ダイエット広告の薬機法・景表法|「痩せる」がNGな理由と言い換え例

ダイエット広告の薬機法・景表法と、「痩せる」がNGになりやすい理由・言い換え例を解説する記事のアイキャッチ

最終更新日:2026年10月28日

ダイエット広告で「痩せる」とうたうと、薬機法・景品表示法(景表法)・健康増進法(食品の場合)で問題になりやすくなります。いわゆる健康食品が「脂肪燃焼」など体の機能への作用をうたえば、薬機法上の医薬品的な効能効果に当たるおそれがあります。根拠なく痩身効果を示すと、景品表示法の優良誤認(実際より著しく良く見せる表示)や、健康増進法の誇大表示の問題にもなり得ます。

特に注意したいのが「飲むだけで痩せる」型の表示です。運動や食事制限なしに、短期間で容易に著しく痩せるかのような表示を指します。消費者庁は、これを虚偽誇大表示等に当たるおそれがある表示に挙げています(「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」第4の2⑶。以下、留意事項)。虚偽誇大表示等とは、健康増進法の誇大表示と景品表示法の優良誤認表示をまとめた呼び方です。本記事では、商品区分ごとに言える範囲、NG表現の言い換え、公表事例を一次情報をもとに整理します。

ダイエット広告で「痩せる」はNG?商品区分ごとの早見表

商品区分 ダイエット訴求で言える範囲の目安 問題になりやすい表現 主な法律
いわゆる健康食品(サプリなど) 栄養補給・健康維持の範囲 「痩せる」「脂肪燃焼」「代謝アップ」「食べたカロリーをなかったことに」 薬機法・健康増進法第65条・景品表示法
機能性表示食品 届け出た表示内容の範囲 届出表示の一部を省く表示、運動や食事制限なしに誰でも容易に腹部が痩せるように見せる表示 健康増進法第65条・景品表示法(容器包装の表示は食品表示法も)
特定保健用食品(トクホ) 許可を受けた表示内容の範囲 許可表示が「食後の血中中性脂肪の上昇を抑える」なのに「体脂肪を減らす」と表示する(消費者庁の例) 健康増進法(第43条・第65条)・景品表示法
化粧品 化粧品の効能の範囲(例:「肌をひきしめる」) 「脂肪を分解」「塗るだけで部分痩せ」 薬機法・景品表示法
美容機器・運動器具(医療機器でないもの) 運動の補助や使用感など、体の機能への作用を含まない範囲 「脂肪が落ちる」「痩身」「新陳代謝を促進」 薬機法(医療機器との区別)・景品表示法

表の「言える範囲」は目安です。どの区分でも、許可・届出・承認の内容と表示全体の印象で個別に判断されます。範囲内の言葉を使えば必ず問題がない、という意味ではありません。

ダイエット広告にかかる3つの法律

1つの広告に、複数の法律が同時にかかります。食品なら3つの法律すべてを、化粧品や美容機器なら主に薬機法と景品表示法を確認します。

ダイエット広告にかかる法律
薬機法
健康食品が脂肪燃焼・代謝アップなど体の機能への作用をうたうと、承認のない医薬品の広告(第68条)になるおそれ
健康増進法 第65条
食品の痩身効果などについて、著しく事実と違う・著しく誤認させる表示を禁止。「何人も」が対象
景品表示法
根拠のない痩身効果は優良誤認。合理的な根拠を示せなければ不当表示とみなされる(第7条第2項)
保健機能食品の制度
機能性表示食品は届け出た表示、トクホは許可を受けた表示の範囲を超えない
出典:e-Gov法令検索(薬機法・健康増進法・景品表示法)、消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」

大まかに言うと、薬機法は「どんな効果をうたえるか」を、景品表示法と健康増進法は「うたった効果が実際と合っているか」を見ます。法律ごとに要点を見ていきます。

薬機法:健康食品の痩身効果は医薬品的な効能効果になりうる

薬機法は、身体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的とする物を「医薬品」と定めています(第2条第1項第3号)。食品として売っていても、広告が医薬品的な目的を示せば、原則として医薬品とみなされます。承認を受けていない医薬品の効能効果などの広告は、第68条で禁止されています。

食品と医薬品の線引きを示すのが、厚生省(当時)の通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年、通称46通知)です。46通知は「身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効能効果」を、医薬品的な効能効果としています。その例として「新陳代謝を盛んにする」などを挙げています。ただし、栄養補給や健康維持に関する表現は除くとしています。

「脂肪燃焼」「代謝アップ」のように体の機能に働きかける表現は、これに当たると判断されるおそれがあります。消費者庁の留意事項も、「脂肪燃焼を促進!」を身体の組織機能の増強・増進を目的とする効果の例に挙げています(第2の2⑴イ)。こうした効果は、医薬品の承認を受けない限り表示できないとしています。野菜や調理品など、見た目から明らかに食品と分かる物は除かれます。ただし、それらも虚偽誇大な表示をすれば、景品表示法と健康増進法の対象になります(留意事項 脚注3)。

なお、46通知の例示に「痩せる」「ダイエット」という語そのものはありません。語句だけで決まるのではなく、商品の作用で痩せると読める表示かどうかを、表示全体で確認します。薬機法の全体像は「薬機法とは」で解説しています。

違反した場合、厚生労働大臣や都道府県知事は広告の中止などを命じることができます(第72条の5)。第68条違反は、2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその両方(併科)の対象です(第85条第5号)。

景表法:根拠のない痩身効果は優良誤認(不実証広告規制)

景品表示法は、商品の品質などを実際よりも著しく優良に見せる「優良誤認表示」を禁止しています(第5条第1号)。判断の考え方は「優良誤認とは」で解説しています。

ダイエット広告で特に押さえたいのが「不実証広告規制」です。消費者庁は、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を、期間を定めて求めることができます(第7条第2項)。資料を出さない場合や、合理的な根拠と認められない資料しか出せない場合は、優良誤認とみなされます(留意事項 第3の5)。これは、措置命令(違反の取りやめや再発防止を命じる行政処分)を行うときの扱いです。課徴金納付命令(売上額に応じた金銭の納付を命じる処分)でも、同じように資料の提出を求められます。提出しなければ、優良誤認と推定されます(第8条第3項)。

留意事項は、痩身効果のように効果の有無を客観的に判断しにくい表示に、この規定を適用しているとしています。痩身効果の根拠として出されたヒト試験が、次の理由で合理的な根拠と認められなかった例も示されています(第3の5)。

  • 試験品を摂った群のほうが、比較する群より体重が重く体脂肪率も高かった(被験者の選び方が恣意的)
  • 被験者の食事内容やカロリー摂取量が記録されていなかった
  • 実証された内臓脂肪や体重の減少と、表示した効果が大きく離れていた
  • 「運動や食事制限なしで痩せる」とうたったのに、試験では運動や食事制限の指導をしていた

違反すると、措置命令や課徴金納付命令の対象になります(第7条第1項・第8条第1項)。課徴金は、原則として対象期間の売上額の3%です。過去10年以内に課徴金納付命令を受けた事業者が再び違反すると、4.5%になります(第8条第5項)。優良誤認表示には、措置命令を経ずに科される罰則(直罰。100万円以下の罰金、第48条)もあります。措置命令に違反すると2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で、法人には3億円以下の罰金が科されます(第46条・第49条)。

健康増進法65条:食品の健康保持増進効果等の誇大表示

健康増進法第65条第1項は、食品として販売する物の広告などを対象にしています(e-Gov法令検索)。「健康保持増進効果等」について、著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させる表示を禁じる規定です。

痩身効果も、この「健康保持増進効果等」に含まれます。消費者庁は、痩身効果を「人の身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変え」ることなどに資する効果に当たるとしています(留意事項 第4の3⑴)。「スリム○○」「減脂○○」のような名称や、「美しい理想の体形に」という表現も、効果を示す表示の例に挙がっています(第2の2)。

この規定は「何人も」と定めています。そのため、メーカーや販売店だけでなく、広告代理店やアフィリエイターも対象になり得ます。詳しくは「健康食品の広告規制」で解説しています。

消費者庁は、インターネット上の表示を継続的に監視しています。2026年4〜6月には、117事業者・126商品の表示に改善指導を行いました(2026年9月4日公表)。このうち、いわゆる健康食品(カプセル・錠剤など)は95商品でした。挙がった表示には「ダイエット」「脂肪燃焼」「糖と脂肪の吸収を抑える」などが含まれています。

違反のおそれがあると、まず改善指導が行われます。国民の健康の保持増進と、国民への正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあれば、勧告の対象です(第66条第1項)。消費者庁は、勧告を行った際は公表するとしています(留意事項 第3の6⑵)。勧告に正当な理由なく従わなければ、命令を受けることがあります(第66条第2項)。命令違反は6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(第71条)。

消費者庁が示すダイエット広告のNG表示例

消費者庁の留意事項は、健康食品の痩身表示について、考え方と具体例を示しています。前提にあるのは、「消費エネルギーが摂取エネルギーを上回らない限り、人は痩せない」という考え方です。

留意事項は、適切な運動や食事制限をしながら痩せられるのは6か月間で4〜5kg程度までとしています(第4の2⑶。出典に消費者庁「消費者の皆様へ(健康食品の表示について)」平成26年6月を挙げています)。そのうえで、次のような表示を、虚偽誇大表示等に当たるおそれがある例としています。

  • 「決して食事制限はしないでください。この○○○があなたのムダを強力サポート」
  • 「食べたカロリーをなかったことに」
  • 「一日たった3粒飲むだけで、楽に痩せることができました!」
  • 「寝る前に飲むだけで、何もしなくても、勝手に痩せていきます」
  • 「普段の食事を変えなくても、1か月で10kgも減りました」

いずれも、摂取するだけで運動や食事制限なしに痩せると受け取られる表現です。言い換えの基本は、商品の効果として減量をうたわないことです。食事や運動の見直しを前提にした位置づけにとどめます(後述の「NG表現と言い換えの方向」も参照)。

このほか、ダイエット広告に関係する類型として、次のような例も示されています。

類型 留意事項の例 ポイント
最上級・断定 「最高級ミネラル成分の配合により、絶対に痩せられます!!」 健康効果の最上級や「絶対」は、客観的な立証が難しい(第4の2⑷)
No.1表示 「ダイエット部門売上 No.1」 合理的な根拠がない、調査条件や出典が明記されていない場合は問題になり得る(第4の2⑷)
公的認証の誤認 「消費者庁承認済みのダイエット用健康食品です」 実在しない認証や、制度の趣旨と異なる認証の表示(第4の2⑺)
悩みの列挙 「最近おなか周りが気になる、健康診断で内臓脂肪について指摘を受けた、運動が苦手、食べすぎを我慢できない」 運動や食事制限の併用が必要なのに、摂取だけで悩みが解消すると誤認させる(第4の2⑴)

表のとおり、特定の言葉を使ったかどうかではなく、表示全体からどう受け取られるかで判断されます。留意事項の広告例は、「痩せる」とは書かず、「たったの1粒で…」「飲むだけでドンドン落ちる!」と使用前後の画像を並べたものです。それでも、短期間で著しく痩せる印象を与えるとされています(第4の3⑴)。それぞれの言い換えの方向性は、後述の「NG表現と言い換えの方向」の表にまとめています。

機能性表示食品・トクホで言える範囲(届出表示・許可表示を超えない)

機能を表示できる保健機能食品でも、ダイエット訴求の上限は、届け出た表示や許可を受けた表示の範囲です。範囲を超えた広告は、虚偽誇大表示等に当たるおそれがあります(留意事項 第4の1)。

機能性表示食品:届出表示を超えない

機能性表示食品は、事業者の責任で科学的根拠などを消費者庁長官に届け出る制度です。国が個別に審査して許可したものではありません。留意事項は、ダイエットに関係する次のような表示を、問題になり得る例に挙げています(第4の1⑵)。

  • 届出表示の一部を省き、商品自体に機能性があるかのように見せる
  • 届出表示が「肥満気味の方の内臓脂肪を減らすのを助ける機能性がある。」(留意事項の例)なのに、運動や食事制限なしに誰でも容易に腹部が痩せるかのように見せる
  • 届け出た機能性関与成分(機能の根拠となる成分)以外の成分を強調し、それも機能性関与成分であるかのように見せる
  • 「体重を減らす」のように、体への作用が不明確な機能を表示する
  • 「消費者庁承認」など、国の許可を受けたと誤認させる

46通知は、届け出た表示内容を表示する機能性表示食品を、原則として医薬品と認識されない物としています。裏を返せば、届出の範囲を超えた表示は、この扱いの外に出るおそれがあります。

トクホ:許可表示を超えない

特定保健用食品(トクホ)は、商品ごとに国の審査を受け、表示の許可を受けた食品です。留意事項は、許可表示が「本品は、食後の血中中性脂肪の上昇を抑える○○を含んでおり、脂肪の多い食事をとりがちな人の食生活改善に役立ちます。」なのに、「体脂肪を減らす」と表示する例を挙げています(第4の1⑴ア)。

許可表示を超える表示は、健康増進法第43条第1項にも違反することになるとされています(同 脚注10)。「体脂肪を減らす」という言葉がなくても、体脂肪が減る印象を与える映像や画像は問題になり得ます(同 脚注11)。

一方で、留意事項は「体脂肪を減らすのを助ける」も特定の保健の用途の表示例に挙げています(第2の2⑴ウ)。許可表示の文言は商品ごとに違うため、自社商品の許可表示を確認し、その範囲で表現しましょう。

化粧品・美容機器・雑貨のダイエット訴求

化粧品:「肌をひきしめる」までが効能の範囲

薬機法上の化粧品は、身体を美化し、魅力を増すなどの目的で、塗るなどして使う作用の緩和な物です(第2条第3項)。身体の構造や機能に影響を及ぼす目的もあわせ持つ物は、化粧品から除かれます。

化粧品で表示できる効能の範囲は、国の通知で56項目が定められています。現在の56項目は、平成23年の厚生労働省の通知「化粧品の効能の範囲の改正について」の別紙で示されています。ダイエットに近いものでは「肌をひきしめる。」がありますが、これは肌についての効能です。

「脂肪を分解する」「塗るだけで部分痩せ」のように、脂肪や体型への作用をうたうと、化粧品の効能の範囲を超えます。医薬品的な効能効果と判断されるおそれもあります。化粧品の広告にも、虚偽・誇大な広告を禁じる薬機法第66条がかかります。

美容機器・雑貨:医療機器との線引きに注意

薬機法は、身体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的とする機械器具等のうち、政令で定めるものを「医療機器」としています(第2条第4項)。医療機器でない雑貨が体への効果をうたうと、承認・認証を受けていない医療機器の広告として問題になり得ます(第68条)。

東京都の資料「雑貨等の広告について(薬事該当性)」は、筋肉の運動のみを目的とする筋肉運動補助器具は医療機器に当たらないとしています。一方で、脂肪減少作用などをうたうものは、問題となる標ぼう(効能をうたうこと)としています。美容器具でも、「たるみを引き締め小顔に」「新陳代謝促進」などは医療機器に該当するとしています。痩身などの効果をうたうHIFU(高密度焦点式超音波)の機器も、医療機器に該当するとしています。

化粧品・美容機器で言える範囲の目安
化粧品
化粧品の効能の範囲の中で
・言える例:肌をひきしめる
・範囲外:脂肪の分解・部分痩せ
・体の構造・機能への作用をうたうと化粧品の外
雑貨の美容・運動器具
医療機器ではない機器
・筋肉の運動のみが目的なら医療機器に当たらない
・脂肪減少作用をうたうと問題になる
・新陳代謝促進・小顔に引き締めは医療機器に該当
・痩身効果をうたうHIFU機器は医療機器
医療機器
承認・認証・届出を経た機器
・承認・認証・届出の範囲の効能で広告する
・承認・認証前の機器の効能の広告は禁止(第68条)
出典:e-Gov法令検索「薬機法」第2条・第68条、厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」、東京都保健医療局「雑貨等の広告について(薬事該当性)」

図のように、同じ「引き締め」でも、肌の話か体の機能の話かで扱いが変わります。機器の広告は、景品表示法の面でも見られます。後で紹介するEMS機器(電気で筋肉を刺激する機器)の事例では、使用前後のウエストの数値を並べた動画が問題になりました。

体験談・ビフォーアフター・漫画LPの注意点

体験談やビフォーアフター、漫画仕立てのLPは、ダイエット広告でよく使われる手法です。使うこと自体が直ちに問題になるわけではありませんが、見せ方しだいで虚偽誇大表示等に当たるおそれがあります。

体験談:「個人の感想です」では判断は変わらない

「個人の感想です」「軽い運動を併用した結果です」などと書いても、判断には影響しないとされています(留意事項 第4の2⑸)。表示全体から効果があると受け取られ、実際にはそうでなければ問題になります。次のような使い方は、問題になるおそれがある例に挙がっています。

  • 依頼して書いてもらった好意的な体験談を、一般の利用者の声のように見せる
  • 食事療法などを併用したのに、それを明瞭に示さず、摂取だけで痩せたように見せる
  • 都合の良い体験談だけを選び、誰でも同じ効果が得られるように見せる

誤認を避けるため、次の点を明瞭に示すことが推奨されています(同 脚注17)。調査した体験者の数と属性、同じ効果が得られた人と得られなかった人の割合です。

ビフォーアフター:短期間の大きな変化は要注意

使用前後の写真やイラストも、表示全体の一部として判断されます。留意事項の広告例では、4週間で約15kgの減量に成功したとする使用前後の画像が問題視されています。短期間で容易に著しく痩せる印象を与える要素の1つとされています(第4の3⑴)。数字が大きく期間が短いほど、根拠と試験条件の確認が欠かせません。

漫画・ストーリー仕立ての広告とアフィリエイト

漫画や会話形式の広告でも、表示全体から効果が読み取れれば同じように判断されます。消費者庁が課徴金納付命令を出した健康茶の事例があります(2024年3月6日公表)。「漫画でわかる!」とうたう同梱冊子に、「2年半で-43kg!!」などと表示していました。

この冊子には「※適度な運動と食事制限を取り入れた結果であり実感されない方もいらっしゃいます。」という注記もありました。消費者庁は、この注記は効果についての認識を打ち消すものではないとしています。

アフィリエイトサイトの記事LPにも注意が必要です。広告主が表示内容の決定をアフィリエイターに委ねていれば、広告主が措置の対象になり得ます(留意事項 第3の3⑶)。アフィリエイター自身も、表示内容の決定に関与していれば健康増進法の対象になり得ます。

ダイエット広告のNG表現と言い換えの方向

よく問題になる表現を、「なぜNGか」と「言い換えの方向性」のセットで整理します。まずは代表的な3つです。

ダイエット広告のNG表現と言い換え
✕ NG
食べたカロリーをなかったことに
なぜNG:消費者庁の留意事項が、虚偽誇大表示等のおそれがある例に挙げている。根拠がなければ優良誤認にもなる
○ 言い換え
食生活を整える中での栄養補給など、カロリーや脂肪への作用をうたわない表現にする
✕ NG
寝る前に飲むだけで、何もしなくても、勝手に痩せていきます
なぜNG:運動や食事制限なしに短期間で容易に痩せるかのような表示。留意事項は運動等をしても6か月で4〜5kg程度までとする
○ 言い換え
商品の効果として減量をうたわない。食事・運動の見直しと組み合わせた生活の話にとどめる
✕ NG
脂肪燃焼サプリ
なぜNG:いわゆる健康食品では、体の機能を高める医薬品的な効能効果と判断されるおそれ。改善指導でも対象に挙がっている
○ 言い換え
成分名と栄養補給の事実の範囲にする。機能性表示食品なら届出表示の文言どおりに
出典:消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」第2の2・第4の2⑶、同「インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する改善指導について(令和8年4月~6月)」

図の3つは、いずれも消費者庁の資料に根拠がある例です。そのほかの表現は、次の表にまとめました。

NG表現の例 なぜNGか 言い換えの方向性
「代謝アップで痩せる」(いわゆる健康食品) 46通知の「新陳代謝を盛んにする」と同じく、体の機能の増強をうたう表現と判断されるおそれ 体の機能への作用を言わず、原材料や含有量など商品の事実で訴求する
「1か月でマイナス10kg」 留意事項の目安(運動等をしても6か月で4〜5kg程度)を大きく超える。根拠がなければ優良誤認にも 減量の数値を商品の効果としてうたわない
「絶対痩せる」「誰でも簡単に」 健康効果の断定は、客観的な立証が難しい(留意事項 第4の2⑷) 断定をやめ、実証できる事実とその条件に限る
「ダイエットサプリNo.1」 調査が客観的でない、調査条件が明記されていないと問題になり得る 客観的な調査に基づく場合に限り、調査の概要を近くに明記する
「運動が苦手、食べすぎを我慢できない方に」 運動や食事制限が必要なのに、摂取だけで悩みが解消すると誤認させるおそれ(留意事項 第4の2⑴) 悩みの解消を約束せず、原材料・含有量・味など商品の事実で訴求する
「消費者庁承認」(機能性表示食品) 機能性表示食品は、国の許可・承認を受けたものではない 「機能性表示食品(届出番号○○)」と正確に表記する
「塗るだけで脂肪を分解」(化粧品) 化粧品の効能の範囲を超える。医薬品的な効能効果と判断されるおそれ 「肌をひきしめる」など、効能の範囲の中で表現する
「貼るだけで脂肪が落ちるEMS」(雑貨の機器) 脂肪減少作用をうたうと、医療機器との関係で問題になる(東京都の資料) 筋肉の運動の補助や使用感など、事実の範囲にとどめる

言い換えは方向性の例です。言い換えれば必ず適法になるわけではなく、商品区分や表示全体の印象で個別に判断されます。語句単位の一覧は「薬機法のNGワード一覧」もあわせてご覧ください。

ダイエット広告の違反事例(消費者庁の公表資料)

消費者庁が公表したダイエット関連の事例を、日付順にまとめました。いずれも痩身効果の表示に景品表示法の不実証広告規制が使われ、提出された資料は合理的な根拠と認められませんでした。

  • ハーブ茶(2021年6月3日 措置命令):自社サイトで「飲むだけ 無理せず-10kgダイエット」「カロリーブロック」などと表示しました(留意事項 第5⑴ No.4)。
  • EMS機器(2021年6月18日 課徴金納付命令):動画で4週間の使用前後のウエストの数値を並べ、腹部の痩身効果を表示しました。「※個人差があり 結果を保証するものではありません」の注記は、打ち消しにならないとされました。課徴金は計1,431万円です(公表資料)。
  • 痩身効果をうたう食品(2021年11月24日 措置命令):「食事の気になるカロリーを速攻カット!!」「脂肪燃焼」などと表示しました(留意事項 第5⑴ No.2)。
  • 痩身効果をうたう食品(2022年4月5日 措置命令):体験談風の文章で「★無理な食事制限ナシ★ ★辛い運動ナシ★」などと表示しました。摂取するだけで容易に著しく痩せるかのように示したとされています(留意事項 第5⑴ No.1)。
  • 機能性表示食品(2023年12月7日 措置命令):アフィリエイトサイトで「3週間で60.8kg→47.2kgまで痩せた方法がすごい!」などと表示しました。「30~60代女性が選ぶダイエットサプリ No.1」などの表示も、客観的な調査に基づかないとして優良誤認とされました(公表資料)。
  • 健康茶(2024年3月6日 課徴金納付命令):「漫画でわかる!」とうたう同梱冊子で「2年半で-43kg!!」などと表示しました。運動と食事制限の併用を示す注記は、打ち消しにならないとされました。課徴金は1,771万円です(公表資料)。

多くに共通するのは、運動や食事制限をしなくても痩せると読める見せ方と、大きな減量の数値です。注記があった2件でも、打ち消しにはならないとされています。ほかの業種も含めた事例は「景品表示法の違反事例」で紹介しています。

ダイエット広告の公開前チェックリスト

商品区分と範囲

  • □ 商品区分(いわゆる健康食品/機能性表示食品/トクホ/化粧品/雑貨の機器)を確認した
  • □ 機能性表示食品・トクホは、届出表示・許可表示の文言を省かず、範囲を超えていない
  • □ 化粧品は効能の範囲内で、機器は医療機器に当たる効能をうたっていない

表現

  • □ 「脂肪燃焼」「代謝アップ」など、体の機能を高める表現がない(いわゆる健康食品)
  • □ 「飲むだけで」「何もしなくても」など、運動や食事制限が要らないと読める表現がない
  • □ 短期間の大きな減量の数値や、それを連想させる画像がない
  • □ 「絶対」「誰でも」などの断定、根拠のないNo.1や公的認証の表示がない
  • □ 悩みの列挙や商品名・キャッチコピーで、痩身効果を暗示していない

根拠と見せ方

  • □ 効果の表示を裏付ける資料(商品自体を用いたヒト試験など)を公開前に持っている
  • □ 試験の条件(対象者・人数・食事や運動の管理)を示し、グラフを誇張していない
  • □ 体験談は実在し、併用した食事・運動や、効果が出なかった人の割合を示せる
  • □ 「個人の感想です」などの注記に頼らず、強調した表示そのものが実態どおりになっている
  • □ アフィリエイトや代理店が作るLP・漫画広告も、公開前に確認する体制がある

LPや漫画広告は、コマや画像の数が多く、目視だけの確認では漏れが出やすくなります。一次チェックにAIツールを使う方法もあります。アドミルは、広告のテキストや画像、LPを薬機法・景品表示法の観点からAIで審査し、NGになり得る表現と理由、代替案を示すツールです。仕組みは「薬機法AIチェックツールとは」で紹介しています。最終判断は、商品区分と表示全体を踏まえて行いましょう。

よくある質問

Q. 「ダイエット」という言葉を使うだけでNGですか?

言葉だけで一律に決まるわけではありません。留意事項も、特定の用語の使用を一律に禁止するものではないとしています。ただし、消費者庁の改善指導では「ダイエット」をうたう表示も挙がっています。商品を摂ると痩せると読める表示かどうかを、表示全体で確認してください。

Q. 「運動と食事制限を併用した結果です」と書けば、減量の体験談を載せてもよいですか?

その注記だけでは判断は変わりません。留意事項は、「軽い運動を併用した結果です」などと書いても判断に影響しないとしています。前述の健康茶の課徴金事例でも、運動と食事制限の併用を示す注記は打ち消しにならないとされました。

Q. 「6か月で4〜5kg」以内の数値なら表示してもよいですか?

そうとは限りません。この数値は、適切な運動や食事制限をした場合の目安として留意事項が示したものです。商品の効果として示すなら、その商品で実証した根拠が必要です。いわゆる健康食品では、体の機能への作用として薬機法の問題になるおそれもあります。

Q. 機能性表示食品なら「痩せる」と書けますか?

表示できるのは届出表示の範囲までです。届出表示の一部を省く広告や、運動なしで誰でも痩せるように見せる広告は問題になり得ます。「体重を減らす」のように、作用が不明確な機能を表示する広告も同様です。

Q. 化粧品で「引き締め」と書いてもよいですか?

化粧品の効能の範囲には「肌をひきしめる。」があります。ただし、これは肌についての効能です。脂肪や体型が引き締まるように読める表示は、範囲を超えるおそれがあります。

Q. 広告代理店やアフィリエイターも責任を問われますか?

健康増進法第65条は「何人も」と定めているため、表示内容の決定に関与していれば対象になり得ます。留意事項は、「本商品を摂取するだけで、運動や食事制限をすることなく劇的に痩せる!」のような表示を例に挙げています。明らかに虚偽誇大と疑うべき表示では、関与した広告代理店や媒体にも措置をとることがあるとしています(第3の3⑵)。薬機法の第66条・第68条も「何人も」と定めています。医薬品的な効能をうたう健康食品の広告などを作った代理店やアフィリエイターも、対象になり得ます。違反すると、2年以下の拘禁刑などの罰則の対象です(第85条)。

一方、景品表示法の措置の対象は、商品を供給する事業者です。広告代理店やアフィリエイターは、原則として対象になりません(留意事項 第3の3⑴⑶)。表示内容の決定をアフィリエイターに委ねていても、広告主は措置の対象になり得ます(同 第3の3⑶)。

まとめ

  • ダイエット広告には、薬機法・景品表示法・健康増進法(食品の場合)が重ねてかかる
  • いわゆる健康食品の「脂肪燃焼」「代謝アップ」は、医薬品的な効能効果と判断されるおそれがある
  • 運動や食事制限なしに短期間で容易に痩せるかのような表示は、虚偽誇大表示等のおそれがある
  • 根拠のない痩身効果は、不実証広告規制で優良誤認とされやすい。「個人の感想です」「軽い運動を併用した結果です」などの注記を添えても、判断は変わらないとされている
  • 機能性表示食品・トクホは届出・許可の範囲、化粧品は効能の範囲、機器は医療機器との区別を守る

適否は商品区分や表示全体で個別に判断されます。迷う表現は、所管の都道府県の薬務課や消費者庁の窓口への相談も検討してください。

参考資料

本記事は2026年10月22日時点の公的資料に基づきます。個別の表示の適否は、商品区分・承認内容・表示全体の印象で判断が分かれるため、必要に応じて専門家や所管の窓口に確認してください。


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