最終更新日:2026年10月26日
打消し表示とは、強調表示だけでは分からない例外や条件を知らせる注記です。文字が小さい、強調表示から離れている、表示時間が短い、読んでも分からない。こうした打消しは、景品表示法上問題となるおそれがあると消費者庁は示しています。体験談に「個人の感想です」と添えても、「大体の人に効果がある」という受け止め方はほとんど変わらないとされます。注記で補うより、強調表示そのものを実態に合わせることが基本です。
本記事では、消費者庁の「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」(2018年6月7日)をもとに整理します。問題になる表示方法、内容の4つの型、体験談の示し方、NG例と言い換えの方向、公開前チェックリストを順に見ていきます。
打消し表示の型と見直しの方向 早見表
| 打消しの型 | 広告の例 | 問題になりやすい点 | 見直しの方向 |
|---|---|---|---|
| 例外型 | 「全品送料無料 ※一部地域を除く」 | 例外が読み取れず、例外なしと受け取られる | 対象外の範囲を、強調表示の近くに同程度の大きさで示す |
| 別条件型 | 「初回500円 ※4回継続が条件」 | 条件が分からず、支払う総額を誤認する | 条件と総額を強調表示と一体で示す。定期購入は特定商取引法の最終確認画面も確認 |
| 追加料金型 | 「すべて込みで月額○円 ※別途工事費」 | 追加料金はないと受け取られる | 「込み」と書かないか、追加費用を強調表示と並べて示す |
| 試験条件型 | 「99%除去 ※試験室での結果」 | 実際の使用環境でも同じ効果と受け取られる | 試験条件を分かる言葉で示す。実際の使用で示せないなら強調表示を見直す |
| 体験談の注記 | 「-10kg! ※個人の感想です」 | 体験談の印象は、注記ではほとんど変わらない | 被験者数と、効果が得られた人・得られなかった人の割合などを示す |
表の例は説明のために作ったもので、見直しの方向は消費者庁の留意点をもとにした目安です。実際の適否は、強調表示と打消し表示を含む表示全体の印象で個別に判断されます。
打消し表示とは?強調表示との関係
消費者庁の打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点(以下「留意点」)は、2つの言葉を次のように説明しています。
- 強調表示:断定的な表現や目立つ表現を使って、品質などの内容や価格などの取引条件を強調した表示
- 打消し表示:強調表示からは通常予期できない事項で、商品・サービスを選ぶときに重要な考慮要素となるものの表示
強調表示は、対象の商品・サービスすべてに無条件で当てはまると受け止められます。そのため、例外や条件があるときは、それを分かりやすく示す必要があります。
留意点は、強調表示が商品・サービスの実際を反映していることを原則としています。打消し表示は、強調表示だけでは分からない例外や制約がある場合に、例外的に使うものという位置づけです。強調表示と打消し表示が矛盾する場合も、景品表示法上問題となるおそれがあるとしています。
打消し表示に気付けない、または読んでも理解できないと、消費者は強調表示どおりに受け取ります。その結果、実際より著しく優良・有利だと誤認されると問題になります。景品表示法が禁じる優良誤認表示(第5条第1号)や有利誤認表示(第5条第2号)に当たるおそれがあるためです(e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」)。品質・効果の表示の判断基準は「優良誤認とは」で解説しています。
打消し表示のガイドラインは?消費者庁の留意点と実態調査報告書
打消し表示のガイドラインを探すときに、まず当たるべき資料は消費者庁の留意点です。ただし、留意点は法令や告示ではなく、実態調査報告書のまとめという位置づけです。
消費者庁は2017〜2018年に3つの実態調査報告書を公表し、その考え方を留意点にまとめました(消費者庁「実態調査」)。
| 公表日 | 資料名 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 2017年7月14日 | 打消し表示に関する実態調査報告書(のちに一部訂正) | 打消し表示の7つの類型、表示方法・表示内容・体験談についての考え方 |
| 2018年5月16日 | スマートフォンにおける打消し表示に関する実態調査報告書 | アコーディオンパネル、申込ボタンの位置、スクロール |
| 2018年6月7日 | 広告表示に接する消費者の視線に関する実態調査報告書 | 紙面・動画広告で、消費者の視線がどこに向くか |
| 2018年6月7日 | 打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点(実態調査報告書のまとめ) | 上の3つの報告書を踏まえた景品表示法上の考え方の整理 |
資料は2017〜2018年のものですが、2026年10月22日時点でも消費者庁の実態調査報告書の一覧に掲載されています。
「打ち消し表示」「ガード文言」「注釈」は同じものを指す
消費者庁の資料では「打消し表示」と表記しています。実務では「打ち消し表示」「ガード文言」「注釈」「注記」「※書き」などとも呼ばれます。呼び方が違っても、強調表示に対する例外や条件を示す表示であれば、同じ考え方で見られます。
広告表現の規制全体の中での位置づけは「広告表現の規制と違反事例一覧」で整理しています。
打消し表示が景表法違反になるのはどんなとき?
留意点は、打消し表示が正しく認識されるかを、文字の大きさ、配置箇所、色などから総合的に判断するとしています。すべての媒体に共通する要素と、媒体ごとの要素があります。
共通の4つの要素はどの媒体でも確認し、そのうえで媒体ごとの要素を見ます。以下、順に説明します。
文字の大きさ・強調表示とのバランス・配置・背景
紙面・動画・Web広告のすべてに共通する要素は、次の4つです(留意点 第2の2⑴)。
| 要素 | 問題になる例 | 求められる方向 |
|---|---|---|
| 文字の大きさ | 見落としてしまうほど小さい | 媒体の特徴と、消費者が実際に目にする状況に合った大きさにする |
| 強調表示とのバランス | 強調表示と比べて著しく小さく、強調表示にだけ目が向く | 強調表示と打消しの両方を認識できるバランスにする |
| 配置箇所 | 強調表示から離れていて、どの強調表示への注記か分からない | 強調表示に隣接した箇所に置く |
| 背景との区別 | 明るい水色・オレンジ色・黄色の背景に白い文字。色が入り組んだ背景の上の文字 | 背景と対照的な色にし、文字と背景を区別しやすくする |
紙面広告については、隅に小さな文字の注意書きをまとめた欄には、消費者の注意が向かない可能性があることが視線調査で分かりました。留意点は、強調表示に隣接した箇所に置き、大きさ・色・背景から両者を一体として認識できるように表示することを求めています。
なお、文字の大きさについて「何ポイント以上なら問題ない」という数値の基準は示されていません。手に取って見る媒体か、駅のポスターのように離れて見る媒体かなど、実際に目にする状況で判断されます。
動画広告:表示時間と音声
動画広告は、表示される時間が限られ、手元に表示が残りません。留意点は、共通の4要素に加えて、次の点を挙げています(第2の2⑶)。
- 表示時間:強調表示を読むだけで画面が切り替わる。打消しを読み終える前に切り替わる
- 別の画面:強調表示の次の画面に打消しを出し、どの強調表示への注記か分からない
- 音声:強調表示は文字と音声で伝え、打消しは文字だけ。人物の映像に注意が向き、打消しに目が行かない
- 情報量:内容の違う強調表示と打消しが何度も出てきて、1回見ただけでは認識しきれない
視線調査では、文字と音声が同じ内容のとき、表示の内容が認識されやすい傾向が見られました。留意点は、重要な内容を示す方法の例として、文字と音声で同じ内容を示し、同じ画面に他の情報を含めないことを挙げています。秒数の基準は示されておらず、画面の文字数なども含めて判断されます。
Web広告:スクロールの先・アコーディオン・申込ボタン
PCのWeb広告では、スクロールが必要な場所にある打消しは、同じ画面内の打消しより読まれにくい傾向がありました。1スクロール以上離れた打消しについては、強調表示の前後の文脈や近くの記号から存在を連想できるかが考慮されます。どれだけスクロールが必要かも勘案されます(第2の2⑷)。
スマートフォンでは、消費者は関心のある情報だけを拾い読みしやすく、スクロールした先の表示を見落としやすいとされています。リンク先に移ったあと、元の画面に戻って確認しないこともあります。留意点が挙げる要素は次のとおりです(第2の2⑸)。
| 要素 | 問題になる例 | 求められる方向 |
|---|---|---|
| アコーディオンパネル(タップで開く欄) | 抽象的なラベルの欄の中にだけ条件があり、タップする必要に気付かない | ラベルを強調表示の近くに置く。中の内容を強調表示の隣にも示す |
| 申込ボタン(コンバージョンボタン)の位置 | 強調表示と申込ボタンは同じ画面、打消しは下の別の画面 | 強調表示を見た時点で、特に操作しなくても打消しに気付けるようにする |
| 強調表示との距離 | 「※」はあるが、打消しは離れた別の画面にある | 強調表示に隣接させ、同じ文脈の中で示す |
| 文字の大きさ | 大きな強調表示の隣に、小さな打消し | 同じ画面の他の表示と比べても、注意を引く大きさにする |
| 文字・背景の色や模様 | 目立たない色の打消し。入り組んだ画像の上の文字 | 強調表示と文字色・背景色をそろえ、一体として見えるようにする |
スマートフォンでは、強調表示の近くに「※」の記号があっても、打消しが離れた別の画面にあれば気付かれないことがあるとされています。縦に長いLPほど、強調表示のすぐそばに条件を置けているかを確認しましょう。
違反と判断された場合の措置
打消し表示が機能せず、優良誤認・有利誤認に当たると判断されると、措置命令の対象になります。措置命令は、違反の取りやめや再発防止を命じる行政処分です。対象商品の売上額の3%の課徴金が課されることもあります(第8条第1項。算定額が150万円未満の場合などは命じられません)。
優良誤認・有利誤認の表示には、措置命令を経ずに科される刑事罰(直罰)として、100万円以下の罰金もあります(第48条)。措置命令に違反した場合は、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(第46条。法人は3億円以下の罰金、第49条)。制度の全体像は「景品表示法とは」で解説しています。
打消し表示の内容で問題になる4つの型(例外型・別条件型・追加料金型・試験条件型)
表示方法に問題がなくても、読んで内容を理解できない打消しは機能しません。留意点が表示内容について挙げる型は、例外型・別条件型・追加料金型・試験条件型の4つです(第3)。
4つとも、消費者が打消しを読んでも内容を理解できず、実際より著しく優良・有利と誤認する場合に問題となるおそれがあります。
なお、2017年の実態調査報告書は、集めた打消し表示を7つに分類しています。例外型・体験談型・別条件型・非保証型・変更可能性型・追加料金型・試験条件型です。類型別に集計した493点(内容が不明だった動画広告1点を除く)では、例外型(29.8%)が最も多く、体験談型(22.9%)が続きました。留意点は、このうち4つを「表示内容」の型として整理し、体験談は第4で別に扱っています。
例外型:「※一部地域を除く」
強調表示に何らかの例外がある旨を書く注記です。打消しを読んでも内容が分からないと、消費者は例外なく利用できると受け取ります。対象外の地域や商品を具体的に書き、強調表示の近くに示すことが大切です。
別条件型:「※○○の契約が必要」「※定期購入が条件」
割引価格や割引期間を強調し、適用のための別の条件を打消しに書く型です。留意点は、条件の違う割引が複数ある料金プランの例を挙げています。全部の割引を適用した料金と特定の期間だけを強調し、割引の条件は分かりにくい打消しに書く例です。この場合、その期間ずっとその料金で使えると受け取られ、問題となるおそれがあるとしています。
定期購入で初回価格の安さを強調し、解約条件を打消しに書く例も挙げられています。内容を理解できないと、契約期間内の総額を誤認すると考えられるとしています。初回価格や総額の見せ方は「有利誤認とは」でも扱っています。
通信販売では、申込みの最終確認画面での表示義務もあります(特定商取引法第12条の6)。分量や販売価格、支払の時期と方法、申込みの撤回・解除に関する事項などを表示する必要があります(e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」)。
追加料金型:「※別途、初期費用がかかります」
「全て込み」などと追加料金がないように強調し、別に料金がかかる旨を打消しに書く型です。理解できないと、その価格以外にお金はかからないと受け取られます。追加費用があるなら「込み」とは書かないか、追加費用を強調表示と並べて示す方向で見直します。
試験条件型:「※試験室での結果です」
一定の条件での試験結果や、理論上の数値である旨を書く型です。留意点は、表示された効果・性能が、試験で客観的に実証された内容と適切に対応している必要があるとしています。ここでいう効果・性能は、文章、写真、数値、イメージ図、体験談などを含めた表示全体から受け取るものです。
打消しに専門用語や外来語が多く、読んでも理解できない場合、消費者は強調どおりの効果があると受け取ります。成分で試験した結果を、商品そのものの効果のように見せる表示も問題になり得ます。「成分には効果があるが、商品には効果がない」という趣旨の打消しは、強調表示と矛盾するとされています。
成分の試験結果を使う場合は、試験の内容と条件を分かりやすく示し、商品自体の効果を正しく理解できるようにする必要があります。
「個人の感想です」「効果には個人差があります」は意味がある?
体験談に添えたこれらの注記で、広告から受ける印象を打ち消すことはほとんど期待できません。消費者庁の資料と処分例から確認します。
消費者庁の考え方:体験談の印象は打消しで変わらない
留意点 第4は、実態調査の結果から次のように整理しています。
- 商品を使った人の体験談を見た消費者は、「大体の人」が効果・性能を得られると受け止める
- 「個人の感想です。効果には個人差があります」などの打消しに気付いても、その受け止め方はほとんど変わらない
- 効果を訴求しながら「効果、効能を表すものではありません」と書くのは、訴求と矛盾しており意味をなさない
- 効果を全く得られない人が相当数いるのに効果のあった体験談を載せれば、打消しが明瞭でも問題となるおそれがある
健康食品については、消費者庁の「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(2022年12月5日一部改定)も同じ立場です。「個人の感想です」「効果を保証するものではありません」などと書いても、虚偽誇大表示等に当たるかの判断に影響を与えないとしています。「軽い運動を併用した結果です」も同じ扱いです(第4の2⑸)。
2つ目の例のように、注記で体験談の意味を消そうとしても、広告全体が効果を訴えていれば矛盾が残ります。化粧品・医薬品等の体験談は、景品表示法とは別に、薬機法の観点からも使い方が制限されている点に注意が必要です(後述)。
処分例:「※個人差があり…」が打消しにならなかった課徴金事例
消費者庁は2021年6月18日、株式会社DINOS CORPORATIONに課徴金納付命令を出しました。対象はEMS機器2商品の表示で、課徴金は合計1,431万円です(消費者庁の公表資料)。
自社ウェブサイトの動画では、体験者のウエストが4週間で「-8.6cm」などと減った様子を示していました。消費者庁が根拠資料の提出を求めましたが、提出された資料は合理的な根拠とは認められませんでした。この場合、課徴金納付命令の手続では優良誤認表示と推定されます(第8条第3項)。
動画には「※個人差があり 結果を保証するものではありません」と表示されていました。しかし消費者庁は、この表示は消費者が受ける効果の認識を打ち消すものではないとしています。
体験談を使うときに表示すべきこと
留意点は、体験談を使うなら、商品の効果・性能に適切に対応したものである必要があるとしています。そのうえで、事業者が行った調査について、次の事項を明瞭に表示すべきとしています。
- 被験者の数と属性
- 体験談と同じような効果・性能が得られた人の割合
- 体験談と同じような効果・性能が得られなかった人の割合
食事療法や運動療法の併用が必要な場合も、その旨を明瞭に示す必要があります。特定の条件(例:BMIが25以上)の人にしか効果がない場合も同じです。体験談だけを見ると、条件なしで効果が得られると受け取られるためです。
消費者庁の健康食品の留意事項(第4の2⑸)は、体験者やコメントのねつ造も問題となる例に挙げています。肯定するよう依頼した体験談を、一般の利用者の声のように見せることも同様です。健康食品での具体例は「健康食品の広告規制」の体験談の節で整理しています。
また、2023年10月1日からは、事業者の表示であることが分かりにくい表示(いわゆるステルスマーケティング)も景品表示法違反となりました(消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」)。体験談や口コミを第三者に依頼してSNSなどに投稿してもらう場合は、広告であることが分かる表示になっているかも確認しましょう。
「写真はイメージです」「予告なく変更」などその他の注記
2017年の実態調査報告書は、7つの類型の中に次の2つも挙げています。ただし、留意点には、この2つについての個別の考え方は書かれていません。
- 非保証型:体験談を使わずに、効果に個人差がある、効果を保証しないと述べる注記(報告書の例:「10時間効果が持続!! ※効果には個人差があります。」)
- 変更可能性型:予告なく変更する可能性がある旨の注記(報告書の例:「※掲載価格・内容は予告なく変更する場合がございます。」)
これらの注記も、留意点 第1の原則の外にあるわけではありません。強調表示は実際を反映していることが原則で、打消しと強調表示が矛盾すれば問題となるおそれがあります。たとえば「10時間持続」と強調するなら、その裏付けが問われます。注記を添えても、強調表示そのものの根拠が要らなくなるわけではありません。
「写真はイメージです」という注記についての個別の見解は、消費者庁の打消し表示の資料には見当たりません。留意点は、試験条件型の説明の中で、写真やイメージ図も、消費者が効果・性能を受け取る「表示全体」に含めています。写真で実物より著しく優良と誤認させる場合は、景品表示法第5条第1号の一般的な考え方で判断されることになります。注記に頼るより、実物とかけ離れない写真を使うことが基本です。
薬機法・健康増進法も打消し表示では補えない
留意点は景品表示法の考え方です。化粧品・医薬品や健康食品では、別の法律の観点からも確認が必要です。
化粧品・医薬品等:体験談と使用前後の写真が制限されている
薬機法第66条第1項は、医薬品・医薬部外品・化粧品などの効能効果について、虚偽・誇大な広告を禁じています。明示的か暗示的かは問いません(e-Gov法令検索)。
この解釈の目安として、厚労省の通知「医薬品等適正広告基準」があります。法律そのものではなく、都道府県などが監視指導に使う基準です。基準の第4の1〜3は、第66条第1項の解釈を示したものとされています。
基準の解説(医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について、2017年9月29日)は、使用体験談の扱いを定めています。次の場合を除き、使用体験談などの広告は行ってはならないとしています(第4の3(5)<共通>(5))。
- 目薬・外皮用剤・化粧品等の広告で、使用感を説明する場合(使用感だけを特に強調する広告は不可)
- タレントが単に製品の説明や呈示を行う場合
同じ解説は、図面や写真で承認等の範囲外の効能効果を想起させる表現なども認めていません(同(4))。使用前・使用後の写真かどうかは問われず、化粧品では表示できる効能の範囲外が当たります。効能を語る体験談やビフォーアフター写真に「個人の感想です」「写真はイメージです」と添えても、使える根拠にはなりません。
健康食品:体験談が効能の「暗示」になる
健康食品では、健康増進法第65条にも注意が必要です。健康保持増進効果等について、著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させる表示を禁じています(e-Gov法令検索「健康増進法」)。前述のとおり、消費者庁は「個人の感想です」などの注記はこの判断に影響しないとしています。
さらに、昭和46年の厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(通称46通知)にも注意が必要です。経験談などの引用・掲載で効能を暗示するものも、医薬品的な効能効果に当たるとしています。病気の改善をうかがわせる体験談は、注記の有無とは別に、薬機法上の問題になり得ます。
打消し表示のNG例と言い換えの方向
よくある打消しの使い方を、なぜNGかと言い換えの方向とあわせて整理しました。
| NG例 | なぜNGか | 言い換えの方向 |
|---|---|---|
| 「たった1か月で-10kg! ※個人の感想です」 | 体験談を見た人は大体の人に効果があると受け取り、注記ではその認識がほとんど変わらない(留意点 第4)。健康食品なら健康増進法などの問題にもなり得る | 訴求を実証データの範囲に下げ、被験者数と、効果が得られた人・得られなかった人の割合を示す |
| 「業界最安値」(ページ下部に小さく「※一部商品を除く」) | 例外が強調表示から離れ、文字も小さく気付けない(第2)。最安値の根拠がなければ有利誤認のおそれも残る | 強調表示の近くに同程度の大きさで対象範囲を示す。最安値と書くなら、比較した範囲と調査時点も示す |
| 体験談に「※効果・効能を表すものではありません」 | 効果を訴求する広告と矛盾しており、意味をなさないとされる(第4) | 体験談の使い方自体を見直す。化粧品等は使用感の説明にとどめる(適正広告基準の解説) |
| 「初回500円」だけを大きく示し、定期購入の条件と総額はページ下部 | 条件が分からず、契約期間の総額を誤認するおそれ(第3 別条件型) | 継続回数の条件、2回目以降の価格、総額を初回価格のすぐそばに示し、最終確認画面にも表示する |
| 動画の体験談シーンで「※効果には個人差があります」を小さな文字で一瞬だけ表示 | 表示時間が短く読み終えられない。体験談などの印象も打ち消せない(第2・第4) | 重要な条件は文字と音声の両方で示し、読める時間を取る。効果の訴求は根拠の範囲にとどめる |
| スマホLPで、条件を「詳しくはこちら」の開閉欄の中だけに表示 | 抽象的なラベルだと、タップする必要に気付かず見落とす(第2の2⑸) | 条件の要点を強調表示の隣に示し、ラベルは中身が分かる言葉にする |
| 「○○成分でニオイ99%カット」+「※成分単体での試験結果であり、本品の効果ではありません」 | 強調表示と打消し表示が矛盾している(第3 試験条件型) | 商品自体の試験結果で示すか、成分の説明だと分かる表現に改める |
言い換えても、必ず適法になるわけではありません。商品区分や根拠資料、表示全体の印象で個別に判断されます。
「最安値」のように他社との比較を含む表示では、消費者庁の「比較広告に関する景品表示法上の考え方」も参考になります。調査結果を引用して比較する場合は、調査機関・調査時点・調査場所などを示すことが適当としています。
打消し表示の公開前チェックリスト
公開前は、次の4つの問いで、打消し表示が機能するかを確かめます。
4つとも当てはまらなくても、適否は表示全体で判断されます。細かな項目は、次のチェックリストで確認しましょう。
強調表示
- □ 打消しがなくても、強調表示だけで実際の内容・条件が伝わる表現になっている
- □ 強調表示と打消し表示が矛盾していない
- □ 効果・性能を強調する表示に、商品自体の根拠資料がある
表示方法
- □ 打消しは強調表示に隣接し、どの強調表示への注記か分かる
- □ 強調表示と比べて文字が著しく小さくない。背景と区別できる色になっている
- □ 動画は、読み終えられる表示時間があり、重要な条件は音声でも伝えている
- □ Webは、1スクロール以上離れた場所や、抽象的なラベルの開閉欄の中だけに条件を置いていない
- □ スマートフォンでは、申込ボタンと同じ画面で打消しに気付ける
表示内容
- □ 例外・条件・追加料金・試験条件が、専門用語なしで理解できる
- □ 定期購入は、継続回数の条件・総額・解約条件を初回価格と一体で示し、最終確認画面にも表示している
- □ 試験結果は、成分ではなく商品の効果として示せるか確認した
体験談・写真
- □ 体験談は実在し、依頼した声を一般の利用者の声のように見せていない
- □ 第三者に依頼したSNS・口コミの投稿は、広告であることが分かるようにしている
- □ 被験者の数と属性、効果が得られた人・得られなかった人の割合を示せる
- □ 併用した食事療法・運動療法や、効果が出る条件を明示している
- □ 化粧品・医薬品等で、使用感の説明を超える体験談や、承認・認証の範囲(化粧品は表示できる効能の範囲)を超える効能を想起させる使用前後の写真を使っていない
- □ 写真やイメージ図で、実物や実際の効果より著しく良く見せていない
2017年の実態調査報告書は、事業者に次の取組が望まれるとしています。表示チェックの体制とルールづくり、モニターなど一般消費者の視点の活用、研修、チェックリストの作成と見直しです。打消しが機能するかを事前に確かめていないと、表示を適正に管理する体制を整える義務(管理上の措置)に違反する場合もあり得るとしています。報告書の公表時は第26条、現行法では第22条の義務です。また、課徴金を命じない例外(第8条第1項ただし書)が認められない場合もあり得る、とも述べています。この例外は、違反を知らず、知らないことに相当の注意を怠った者でないと認められる場合などです。
LPや動画の注記まで目視で確認すると、見落としが出やすくなります。一次チェックにAIツールを使う方法もあります。アドミルは、広告のテキストや画像、LPを景品表示法・薬機法の観点からAIで審査し、NGになり得る表現と理由、代替案を示すツールです。使い方と注意点は「景表法AIチェックとは」で紹介しています。最終判断は、表示全体を踏まえて行いましょう。
よくある質問
Q. 打消し表示の文字は何ポイント以上なら問題ありませんか?
消費者庁の留意点は、文字サイズの数値の基準を示していません。媒体の特徴と、消費者が実際に目にする状況で判断されます。強調表示とのバランスや配置、背景との区別も含めて総合的に判断される点に注意してください。
Q. 「※」を付けて、ページの最後に注意事項をまとめれば足りますか?
足りない場合があります。留意点は、スマートフォンでは「※」が強調表示の近くにあっても、打消しが離れた別の画面にあると気付かれないことがあるとしています。その場合、打消しの内容は正しく認識されないと考えられています。紙面でも、隅にまとめた小さな注意書きには注意が向きにくいとされています。重要な条件は、強調表示に隣接して示すことが求められています。
Q. 体験談に「個人の感想です」と書く意味はありますか?
注記で広告の印象が変わることは、ほとんど期待できません。消費者庁は、注記に気付いても「大体の人」に効果があるという受け止め方はほとんど変わらないとしています。体験談の選び方と、被験者数や効果が得られた人の割合などの示し方を見直すことが大切です。
Q. 動画広告の打消しは何秒表示すればよいですか?
秒数の基準は示されていません。画面の文字数なども含めて、実際の視聴状況で読み終えられるかが判断されます。留意点は、重要な内容を示す方法の例として、文字と音声で同じ内容を示すことを挙げています。
Q. 「写真はイメージです」と書けば、実物と違う写真を使えますか?
消費者庁の打消し表示の資料に、この注記についての個別の見解は見当たりません。写真も表示全体の一部として見られるため、実物より著しく優良と誤認させる写真は、景品表示法上の問題になり得ます。化粧品・医薬品等では、使用前後の写真にも別の制限があります。
Q. 打消し表示の考え方は、いつの資料に基づいていますか?
主な資料は、2017年7月14日の「打消し表示に関する実態調査報告書」と、2018年の2つの報告書です。それらをまとめたのが、2018年6月7日の留意点です。2026年10月22日時点でも、消費者庁の実態調査報告書の一覧に掲載されています。
まとめ
- 打消し表示は、強調表示だけでは分からない例外や条件を示す注記。強調表示が実際を反映していることが原則
- 文字の大きさ、強調表示とのバランス、配置、背景、動画の表示時間と音声、スマートフォンでの距離や開閉欄で、気付けるかが判断される
- 内容は、例外型・別条件型・追加料金型・試験条件型の4つの型で、読んで理解できるかが問われる
- 「個人の感想です」などの注記では、体験談の印象はほとんど変わらない。被験者数と効果が得られた人の割合などを示す
- 化粧品・医薬品等や健康食品は、薬機法・健康増進法の観点からも確認する
適否は、商品区分や根拠資料、表示全体の印象で個別に判断されます。迷う表現は、消費者庁や都道府県の景品表示法の担当窓口への相談も検討してください。
参考資料
- 消費者庁「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点(実態調査報告書のまとめ)」(2018年6月7日) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180607_0004.pdf
- 消費者庁「打消し表示に関する実態調査報告書」(2017年7月14日公表、一部訂正版) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180921_0001.pdf
- 消費者庁「実態調査」(実態調査報告書の一覧。スマートフォン・視線の報告書を含む) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/survey
- e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」 https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145
- e-Gov法令検索「健康増進法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000103
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」 https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057
- 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(2022年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/assets/representation_cms213_241001_01.pdf
- 消費者庁「株式会社DINOS CORPORATIONに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について」(2021年6月18日) https://www.caa.go.jp/notice/assets/representarion_cms212_210618_01.pdf
- 消費者庁「比較広告に関する景品表示法上の考え方」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_37.pdf
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(2017年9月29日 薬生監麻発0929第5号) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf
- 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/
- 厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日 薬発第476号。厚生労働省 法令等データベース) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6938&dataType=1&pageNo=1
本記事は2026年10月22日時点の公的資料に基づきます。個別の表示の適否は、商品区分・承認内容・表示全体の印象で判断が分かれるため、必要に応じて専門家や所管の窓口に確認してください。
広告の打消し表示や体験談の見せ方を公開前にチェックしたい方は、AIで景品表示法・薬機法の観点から広告を審査するアドミルをご覧ください。→ アドミル(広告審査AI)

