薬機法の広告表現ガイド|SNS・インフルエンサー・アフィリエイトの確認点

最終更新日:2026年7月27日

薬機法(やっきほう)の広告規制は、商品パッケージやLPだけに適用されるものではありません。SNS投稿、動画、ライブ配信、インフルエンサーの投稿、アフィリエイト記事、バナー広告なども、表示内容や広告への関与状況によって規制対象になり得ます。

広告実務で特に判断が難しいのは、「どこからが広告に当たるのか」「薬機法第66条と第68条は何が違うのか」「個人のSNS投稿や口コミも対象になるのか」という点です。

この記事では、薬機法上の広告に当たる三要件、第66条・第67条・第68条の違い、商材別・媒体別の確認ポイント、公開前の広告審査手順を早見表とチェックリストで整理します。

なお、広告表現の適否は文言だけで決まるものではありません。商材区分、承認・届出内容、根拠資料、画像、注記、前後文脈、リンク先を含む表示全体によって個別に判断する必要があります。

読み方も確認

  • 薬機法 読み方:やっきほう
  • 景品表示法 読み方:けいひんひょうじほう
  • 効能効果 読み方:こうのうこうか
  • 標ぼう 読み方:ひょうぼう

この記事の要点

  • 薬機法上の広告は、原則として「誘引性」「特定性」「認知性」の三要件で判断します。
  • 第66条は、医薬品等の虚偽・誇大な広告や、医師等による保証と誤解される広告を規制します。
  • 第68条は、承認・認証前の医薬品、医療機器、再生医療等製品などの広告を規制します。
  • 第66条の対象は「何人も」であり、メーカーだけでなく、広告代理店、アフィリエイター、インフルエンサーなども対象になり得ます。
  • 「PR」と表示しても、薬機法上問題となり得る効能効果表現が許容されるわけではありません。
  • 文言だけでなく、画像、体験談、ハッシュタグ、音声、テロップ、注記、リンク先を含む表示全体の確認が必要です。

薬機法の広告規制はどこまで?まず押さえたい早見表

薬機法の広告規制は、テレビCMや新聞広告のような典型的な広告だけを対象としているわけではありません。ウェブサイト、電子メール、SNS、動画共有サービスなども、内容によって広告に該当します。

「SNSだから広告ではない」「個人の感想だから対象外」「会員限定ページなら一般向け広告ではない」とは一律に判断できません。投稿の目的、商品名の表示、閲覧可能な範囲、投稿者と事業者の関係、購入導線などを確認します。

確認項目 主な判断ポイント 実務上の確認資料
広告該当性 誘引性・特定性・認知性の三要件を満たすか 投稿目的、商品名、リンク、閲覧範囲、報酬・依頼関係
第66条 虚偽・誇大な効能効果、安全性等の広告になっていないか 承認・届出内容、根拠資料、クリエイティブ全体
第66条第2項 医師等が効能効果等を保証したと誤解される表示がないか 推薦コメント、肩書、白衣画像、監修表示
第68条 承認・認証前の商品や無承認医薬品に当たり得る商品の広告ではないか 承認番号、認証状況、商材区分、商品仕様
景品表示法等 No.1、体験談、価格、ランキング、PR表示などに問題がないか 調査設計、価格根拠、広告への関与、表示方法

広告規制の対象となるかどうかは、媒体名ではなく、実際の表示内容と販売促進への関与状況から判断します。同じSNS投稿でも、純粋な私的感想と、事業者から依頼や商品提供を受けて販売を促す投稿とでは、判断材料が異なります。

薬機法上の広告に当たる三要件

厚生労働省の通知では、医薬品等の広告に該当するかどうかについて、次の三要件が示されています。

  1. 顧客を誘引する意図が明確であること
  2. 特定の医薬品等の商品名が明らかにされていること
  3. 一般人が認知できる状態であること

原則として、三要件をすべて満たす場合に広告と判断されます。ただし、1ページの文言だけを切り離すのではなく、前後のページ、リンク、検索結果、画像、購入導線などが一体として評価される場合があります。

要件1:顧客を誘引する意図が明確である

誘引性とは、商品を購入・選択してもらう意図が認められるかという観点です。

「購入してください」と直接書いていなくても、商品の利点を強調し、販売ページへ誘導し、クーポンや申込ボタンを設けている場合は、誘引性が認められる可能性があります。

次の要素は、誘引性を判断する材料になります。

  • 購入ページや予約ページへのリンクがある
  • 価格、割引、クーポンコードが表示されている
  • 商品の効能効果や優位性を強調している
  • 事業者から投稿内容の指定や修正依頼を受けている
  • 成果報酬や紹介料が設定されている
  • 商品提供や金銭などの対価がある

ただし、対価の有無だけで広告該当性が決まるものではありません。無償提供であっても、投稿内容や販売促進への関与状況によって広告と判断される可能性があります。

要件2:特定の商品名が明らかである

商品名が本文に直接書かれている場合だけでなく、商品画像、パッケージ、ブランド名、リンク先、ハッシュタグなどから特定の商品が分かる場合も確認が必要です。

一般的な成分情報や疾患啓発だけで、特定の商品との結び付きが認められない場合は、この要件を満たさない可能性があります。ただし、直後に特定商品の購入ページへ誘導する構成などは、表示全体で判断されます。

要件3:一般人が認知できる状態である

不特定または多数の人が閲覧できるウェブページやSNS投稿は、通常、この要件との関係を確認する必要があります。

会員登録やログインを必要とするページでも、それだけで広告対象外になるとは限りません。多数の会員が閲覧でき、販売促進を目的とする表示であれば、認知性が認められる可能性があります。

検索結果やリンク先も広告になる可能性がある

検索語に機械的に対応した検索結果だけで、顧客を誘引する情報が付加されていない場合は、誘引性が認められないケースがあります。一方、検索結果に商品の推奨文、効能効果、バナー、購入誘導などが表示される場合は、広告に該当する可能性があります。

また、トップページに商品名がなくても、リンク先のページと一体として三要件を満たす場合は、サイト全体の構成から広告該当性を判断する必要があります。

媒体別に見た三要件の判断例

表示・媒体 主な確認ポイント 実務上の注意
商品LP・ECページ 商品名、効果訴求、価格、購入ボタンがあるか 一般に三要件を満たしやすい媒体です。
SNS投稿 依頼関係、商品画像、タグ、リンク、クーポン 個人アカウントでも広告になり得ます。
会員限定ページ 会員数、閲覧範囲、販売促進目的 ログイン制だけで広告から除外されるわけではありません。
検索結果ページ 検索への応答を超えた推奨、誘導、効果訴求があるか 検索結果とリンク先を含めて個別に確認します。
研究・啓発記事 特定商品との結び付き、購入導線、誘引性 関連記事やリンク先との一体性も確認します。
口コミ・比較サイト 運営者と販売者の関係、編集指示、成果報酬 サイトの形式ではなく運営実態から判断します。

薬機法第66条・第67条・第68条の違い

薬機法の広告規制を確認する際は、第66条と第68条を中心に、取り扱う製品によって第67条も確認します。

条文 規制の概要 実務上の主な確認点
第66条 医薬品等の名称、製造方法、効能、効果、性能、安全性に関する虚偽・誇大広告等を規制 承認範囲、保証表現、医師等の推薦、暗示表現
第67条 政令で定める特殊疾病に使用される医薬品等の一般向け広告を制限 対象疾病、対象製品、広告の相手方を個別確認
第68条 承認・認証前の医薬品、医療機器、再生医療等製品などの広告を規制 承認・認証状況、商材区分、無承認医薬品該当性

第66条:虚偽・誇大な広告を規制する

薬機法第66条第1項では、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品について、名称、製造方法、効能、効果、性能、安全性に関する虚偽・誇大な記事を広告、記述、流布することが規制されています。

条文の主語は「何人も」です。メーカーや販売事業者だけでなく、広告代理店、制作会社、メディア運営者、アフィリエイター、インフルエンサーなども、具体的な広告への関与状況によって対象となり得ます。

また、明示的な文言だけでなく、暗示的な表現も確認対象です。本文に「治る」と書いていなくても、病名、症状画像、医療従事者を想起させる人物、体験談、動画演出などの組み合わせによって、医薬品的な効果を印象づける場合があります。

第66条第2項:医師等による保証と誤解される表示

第66条第2項では、医師その他の者が効能、効果、性能を保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告、記述、流布することが規制されています。

実務では、次のような表示を慎重に確認します。

  • 「医師が効果を認めた」など、効果保証を印象づける文言
  • 白衣姿の人物と効能効果の訴求を組み合わせた画像
  • 医療機関や大学の名称を商品の推薦と受け取られる形で使用する表示
  • 専門家の肩書と断定的な効果表現を並べる構成
  • 「専門家監修」と商品の効果保証が混同される表示

「監修」「共同研究」「推奨」といった言葉だけで一律に判断するのではなく、何を監修したのか、誰がどの範囲で関与したのか、効能効果の保証を印象づけないかを表示全体から確認します。

第67条:特殊疾病用の医薬品等の広告制限

第67条は、政令で定める特殊疾病に使用される医薬品等で、医師または歯科医師の指導下で使用されなければ危害が生じるおそれが特に大きいものについて、一般向け広告を制限する規定です。

対象範囲は政令や個別の製品区分を確認する必要があります。医療用製品を扱う場合は、第66条・第68条と併せて確認してください。

第68条:承認・認証前の製品を広告しない

第68条では、承認または認証を受けていない医薬品、医療機器、再生医療等製品などについて、その名称、製造方法、効能、効果、性能に関する広告が規制されています。

「承認を受けていないことを明記すれば広告できる」「注意書きを付ければ紹介できる」とは限りません。免責文の有無だけで第68条の適用を避けられるものではなく、広告該当性と商材区分を含めた確認が必要です。

健康食品やサプリメントが一般食品である限り、直ちに薬機法上の医薬品等として一律に扱われるわけではありません。ただし、成分、形状、効能効果、用法用量などから医薬品に該当すると判断される場合は、無承認無許可医薬品に関する規制が問題になる可能性があります。

薬機法広告の対象者は誰?メーカー以外も注意が必要

第66条が「何人も」を対象としていることから、広告主だけを確認すれば足りるわけではありません。制作、掲載、配信、拡散に関与する事業者や個人も、それぞれの立場で表示内容を確認する必要があります。

関係者 想定される関与 実務上の確認事項
メーカー・販売事業者 商品設計、訴求方針、承認資料、広告出稿 商材区分、承認・届出内容、根拠資料、委託先管理
広告代理店・制作会社 コピー、画像、動画、LP、広告運用 制作指示、表現根拠、修正履歴、入稿物との差異
アフィリエイター 記事、ランキング、レビュー、比較、購入誘導 独自追記、体験談、No.1表示、成果報酬、リンク先
インフルエンサー SNS投稿、ライブ配信、動画、短時間投稿 口頭表現、字幕、ハッシュタグ、コメント返信、PR表示
媒体・メディア運営者 掲載審査、記事制作、広告枠提供 掲載基準、入稿審査、修正・停止体制

薬機法とステマ規制では対象者の考え方が異なる

薬機法第66条は「何人も」を対象とするため、インフルエンサーやアフィリエイター本人も、具体的な広告への関与状況によって規制対象になり得ます。

一方、景品表示法のステルスマーケティング規制で直接の規制対象となるのは、原則として商品・サービスを供給する事業者です。インフルエンサーの投稿であっても、事業者が表示内容の決定に関与したと認められる場合は、事業者の表示として判断されます。

そのため、広告主は「投稿者に任せたので確認不要」と考えず、依頼時の表現ルール、投稿前確認、修正方法、公開後のモニタリングまで設計する必要があります。

商材別|薬機法の広告表現はどこまで言える?

同じ文言でも、一般化粧品、医薬部外品、健康食品、機能性表示食品など、商材区分によって判断が変わります。広告制作を始める前に、商品がどの区分に該当するかを確認してください。

商材区分 広告表現の基本的な範囲 主な注意点
医薬品 承認された効能効果、用法用量等の範囲内 承認範囲を超える効果、保証、最大級表現を確認します。
医薬部外品 個別に承認された効能効果の範囲内 同じカテゴリーでも個別の承認内容が異なる場合があります。
一般化粧品 厚生労働省が示す56の効能効果の範囲を基本とする 治療、細胞変化、身体機能への作用を印象づけないか確認します。
医療機器 承認・認証・届出された使用目的、効果、性能の範囲内 一般的名称、クラス分類、承認・認証状況を確認します。
健康食品・サプリメント 食品としての情報提供を基本とし、医薬品的効能効果を標ぼうしない 病名、治療、予防、身体機能の変化を暗示する表示も確認します。
機能性表示食品 消費者庁への届出資料に基づく機能性表示 国が個別に審査・許可した商品と誤認させず、届出内容から逸脱しないことが前提です。

特に医薬部外品と一般化粧品は、見た目や販売場所が似ていても表現できる範囲が異なります。商品名やシリーズ名だけで判断せず、販売名、承認書、商品区分を確認してください。

化粧品の56の効能効果や表現例は、「化粧品広告の薬機法チェック|NG表現・言い換え・56効能まとめ」で詳しく解説しています。

薬機法の広告表現で確認したい7つのポイント

1. 承認・届出範囲を超える効能効果

承認・届出範囲を超える表現は、直接的な文言だけでなく、暗示的な表現も確認対象です。

一般化粧品で「肌を整える」と表現する場合と、「肌細胞を再生する」と表現する場合では、受け手に与える印象が大きく異なります。成分に関する研究結果があっても、その結果をそのまま最終商品の効能効果として広告できるとは限りません。

研究データを使用する場合は、対象が原料なのか最終商品なのか、試験条件と実際の使用条件が対応しているか、商材区分上の表現範囲に収まるかを確認します。

2. 「必ず」「完全」「根本から」などの保証表現

「必ず実感」「完全に治る」「根本から改善」「副作用の心配がない」など、効果や安全性を保証する印象のある表現は注意が必要です。

「期待できます」「サポートします」と言い換えれば常に使用できるわけでもありません。見出し、画像、体験談、前後の説明を含め、全体として強い効果を印象づけていないかを判断します。

3. 医師・専門家・大学などの推薦表示

医師、歯科医師、薬剤師、研究者などの肩書を使用した推薦表示は、第66条第2項や医薬品等適正広告基準との関係を確認する必要があります。

医師が実際にコメントしている場合でも、それだけで広告利用できるとは限りません。商品そのものの効果保証と受け取られないか、一般消費者に過度な信頼を与えないかを確認します。

4. 体験談・口コミによる効果の印象づけ

体験談や口コミは、個人の感想という形式でも、商品の効能効果を訴求する広告として使用される場合があります。

  • 症状や身体の変化を具体的に記載している
  • 短期間で効果が現れたと強調している
  • 複数の体験談を並べ、一般的な効果のように見せている
  • 小さな注記を付けながら、本文では強い効果を訴求している
  • 事業者が投稿内容を編集し、効果に関する部分を強調している

「個人の感想です」などの注記は、表示全体の印象を覆す万能なものではありません。強い訴求と矛盾する注記では、誤認を十分に防げない可能性があります。

5. Before/After画像

Before/After表現は、すべてが一律に禁止されているわけではありません。ただし、承認範囲を超える効果、効果の確実性、効果発現までの期間、安全性などを保証する印象にならないよう確認する必要があります。

撮影条件、照明、角度、メイク、画像加工、使用期間が異なる写真を並べると、実際以上の変化を印象づける可能性があります。また、「防ぐ」といった予防的な効能は、使用前後の比較写真では適切に表現しにくい場合があります。

6. No.1表示・高評価率・ランキング表示

「売上No.1」「満足度98%」「医師の90%が注目」などの表示は、薬機法だけでなく、景品表示法上の合理的な根拠も確認する必要があります。

消費者庁の調査報告書では、主観的評価によるNo.1表示について、比較商品の選定、調査対象者の選定、調査方法の公平性、表示内容と調査結果の対応が基本的な観点として示されています。

実務上は、これらを次の6項目に分解すると確認しやすくなります。

  • 比較対象:どの商品・サービスと比較したのか
  • 調査対象者:購入者、利用者、一般消費者、医師など、誰を対象にしたのか
  • 質問文:特定の商品を選ばせる誘導的な質問になっていないか
  • 集計方法:母数、除外条件、複数回答の扱いは適切か
  • 調査時点:いつの調査で、現在の表示と整合するか
  • 表示との対応:調査結果と広告の見出し・注記が一致しているか

調査会社のレポートが存在するだけで、表示の根拠として十分とは限りません。調査内容を保存し、広告で示す「No.1」や割合と調査結果が対応しているかを確認してください。

7. 画像・動画・ハッシュタグを含む表示全体

広告審査では、本文コピーだけでなく、画像、図表、商品名、動画テロップ、ナレーション、効果音、ハッシュタグ、コメント欄、CTA、リンク先まで確認します。

本文が「健康をサポート」と控えめでも、隣に病気や治療を想起させる画像や「薬に頼らない生活」といった見出しがあれば、医薬品的な効果を印象づける可能性があります。

コピー、デザイン、動画、広告運用の担当者が分かれている場合は、実際に公開される最終表示を横断的に確認する仕組みが必要です。

広告表現を公開前に整理したい方へ

薬機法広告では、コピーだけでなく画像、注記、体験談、リンク先まで横断した確認が必要です。アドミルは、入力内容をもとにリスク箇所と代替表現の方向性を提示し、チェック工数の削減を支援します。
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媒体別|薬機法広告のチェックポイント

薬機法の基本的な判断基準は共通していますが、媒体によって見落としやすい箇所が異なります。原稿だけでなく、実際に公開される画面や動画の状態で確認してください。

LP・EC商品ページ

LPやECページでは、ファーストビューのキャッチコピーだけでなく、商品説明、成分説明、体験談、FAQ、申込フォーム周辺、定期購入条件まで一連の表示として確認します。

  • ファーストビューが承認範囲を超える効果を印象づけていないか
  • 成分の研究結果を最終商品の効果として見せていないか
  • 体験談や画像が効果を保証する構成になっていないか
  • 注記が小さすぎる、離れすぎる、訴求と矛盾する状態になっていないか
  • 定期購入の回数、総額、解約条件が分かりやすいか

SNS広告・企業アカウント

SNSでは文字数や表示面積が限られるため、注記や条件が省略されやすくなります。投稿本文だけでなく、画像内テキスト、ハッシュタグ、プロフィール、固定投稿、リンク先を確認します。

  • 投稿単体で誤解を招く表現になっていないか
  • 画像内の文字も審査対象に含めているか
  • 「詳しくはリンク先へ」だけで重要な条件を省略していないか
  • 過去投稿との組み合わせで強い効果を印象づけていないか
  • 事業者の関与がある場合、広告であることが明瞭か

インフルエンサー投稿・ライブ配信・動画

インフルエンサー施策では、事前に提出された原稿だけを確認しても十分とは限りません。アドリブ、動画テロップ、ライブ配信中の発言、コメント返信によって表現が追加されることがあります。

  • 投稿ガイドラインに使用できる表現の範囲を示しているか
  • 禁止語だけでなく、避けるべき表現の考え方を共有しているか
  • 原稿、画像、動画を公開前に確認できる契約になっているか
  • ライブ配信中の発言や視聴者への回答ルールがあるか
  • 公開後に編集・削除を依頼できる体制があるか

「本人の実体験だから」「事業者が書いた文章ではないから」という理由だけで、薬機法上の確認が不要になるわけではありません。

アフィリエイト記事・記事LP

アフィリエイト広告では、広告主が提供した素材だけでなく、アフィリエイターが独自に追加したランキング、比較表、体験談、見出しも確認する必要があります。

  • 広告主の確認を受けていない表現が追加されていないか
  • 検索流入を狙った病名・症状キーワードが使われていないか
  • ランキングの基準と根拠が明確か
  • 他社商品を不当に低く見せていないか
  • 成果報酬関係が分かる広告表示になっているか
  • 商品改定後も古い表現や画像が残っていないか

バナー広告・動画広告・メール広告

表示面積や再生時間が限られる媒体では、強いキャッチコピーだけが目立ち、条件や注記が認識されにくくなることがあります。

  • 短い見出しだけで効能効果を断定していないか
  • 注記が視認できる大きさや時間で表示されるか
  • 動画の音声とテロップの組み合わせで誤解を招かないか
  • 遷移先LPとの表示に矛盾がないか
  • 配信後に差し替えられた素材を管理できているか
媒体 見落としやすい箇所 公開前に確認するもの
LP・EC 体験談、FAQ、申込フォーム、定期条件 ページ全体のキャプチャ、商品資料、価格資料
SNS 画像文字、タグ、プロフィール、リンク先 投稿プレビュー、画像、遷移先
動画・ライブ 口頭発言、字幕、コメント回答 台本、完成動画、配信ルール
アフィリエイト 独自追記、ランキング、古い記事 掲載URL、更新履歴、提携媒体一覧
バナー・メール 短い断定表現、認識しにくい注記 実寸素材、配信画面、リンク先

薬機法広告を公開するまでの9ステップ

広告審査を安定させるには、完成原稿を最後に確認するだけでなく、企画・制作の初期段階から商材区分と表現根拠を整理することが重要です。

ステップ1:商材区分を確定する

医薬品、医薬部外品、一般化粧品、医療機器、健康食品、機能性表示食品など、商品区分を確認します。販売名、承認番号、認証番号、届出番号も併せて整理します。

ステップ2:承認・届出内容と根拠資料を集める

承認書、届出資料、商品仕様書、試験資料、調査報告書など、表現の根拠になる資料を一元化します。原料データと最終商品データは区別してください。

ステップ3:広告の三要件を確認する

表示に誘引性、特定性、認知性があるかを確認します。記事、SNS、会員ページなど、広告かどうか判断が分かれやすい媒体では、事業者の関与とリンク構造も記録します。

ステップ4:訴求要素をすべて抽出する

本文だけでなく、見出し、画像、動画、音声、ハッシュタグ、商品名、体験談、注記、CTAを一覧にします。

ステップ5:第66条・第67条・第68条を確認する

承認範囲を超える表現、虚偽・誇大な表示、医師等による保証、承認・認証前の製品の広告に該当しないかを確認します。

ステップ6:景品表示法・健康増進法・ステマ規制も確認する

No.1表示、価格表示、体験談、比較広告、ランキング、広告であることの表示など、薬機法以外の論点を確認します。

ステップ7:修正理由と代替表現の方向性を共有する

単に「使用不可」と伝えるのではなく、どの表示が、なぜ問題になり得るのか、どの範囲まで調整するのかを制作担当者に共有します。

代替表現も文言だけで一律に使用できるものではありません。商材区分、承認内容、根拠資料、前後文脈を再確認してください。

ステップ8:最終版を承認し、確認履歴を保存する

公開する原稿、画像、動画と、法務確認を受けたバージョンが一致しているか確認します。確認日、担当者、根拠資料、修正履歴を保存します。

ステップ9:公開後もモニタリングする

SNSのコメント返信、アフィリエイト記事の追記、広告素材の差し替えなど、公開後に表示が変わる可能性があります。定期的な巡回と、修正・停止を依頼できる体制を整えます。

薬機法広告の公開前チェックリスト

確認 チェック項目
商材区分、販売名、承認・認証・届出状況を確認した
広告の三要件を確認した
効能効果が承認・届出範囲を超えていない
直接表現だけでなく、暗示的な表現も確認した
効果や安全性を保証する表現がない
医師、専門家、大学等の表示が効果保証を印象づけない
体験談が一般的な効果のように見えない
Before/Afterの撮影条件、表現範囲、保証性を確認した
No.1・満足度・推薦率等の調査根拠が表示と対応している
画像、動画、音声、タグ、注記、リンク先を含めて確認した
広告主と投稿者の関係が一般消費者に明瞭である
定期購入、価格、割引、解約条件を確認した
公開版と確認済み原稿が一致している
根拠資料、修正履歴、承認記録を保存した
公開後の監視、修正、停止フローを決めている

薬機法広告に問題がある場合の措置

薬機法に抵触する広告が確認された場合、事案に応じて行政による指導や措置命令の対象となる可能性があります。第66条第1項の虚偽・誇大広告については、要件を満たす場合に課徴金納付命令の対象となる制度も設けられています。

さらに、違反内容や関与状況によっては刑事罰が問題になる場合があります。ただし、すべての表示ミスに同じ措置が取られるわけではなく、具体的な条文、行為者、販売額、是正状況などを踏まえた個別判断になります。

措置命令、課徴金、刑事罰、違反事例については、「薬機法違反とは?広告のNG例・罰則・対策を実務解説」で詳しく解説しています。

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薬機法の広告規制に関するよくある質問

薬機法の広告規制はどこまで適用されますか?

商品LP、ECページ、SNS、動画、メール、インフルエンサー投稿、アフィリエイト記事など、媒体を問わず適用される可能性があります。広告該当性は、誘引性、特定性、認知性の三要件と、表示全体、事業者の関与状況を踏まえて判断します。

薬機法上の広告は三要件をすべて満たす必要がありますか?

厚生労働省の通知では、原則として誘引性、特定性、認知性の三要件をすべて満たす場合に広告と判断するとされています。ただし、個別ページだけでなく、リンク先や一連の表示を含めて判断される場合があります。

個人のSNS投稿も薬機法の対象になりますか?

個人の投稿でも、商品購入を促す意図、特定商品の表示、一般人が閲覧できる状態があり、広告と判断される場合は対象になり得ます。報酬や商品提供、クーポン、販売リンク、事業者の指示なども判断材料になります。

インフルエンサーも薬機法第66条の対象ですか?

第66条は「何人も」を対象としているため、インフルエンサーも具体的な投稿や広告への関与状況によって対象になり得ます。事業者が用意した原稿を読む場合だけでなく、本人が追加した体験談やライブ配信中の発言も確認が必要です。

アフィリエイターが独自に書いた表現も確認が必要ですか?

必要です。広告主が提供した素材だけでなく、アフィリエイターが追加した見出し、ランキング、比較表、体験談、画像なども薬機法や景品表示法との関係を確認する必要があります。

「PR」と表示すれば薬機法上の問題はなくなりますか?

「PR」「広告」などの表示は、広告であることを明瞭にするための重要な要素ですが、効能効果や安全性に関する表現自体の適否とは別の問題です。PR表示があっても、第66条や第68条に関する確認は必要です。

医師が実際に推薦していれば広告に使えますか?

実際の推薦であっても、一律に使用できるとは限りません。医師等が商品の効能効果を保証したと誤解される表示や、一般消費者に過度な信頼を与える表示にならないかを、肩書、画像、コメント、前後文脈から判断します。

Before/After画像はすべて禁止ですか?

すべてが一律に禁止されるわけではありません。ただし、承認範囲を超える効果、効果の確実性、短期間での効果発現などを保証する印象にならないか、撮影条件や画像加工に問題がないかを個別に確認する必要があります。

健康食品やサプリメントにも第68条が適用されますか?

一般食品であることだけで第68条が直ちに適用されるわけではありません。ただし、成分、形状、用法用量、効能効果などから医薬品に該当すると判断される場合は、無承認無許可医薬品に関する規制が問題になる可能性があります。景品表示法や健康増進法も併せて確認してください。

まとめ|薬機法広告は商材・表現・媒体・関与者を一体で確認する

薬機法広告の審査では、「この言葉だけなら使えるか」という文言単位の確認だけでは不十分です。

まず商材区分と承認・届出内容を明確にし、広告の三要件、第66条・第67条・第68条を確認します。そのうえで、画像、体験談、No.1表示、PR表示、リンク先などを含む表示全体を確認する必要があります。

特にSNS、インフルエンサー、アフィリエイト施策では、広告主が把握していない表現が公開後に追加されることがあります。依頼時のルール作成、公開前確認、履歴保存、公開後モニタリングまで含めた運用体制を整えることが重要です。

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免責事項

本記事は、最終更新日時点で確認できる法令、通知、ガイドライン等をもとに、一般的な広告実務上の考え方を整理したものです。個別の広告表現の適否を保証するものではありません。実際の判断は、商材区分、承認・届出内容、根拠資料、表示全体、画像、注記、前後文脈、販売方法、関係者の関与状況等によって異なります。判断が難しい場合は、所管行政機関、弁護士その他の専門家へご相談ください。

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