒトへの有効性を示していない
ここまでの2要件をもとに、手元の資料を確かめる順番を図にしました。
質問に当てはまらなくても、根拠と認められるとは限りません。認められるかどうかは、運用指針に例示されていないものも含め、個別の事案ごとに判断されます(運用指針「はじめに」)。
資料提出の流れと15日の提出期限
消費者庁長官が資料の提出を求めるときは、文書を交付して行います。文書には、事業者の氏名・名称、資料の提出を求める表示、資料を提出すべき期限と場所が書かれます(景品表示法施行規則第7条第1項)。
提出期間は「文書を交付した日から15日を経過する日まで」です(同条第2項)。具体的な期限の日付は文書に書かれるので、まず記載された期限を確かめてください。なお、運用指針は「求めた日から、原則として15日後」と書いています。本記事は、現行の施行規則の文言に沿って説明しています。
15日の間にできるのは、基本的に手元の資料を整理して出すことです。次に見るとおり、新しい試験が必要という理由では、期限の延長も認められません。
期限の延長が認められにくい理由
施行規則は、期間内に資料を出さないことに正当な事由があると認められる場合を例外としています(第7条第2項ただし書)。運用指針も、事業者から書面で延長の申出があり、正当な事由があると認めれば、期限を延長できるとしています(第4の2(2))。
ただし、新たな、または追加の試験・調査が必要という理由は、正当な事由と認められないと明記されています(同)。根拠は表示の前に持っておくもの、というのが運用指針の考え方です(第3の1)。
不実証広告規制が適用された事例(消費者庁の公表資料)
消費者庁の「令和7年度における景品表示法等の運用状況」には、表6に件数が載っています。措置命令と確約計画の認定のうち、第7条第2項を適用したものは合わせて2件でした。確約計画は、違反の疑いを通知された事業者が自ら是正措置を策定する計画です。認定されると、取り消されない限り、その行為に措置命令・課徴金納付命令は行われません(第26条〜第33条、令和5年改正景品表示法の概要)。公表資料で確認できる主な事例は次のとおりです。
| 公表日・処分 | 商品と表示 | 消費者庁の判断 |
|---|---|---|
| 2025年8月1日 措置命令 | P&Gジャパン「ファブリーズ お風呂用防カビ剤」。パッケージなどで「お風呂に置くだけで黒カビを防ぐ」「※防カビ効果は約6週間持続します」など | 第7条第2項に基づき資料を求めた。提出された資料は、合理的な根拠と認められなかった(公表資料) |
| 2025年12月18日 措置命令 | SB C&Sのスマートフォン・タブレット向けコーティング剤。パッケージなどで「強固なガラス被膜でキズから対象製品を保護」「防キズ」「抗ウイルス・抗菌」など | 第7条第2項に基づき資料を求めた。提出された資料は、合理的な根拠と認められなかった(公表資料) |
| 2021年6月18日 課徴金納付命令 | DINOS CORPORATIONのEMS機器。自社サイトの動画で、4週間後のウエストの減少を数値で示し、腹部の痩身効果をうたった | 第8条第3項に基づき資料を求めた。提出された資料は、合理的な根拠と認められなかった。課徴金は計1,431万円(公表資料) |
| 2021年11月9日 措置命令(2社) | アクガレージとアシストの食品「ジュエルアップ」「モテアンジュ」。豊胸効果をうたい、Instagramの投稿で「#バストアップ効果」、アフィリエイトサイトで「簡単バストアップ方法」など | 第7条第2項に基づき資料を求めた。2社とも期間内に資料を提出しなかった(公表資料) |
| 2022年4月5日 措置命令 | W-ENDLESSの食品「Dr.味噌汁」。自社が運営するサイトで「★無理な食事制限ナシ★ ★辛い運動ナシ★」など、痩身効果をうたった | 第7条第2項に基づき資料を求めた。資料は提出されたが、合理的な根拠と認められなかった(公表資料) |
資料を出さなかった場合も、出したが認められなかった場合も、同じく不当表示として扱われています。2021年11月9日と2022年4月5日の2件は、留意事項でも第7条第2項を適用した事例として紹介されています(第5)。
DINOSの事例では、動画に「※個人差があり 結果を保証するものではありません」と表示していました。しかし、この注記は効果の認識を打ち消すものではないとされました。課徴金の例外(第8条第1項ただし書)に当たらない理由として、根拠資料を十分に確認せずに表示していた点も挙げられています。
機能性表示食品や空間除菌をうたう商品の事例(さくらフォレスト、大幸薬品など)は「景品表示法の違反事例12選」で詳しく紹介しています。
根拠資料を事前にそろえる手順(公開前チェックリスト)
不実証広告規制への備えは、広告を出す前の準備が中心です。消費者庁の「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」も、表示の根拠となる情報を確認することを求めています。あとから確認できるよう、資料を保管することも求めています(第4の3・第4の6)。次の順で進めると漏れを防ぎやすくなります。
- 効果・性能の表示を洗い出す:本文だけでなく、画像、グラフの数値、体験談、動画のテロップ、LPの見出しまで抜き出します。
- 表示ごとに根拠資料をひも付ける:試験・調査の結果か、専門家等の見解・学術文献かを分けます。どの表示を裏付ける資料かを1対1で記録します。
- 資料の客観性を確かめる:試験方法が一般的に認められた方法か、体験談の集め方に偏りがないか、文献がその分野で認められたものかを見ます。
- 表示との対応を確かめる:数値、対象(どの商品・どんな人)、条件(使用環境・期間・併用した運動や食事)を、試験の範囲と照合します。
- 仕入れ品や委託した制作物も確かめる:販売店は、メーカーの試験データの有無と客観性を確かめた記録を残します。アフィリエイト広告なども対象に含めます。
- 資料を保管し、変更時に見直す:商品が販売され得る期間は、あとから確認できるよう保管します。成分・処方や表示を変えたら、対応を確かめ直します。
公開前チェックリスト
- □ 効果・性能をうたう表示(画像・数値・体験談を含む)をすべて抜き出した
- □ 表示ごとに、裏付けとなる資料が手元にある
- □ 試験・調査は、一般的に認められた方法(なければ社会通念上妥当な方法)で行われている
- □ 体験談・アンケートは、無作為抽出で相当数を集めたものである
- □ 見解・文献は、その専門分野で一般的に認められたものである
- □ 成分の文献だけでなく、商品自体の効果を示している
- □ 表示の数値・対象・使用環境が、試験で確かめた範囲に収まっている
- □ 注記に頼らず、強調した表示そのものが実証の範囲に合っている
- □ 仕入れ品は、メーカーの資料を確認した記録がある
- □ 資料を保管し、求められたらすぐ提出できる状態にしている
表示の洗い出しは件数が多く、目視だけでは漏れが出やすい作業です。アドミルは、広告のテキストや画像、LPを景品表示法・薬機法の観点からAIで確認するツールです。問題になり得る表現と理由、代替案を示します。仕組みは「景表法AIチェックとは」で紹介しています。資料が表示と対応しているかの最終確認は、資料の中身を読んで行ってください。
不実証広告規制で問題になりやすいNG表示と言い換え
運用指針・留意事項・公表事例をもとに、根拠との関係で問題になりやすい表示を整理しました。
| NG表示の例(手元の資料) | なぜNGか | 言い換えの方向性 |
|---|---|---|
| 「紫外線を99%カット」(文献は50%遮断を確認) | 資料は客観的でも、表示の数値と実証内容が対応しない(運用指針の例3) | 実証された数値と測定条件の範囲で表示する |
| 「家中の害虫を駆除」(ケース内での一時的な回避行動を確認) | 試験条件と実際の使用環境が対応しない(例1) | 試験条件を明示する。居住環境での効果を示す試験を先に行う |
| 「どんなオイルでも燃費10%向上」(特定のオイルでのみ確認) | 対象の範囲が実証より広い(例2) | 試験した対象に限定して表示する |
| 「食べるだけで1か月に5kg痩せる」「医学博士が実証」(運動を前提とした見解のみ) | 表示全体の印象と見解の内容が対応しない(例4)。食事制限を伴わない痩身効果は、運用指針も対象の例に挙げている | 痩身効果を前面に出す訴求をやめる。健康食品なら、食生活の見直しを前提にした位置づけにとどめる |
| 「愛用者の○%が効果を実感」(送られてきた体験談だけを集計) | 無作為抽出ではなく、統計的な客観性がない(運用指針 第3の2(1)エ) | 無作為抽出・相当数の調査に基づく数値だけを使い、調査方法を併記する |
| 「○○成分が脂肪燃焼を促進」(健康食品。成分の論文と動物実験のみ) | 商品自体の効果やヒトへの有効性を示していない(留意事項 第3の5)。根拠があっても、健康食品では体の機能の増強として表示できない(同 第2の2) | 機能をうたわず、原材料や含有量など事実の表示にとどめる。保健機能食品は、許可(トクホ)・届出(機能性表示食品)・国の基準(栄養機能食品)の範囲で表示する |
| 「4週間でウエスト−○cm」+「※個人差があり 結果を保証するものではありません」 | 注記は効果の認識を打ち消さない(DINOSの課徴金納付命令) | 注記に頼らず、強調表示そのものを実証の範囲に合わせる |
言い換えの方向性は一般的な考え方です。言い換えれば必ず問題がなくなるわけではなく、商品区分、根拠資料、表示全体の印象で個別に判断されます。
薬機法・健康増進法との関係(根拠があっても言えない表現)
不実証広告規制は、表示に見合う根拠があるかを問う仕組みです。一方、医薬品・化粧品・健康食品などの広告では、根拠があっても表示できない範囲が、別の法律や通知で決まっています。
| 法律・基準 | 主な対象 | 根拠との関係 |
|---|---|---|
| 景品表示法(第7条第2項・第8条第3項) | 商品・サービス全般の効果・性能の表示 | 表示と対応する合理的な根拠を、表示の前に持っておく必要がある |
| 薬機法(第66条・第68条) | 医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器など。医薬品的な効能効果をうたう健康食品も、医薬品とみなされ得る | 承認前の医薬品の効能効果は広告できない(第68条)。健康食品で病気の治療・予防や体の機能の増強をうたう表示は、事実かどうかを問わず承認なしには表示できない(留意事項 第2の2) |
| 厚労省の通知「医薬品等適正広告基準」 | 医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器など | 承認等を受けた効能効果の範囲を超えてはならない。化粧品は「化粧品の効能の範囲」を超えてはならない(第4の3(1)(2)) |
| 健康増進法(第65条) | 食品として販売する物(「何人も」が対象) | 根拠がないのに「3か月間で○キログラムやせることが実証されています」と表示するのは、事実に相違する表示の例(留意事項 第3の4) |
試験データを持っていても、承認や効能の範囲を超える表示はできません(薬機法第66条・第68条、厚労省の通知「医薬品等適正広告基準」)。医薬品・化粧品などの効能について、医師などが保証したと誤解されるおそれのある広告も、虚偽誇大広告とされます(薬機法第66条第2項)。食品の広告にも制限があります。健康の保持増進の効果などについて、著しく事実に相違する表示や著しく人を誤認させる表示はできません(健康増進法第65条第1項)。健康食品のNG表現と言い換えは「健康食品の広告規制とは」で整理しています。
よくある質問
Q. 15日の期限はいつから数えますか?
施行規則は「文書を交付した日から15日を経過する日まで」と定めています。具体的な期限の日付は、提出を求める文書に書かれます(第7条第1項第3号)。受け取ったら、文書の記載どおりの期限で準備してください。
Q. 自社で行った試験は根拠になりますか?
なり得ます。運用指針は、一般的に認められた方法などで実施していれば、自社や関係機関の試験でも提出できるとしています。公的機関など中立的な第三者の試験は、一般に客観的なものと考えられるとされています(第3の2(1)ウ)。
Q. 販売店は、メーカーの資料を出せば足りますか?
販売店が自ら試験をすることが常に求められるわけではありません。メーカー等の試験データの有無と、その方法・結果の客観性を自ら確かめた書面などを提出できます(運用指針 第3の1)。受け取った資料が自社の表示と対応しているかも、あわせて確かめておきましょう。
Q. 機能性表示食品なら、届出の資料が合理的な根拠になりますか?
届出をしていても、資料が根拠と認められなかった事例があります。さくらフォレストの機能性表示食品では、2023年6月30日に措置命令が出ました。2025年3月19日には、計1億903万円の課徴金納付命令も出ています(措置命令/課徴金納付命令)。課徴金では、資料の客観性と表示との対応を十分に検証していなかったと指摘されています。
Q. 「個人差があります」と注記すれば問題ありませんか?
注記だけでは足りないと考えてください。前述のDINOSの事例では、「※個人差があり 結果を保証するものではありません」という注記が、効果の認識を打ち消さないとされました。強調する表示そのものを、実証された範囲に合わせることが基本です。
Q. 「健康になる」「気分爽快」のような表示も対象ですか?
その表示だけなら、通常は対象になりません。ただし、具体的で著しい便益を主張・暗示し、著しく優良と受け取られる表示なら対象になり得ます(運用指針 第2の2(2))。
まとめ
- 不実証広告規制は、効果・性能の表示について合理的な根拠を示す資料を求める仕組み(景品表示法第7条第2項・第8条第3項)
- 資料を期間内に出さない、または根拠と認められない場合、措置命令では優良誤認表示とみなし、課徴金では推定する
- 根拠と認められるには、客観的に実証された内容であることと、表示と適切に対応していることの2要件が必要
- 提出期間は文書を交付した日から15日を経過する日まで。新たな試験が必要という理由では延長されない
- 根拠は広告を出す前にそろえ、表示ごとにひも付けて保管する
根拠と認められるかは、表示全体と資料の内容から個別に判断されます。迷う表示は、消費者庁の相談窓口や専門家への確認も検討してください。
参考資料
- e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134
- e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/428M60000002006
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」 https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145
- e-Gov法令検索「健康増進法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000103
- 消費者庁「不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針―不実証広告規制に関する指針―」(平成15年10月28日公正取引委員会、平成28年4月1日一部改正) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_34.pdf
- 消費者庁「不実証広告規制」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/misleading_representation/not_demonstrated_ad
- 消費者庁「不当景品類及び不当表示防止法第8条(課徴金納付命令の基本的要件)に関する考え方」(令和6年4月18日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/assets/representation_cms216_240418_03.pdf
- 消費者庁「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」(令和6年4月18日改正) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/public_notice/assets/representation_cms216_240418_01.pdf
- 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/assets/representation_cms213_241001_01.pdf
- 消費者庁「令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組」(2026年5月28日) https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_260528_01.pdf
- 消費者庁「令和5年改正景品表示法(概要)」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/assets/representation_cms216_241001_01.pdf
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の改正について」(平成29年9月29日 薬生発0929第4号) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179264.pdf
- 消費者庁 措置命令・課徴金納付命令の公表資料 https://www.caa.go.jp/notice/entry/043199/ / https://www.caa.go.jp/notice/entry/044528/ / https://www.caa.go.jp/notice/assets/representarion_cms212_210618_01.pdf / https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_20211109_01.pdf / https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_220405_01.pdf / https://www.caa.go.jp/notice/entry/033865/ / https://www.caa.go.jp/notice/entry/041489/
本記事は2026年10月22日時点の公的資料に基づきます。個別の表示の適否は、商品区分・承認内容・表示全体の印象で判断が分かれるため、必要に応じて専門家や所管の窓口に確認してください。
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