最終更新日:2026年10月29日
二重価格表示とは、販売価格に「当店通常価格」などの高い価格(比較対照価格)を並べて、安さを示す表示です。過去の自社の販売価格と比べるなら、セール前8週間のうち販売していた期間の過半を、その価格で売っていたことが目安です。ただし、その価格での販売が通算2週間未満のときや、最後に販売してから2週間以上たつときは、この目安に当たりません。
根拠は、消費者庁の「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(以下、価格表示ガイドライン)です。本記事では、8週間ルールの数え方、将来価格・メーカー希望小売価格の扱い、違反事例とNG例を一次情報をもとに整理します。
二重価格表示の早見表(比べる価格の種類別)
| 比較対照価格 | 使える条件の目安 | 問題になりやすい例 |
|---|---|---|
| 過去の販売価格(当店通常価格など) | セール開始前の8週間(販売期間が8週間未満ならその期間)に、その商品を販売していた期間の過半をその価格で販売。かつ通算2週間以上で、最後の販売から2週間未満 | セール直前に短期間だけ付けた価格、販売実績のない価格 |
| 将来の販売価格(「○月○日以降は○円」など) | セール後にその価格で販売する確実な計画を、セール期間を通じて持つ。セール後直ちにその価格で販売を始めて2週間以上続ければ、「ごく短期間」の販売とは考えないとされる(根拠を形式的に整えるための販売は除く) | セール後に販売する計画のない「通常価格」(2025年9月に行政処分の事例あり) |
| メーカー希望小売価格 | 製造業者等が設定し、カタログなどであらかじめ公表している価格 | 設定されていない・撤廃された希望小売価格、自社のプライベートブランド商品の価格 |
| 競争事業者の価格・市価 | 同じ商品を代わりに買える事業者の、最近時の価格を正確に調査。特定の他社なら名称を明示 | 調べていない「市価」、商圏外の店舗の価格 |
| タイムサービス(時間限定の値下げ)前の価格 | 当初の表示価格と比べるもので、通常は不当表示のおそれはないとされる | — |
表の条件は、価格表示ガイドラインと、将来価格についての消費者庁の執行方針(2020年)が示す一般的な目安です。最終的には販売の実態や表示全体を見て、個々の事案ごとに判断されます。
二重価格表示とは?景表法の有利誤認との関係
価格表示ガイドラインによると、二重価格表示は、自社の販売価格にそれより高い価格を並べて示す表示です(第4の1)。比較対照価格(以下、比較価格)には、過去の販売価格、将来の販売価格、メーカー希望小売価格、他店の価格などが使われます。
内容が適正なら、消費者の商品選択や価格競争に役立つ面もあるとされています。問題になるのは、比較価格の中身が実際と違う場合や、あいまいな場合です。消費者庁の解説ページ「二重価格表示」も、同じポイントを示しています。
根拠となる法律は、景品表示法第5条第2号です(e-Gov法令検索)。価格などの取引条件を、実際より著しく有利だと消費者に誤認させる表示を禁じています。これを「有利誤認表示」と呼びます。有利誤認の全体像は「有利誤認とは」、景品表示法の仕組みは「景品表示法とは」で解説しています。
価格表示ガイドラインで、まず押さえたい点は3つです。
- 店頭・チラシ・テレビ・インターネットなど、媒体を問わず対象になる(第1の2(2))
- 小売業者に限らず、製造業者・通信販売業者・サービス業者の価格表示も対象になる(第1の2(1))
- 表示内容全体で判断され、事業者の故意・過失の有無は問われない(第2の1(3))
違反すると、措置命令(表示の取りやめや再発防止を命じる行政処分)の対象になります。有利誤認は課徴金の対象でもあります。課徴金は国に納めさせる金銭で、原則として対象商品の売上額の3%です(第8条。算定した課徴金の額が150万円未満のときは命じられません)。
刑事罰もあります。第48条の直罰(措置命令を経ずに科される罰則)は100万円以下の罰金です。措置命令に違反すると、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で、法人は3億円以下の罰金です(第46条・第49条)。
「通常価格」を表示できる条件(8週間ルール)
過去の販売価格と比べる表示で、比較価格が何の価格か具体的に書かれていない場合を考えます。ガイドラインによると、消費者は通常、同じ商品がその価格でセール前の相当期間売られていたと受け止めます(第4の2(1)ア(ア))。
そのため、同じ商品の「最近相当期間にわたって販売されていた価格」と比べるなら、不当表示のおそれはないと考えられています。逆に、そうとはいえない価格を「当店通常価格」などとして使うと、不当表示のおそれがあります。
この「最近相当期間」の目安が、いわゆる8週間ルールです(第4の2(1)ア(ウ))。ガイドラインは、販売の時期・期間、価格変動の状況、販売形態などを考えて個々の事案ごとに検討するとしています。そのうえで、一般的な目安を次のように示しています。
- 見る期間:セール開始時点からさかのぼる8週間。販売期間が8週間未満なら、その期間
- 過半:その価格で販売していた期間が、見る期間のうちその商品を販売していた期間の過半(半分を超える)を占める
- 除外1:その価格での販売期間が通算2週間未満なら、目安に当たらない
- 除外2:その価格で最後に販売した日から2週間以上たっていれば、目安に当たらない
あわせて、ガイドラインは次の考え方も示しています(第4の2(1)ア(イ))。
- 相当期間は連続している必要はない。断続的にセールをする場合は、比較価格で販売していた期間を全体として評価する
- 「販売されていた」とは通常の販売活動で販売していたことで、実際に売れた実績までは必要ない
- 通常と違う売り場に置くなど販売形態が通常と異なる場合や、実績作りのための一時的な販売は「販売されていた」とみられない
8週間・過半・2週間の数え方(計算例)
目安に当てはまるには、過半・通算2週間以上・最後の販売から2週間未満の3つをすべて満たす必要があります。過半を満たしていても、比較価格での販売をやめてから時間がたつと外れます。次の図はその例です。
この例では、10,000円での販売期間は過半ですが、最後の販売から約3週間たっています。値下げ後の価格で売る期間が続くと、元の価格は「最近」の価格とはいえなくなります。
ほかのケースも同じ手順で数えます。比較価格はいずれも10,000円で、期間中はその商品をずっと販売していたものとします。
| ケース | 10,000円での販売 | 過半 | 通算2週以上 | 最終販売から2週未満 | 目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 8週のうち6週(直前2週を含む)。残りは9,000円 | ○(6/8週) | ○ | ○ | 当てはまる |
| B | 8週のうち最初の2週だけ。残りは9,000円 | ×(2/8週) | ○ | × | 当てはまらない |
| C | 発売21日の新商品。最初の13日だけ。残りは8,000円 | ○(13/21日) | ×(13日) | ○ | 当てはまらない |
| D | 2週ずつ3回(計6週)。間に1週ずつ特売。最後の2週はセール直前 | ○(6/8週) | ○ | ○ | 当てはまる |
Bは、ガイドラインのセーターの事例(8週間のうち当初2週間だけ12,000円で、その後6週間は低い価格)と同じ型です。Cのように発売間もない商品は、通算2週間の条件で外れやすくなります。Dのように断続的でも、合計して評価します。
「当てはまる」は目安を満たすという意味で、それだけで問題がないと決まるわけではありません。
セールを決めた後に販売を始めた商品は、販売期間を書いても不当表示のおそれ
セールの実施を決めた後に販売を始めた商品は、扱いが別です。販売開始の時点でセール価格が決まっており、セール前の価格は実績作りとみられるためです。
この場合、セール前価格での販売期間を正確に書いても、不当表示のおそれがあるとされています(第4の2(1)ア(ア))。割引率の表示でも、セール決定後に販売を始めた商品を「店頭価格から3割引」の対象に含める例が挙げられています(第5の2イ)。
条件を満たさない価格は、販売した時期と期間を正確に書く
最近相当期間の価格といえない場合も、比較に使う余地はあります。いつの時点で、どの程度の期間販売した価格かを正確に書く方法です(第4の2(1)ア(ア))。「○月○日〜○日の販売価格」のような書き方です。ただし、前の項のセール決定後に販売を始めた商品は除きます。
期間を書かずに使う例や、実際と違う期間を書く例は、不当表示のおそれがある表示とされています(第4の2(2)ア(エ))。
- 「72,000円の品」と書いたが、72,000円で販売したのは2日間だけだった
- 「○月1日〜20日までの販売価格48,000円の品」と書いたが、その価格での販売は2日間だけだった
- ネットショップで「定価380,000円」と書いたが、販売開始時の直営店の価格で、その価格での販売は4年前に終わっていた
ここまでの判断を順番に並べると、次のとおりです。
最後まで「いいえ」でも、目安に当てはまるという意味にとどまります。比較価格での販売が実績作りでないか、表示全体で安さを誇張していないかもあわせて確認しましょう。
「○%OFF」「○円引き」も同じ考え方で判断される
「30%OFF」「1,000円引き」のような割引率・割引額の表示も、基本は二重価格表示と同じ考え方です(第5の1(1))。計算の基になる価格が実態と違えば、不当表示のおそれがあります。
ガイドラインの例には、セール直前に表示価格を引き上げてから「表示価格から3割引」とするものがあります(第5の2イ)。一部の商品だけが対象なのに「家具5割引セール」と強調する例もあります(第5の2ア)。
「他店より安くします」と強調し、限定条件を著しく小さな文字で書く表示も、不当表示のおそれがあります(第6の1)。なお、値引きやポイント還元が景品規制の対象になるかは「景品表示法のプレゼント上限」で整理しています。
タイムサービスで当初の価格と比べる場合
タイムサービスは、一定の営業時間に限った値下げや、生鮮食品などの売れ残りを避けるために一定の時間後に行う値下げです。当初の表示価格と比べる二重価格表示は、通常は不当表示のおそれはないとされています(第4の2(1)ウ)。
将来の販売価格を比較する二重価格表示(2020年の執行方針)
「○月○日以降は6,000円」のように、セール後の価格と比べる表示もあります。ガイドラインでは、将来の価格で販売することが確かな場合以外は、このような表示は適切でないとされています(第4の2(1)イ)。
消費者庁は2020年12月25日に「将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針」を公表し、ガイドラインを補っています。要点は次のとおりです。
- 確実な販売計画:セール後にその価格で販売するための「合理的かつ確実に実施される販売計画」を、セール期間を通じて持っている必要がある(第2の1)
- 売らなかった場合:やむを得ない特段の事情がないのに将来価格で販売しなければ、原則として表示を始めた時点から有利誤認表示として扱う(第2の2(1))
- 販売期間の目安:セール後直ちにその価格で販売を始め、2週間以上続けた場合は「ごく短期間」とは考えない。ただし、根拠を形式的に整えるための販売とみられる場合は除く(第2の2(3))
- 期限の明示:「セール終了後は500円」のように期間や期限を示さない表示は、販売計画がなかったことが強く疑われる。具体的な期間・期限を示すことが望ましい(注3)
- 需要が集中する商品:クリスマスケーキ・恵方巻・年越しそばなどを、その時期の価格と比べて予約販売する場合がある。その時期が2週間未満でも、通常は有利誤認として扱わない(注6)
販売できなかった理由も問われます。地震・台風などの天変地異や感染症の流行で、店舗が壊れたり仕入れができなくなったりした場合が、特段の事情の例です。この場合も、販売計画と特段の事情を示す資料を出せることが前提です。あわせて、事情が起きた後すぐに表示をやめ、顧客に知らせていることなども求められます(第2の2(2))。
一方、顧客の要望や売上不振によるセール延長、他社の値下げへの対抗は、特段の事情とは認められない例に挙げられています。需要が増えて売り切れたのに追加の仕入れをしなかった場合も同じです(第2の2(2)イ)。
2025年9月12日には、おせち料理の「ジャパネット通常価格」を将来価格とする表示に措置命令が出ています(後述)。セール後の販売を見込みにくい季節商品では、将来価格を使うかどうかを慎重に判断する必要があります。
メーカー希望小売価格・他店価格・会員価格と比べる場合
メーカー希望小売価格
消費者は通常、希望小売価格を、製造業者等が小売価格の参考として設定し、あらかじめ公表している価格と受け止めます。公表の方法は、新聞広告・カタログ・商品本体への印字などです(第4の3(1)ア)。そうとはいえない価格を希望小売価格と称すると、不当表示のおそれがあります。ガイドラインが挙げる主な例は次のとおりです(第4の3(2))。
- メーカーが設定した希望小売価格より高い価格を、希望小売価格として使う
- 希望小売価格が設定されていない(撤廃された場合を含む)商品に、任意の価格を希望小売価格として使う
- 自社のプライベートブランド商品やメーカー直販だけの商品で、自ら設定した価格を希望小売価格として使う
- メーカーが一部の小売業者にだけ示した価格を、希望小売価格として使う
製造業者等が小売業者向けのカタログなどで広く示す「参考小売価格」は、比較に使うこと自体は可能とされています。ただし、希望小売価格以外の名称を使うなど、誤認されない表示が必要です(第4の3(1)イ)。
競争事業者の価格・市価
「市価」や他店の価格と比べる表示もあります。消費者は通常、同じ商品を代わりに買える事業者の、最近時の価格との比較と受け止めます(第4の4(1))。そのため、他店の最近時の価格を正確に調べ、特定の他社と比べるならその名称を明示する必要があります。
消費者が買う機会のない商圏(買い物に行ける範囲)外の店舗の価格と比べるのも、不当表示のおそれがある例です(第4の4(2)ウ)。価格表示以外の関連ガイドラインは「景表法ガイドラインとは」で一覧にしています。
会員価格・非会員価格
会員価格と非会員価格を並べる場合も注意が必要です。誰でも簡単に会員になれて、非会員価格で買う人がほとんどいないなら、不当表示のおそれがあります(第4の5(2)ア)。繁忙期だけの料金を「標準料金」として比べる表示も同様です(第4の5(2)イ)。
二重価格表示の違反事例(消費者庁の公表資料)
2025年度(令和7年度)に消費者庁が行った景品表示法の措置命令は13件で、うち有利誤認は8件でした。このほか、都道府県知事による措置命令が3件あります。出典は、2026年5月28日に公表された「令和7年度における景品表示法等の運用状況」です。事業者からの事前相談の内容にも、二重価格表示に関するものが挙げられています。
2025年度の措置命令のうち、比較価格が問題になった主な事案は次のとおりです。
| 命令日 | 事業者・対象 | 表示(例) | 問題とされた点 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月12日 | ジャパネットたかた(おせち料理、自社通販サイト) | 「ジャパネット通常価格29,980円が」「1万円値引き 7/22~11/23」「値引き後価格19,980円(税込)」 | セール期間後の将来価格と受け取られるが、その価格で販売する合理的かつ確実に実施される販売計画がなかった(公表資料) |
| 2025年10月10日 | LH(イベントで提供するカキ料理、ウェブサイトのチラシ) | 「通常価格1,320円(税込)→880円(税込)」 | 遅くとも2024年9月13日以降は880円または660円で提供しており、通常価格で提供した実績がなかった(公表資料) |
| 2025年10月17日 | NOVAランゲージカンパニー(英会話教室の入会金、自社サイト) | 「入会金 一般 20,000円(税込22,000円)▶0円」 | 最近相当期間にわたって支払わせた実績のない入会金だった(公表資料) |
| 2025年11月28日 | ツルハグループマーチャンダイジング(日用品等79商品、自社ECサイト) | 「特別価格:498円(税込) 通常価格:612円(税込)」(遅くとも2025年2月26日〜6月7日) | 「通常価格」は、自社サイトで最近相当期間にわたって販売された実績のない価格だった(公表資料) |
商品だけでなく、料理の提供や入会金のような役務(サービス)の価格も対象になっています。ジャパネットたかたとツルハグループマーチャンダイジングの事案は「景品表示法の違反事例12選」で詳しく解説しています。
「期間限定」「セール期間」の表示で気をつけること
「期間限定」「今だけ」は、期限内に申し込んだ人だけが有利になると受け止められる表示です。期限後も同じ条件で売っていれば、有利誤認のおそれがあります。
2025年9月22日には、外壁塗装の創建に措置命令が出ました(消費者庁の公表資料)。自社サイトに「好評につき期間延長!4/1~4/30まで…窓リフォーム代追加費用実質0円!」などと表示した事案です。実際には、期限後に申し込んでも、同じかそれ以上の箇所数の内窓が無料で設置されていました。
言い換えの方向性は、期限後に条件を戻すと決めている場合に限って、期限を書くことです。期限後も同じ条件で続ける可能性があるなら、「期間限定」「今だけ」は使わず、条件だけを示します。
二重価格表示と組み合わせるときは、次の点も確認します。
- 将来価格と比べるなら、セールの期間・期限を具体的に書く(執行方針の注3)
- 将来価格と比べたセールを顧客の要望や売上不振で延長しても、通常、特段の事情とは認められない(執行方針 第2の2(2)イ)
- 過去価格と比べるセールを断続的に繰り返すと、比較価格での販売期間が、8週間のうちその商品を販売していた期間の過半を下回ることがある
- 8週間はセール開始時点からさかのぼって数えるため、セールのたびに数え直す
期間限定表示のほかの注意点は「有利誤認とは」の代表的な違反パターンでも整理しています。
二重価格表示のNG例と言い換え
まず、価格表示ガイドラインの事例をもとに、典型的なNG例と言い換えの方向性を示します。
ガイドラインの事例は単純化されています。実際には、商品ページ・バナー・カート画面など、比較価格が出る場所をすべて確認しましょう。
次に、措置命令の事案とガイドラインの事例から、実務で起きやすい型を整理します。
| NG例 | なぜNGか | 言い換えの方向性 |
|---|---|---|
| 「特別価格:498円(税込) 通常価格:612円(税込)」(ECで、最近相当期間に通常価格で販売した実績がない) | 最近相当期間に販売した実績のない価格を「通常価格」としている | 比較価格は、自社での販売実績を確かめた商品だけに使う。確かめられなければ販売価格だけを示す |
| 「ジャパネット通常価格29,980円が」「1万円値引き」「値引き後価格19,980円」(セール後の販売計画がない) | 「通常価格」がセール後の将来価格と受け取られるのに、その価格で売る確実な計画がない | セール後の販売が確実でない商品は、比較価格を付けない。使うならセール期間を示し、販売計画の資料を確かめておく |
| 「メーカー希望小売価格29,000円の品 割引価格23,800円」(メーカーは希望小売価格を設定していない) | 設定されていない価格を、希望小売価格と称している | メーカーのカタログなどで公表を確かめた価格だけを使う。オープン価格(メーカーが希望小売価格を設けない方式)の商品では、希望小売価格を使わない |
| 「春物スーツ 表示価格から3割引」(セール直前に表示価格を引き上げた) | 割引の基になる価格を、いったん引き上げてから割り引いている | 引き上げる前から続けて販売していた価格を基準にする |
どの言い換えも、比較に使う価格の根拠を、表示する前に確かめておくことが前提です。言い換えた表現でも、適否は販売の実態と表示全体で判断されます。
二重価格表示の公開前チェックリスト
過去の販売価格と比べる場合
- □ 比較価格は、同じ商品(新品・同じ規格)の自社の販売価格である
- □ セール開始前の8週間(販売期間が8週間未満ならその期間)に、その商品を販売していた期間の過半をその価格で販売していた
- □ その価格での販売は通算2週間以上で、最後の販売から2週間たっていない
- □ セールの実施を決めた後に販売を始めた商品ではない
- □ 目安を満たさない価格は、販売した時期と期間を正確に書いている
- □ 割引率の基になる価格を、セール直前に引き上げていない
将来の販売価格と比べる場合
- □ セール後にその価格で販売する、合理的かつ確実に実施される販売計画がある
- □ セールの期間・期限を具体的に書いている
- □ セール後は直ちにその価格で販売を始め、ごく短期間で終える予定がない
希望小売価格・他店価格と比べる場合
- □ 希望小売価格は、メーカー等が設定し、あらかじめ公表している(撤廃されていない)
- □ 他店価格・市価は最近時の価格を調べてあり、特定の他社なら名称を書いている
運用
- □ ECの商品マスタなどに残った古い「通常価格」を、セールのたびに確認している
- □ 「期間限定」「今だけ」と書いたキャンペーンを、期限後に同じ条件で続けていない
- □ いつ・いくらで販売したかの履歴を、後から示せる形で残している
比較価格の根拠(販売実績や販売計画)は、販売データで確かめるのが基本です。そのうえで、バナーやLPに「通常価格」「定価」「今だけ」などの表現が残っていないかは、AIで一次チェックする方法もあります。
アドミルは、広告のテキストや画像、LPを景品表示法・薬機法の観点からAIで審査するツールです。NGになり得る表現と理由、代替案を示します。景表法での使い方は「景表法AIチェックとは」で紹介しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 8週間ルールを守っていれば、違反にはなりませんか?
そうとは言い切れません。8週間ルールは、ガイドラインが示す一般的な目安です。実績作りのための一時的な販売や、通常と違う売り場での販売は「販売されていた」とみられません。最終的には個々の事案ごとに判断されます。
Q. 発売したばかりの商品に「通常価格」を付けてセールできますか?
販売期間が8週間未満なら、その期間で過半かどうかを見ます。ただし、その価格での販売が通算2週間未満なら、目安に当たりません。セールの実施を決めた後に販売を始めた商品は、期間を書いても不当表示のおそれがあります。
Q. 「定価」と書いてもよいですか?
名称にかかわらず、比較価格の実態で判断されます。ガイドラインには、ネットショップで「定価」と表示した例があります。実際は4年前に販売を終えた直営店の価格で、不当表示のおそれがあるとされています。メーカーの希望小売価格の意味で使うなら、設定・公表されているかを確かめましょう。
Q. メーカーが「オープン価格」にしている商品は、希望小売価格と比べられますか?
希望小売価格が設定されていない商品に、任意の価格を希望小売価格として使うのは、不当表示のおそれがある例です。比べるなら、目安を満たす自社の過去の販売価格など、根拠のある別の価格を使います。
Q. ECモールの商品ページの価格表示も対象ですか?
価格表示ガイドラインは、インターネット広告を含め、媒体を問わず適用されます(第1の2(2))。比較に出す価格が、過去の自社価格・希望小売価格・他店価格のどれに当たるかで、本記事の基準を当てはめます。各モールの表示欄の仕様や規約も、あわせて確認してください。
Q. 二重価格表示で違反するとどうなりますか?
措置命令の対象になり、消費者庁は事業者名と違反の内容を公表しています。有利誤認は課徴金(原則として売上額の3%)や、第48条の直罰(100万円以下の罰金)の対象にもなります。措置命令に違反すれば、2年以下の拘禁刑などの罰則があります。
まとめ
- 二重価格表示は、販売価格に高い比較価格を並べる表示。比較価格の中身が実際と違えば有利誤認のおそれがある
- 過去の販売価格は、セール開始前8週間に販売した期間の過半・通算2週間以上・最後の販売から2週間未満が目安
- セールの実施を決めた後に販売を始めた商品は、期間を書いても不当表示のおそれがある
- 将来価格は、合理的かつ確実に実施される販売計画が前提。セールの期間・期限も示す
- 希望小売価格はメーカー等が設定・公表した価格に限る。他店価格は最近時の価格を正確に調べる
いずれも目安であり、適否は販売の実態と表示全体で個別に判断されます。迷う表示は、消費者庁や公正取引委員会の地方事務所の事前相談も検討してください。
参考資料
- e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134
- 消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(平成12年6月30日公正取引委員会、平成28年4月1日改定 消費者庁) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_35.pdf
- 消費者庁「将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針」(令和2年12月25日) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/assets/representation_cms216_201225_01.pdf
- 消費者庁「二重価格表示」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/double_price
- 消費者庁「景品表示法関係ガイドライン等」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/
- 消費者庁「令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組」(2026年5月28日) https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_260528_01.pdf
- 消費者庁 措置命令の公表資料(ジャパネットたかた 2025年9月12日/創建 2025年9月22日/LH 2025年10月10日/NOVAランゲージカンパニー 2025年10月17日/ツルハグループマーチャンダイジング 2025年11月28日) https://www.caa.go.jp/notice/entry/043542/ / https://www.caa.go.jp/notice/entry/043641/ / https://www.caa.go.jp/notice/entry/043788/ / https://www.caa.go.jp/notice/entry/043914/ / https://www.caa.go.jp/notice/entry/044261/
本記事は2026年10月22日時点の公的資料に基づきます。個別の表示の適否は、販売の実態や表示全体の印象で判断が分かれるため、必要に応じて専門家や所管の窓口に確認してください。
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