景品表示法の違反事例12選|措置命令・課徴金に学ぶNG表示と対策

最終更新日:2026年10月22日

景品表示法違反の事例で多いのは、①実態のない「通常価格」や「期間限定」(有利誤認)、②根拠のない効果・No.1表示(優良誤認)、③広告と分からない口コミ(ステマ)です。消費者庁の運用状況によると、令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の措置命令13件の内訳は有利誤認8件・優良誤認3件・原産国告示2件でした。確約計画の認定8件を合わせた延べ23件では、有利誤認13・優良誤認4・ステマ4・原産国2です(消費者庁 2026年5月28日公表)。この記事では、消費者庁が公表した措置命令・課徴金納付命令から12件を選び、何が問題になり、広告でどう防ぐかを整理します。

【早見表】景品表示法の違反事例12選

No. 事業者(公表日) 違反類型 問題になった表示 実際・判断
1 大幸薬品(2022年4月) 優良誤認(不実証) 置き型商品で「空間に浮遊するウイルス・菌・ニオイを除去」 提出資料は合理的根拠と認められず。課徴金6億744万円(置き型ほか計5商品)
2 さくらフォレスト(2023年6月) 優良誤認(不実証) 機能性表示食品で「血圧をグーンと下げる」 提出資料は合理的根拠と認められず。課徴金1億903万円
3 ハハハラボ(2023年12月) 優良誤認(不実証・No.1) アフィリエイトサイトで「3週間で60.8kg→47.2kgまで痩せた方法がすごい!」「30〜60代女性が選ぶダイエットサプリ No.1」 効果の根拠資料も、No.1の調査も不十分。課徴金1086万円
4 RIZAP(2024年8月) 優良誤認+ステマ 「全サービスも24時間使い放題」、依頼投稿の転載 利用時間に上限あり。依頼投稿と明示せず
5 ジャパネットたかた(2025年9月) 有利誤認(将来価格) おせちで「ジャパネット通常価格29,980円が」「1万円値引き」 セール後にその価格で売る確実な計画なし
6 ツルハグループマーチャンダイジング(2025年11月) 有利誤認(二重価格) EC79商品で「特別価格:498円(税込) 通常価格:612円(税込)」など 通常価格での最近の販売実績なし
7 デザインワード(2024年12月) 有利誤認(二重価格) ネイルスクールで「今だけ授業料50%割引!!」 通常授業料での最近の提供実績なし
8 ゲオストア(2026年6月) 有利誤認(期間限定) Xで「スマホ・タブレット買取金額10%UPキャンペーン実施中!」「2025年6/8日まで」 期限後も同じ以上の割増率だった
9 金宝堂(2026年9月) 有利誤認(最低価格) テレビCMで「家族葬 10.45万円〜(税込)」 ほとんどの場合30万8000円以上必要
10 あきんどスシロー(2022年6月) おとり広告 キャンペーン料理を期間中提供するかのような表示 提供しない日・準備のない日があった
11 医療法人社団祐真会(2024年6月) ステマ 星5・星4の口コミ投稿を条件に接種費用を割引 事業者の表示と分からない口コミ
12 大正製薬(2024年11月) ステマ 依頼したInstagram投稿を自社ECに転載 依頼した投稿であることを明示せず

事業者名・商品名・金額は、消費者庁の報道発表資料の記載に基づきます(日付は公表日。鉤括弧内は資料に記載された表示の抜粋)。どの事例も、問題は強い言葉そのものではありません。表示と実態、表示と根拠がずれていたことが共通点です。

景品表示法(けいひんひょうじほう。正式名称は不当景品類及び不当表示防止法)の全体像は、景品表示法とは?改正ポイント・違反事例をわかりやすく解説で解説しています。

景品表示法違反とは?4つの類型

景品表示法違反とは、品質や価格などについて一般消費者の自主的かつ合理的な選択を妨げるおそれのある不当な表示(第5条)や、告示で定めた上限などの制限に反する景品類の提供(第4条)を行うことです。違反は大きく次の4つに分かれます。

類型 根拠条文 対象 広告で起きやすい例
優良誤認表示 第5条第1号 品質・効果・性能・規格 根拠のない効果、No.1、満足度%、体験談
有利誤認表示 第5条第2号 価格・割引・期間・取引条件 実態のない通常価格、終わらない期間限定、「〜円から」
指定告示 第5条第3号 ステマ、おとり広告、原産国など7つ 広告と分からない口コミ、在庫のない目玉商品
景品規制 第4条 懸賞・総付景品の上限 購入者全員への高額プレゼント

違反かどうかは、単語だけで決まるものではありません。見出し、画像、注記、価格表示、申込画面まで含めた表示全体から一般消費者が受ける印象で判断されます。

出典:e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」、消費者庁「表示規制の概要」

優良誤認の違反事例|効果・性能・No.1表示

優良誤認表示とは、品質や効果を実際よりも著しく良く見せる表示です。効果・性能の表示について、消費者庁は期間を定めて「合理的な根拠を示す資料」の提出を求められます(不実証広告規制)。資料を出せない、または出した資料が根拠と認められない場合、措置命令では不当表示とみなされ(第7条第2項)、課徴金では不当表示と推定されます(第8条第3項)。

事例1|大幸薬品「クレベリン」の空間除菌表示

  • 表示:置き型の商品について、パッケージ・自社サイト・テレビCM・動画広告で「空間に浮遊するウイルス・菌・ニオイを除去※」などと表示しました。
  • 判断:第7条第2項に基づき資料が提出されましたが、合理的な根拠とは認められませんでした。「※当社試験閉鎖空間で…除去を確認」などの注記も、効果の印象を打ち消すものではないとされました。
  • 処分:2022年4月15日に措置命令。2023年4月11日に、関連5商品について課徴金6億744万円の納付命令が出ています。

学ぶこと:閉鎖空間での試験結果を、生活空間でも同じ効果があるように見せた点が問題です。言い換えは、試験の条件と範囲を本文で明示し、使用環境で同じ効果が出ると受け取られる表現を避ける方向です。このケースでも注記は効果の印象を打ち消すものではないとされており、小さな注記だけに頼るのは危険です。

出典:消費者庁「大幸薬品株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(2022年4月15日)、同 課徴金納付命令(2023年4月11日)

事例2|さくらフォレスト「きなり匠」「きなり極」(機能性表示食品)

  • 表示:自社サイト・冊子・容器包装で「高めの血圧を下げる機能性サプリ」「血圧をグーンと下げる」などと表示しました。
  • 判断:第7条第2項に基づき資料が提出されましたが、表示の裏付けとなる合理的な根拠とは認められませんでした。
  • 処分:2023年6月30日に措置命令。2025年3月19日に課徴金1億903万円の納付命令。課徴金では、根拠資料が客観的に実証された内容か、表示した効果と対応しているかを十分に検証していなかった、と指摘されています。

学ぶこと:措置命令の対象となった表示には、容器包装の【届出表示】(「モノグルコシルヘスペリジンは血圧が高めの方の血圧を下げる機能があることが…報告されています」)を載せたものも含まれていました。機能性表示食品の届出が受理されても、景品表示法上の合理的な根拠があると認められたことにはなりません。言い換えの方向は、強調語を外すだけでなく、届出の研究レビュー自体が表示した効果を裏付けているかを広告主が検証し、根拠資料の内容と広告の言葉を1対1で対応させることです。

出典:消費者庁 措置命令(2023年6月30日)、同 課徴金納付命令(2025年3月19日)

事例3|ハハハラボ「メラット」のアフィリエイト広告とNo.1表示

  • 表示:アフィリエイトサイトで「3週間で60.8kg→47.2kgまで痩せた方法がすごい!」と引き締まった腹部の画像を表示しました。同じくアフィリエイトサイトで「30〜60代女性が選ぶダイエットサプリ No.1」など6項目のNo.1を表示しました。
  • 判断:痩身効果の表示は、提出資料が合理的な根拠と認められませんでした。No.1の調査は、回答者の利用経験を確認せず、特定の9商品だけを任意に選び、各社サイトの「印象」を聞くものでした。客観的な調査ではなく、結果の引用も正確ではないとされました。
  • 処分:2023年12月7日に措置命令。2025年6月30日に課徴金1086万円の納付命令。

学ぶこと:アフィリエイトサイトの表示でも、広告主が表示内容の決定に関与していれば、広告主の表示として措置命令の対象になり得ます。No.1表示は、比較対象・回答者・調査方法が表示内容と対応しているかを、広告主自身が確認しておくことが求められます(後述の4要件)。

出典:消費者庁 措置命令(2023年12月19日公表)、同 課徴金納付命令(2025年6月30日)

事例4|RIZAP「chocoZAP」の「24時間使い放題」と依頼投稿

  • 表示:自社サイトやInstagramで「追加料金なしで 全サービスも24時間使い放題!」などと表示しました。また、対価を払って依頼したInstagram投稿を、依頼だと明かさずに自社サイトの「SNSでも話題!絶賛の口コミ続々」欄に抜粋しました。
  • 判断:一部のサービスは利用できる合計時間に上限があり、いつでも使えるものではありませんでした(優良誤認)。転載した投稿は、事業者の表示と判別しにくいとされました(ステマ)。
  • 処分:2024年8月8日に措置命令(優良誤認とステマの2件)。

学ぶこと:「使い放題」「無制限」は、例外が1つでもあると実態とずれます。言い換えは、上限や対象外のサービスを同じ画面で明示する方向です。口コミを転載するときは、依頼・提供の有無を確認し、広告であることを明示します。

出典:消費者庁「RIZAP株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(2024年8月9日)

有利誤認の違反事例|二重価格・期間限定・最低価格

有利誤認表示とは、価格や取引条件を実際よりも著しく有利に見せる表示です。令和7年度の措置命令では13件中8件を占め、最も多い類型でした。価格表示の考え方は有利誤認とは?事例・違反リスク・広告チェック方法を解説で詳しく扱っています。

事例5|ジャパネットたかた「おせち」の将来価格

  • 表示:自社通販サイトで「ジャパネット通常価格29,980円が」「1万円値引き 7/22〜11/23」「値引き後価格19,980円(税込)」と表示しました。
  • 判断:セール終了後に29,980円で販売する、合理的で確実な販売計画がありませんでした。「通常価格」は将来の販売価格として十分な根拠がないとされました。
  • 処分:2025年9月12日に措置命令。

学ぶこと:セール後の価格を比較に使う「将来価格」は、その価格で実際に売る確実な計画が必要です。季節商品のように期間後に売る見込みが薄い商品では、比較価格を付けずに販売価格だけを示す方向が、リスクを抑えやすい方法です。

出典:消費者庁「株式会社ジャパネットたかたに対する景品表示法に基づく措置命令について」(2025年9月12日)

事例6|ツルハグループマーチャンダイジングのEC「通常価格」

  • 表示:自社ECサイトで、79商品について「特別価格:498円(税込) 通常価格:612円(税込)」などと表示しました。
  • 判断:「通常価格」は、最近相当期間にわたって販売された実績のない価格でした。
  • 処分:2025年11月28日に措置命令。

学ぶこと:ECでは、商品マスタの「通常価格」欄が更新されず残りがちです。比較に使う価格は、自社で最近相当期間販売した実績を確認できるものに限り、確認できない商品は比較表示を外す運用にします。

出典:消費者庁 措置命令(2025年11月28日)、消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」

事例7|デザインワードのネイルスクール「今だけ授業料50%割引」

  • 表示:スクールのサイトで「今だけ授業料50%割引!!」「通常授業料701,800円(税込)」「授業料350,900円(税込)」などと表示しました。
  • 判断:「通常授業料」は、最近相当期間にわたって提供された実績のない価格でした。
  • 処分:2024年12月17日に措置命令。

学ぶこと:スクール・サロン・サブスクの入会金や授業料は、割引後の価格が実質の定価になりやすい項目です。「今だけ」と書くなら、通常価格での提供実績と、割引の終了日をセットで管理します。

出典:消費者庁 措置命令(2024年12月17日)

事例8|ゲオストアの「買取金額10%UP」期間限定キャンペーン

  • 表示:公式Xで「スマホ・タブレット買取金額10%UPキャンペーン実施中!」「2025年6/8日まで」などと表示しました。
  • 判断:期限後に申し込んでも、期限内と同じかそれ以上の割増率で買い取られていました。
  • 処分:2026年6月11日に措置命令。

学ぶこと:期間限定は、期限後に条件を戻す運用があって初めて成り立ちます。SNS投稿・店頭・Webで別々にキャンペーンを延長すると、ずれが生じます。このケースでは、期限付きの告知が新しい期限で繰り返し更新されていました。延長が前提なら期限を表示しない、延長を繰り返さない、が基本です。やむを得ず延長する場合も、当初の期限表示が有利誤認とされ得る点に注意し、終了日を各媒体で揃えます。

出典:消費者庁「株式会社ゲオストアに対する景品表示法に基づく措置命令について」(2026年6月11日)

事例9|金宝堂の家族葬「10.45万円〜」のテレビCM

  • 表示:テレビCMで「家族葬 10.45万円〜(税込)」と表示し、最低料金10万4500円で利用できるかのように見せました。
  • 判断:実際には、ごく一部の場合を除き30万8000円以上の費用が必要でした。
  • 処分:2026年9月18日に措置命令。

学ぶこと:「〜円から」の表示は、その価格で実際に利用できる条件が現実的かが問われます。最低価格を出すなら、その価格に含まれないものと、一般的な利用で必要な総額の目安を、同じ画面で示す方向です。

出典:消費者庁「株式会社金宝堂に対する景品表示法に基づく措置命令について」(2026年9月18日)

ステマ・おとり広告の違反事例|指定告示

第5条第3号では、内閣総理大臣が指定する表示も不当表示になります。指定告示は、無果汁の清涼飲料水、原産国、消費者信用の融資費用、不動産のおとり広告、おとり広告、有料老人ホーム、ステルスマーケティングの7つです。指定告示の違反は、課徴金の対象外です(第8条第1項)。

事例10|あきんどスシローのキャンペーン料理(おとり広告)

  • 表示:自社サイトやテレビCMで「新物!濃厚うに包み」などのキャンペーン料理を、期間中に提供するかのように表示しました。
  • 判断:在庫が足りなくなるおそれから、期間中の一部の日に提供停止を決め、提供しない日がありました。別のキャンペーンでは、料理の準備をしておらず取引に応じられない日もありました。
  • 処分:2022年6月9日に措置命令(おとり広告告示)。

学ぶこと:集客の目玉にする商品は、表示した期間・数量を実際に提供できる体制が前提です。このケースの広告には「売切御免!」「1日数量限定」の注記がありましたが、それでも措置命令を受けています。抽象的な注記では足りません。提供できない日や数量を具体的に示し、表示した期間に提供できる体制を確保します。おとり広告の類型はおとり広告はどこから危ない?4類型と事例を実務解説で整理しています。

出典:消費者庁「株式会社あきんどスシローに対する景品表示法に基づく措置命令について」(2022年6月9日)

事例11|医療法人社団祐真会のGoogleマップ口コミ(ステマ)

  • 表示:インフルエンザワクチン接種の来院者に、接種費用の割引を伝えました。条件は、Googleマップの口コミ欄に星5または星4を投稿することでした。その結果投稿された口コミが問題になりました。
  • 判断:表示全体から事業者の表示であることが明瞭ではなく、一般消費者が判別しにくい表示とされました。
  • 処分:2024年6月6日に措置命令(6月7日公表)。ステマ告示の施行後、消費者庁が初めてステマで措置命令を行った事例として報じられました。

学ぶこと:高評価を条件に割引や特典を渡すと、投稿者の自発的な感想とは評価されにくくなります。口コミ依頼は、評価の内容を条件にしないこと、事業者の関与があるなら広告であることを明示することが基本です。

出典:消費者庁「医療法人社団祐真会に対する景品表示法に基づく措置命令について」(2024年6月7日)

事例12|大正製薬のInstagram投稿の転載(ステマ)

  • 表示:商品の無償提供と対価の提供を条件に、Instagramへの投稿を依頼しました。その投稿を抜粋し、自社ECサイトに「Instagramで注目度上昇中」などと表示しました。
  • 判断:依頼した投稿であることを明らかにしておらず、事業者の表示と判別しにくいとされました。
  • 処分:2024年11月13日に措置命令。

学ぶこと:依頼投稿を自社サイトに転載すると、その転載も事業者の表示として扱われます(このケースでも転載が措置命令の対象でした)。転載する口コミは、依頼・提供の有無を台帳で管理し、依頼したものには「広告」「PR」と分かる表示を付けます。ステマの事例はステマ規制の違反事例まとめでさらに詳しく扱っています。

出典:消費者庁「大正製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(2024年11月13日)、消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」

措置命令の件数と内訳|令和7年度の運用状況

消費者庁が2026年5月28日に公表した運用状況では、令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の処分は次のとおりでした。

項目 件数・金額 内訳
措置命令 13件 優良誤認3件、有利誤認8件、原産国告示2件
確約計画の認定 8件 優良誤認1件、有利誤認5件、ステマ4件(重複あり)
課徴金納付命令 10件 合計3億3940万円
指導 388件 —
都道府県知事の措置命令 3件 東京都2件、三重県1件

消費者庁の措置命令は、令和5年度44件、令和6年度26件、令和7年度13件と減っています。一方で指導は令和7年度に388件(令和6年度339件)ありました。報道発表される処分は一部で、多くの事案は指導で是正されています。なお、令和7年度の景品規制の事件は総付景品の指導3件で、措置命令はありませんでした。

出典:消費者庁「令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組」(2026年5月28日)

景品表示法に違反するとどうなる?措置命令・課徴金・罰則

措置命令とは

措置命令とは、違反した事業者に対し、表示の差止め、一般消費者への周知、再発防止策などを命じる行政処分です(第7条第1項)。違反行為が既になくなっていても命じられます。消費者庁だけでなく、都道府県知事も措置命令を行えます。消費者庁の措置命令は報道発表され、事業者名が公表されます。

処分と罰則の一覧

処分・罰則 内容 根拠
指導 違反のおそれがある場合に是正を求める 運用上の措置
措置命令 差止め、周知、再発防止策など 第7条第1項
課徴金納付命令 対象商品の売上額×3%。対象期間は最長3年 第8条第1項・第2項
課徴金の加算 調査開始などの基準日から遡って10年以内に課徴金納付命令(確定したもの)を受け、その命令の日以後も課徴金対象行為をしていた場合は4.5% 第8条第5項・第6項
確約手続 事業者が是正計画を出し、認定されると措置命令・課徴金の規定を適用しない 第26条〜第33条
措置命令違反の罰則 2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。法人は3億円以下の罰金 第46条・第49条
優良誤認・有利誤認の直罰 100万円以下の罰金 第48条

課徴金は、優良誤認と有利誤認が対象です。額が150万円未満のときや、表示が不当だと知らず、知らないことに相当の注意を怠っていなかったと認められるときは命じられません。自主報告による2分の1の減額や、返金措置による減額の制度もあります。金額の計算方法は景品表示法の金額基準|景品上限・課徴金・計算例を解説で解説しています。

確約手続の例|caname「かたぎり塾」

確約手続は、2024年10月1日施行の改正で導入されました。消費者庁が公表した最初の認定は、2025年2月26日のcaname株式会社の事案です。パーソナルジムのサイトで、期限までに無料体験・当日入会すれば入会金が値引きされるかのように表示していました。実際には、期限後でも値引きされていた疑いがありました。

認定された計画には、再発防止の取締役会決議、一般消費者への周知、対象期間の入会者への入会金の一部返金が含まれます。認定は違反を認定したものではありません。ただし、事業者名と行為の概要は公表されます。

出典:消費者庁「景品表示法違反行為を行った場合はどうなるのでしょうか?」、消費者庁「caname株式会社から申請があった確約計画の認定について」(2025年2月26日)、e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」

違反事例に共通する5つのパターン

12件の事例を並べると、問題は次の5つに集約できます。

パターン 該当する事例 防止策
根拠が表示に追いついていない 1・2・3 広告を作る前に、使える根拠と使えない根拠を分ける
比較価格・期限が実態とずれている 5・6・7・8 販売実績、価格履歴、キャンペーン終了日を記録する
例外や条件が見えない 4・9 上限・対象外・総額を、強調表示と同じ画面に置く
提供体制が広告に追いついていない 10 在庫・提供日数と広告の期間・数量を照合する
第三者の投稿の管理が不十分 4・11・12 依頼・提供の台帳を作り、転載時に広告表示を付ける

注記を小さく添えるだけでは、強調表示の印象を打ち消せないことがあります(事例1)。ずれは、制作時よりも公開後の運用で起きることが多い点にも注意が必要です(事例6・8)。

違反事例から学ぶNG表示と言い換えの方向

以下は一般的な言い換えの方向性です。実際の適否は、商品区分、根拠資料、表示全体、画像、注記、前後の文脈で個別に判断されます。

NGになりやすい表示 なぜNGか 言い換えの方向性
「空間のウイルスを除去」 試験条件と使用環境が違うと、合理的な根拠と認められないおそれがある 試験条件と範囲を本文で示し、同じ効果を約束しない
「血圧をグーンと下げる」 根拠の範囲を超えた強調と評価されるおそれがある。届出表示どおりの文言でも、根拠が合理的と認められなければ問題になり得る 強調語を外すうえで、届出の研究レビューが表示した効果を裏付けているかを検証する
「ダイエットサプリNo.1」 利用経験を確認しないイメージ調査では、客観的な調査と認められないおそれがある 実利用者への調査に限り、調査概要を近くに明示する
「24時間使い放題」 上限や例外があると実態とずれ、優良誤認とされるおそれがある 上限・対象外を同じ画面で示す
「通常価格○円→今だけ○円」 通常価格が最近相当期間(セール前8週間の過半など)の販売価格でないと、有利誤認とされるおそれ 直近の販売実績を確かめた価格だけを比較に使う。なければ比較表示をしない
「○月○日まで」 期限後も同じ条件なら有利誤認とされるおそれ 期限後は条件を戻す。延長が前提なら期限を表示しない。延長を繰り返さない
「○万円〜」 その価格で利用できる場面がほぼないと有利誤認とされるおそれ 含まれないものと、一般的な総額の目安を併記する
依頼した口コミ・投稿の転載 事業者の表示なのに広告と分からないと、ステマ告示に当たるおそれがある 「広告」「PR」など、広告と分かる表示を付ける

No.1表示で確認したい4つの要件

消費者庁は「No.1表示に関する実態調査報告書」(2024年9月26日)で、満足度などの主観的評価によるNo.1表示の根拠について、少なくとも次の4点が必要だとしています。

  1. 比較する商品等が適切に選定されていること
  2. 調査対象者が適切に選定されていること
  3. 調査が公平な方法で実施されていること
  4. 表示内容と調査結果が適切に対応していること

報告書では、「満足度No.1」の根拠がイメージ調査だけだった例が問題になるおそれがあると指摘されています。「サイトイメージ調査」と注記しても、表示と調査が対応していない状態は解消されないとされています。根拠資料を保管しておらず、調査会社から取り直した広告主も複数ありました。

「調査会社に任せたから大丈夫」ではなく、広告主が調査票・比較対象・回答者条件・集計方法を確認し、保管することが重要です。

出典:消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書」(2024年9月26日)

公開前チェックリスト|違反事例から逆算する

チェック項目 確認すること 残しておきたい資料
効果・性能 試験条件と広告の言葉が対応しているか。注記頼みになっていないか 試験報告書、試験条件、根拠と表現の対応表
No.1・満足度 4要件を満たすか。イメージ調査を使っていないか 調査票、比較対象一覧、回答者条件、報告書
二重価格 比較価格に最近相当期間の販売実績があるか 価格履歴、販売実績、将来価格の販売計画
期間限定 期限後に条件を戻しているか。延長を明示したか キャンペーン終了日時、媒体ごとの掲載記録
最低価格・「〜円」 その価格で利用できる条件は現実的か 価格表、オプション一覧、利用実績の分布
使い放題・無制限 上限や対象外がないか サービス仕様書、利用規約
目玉商品 表示した期間・数量を提供できるか 在庫計画、店舗への指示記録
口コミ・SNS 依頼・提供の有無を把握し、広告表示を付けたか 依頼内容、投稿管理台帳、転載許諾
アフィリエイト 広告主として記事LPの表現を確認したか ASP・媒体との確認記録、修正履歴
景品・プレゼント 景品類の上限を超えていないか 取引価額と景品価額の計算メモ

表の右列は、消費者庁から資料の提出を求められたときにすぐ出せる状態にしておくものです。化粧品・健康食品の広告では、薬機法・健康増進法の確認も同時に行います。

再発防止の社内体制|管理上の措置

景品表示法は、事業者に不当表示を防ぐための体制整備を義務付けています(第22条第1項)。消費者庁の指針では、次の7つの措置が示されています。

  1. 景品表示法の考え方を社内に周知・啓発する
  2. 法令遵守の方針などを明確にする
  3. 表示の根拠となる情報を確認する
  4. 確認した情報を関係部署で共有する
  5. 表示を管理する担当者などを決める
  6. 根拠となる情報を事後に確認できるよう、資料を保管する
  7. 不当表示が判明したら、迅速かつ適切に対応する

実務では、代理店・制作会社・ASP・調査会社にもルールを共有し、公開前チェックと公開後のモニタリングを分けて運用するのが現実的です。措置が不十分な場合、消費者庁は指導・助言や勧告を行い、勧告に従わないと公表されることがあります(第23条・第24条)。

LP・バナー・SNS・記事LPと媒体が増えるほど、目視だけの確認では見落としが増えます。表現チェックを仕組み化したい場合は、景表法チェックのやり方とAIでの確認方法も参考にしてください。

出典:消費者庁「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」

よくある質問

Q. 措置命令を受けると事業者名は公表されますか?

消費者庁の措置命令は、報道発表資料で事業者名・対象商品・表示内容が公表されます。確約計画の認定も、違反の認定ではありませんが、事業者名と行為の概要が公表されます。

Q. アフィリエイトサイトやインフルエンサーの投稿でも、広告主が処分されますか?

広告主が表示内容の決定に関与していれば、広告主の表示として措置命令の対象になり得ます(事例3・12)。ステマ規制の対象は広告主で、依頼を受けたインフルエンサー等は景品表示法の規制対象ではないと、消費者庁は説明しています。

Q. 「期間限定」の期限を過ぎても同じ価格で売ると違反ですか?

期限後も同じ条件で販売していると、有利誤認と評価されるおそれがあります(事例8)。終了日時、表示の停止、販売条件の切り替えを一体で管理してください。

Q. 「効果には個人差があります」と書けば体験談は使えますか?

注記があっても、写真・数字・見出しの見せ方によっては、誰でも同じ効果が得られる印象が残ります。打消し表示は、強調表示の近くに十分な大きさで示しても、内容によっては印象を打ち消せないことがあります。

Q. No.1表示は調査会社に依頼していれば問題ありませんか?

そうとは言えません。消費者庁は、比較対象・調査対象者・調査方法・表示との対応の4点を広告主側でも確認するよう求めています(事例3)。

Q. 違反すると必ず課徴金が課されますか?

必ずではありません。課徴金の対象は優良誤認と有利誤認で、ステマやおとり広告などの指定告示は対象外です。額が150万円未満の場合などは命じられません。ただし、措置命令や公表の影響は大きいため、事前の確認が重要です。

Q. 社内研修で違反事例を共有するときの注意点は?

公表資料の日付と事実関係をそのまま伝え、推測を加えないことが基本です。事例の結論を自社にそのまま当てはめず、商品区分・媒体・表示全体・根拠資料を踏まえて個別に判断してください。

まとめ|違反事例は「表示と実態のずれ」から生まれる

  • 違反事例の多くは、根拠・価格・期間・提供体制・投稿管理のずれから生まれる
  • 優良誤認は根拠資料、有利誤認は販売実績と期限の運用が分かれ目になる
  • アフィリエイトや依頼投稿も、広告主の表示として処分の対象になり得る
  • 措置命令は事業者名が公表され、課徴金は売上額の3%(10年以内に課徴金納付命令を受けていた場合などは4.5%)
  • 公開前のチェックだけでなく、公開後の価格・期限・口コミの運用も確認する

実際の適否は、商品区分、根拠資料、表示全体、販売条件によって個別に判断されます。判断に迷う表示は、専門家や所管官庁への確認も検討しましょう。

公開前に、広告表現をまとめて確認しませんか?

価格表示、期間限定、No.1表示、口コミの転載が重なると、目視だけでは見落としが起こりやすくなります。AIによる広告審査ツール「アドミル」は、景表法・薬機法の観点でリスク箇所を指摘し、言い換えの方向性を提案します。

アドミルの詳細を見る

免責事項:本記事は2026年10月7日時点の公的資料に基づく一般的な情報提供であり、個別案件への法的助言ではありません。事例は消費者庁の公表時点の内容です。

参考資料