ステマ規制はどこまでNG?PR表記・違反事例・チェックリスト

最終更新日:2026年6月26日

ステマ規制(すてまきせい)とは、広告であるにもかかわらず、一般消費者が広告であることを分からない表示を、景品表示法上の不当表示として規制するルールです。正式には、景品表示法第5条第3号に基づき指定された「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」に関する規制を指します。

SNS投稿、インフルエンサー施策、口コミ投稿、レビュー依頼、アフィリエイト広告、記事LP、自社サイトの「お客様の声」などでは、広告主が表示内容の決定に関与しているか、そして一般消費者が広告であると分かる表示になっているかが重要です。

この記事では、ステマ規制の基本、NGになりやすい表示、PR表記の考え方、違反事例、広告主が整備すべきチェック体制まで、広告実務で使える形に整理します。

読み方も確認

  • ステマ規制 読み方:すてまきせい
  • 景品表示法 読み方:けいひんひょうじほう
  • 措置命令 読み方:そちめいれい
  • 優良誤認 読み方:ゆうりょうごにん
  • 有利誤認 読み方:ゆうりごにん

ステマ規制の要点早見表

項目 実務上のポイント
施行日 2023年10月1日から、ステルスマーケティングは景品表示法上の不当表示として規制対象になりました。
規制対象 原則として、自己の商品・サービスの表示内容の決定に関与した事業者、つまり広告主です。
対象媒体 SNS、レビュー、口コミサイト、ECサイト、記事LP、動画、テレビ、新聞、雑誌など幅広い表示が対象になり得ます。
判断軸 「事業者の表示」に当たるか、かつ「広告であることが一般消費者に明瞭か」を確認します。
代表的な注意例 報酬や商品提供を伴う依頼投稿なのにPR表記がない、星5投稿を条件に特典を付ける、依頼投稿を「お客様の声」として掲載する、などです。
違反時の対応 措置命令や行政指導の対象になり得ます。ステマ告示単体は課徴金納付命令の対象外ですが、優良誤認・有利誤認が含まれる場合は別途注意が必要です。
参考資料(出典):
ステマ規制の施行日、対象媒体、広告主責任、措置命令に関する根拠として参照しています。
消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」
消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」

ステマ規制とは?広告であることを隠す表示への規制

ステマ規制とは、広告・宣伝であるにもかかわらず、一般消費者から見て広告であることが分かりにくい表示を規制するものです。

消費者は、企業による広告であれば一定の宣伝目的があると理解したうえで商品やサービスを比較します。しかし、広告であることが隠されていると、第三者の中立的な感想や自然な口コミだと受け取ってしまい、合理的な選択が妨げられるおそれがあります。

ステマ規制で最初に確認すべき2要件

確認要件 見るべきポイント 実務での注意点
事業者の表示か 広告主が表示内容の決定に関与しているか 投稿文の指定、評価の指定、報酬提供、商品提供、投稿条件、過去・将来の取引関係などを確認します。
広告であることが明瞭か 一般消費者が広告・宣伝・提供投稿だと分かるか PR表記の有無だけでなく、位置、文字サイズ、色、動画内での表示時間、ハッシュタグの埋もれ方まで確認します。

特に注意したいのは、広告主が投稿文を細かく指定していなくても、報酬や商品提供、投稿条件、継続的な取引関係などから、投稿者の自主的な意思による表示とはいえないと判断される場合があることです。

ステマ規制の対象者|インフルエンサーやアフィリエイターはどうなる?

ステマ規制の直接の規制対象は、原則として商品・サービスを供給する事業者、つまり広告主です。広告主から依頼を受けて投稿するインフルエンサーやアフィリエイターは、景品表示法上のステマ告示の直接の規制対象ではないとされています。

ただし、これは「インフルエンサーやアフィリエイターは何をしてもよい」という意味ではありません。広告主と共同して商品・サービスを供給しているような例外的な場合、契約上の責任、媒体規約上の対応、炎上リスク、他法令上の問題などは別途確認が必要です。

関係者 ステマ規制上の見方 実務対応
広告主 原則として規制対象です。 投稿依頼、商品提供、レビュー転載、アフィリエイト広告の管理体制を整備します。
広告代理店・制作会社 委託先であっても、広告主の表示管理に深く関与します。 PR表記ルール、確認フロー、禁止表現、修正依頼、証跡保存を広告主と合意します。
インフルエンサー 原則として直接の規制対象外ですが、広告主との関係性が表示判断に影響します。 依頼・提供・報酬がある場合は、PR・広告・提供などを分かりやすく表示します。
アフィリエイター 原則として直接の規制対象外ですが、広告主側の管理対象です。 記事冒頭や該当箇所付近に広告・プロモーションを含む旨を明瞭に表示します。

ステマ規制でNGになりやすい表示例

ステマ規制では、単に「PRの文字がないから違反」と機械的に判断されるわけではありません。表示全体、広告主の関与、投稿者との関係性、対価の有無、表示場所、文字サイズ、前後文脈などを踏まえて個別に判断されます。

ケース リスクが高い理由 安全寄りの対応例
報酬を支払って投稿を依頼したが、PR表記がない 広告主の依頼による表示なのに、第三者の自然な感想に見えるためです。 投稿本文の分かりやすい位置に「PR」「広告」「〇〇社から依頼を受けて投稿しています」と表示します。
商品提供を受けた投稿なのに、提供関係が分からない 無償提供の目的や取引関係によっては、事業者の表示と判断される可能性があります。 「〇〇社から商品の提供を受けて投稿しています」など、関係性を明示します。
星5レビューを条件に割引・特典を付ける 投稿内容を事業者が決定していると見られやすいためです。 レビュー投稿自体を促す場合でも、高評価や推奨コメントを条件にしない設計にします。
依頼投稿を「お客様の声」として転載する 依頼投稿であるにもかかわらず、自主的な顧客の感想に見えるおそれがあります。 「当社が依頼したインフルエンサーの投稿です」など、依頼関係が分かる形にします。

PR表記はどこに入れる?媒体別チェックポイント

PR表記は、表示内容全体から見て、一般消費者に広告であることが明瞭に伝わる必要があります。「PR」「広告」「宣伝」「プロモーション」などの用語に加え、「〇〇社から商品の提供を受けて投稿しています」といった説明文も、表示全体から明瞭であれば選択肢になります。

SNS投稿のチェックポイント

X風ポストにおけるPR表記のOK例とNG例

Instagram投稿とストーリーズにおけるPR表記のチェック例

  • 投稿本文の冒頭または視認しやすい位置に「PR」「広告」などを入れているか
  • ハッシュタグの末尾に埋もれていないか
  • リプライやコメント欄だけの表示になっていないか
  • 投稿後の編集・転載時にもPR表記が維持されているか

アフィリエイトサイト・記事LPのチェックポイント

アフィリエイト記事LPにおける広告表記のOK例と注意点

  • サイト冒頭に「広告」「プロモーションを含みます」などが分かりやすく表示されているか
  • 専門家コメント、ランキング、口コミ、比較表など、広告でないと誤認されやすい箇所の近くにも必要な表示があるか
  • 文字サイズ、色、背景とのコントラストが十分か
  • 広告主・ASP・制作会社・運用会社の確認フローが決まっているか

動画広告・ライブ配信のチェックポイント

動画広告とショート動画におけるPR表記のチェック例

  • 冒頭だけでなく、動画全体を通じて広告であることが分かる設計になっているか
  • 途中視聴者にも広告・提供関係が伝わるか
  • 概要欄だけの表示になっていないか
  • 画面上のテロップ、説明欄、口頭説明の組み合わせで明瞭性を確保しているか
参考資料(出典):
アフィリエイト広告、SNSリプライ、動画表示、自社サイト転載の判断基準の根拠として参照しています。
消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」

PR表記や口コミ転載の確認に時間がかかっていませんか?

SNS投稿、記事LP、アフィリエイト広告では、広告表記の位置や表示全体の文脈まで確認する必要があります。チェック項目が多く、担当者ごとの判断差が出やすい領域です。
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ステマ規制の違反事例|実務で押さえたい措置命令の傾向

ステマ規制の施行後、口コミ投稿やインフルエンサー投稿の転載などをめぐり、実際に措置命令が行われています。広告実務では、SNS投稿だけでなく、口コミ、レビュー、アンケート、ランキング、専門家コメント、アフィリエイト記事、自社サイトへの転載まで確認対象に含める必要があります。

公表日 事例 実務上の学び
2024年6月7日 医療法人社団祐真会への措置命令 口コミ投稿に特典や条件を付ける施策では、投稿内容への関与が問題になり得ます。
2024年8月9日 RIZAP株式会社への措置命令 インフルエンサー投稿や口コミ風表示を自社サイトで使う場合、広告であることの明瞭性が重要です。
2024年11月13日 大正製薬株式会社への措置命令 健康食品・サプリ領域では、口コミ転載と表示内容の適法性を同時に確認する必要があります。
2025年3月25日 ロート製薬株式会社への措置命令 アンケートやレビュー風の表示でも、広告主の関与や表示の見え方が問題になり得ます。
2026年3月27日 東京都による美白美容液アフィリエイト広告等の措置命令 ステマ規制だけでなく、優良誤認・有利誤認・医薬部外品広告の表示リスクが併発し得ます。

ステマ規制だけでは足りない|景表法・薬機法・健康増進法の併発リスク

ステマ規制への対応では、PR表記だけを確認して終わりにしないことが重要です。広告であることを明示していても、表示内容そのものが優良誤認、有利誤認、薬機法違反、健康増進法上の誇大表示に当たる可能性があります。

表示例 主なリスク 確認ポイント
No.1、最高峰、日本初 優良誤認、根拠不十分な最上級表示 比較対象、調査対象者、質問文、集計方法、調査時点を明記できるか確認します。
本日限定、今だけ、先着順 有利誤認 実際に限定条件があるか、常時実施ではないか確認します。
シミが消える、痩せる、治る 薬機法、健康増進法、優良誤認 商材区分、承認・届出内容、合理的根拠、表示全体を確認します。
Before/After画像 効果保証、優良誤認、薬機法上の効能効果リスク 加工、撮影条件、個人差表示、再現性の印象、注記の位置を確認します。

化粧品であれば一般化粧品の効能効果の範囲、医薬部外品であれば個別承認の範囲、健康食品・サプリであれば医薬品的効能効果を標ぼうしていないか、機能性表示食品であれば届出内容に即しているかを確認する必要があります。

ステマ規制対応チェックリスト

確認項目 チェック内容 OKの目安
依頼関係 投稿者に依頼・指示・商品提供・報酬提供があるか 関係性と依頼内容を記録し、必要な表示を設計している
表示内容への関与 投稿文、評価、ハッシュタグ、レビュー内容を指定していないか 具体的な好意的表現や高評価を条件にしていない
PR表記 広告・PR・提供関係が明瞭に分かるか 投稿本文や該当箇所付近に分かりやすく表示している
転載・二次利用 SNS投稿やアンケートを自社サイトに掲載していないか 依頼投稿であることや抽出条件が誤認なく伝わる
アフィリエイト管理 広告主がアフィリエイト記事の内容を把握しているか 表記ルール、禁止表現、修正依頼フローが整備されている
景表法・薬機法 No.1、効果効能、限定表示、体験談が過剰でないか 根拠資料、注記、商材区分、表示全体を確認している

社内・代理店・インフルエンサー向け運用ルールの作り方

ステマ規制は、単発の表現チェックだけでは対応が難しい領域です。投稿者、広告代理店、ASP、制作会社、社内担当者など複数の関係者が関わるため、ルール化と証跡管理が重要になります。

  • PR表記ルール:使用できる表記例、表示位置、文字サイズ、動画での表示方法を決めます。
  • 依頼文テンプレート:インフルエンサーや投稿者に対して、広告表記の必要性を明記します。
  • 禁止事項リスト:高評価指定、効能効果の断定、根拠不明なNo.1表示、薬機法リスク表現を禁止します。
  • 投稿前チェック:投稿本文、画像、ハッシュタグ、動画テロップ、リンク先LPを確認します。
  • 証跡保存:依頼内容、報酬条件、投稿確認、修正依頼、掲載後の表示状態を保存します。

よくある質問

Q1. ステマ規制では、PRと書けば必ず問題ないですか?

PR表記があることは重要ですが、それだけで常に十分とは限りません。表示位置、文字サイズ、色、前後文脈、媒体仕様、動画の視聴タイミングなどを含め、一般消費者が広告であることを明瞭に認識できるかを確認する必要があります。

Q2. インフルエンサーに商品を無償提供しただけでもステマになりますか?

商品提供だけで直ちにステマ規制違反と判断されるわけではありません。ただし、特定のインフルエンサーを選定して提供している場合、提供目的、やり取りの内容、過去・将来の取引関係などによっては、事業者の表示と判断される可能性があります。

Q3. レビュー投稿をお願いしてクーポンを配るのはNGですか?

レビュー投稿自体を促すだけで、投稿内容を指定していない場合は、通常、事業者の表示には当たらないと考えられる場合があります。一方で、星5評価や推奨コメントを条件にする場合は、表示内容を事業者が決定していると見られやすく、注意が必要です。

Q4. アフィリエイトサイトの冒頭に広告表記を入れれば十分ですか?

冒頭表示だけで足りるかは、表示内容全体から判断されます。ランキング、口コミ、専門家コメントなど、広告でないと誤認されやすい箇所がある場合は、その付近でも広告主との関係性を明示する対応が望ましい場合があります。

Q5. 過去の投稿にもPR表記が必要ですか?

ステマ告示の施行前に行われた投稿であっても、施行後も継続して表示されている場合、事業者の表示であることが明瞭でなければ行政処分の対象となる可能性があります。過去施策の棚卸しも実務上重要です。

Q6. ステマ規制に違反すると課徴金はかかりますか?

ステマ告示単体は課徴金納付命令の対象外とされています。ただし、同じ表示の中に優良誤認表示や有利誤認表示が含まれる場合は、課徴金納付命令の対象となる可能性があります。

Q7. 広告代理店や制作会社に任せていれば広告主は責任を負いませんか?

広告制作や運用を外部に委託している場合でも、原則として広告主側の表示管理責任は残ります。広告代理店、制作会社、ASP、インフルエンサーに任せきりにせず、表記ルール、禁止表現、確認フロー、修正依頼、証跡保存まで整備することが重要です。

Q8. 自社サイトにインフルエンサー投稿を転載する場合も対象になりますか?

対象になり得ます。依頼や対価提供に基づく投稿を、自社サイト上で第三者の自然な口コミやお客様の声のように見せる場合、広告主の関与が分からず、一般消費者が広告であることを判別しにくい表示と判断される可能性があります。

Q9. ステマ規制対応と薬機法チェックは別々に考えてよいですか?

確認観点は異なりますが、実務では同時に確認する必要があります。PR表記が適切でも、化粧品、医薬部外品、健康食品、サプリなどで効能効果を過度に示す表示がある場合、薬機法、健康増進法、景品表示法上の別リスクが生じる可能性があります。

まとめ|ステマ規制対応は「PR表記」と「表示内容」の両方を確認する

ステマ規制では、広告であることを隠した表示が問題になります。実務では、広告主が表示内容の決定に関与しているか、一般消費者が広告であることを明瞭に認識できるかを確認することが出発点です。

ただし、PR表記を入れるだけでは十分とは限りません。口コミ、レビュー、インフルエンサー投稿、アフィリエイト記事、記事LP、自社サイトへの転載では、表示全体の見え方、商材区分、効能効果、No.1表示、限定表示、体験談、Before/After画像まで含めた確認が必要です。

ステマ規制・景表法・薬機法のチェックを効率化したい方へ

広告表記の有無だけでなく、口コミ転載、No.1表示、体験談、効能効果、注記の見え方まで確認するには、多くの工数がかかります。制作スピードと法務確認を両立するには、チェック体制の整備が欠かせません。
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免責事項:

本記事は、公開時点で確認できる公的資料等をもとに、広告実務上の一般的な考え方を整理したものです。個別の広告表現の適否は、商材区分、根拠資料、表示全体、画像、注記、媒体仕様、前後文脈、実際の取引関係によって判断が変わります。具体的な案件では、必要に応じて弁護士等の専門家や関係機関に確認してください。

参照した公的機関・法令一覧: