最終更新日:2026年8月25日
「通販サイトには何を表示しなければならない?」「特定商取引法に基づく表記へのリンクだけで足りる?」「LPやSNS広告にも会社名や住所をすべて書く必要がある?」と疑問を感じているEC・D2C担当者も多いのではないでしょうか。
通信販売(つうしんはんばい)の広告には、特定商取引法第11条に基づく表示義務があります。販売価格や送料だけでなく、支払時期・方法、商品の引渡時期、返品・解除条件、事業者情報など、取引内容に応じた事項を表示する必要があります。
さらに、定期購入、ソフトウェア販売、数量限定販売、電子メール広告、外国事業者による販売などでは、追加で確認すべき表示事項があります。
重要なのは、「特定商取引法に基づく表記」というページを1つ作れば、通販広告に関するすべての表示義務に対応できるとは限らないという点です。広告内での表示方法、別ページへのリンク、省略制度、返品特約、定期購入条件、注文直前の最終確認画面まで分けて確認する必要があります。
読み方も確認
- 通信販売 読み方:つうしんはんばい
- 特定商取引法 読み方:とくていしょうとりひきほう
- 役務 読み方:えきむ
- 申込みの撤回 読み方:もうしこみのてっかい
この記事では、通信販売広告の表示義務を一覧表で整理したうえで、「どこまでが広告なのか」「特商法表記へのリンクでよいのか」「何を省略できるのか」「定期購入では何を表示するのか」「最終確認画面と何が違うのか」まで実務目線で解説します。
通信販売の広告表示義務とは?特商法11条の基本
特定商取引法第11条では、販売業者または役務提供事業者が通信販売について広告をするとき、販売条件等について所定の事項を表示することを求めています。
通信販売は、店舗で商品を直接確認して購入する取引とは異なり、消費者が広告に表示された情報をもとに契約判断をする場面が多いためです。
EC実務では、次の3つを分けて確認すると整理しやすくなります。
- 広告段階:特定商取引法第11条の広告表示義務
- 広告表現:第12条の誇大広告等の禁止
- 申込段階:第12条の6の特定申込みにおける表示義務
これらは別々の規制です。商品ページやLPで第11条の表示事項を掲載していても、注文確定直前の最終確認画面については第12条の6の観点から別途確認する必要があります。
どこまでが「通信販売の広告」になる?
表示義務を判断する前に、そもそも対象となる「広告」の範囲を確認することが重要です。
消費者庁のQ&Aでは、販売業者等がその表示に基づいて通信手段により申込みを受ける意思が明らかであり、消費者がその表示を受けて購入の申込みをすることができるものは、特定商取引法上の広告に該当すると整理されています。
典型的には、次のような媒体・ページが対象になり得ます。
- ECの商品ページ
- 販売LP
- 記事LP
- カタログ
- ダイレクトメール
- チラシ
- テレビショッピング
- 電子メール広告
- インターネット・オークションの商品ページ
- SNS広告やバナー広告とそのリンク先
Web広告では、バナーやメール本文だけでなく、リンク先を含む広告導線全体から判断される場合があります。
そのため、「バナー自体には商品名しか書いていないから特商法は関係ない」と媒体単体で判断するのではなく、申込みまでの導線を確認することが重要です。
【早見表】通信販売広告に表示する主な16項目
特定商取引法第11条および施行規則では、取引内容に応じて次のような表示事項が定められています。

| 表示事項 | 主な内容 | 実務上の確認ポイント |
|---|---|---|
| 1.販売価格・役務の対価 | 実際の販売価格 | 実売価格を表示する |
| 2.送料 | 商品代金とは別に負担する送料 | 原則として金額で把握できる表示にする |
| 3.その他の追加負担 | 代引手数料、工事費等 | 内容と金額を表示する |
| 4.支払時期・方法 | カード、振込、代引等 | 利用できる方法と支払時期を整理する |
| 5.引渡し・提供時期 | 商品発送、サービス提供時期 | 期間または期限で示す |
| 6.申込みの期間 | 申込期限を定める場合 | その旨と期間の内容を正確に表示する |
| 7.撤回・解除・返品条件 | 返品可否、期間、費用等 | 返品特約は容易に認識できる表示にする |
| 8.事業者情報 | 氏名・名称、住所、電話番号 | 屋号やサイト名だけで足りるとは限らない |
| 9.代表者・通販責任者 | 法人がWeb等で広告する場合 | 代表者または通販業務責任者を表示する |
| 10.外国事業者の国内拠点 | 国内に事務所等がある場合 | 所在地と電話番号を確認する |
| 11.契約不適合時の責任に関する特約 | 種類・品質が契約内容に適合しない場合の責任 | 特約を設ける場合は内容を表示する |
| 12.ソフトウェア等の動作環境 | OS、必要性能等 | 対象取引では利用条件を確認する |
| 13.定期購入・継続契約条件 | 2回以上契約する必要がある場合の条件 | 金額・期間・回数等を整理する |
| 14.数量制限等の特別条件 | 1人○点まで等 | 条件がある場合に内容を表示する |
| 15.請求資料が有料の場合の価格 | 請求により提供する書面等が有料の場合 | その価格を表示する |
| 16.電子メールアドレス | 通信販売電子メール広告を行う場合 | 販売業者等のメールアドレスを表示する |
すべての通販事業者が16項目を同じ形で表示するわけではありません。商品の種類、販売条件、法人・個人の別、定期購入の有無、広告媒体等によって必要事項は異なります。
通信販売広告の表示項目を実務目線で解説
1.販売価格は実売価格を表示する
販売価格は、実際に取引するときの価格を表示します。
「メーカー希望小売価格10,000円」とだけ書き、実際には7,000円で販売している場合には、実売価格を表示したことにはなりません。
また、価格表示では特商法だけでなく、税込価格表示や景品表示法上の価格表示についても必要に応じて確認しましょう。
2.送料は「実費」だけで終わらせない
商品価格とは別に送料を負担してもらう場合には、送料を表示する必要があります。
消費者庁は、「送料実費」という表示だけでは不十分としています。
地域や重量によって送料が異なる場合には、最低・最高送料、平均額、代表例など、消費者がおよその負担額を把握できる方法を検討します。
3.手数料などの追加負担も金額を示す
販売価格や送料以外に購入者が負担する金銭がある場合は、その内容と額を表示します。
- 代引手数料
- 梱包料
- 工事費
- 組立費
- 設置費
「別途手数料あり」とだけ記載するのではなく、実際にどのような費用をいくら負担するのか確認できる表示が重要です。
4.支払時期・方法を明確にする
銀行振込、クレジットカード、代金引換など、利用できる支払方法を整理して表示します。
支払時期も、必要に応じて「注文後7日以内」「商品到着後○日以内」など具体化します。
5.商品の引渡時期は期間・期限で示す
商品の引渡時期やサービス提供時期については、消費者がいつ受け取れるのか分かるよう、期間または期限で示します。
- 「注文後3営業日以内に発送」
- 「入金確認後5日以内に発送」
- 「2026年9月30日までに発送」
一方、「入荷次第発送」「できるだけ早く発送」だけでは時期を判断できないため注意が必要です。
6.申込期間は「商品の申込み自体の期限」か確認する
商品・サービスの申込み自体について期間を定める場合には、その旨と内容を表示します。
例えば、一定期間を過ぎると商品そのものを購入できなくなる期間限定販売や、購入期限を示すカウントダウンなどです。
一方、「今週だけ10%OFF」のような価格・特典の実施期間と、商品自体の申込期間は同じではありません。
7.返品・解除条件は見つけやすく表示する
商品の返品特約がある場合には、返品の可否、期間、条件、費用負担などを表示します。
特に返品に関する事項は、顧客にとって見やすい場所で、明瞭に判読でき、容易に認識できる表示が求められています。
- 返品できるか
- 返品できる期間
- 返品可能となる条件
- 返品送料を誰が負担するか
- 返品手続の方法
「返品についてはお問い合わせください」のような曖昧な記載だけで終わらせず、具体的な条件を整理しましょう。
8.事業者名・住所・電話番号を正確に表示する
通信販売広告では、事業者の氏名または名称、住所、電話番号も表示事項です。
個人事業者の場合、単なるショップ名・ブランド名・未登記の屋号だけでは足りない場合があります。
法人であれば登記上の名称、個人事業者では戸籍上の氏名または商業登記簿に記載された商号などを基準に確認します。
住所は事業者の現に活動する住所を正確に表示し、電話番号も消費者が確実に連絡を取れるものか確認しましょう。
9.法人のWeb広告では代表者または通販責任者も確認する
法人がインターネット等の電子情報処理組織を利用する方法で広告を行う場合には、代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名も表示事項になります。
通販責任者として表示する人物は、通信販売業務について実際に責任を持つ者であることが重要です。
10.外国事業者は国内拠点の表示が必要になる場合がある
外国法人や外国に住所を有する個人事業者が、日本国内に事務所等を有する場合には、その所在場所や電話番号が表示事項になります。
越境ECや海外事業者が日本向け販売を行う場合には、事業主体や国内拠点の状況を整理したうえで個別に確認してください。
11.契約不適合時の責任に特約がある場合
引き渡した商品が種類・品質について契約内容に適合しない場合の販売業者の責任について特約を定めているときは、その内容も表示事項になります。
返品特約とは別の論点であるため、利用規約や特商法表記を作成するときは混同しないよう注意しましょう。
12.ソフトウェア等では動作環境も確認する
一定のソフトウェア等の取引では、利用に必要となるコンピューターの仕様・性能などを表示します。
OS、必要メモリ、ストレージ容量などが代表例です。
デジタルコンテンツやSaaS等については、実際の商品・サービスが施行規則上の対象に当たるか個別に確認してください。
13.定期購入は初回価格だけでは判断できない
2回以上継続して契約を締結する必要がある場合には、その旨と販売条件・提供条件を表示します。

例えば「初回500円」と表示していても、5回購入が条件であれば、初回価格だけでなく契約全体を判断できる情報が重要です。
- 定期購入であること
- 各回の価格
- 支払総額
- 契約期間
- 商品の引渡時期
- 最低購入回数
- 解約条件
期間の定めがない定期購入では総額を確定できないこともあります。その場合、消費者庁Q&Aでは半年分や1年分など一定期間の支払額を目安として示し、それが契約期間そのものと誤認されないよう明示する方法が望ましいとされています。
なお、定期購入の条件を広告で具体的に示さず、注文の電話で定期コースを勧めると、電話勧誘販売として規制される場合があります。広告の書き方ごとの考え方は、通販の注文電話が電話勧誘販売になるケースで整理しています。
14.数量制限など特別な販売条件
「1人3個まで」など、販売数量の制限その他の特別な販売条件がある場合は、その内容も表示事項になります。
15.請求する資料が有料の場合
第11条ただし書の仕組みを利用して、消費者の請求に応じて表示事項を記載した書面や電磁的記録を提供する場合、それが有料であれば価格を表示します。
16.電子メール広告ではメールアドレスも確認する
通信販売電子メール広告を行う場合には、事業者の電子メールアドレスも表示事項になります。
なお、電子メール広告には表示義務だけでなく、未承諾者への送信を原則禁止するオプトイン規制などもあります。メールマーケティングを行う場合は、第12条の3以下についても確認が必要です。
通販広告の表示項目、毎回目視で確認していませんか?
販売価格、定期購入条件、返品条件などは、キャンペーンやLP更新のたびに変更されやすい項目です。広告制作時から関連法令を確認できる体制を整えることで、確認工数の削減や見落とし防止を後押しできます。
AIによる広告法務チェックツール「アドミル」なら、ページ全体を数分でチェックし、ガイドラインに沿った代替表現の方向性をご提案します。
「特定商取引法に基づく表記」へのリンクだけでよい?
ECサイトでは、フッターや商品ページなどに「特定商取引法に基づく表記」というリンクを設置し、別ページに事業者情報や販売条件をまとめる運用が一般的です。

ただし、リンクを1本設置すれば、どのような配置でも第11条への対応が完了するわけではありません。
消費者庁Q&Aでは、事業者名・住所・電話番号等について、広告から容易に表示箇所へ到達できる方法が示されています。
例えば、
- 「特定商取引法に基づく表記」
- 「会社概要」
など、リンク先の内容が消費者に分かる名称を使い、広告から容易にアクセスできるようにする方法が考えられます。
一方、次のような設計は慎重な確認が必要です。
- リンクがページ深部にあり見つけにくい
- 「詳細はこちら」だけでリンク先の内容が分からない
- 購入ページから容易に特商法表記へ移動できない
- 重要な返品・定期購入条件が極端に見つけにくい
また、返品特約など、表示方法自体について「容易に認識できること」が求められている事項があります。
「特商法ページに記載してあるから問題ない」と一律に考えず、表示位置、リンク名称、文字サイズ、購入導線などを含めて確認することが重要です。
通信販売広告の表示義務は省略できる?
特定商取引法第11条ただし書には、一定の場合に広告表示事項の一部を省略できる仕組みがあります。
消費者から請求があった場合に、必要事項を記載した書面または電磁的記録を「遅滞なく」提供する旨を広告に表示し、実際に遅滞なく提供できる措置を講じていることなどが前提です。
ここでいう「遅滞なく」とは、単に請求後すぐ送ればよいという意味ではなく、消費者が申込みを判断する前に十分な時間的余裕をもって情報を確認できることが重要とされています。
また、すべての表示事項を自由に省略できる制度ではありません。
省略できない主な表示事項
消費者庁の現行案内では、例えば次の事項は省略できないものとして整理されています。
- 申込みの期間に関する定めがある場合の内容
- 返品の可否・期間等の条件・返品送料の負担
- ソフトウェア等を使用するための動作環境
- 契約を2回以上継続して締結する場合の販売条件・提供条件
- 販売数量の制限等、特別な販売条件・提供条件
- 請求により交付・提供する資料等が有料の場合の価格
- 通信販売電子メール広告の場合の電子メールアドレス
一方、事業者名・住所・電話番号などは一定の要件を満たせば省略できる場合があります。
また、販売価格等を広告上ですべて表示しているか、前払いか後払いか、商品を遅滞なく引き渡すかなどによって、省略できる範囲が変わる事項もあります。
そのため、省略制度を使う場合は、「広告スペースが狭いから会社情報を削除する」といった自己判断ではなく、法第11条ただし書と施行規則、消費者庁の省略可否表を確認してください。
広告表示義務と最終確認画面の表示義務は別
EC実務で特に混同しやすいのが、第11条の広告表示義務と、第12条の6の最終確認画面等における表示義務です。

| 項目 | 広告表示 | 最終確認画面 |
|---|---|---|
| 主な根拠 | 特定商取引法第11条 | 特定商取引法第12条の6 |
| 主なタイミング | 商品・サービスを広告する段階 | 消費者が申込みを確定する直前 |
| 主な役割 | 販売条件等を契約前に確認できるようにする | 申込内容・契約条件を最終確認できるようにする |
| 片方で代替できるか | それぞれの規制について確認が必要 | |
最終確認画面では、主に次の事項を確認できるようにします。
- 商品・役務の分量
- 販売価格・役務の対価(送料その他の負担額を含む)
- 代金・対価の支払時期・方法
- 商品の引渡時期・役務の提供時期
- 申込期間を定める場合はその旨・内容
- 申込みの撤回・契約解除に関する事項(返品特約がある場合はその内容を含む)

広告ページに必要事項を掲載している場合でも、それだけで第12条の6への対応が完了するわけではありません。インターネット通販では、申込み直前の最終確認画面についても別途確認する必要があります。
なお、消費者庁のガイドラインでは、最終確認画面に表示事項を網羅的に表示することを基本としつつ、消費者が明確に認識できるリンク表示や参照方法を示し、リンク先・参照ページ等に当該事項を明確に表示する方法も認められ得るとされています。
したがって、「すべてを同一画面内に直接書けばよい」「LPに書いてあるから最終確認画面では何もしなくてよい」という一律の判断ではなく、消費者が必要事項を容易に確認できる設計になっているかを確認しましょう。
【注意例】通信販売広告で見直したい表示
| 注意が必要な例 | 改善の方向性 |
|---|---|
| 「送料実費」とだけ表示 | 消費者が送料の金額を把握できる表示へ整理する |
| 「手数料別途」とだけ表示 | 追加費用の内容と金額を具体化する |
| 「入荷次第発送」 | 発送・引渡しの期間または期限を示す |
| 個人事業者がショップ名だけ表示 | 法令上必要となる氏名・商号等を確認する |
| 「返品はお問い合わせください」 | 返品可否・期間・条件・費用負担等を整理する |
| 「初回500円」のみを大きく表示 | 定期購入であること、各回価格、総額、回数、解約条件等も確認する |
| 最終確認画面で条件が確認しにくい | 必要事項を画面上で表示、または容易に参照できる設計を確認する |
上記は一般的な改善の方向性です。実際の適否は、商品・サービス、契約内容、広告媒体、表示位置、文字サイズ、画像、注記、前後文脈などによって個別に判断する必要があります。
実際に広告表示義務違反が問題になった事例
通販責任者として実態のない人物を表示した事例
東京都は2024年11月、定期購入で美容液・育毛剤等を販売していた複数の事業者に対し、特定商取引法に基づく行政処分を行いました。
この事例では、「特定商取引法に基づく表記」に通信販売業務の責任者として表示された人物が、従業者ではなく通信販売業務も行っていなかったことなどが広告表示義務違反として問題とされています。
つまり、責任者欄を形式的に埋めればよいのではなく、表示と実際の業務実態が一致しているかも重要です。
通信販売広告の表示義務に違反するとどうなる?
通信販売に関する特定商取引法違反が認められた場合、違反内容に応じて行政処分等の対象となる可能性があります。
- 指示
- 業務停止命令
- 一定の場合の業務禁止命令
また、特定商取引法では一部の違反について刑事罰も定められています。
ただし、「表示漏れがあれば必ず○万円の罰金」という一律の仕組みではありません。どの規定に違反したのか、行為の内容等によって法的評価は異なります。
通信販売にはクーリング・オフがない?返品ルールとの違い
通信販売には、訪問販売や電話勧誘販売と同じ特定商取引法上のクーリング・オフ制度はありません。
ただし、「クーリング・オフがない=必ず返品できない」という意味ではありません。
商品の通信販売では、特定商取引法第15条の3に返品に関するルールがあります。
返品に関する特約が広告にない場合には、原則として商品の引渡しを受けた日から8日以内であれば、購入者が返品送料を負担して申込みの撤回・契約解除ができる場合があります。
一方、事業者が広告に「返品不可」「商品到着後○日以内」など返品の可否・条件について適切に特約を表示している場合には、その特約が適用される場合があります。ただし、インターネット通販の場合は、広告に加えて、いわゆる最終確認画面にも特約を表示している必要があります(法第15条の3第1項ただし書、施行規則第44条)。
そのため、通販広告では返品特約の有無と、その表示方法の両方を確認することが重要です。
通販広告は景品表示法・薬機法にも注意
特商法第11条の表示事項を正しく記載しても、広告表現そのものについて別の法律が問題になる場合があります。
例えば、次のような表示です。
- 「日本No.1」
- 「通常価格9,800円→今だけ980円」
- 「満足度98%」
- 体験談・口コミ
- Before/After
- 商品効果を保証するような表現
No.1表示や高評価%表示では、比較対象、調査対象者、質問文、集計方法、調査時点などを確認し、根拠資料と実際の広告表示が対応しているか整理することが重要です。
関連記事:【2026年最新】景品表示法とは?違反事例とルールを分かりやすく解説
また、化粧品、医薬部外品、健康食品、機能性表示食品などでは薬機法や健康増進法も確認します。
| 商材区分 | 主な確認の方向性 |
|---|---|
| 一般化粧品 | 原則として化粧品で標ぼうできる56の効能効果の範囲等を確認 |
| 医薬部外品 | 個別の承認内容の範囲を確認 |
| 健康食品・サプリ | 医薬品的な効能効果を標ぼうしていないか確認 |
| 機能性表示食品 | 届出内容に即した表示であるかを確認 |
薬機法第66条は「何人も」を対象とするため、広告への関与状況によってはメーカーだけでなく、広告代理店、アフィリエイター、インフルエンサーなども対象となり得ます。
また、第66条第2項では、医師その他の者が効能・効果・性能を保証したものと誤解されるおそれのある広告についても注意が必要です。
健康食品・サプリの通販では、健康増進法と食品表示法も関係します。定期購入の「お試し」表示を含め、法律ごとの注意点は「健康食品の広告規制」で整理しています。
関連記事:薬機法違反とは?広告のNG例・罰則・対策を実務解説
通信販売広告の表示義務チェックリスト
| チェック | 確認事項 |
|---|---|
| ① | 販売価格・送料を正しく表示しているか |
| ② | 手数料等の追加負担の内容・金額を表示しているか |
| ③ | 支払時期・方法を明確にしているか |
| ④ | 引渡し・提供時期を期間または期限で示しているか |
| ⑤ | 申込期間がある場合、その内容を正しく表示しているか |
| ⑥ | 返品・解約条件を容易に認識できるよう表示しているか |
| ⑦ | 事業者名・住所・電話番号等が正確か |
| ⑧ | 法人の場合、必要に応じて代表者または通販責任者を表示しているか |
| ⑨ | 定期購入なら各回価格・総額・期間・回数・解約条件等を確認したか |
| ⑩ | 数量制限・動作環境等、自社取引固有の追加表示事項を確認したか |
| ⑪ | 広告と最終確認画面の条件が一致しているか |
| ⑫ | 景品表示法・薬機法等の広告表現も横断して確認したか |
特に価格変更やキャンペーン変更を行った際には、販売LPだけではなく、記事LP、バナー、商品ページ、カート、最終確認画面、特商法表記ページまで一括で確認しましょう。
通信販売の広告表示義務に関するよくある質問
- 通販サイトには特定商取引法の表記が必須ですか?
- 通信販売に該当し、販売条件等について広告する場合には、特定商取引法第11条に基づく表示義務があります。ただし、表示事項や一定の場合に省略できる範囲は、取引内容や販売方法等によって異なります。
- 「特定商取引法に基づく表記」へのリンクだけで大丈夫ですか?
- 一定の事項について、広告から容易に到達できる明確なリンクを設置する方法が認められる場合があります。ただし、どの事項でも別ページに掲載すれば足りるわけではなく、返品特約など容易に認識できる表示が求められる事項にも注意が必要です。
- 個人事業主は住所を表示しなくてもよいですか?
- 原則として、通信販売広告では事業者の氏名または名称、住所、電話番号が表示事項となります。ただし、特定商取引法第11条ただし書等の要件を満たす場合には、一部事項を省略できる場合があります。
- 送料は「別途」「実費」だけでもよいですか?
- 送料を表示する場合、消費者庁は金額による表示を求めています。地域等によって異なる場合には、最低・最高送料や代表例等により負担額を把握できるようにする方法が認められる場合があります。
- 通信販売にはクーリング・オフがありますか?
- 通信販売には、訪問販売等と同じ特定商取引法上のクーリング・オフ制度はありません。ただし、商品の通信販売では特定商取引法第15条の3に返品に関するルールがあります。
- 定期購入では何を表示すればよいですか?
- 契約内容に応じて、定期購入であること、各回の価格、支払総額、契約期間、購入回数、商品の引渡時期、解約条件などを整理します。また、広告だけでなく最終確認画面の表示も確認する必要があります。
- LPに表示していれば最終確認画面には書かなくてもよいですか?
- 特定商取引法第11条の広告表示と第12条の6の申込段階の表示は別の規制です。LPに必要事項を表示していても、最終確認画面について別途確認する必要があります。一定の場合には、消費者が明確に認識できるリンクや参照方法を用いる方法も認められ得ます。
- SNS広告も通信販売広告になることがありますか?
- あります。投稿や広告の表示内容、リンク先、申込導線等によっては、SNS上の表示とリンク先を含めて通信販売広告として検討する必要があります。媒体名だけで一律に判断せず、実際の販売導線を確認することが重要です。
まとめ|通販広告は表示義務・広告表現・最終確認画面を分けて確認する
通信販売の広告では、特定商取引法第11条に基づき、販売価格、送料、支払時期・方法、引渡時期、返品・解除条件、事業者情報などを表示する必要があります。
さらに取引内容によって、定期購入条件、ソフトウェア等の動作環境、数量制限、外国事業者の国内拠点、電子メールアドレスなども確認が必要です。
実務では、次の3つを分けて確認すると整理しやすくなります。
- 広告:第11条の表示義務
- 広告表現:第12条の誇大広告等の禁止
- 申込段階:第12条の6の表示義務
特商法表記ページだけを更新し、LPや最終確認画面に古い価格・条件が残ってしまえば、販売導線全体として不整合が生じます。
EC・D2Cでは、キャンペーン、価格、定期購入条件、広告クリエイティブが頻繁に変更されるため、公開時だけでなく、変更時にも広告から注文確定まで一連の導線を確認できる運用体制を整えましょう。
通販広告の法務チェックを制作フローに組み込みませんか?
EC・D2Cでは、価格、キャンペーン、定期購入条件、広告コピーが頻繁に更新されます。公開前だけでなく制作・修正時から法務観点を確認できる仕組みを整えることで、チェック工数の削減やクリエイティブ制作との両立を後押しできます。
AIによる広告法務チェックツール「アドミル」なら、ページ全体を数分でチェックし、ガイドラインに沿った代替表現の方向性をご提案します。
免責事項:
本記事は、2026年8月25日時点で確認できる法令・公的資料をもとに、通信販売広告の表示義務に関する一般的な情報を提供するものです。個別の広告、契約、販売方法について法的判断を行うものではありません。実際の適否は、取引内容、商材区分、契約条件、広告媒体、表示位置、根拠資料、画像、注記、前後文脈等によって異なります。具体的な案件については、必要に応じて弁護士等の専門家や関係行政機関へご確認ください。

