特定商取引法とは?EC事業者が知るべき表示義務・禁止事項チェックリスト

最終更新日:2026年8月24日

特定商取引法とはどのような法律なのか」「ネットショップにも関係するのか」「通販でもクーリング・オフできるのか」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。 特定商取引法(とくていしょうとりひきほう)とは、訪問販売や通信販売など、消費者トラブルが生じやすい一定の取引について、事業者が守るべきルールや消費者を保護するためのルールを定めた法律です。正式名称は「特定商取引に関する法律」で、一般に「特商法(とくしょうほう)」とも呼ばれます。 EC・D2C事業者にとって特に重要なのが「通信販売」です。商品LPやECページだけでなく、販売条件、返品・解約条件、定期購入、申込み直前の最終確認画面まで確認する必要があります。 この記事では、特定商取引法の対象となる7つの取引、クーリング・オフ、通信販売の広告表示、定期購入の最終確認画面、違反時の対応まで、広告・EC実務の観点から整理します。

読み方も確認

  • 特定商取引法 読み方:とくていしょうとりひきほう
  • 特商法 読み方:とくしょうほう
  • 役務 読み方:えきむ
  • 連鎖販売取引 読み方:れんさはんばいとりひき
参考資料(出典): 消費者庁「特定商取引法とは|特定商取引法ガイド」 特定商取引法の目的、対象となる7つの取引類型、行政規制・民事ルールの概要の根拠として参照しています。

【30秒早見表】特定商取引法とは?まず押さえたいポイント

項目 概要
正式名称 特定商取引に関する法律
主な目的 特定の取引を適正化し、購入者等の利益を保護することなど
対象取引 訪問販売・通信販売など7つの取引類型
主な行政規制 氏名等の明示、広告表示、不当な勧誘の禁止、書面交付など
主な民事ルール クーリング・オフ、一定の場合の取消し、損害賠償額の制限など
ECで特に重要な点 広告表示、返品・解約条件、定期購入、最終確認画面など
特定商取引法は、すべての商取引に一律の規制をかける法律ではありません。まず「自社の販売方法がどの取引類型に該当するのか」を確認し、その類型に応じたルールを見ることが重要です。

特定商取引法の目的とは?

特定商取引法は、消費者トラブルが生じやすい取引形態について、事業者の行為を規制するとともに、消費者を保護するための民事上のルールを設けています。 例えば訪問販売では、消費者が予期していないタイミングで勧誘を受ける場合があります。一方、インターネット通販では、販売者と対面せず、画面上に表示された情報をもとに購入を判断します。 このように取引ごとに消費者が置かれる状況が異なるため、特定商取引法では取引類型ごとにルールが設けられています。

特定商取引法の対象となる7つの取引

特定商取引法では、消費者トラブルが生じやすい次の7つの取引類型が対象とされています。 特定商取引法の対象となる7つの取引類型を整理した早見図
取引類型 概要 代表例
訪問販売 消費者宅等を訪問して契約する取引 訪問販売、一定のキャッチセールス等
通信販売 広告を見た消費者から通信手段で申込みを受ける取引 ECサイト、ネット通販等
電話勧誘販売 電話で勧誘して申込みを受ける取引 電話による商品・サービスの勧誘等
連鎖販売取引 販売員を連鎖的に増やしていく形態の取引 いわゆるマルチ商法等
特定継続的役務提供 一定の長期・継続的な役務提供に関する取引 エステティック、語学教室等の対象役務
業務提供誘引販売取引 仕事で収入を得られるなどとして誘引し、金銭負担を伴わせる取引 一定の内職・副業商法等
訪問購入 事業者が消費者宅等を訪問して物品を購入する取引 訪問型の買取サービス等

ECサイト・ネットショップは「通信販売」に該当する可能性がある

事業者がインターネット上で広告し、消費者がWebサイト等の通信手段を利用して購入を申し込む取引は、一般に特定商取引法上の「通信販売」に該当する可能性があります。 ただし、取引類型は「インターネットを使ったかどうか」だけで決まるものではありません。電話による勧誘の後にWebサイトから申込みを受ける場合など、勧誘から申込みまでの経緯によって別の類型が問題になることがあります。 媒体だけではなく、勧誘方法・申込方法を含む取引全体で確認することが重要です。

特定商取引法では何が規制される?

特定商取引法のルールは、大きく行政規制民事ルールに分けて理解すると分かりやすくなります。

行政規制

取引類型によって具体的な内容は異なりますが、代表的な規制には次のようなものがあります。
  • 事業者名や勧誘目的等の明示
  • 不実告知や威迫など不当な勧誘行為の禁止
  • 広告における重要事項の表示
  • 虚偽・誇大な広告等の規制
  • 契約内容等を記載した書面の交付
すべての規制が7類型すべてに同じ形で適用されるわけではありません。該当する取引類型ごとに確認する必要があります。

民事ルール

一定の取引については、クーリング・オフ、一定の場合の意思表示の取消し、契約解除時等に事業者が請求できる損害賠償額の制限などが設けられています。

クーリング・オフは何日?取引別早見表

取引類型 原則的な期間
訪問販売 8日以内
電話勧誘販売 8日以内
特定継続的役務提供 8日以内
訪問購入 8日以内
連鎖販売取引 20日以内
業務提供誘引販売取引 20日以内
通信販売 特定商取引法上のクーリング・オフに関する規定はありません
実際のクーリング・オフの可否や期間の起算点は、取引類型や交付された書面、契約状況等によって確認が必要です。
参考資料(出典): 消費者庁「特定商取引法とは|特定商取引法ガイド」 各取引類型のクーリング・オフ期間および通信販売にはクーリング・オフに関する規定がないことの根拠として参照しています。

通信販売の「8日以内の返品」とクーリング・オフは別制度

ここは特に混同しやすいポイントです。 通信販売には、訪問販売等と同じ特定商取引法上のクーリング・オフ制度はありません。 一方、通信販売で商品の売買契約をした場合、販売業者が返品についての特約を適切に表示していないときには、商品の引渡しを受けた日から数えて8日以内であれば、一定の場合に申込みの撤回や契約解除が認められるルールがあります。 この場合、原則として商品の返送に要する費用は購入者側が負担します。また、返品特約が適切に表示されている場合には、その特約が適用されることがあります。 したがって、「通販も8日間クーリング・オフできる」と理解するのは適切ではありません。

EC・ネット通販で重要な「特定商取引法に基づく表記」

ネット通販で特に重要なのが、通信販売の広告表示です。 特定商取引法第11条では、通信販売の広告について一定事項を表示することが定められています。
表示項目 実務上の確認ポイント
販売価格・役務の対価 価格に加え、送料についても確認します。
支払時期・支払方法 クレジットカード、代引き等の方法と時期を明確にします。
引渡し・提供時期 商品の発送時期、サービス提供時期等を確認します。
申込み期間 期間限定販売など、申込み期間に定めがある場合はその内容を確認します。
返品・契約解除 返品特約を含む申込みの撤回・解除に関する事項を確認します。
事業者情報 氏名・名称、住所、電話番号等を確認します。
代表者・責任者 法人がインターネット等で広告する場合、代表者または通信販売業務責任者の氏名も確認します。
追加負担 販売価格・送料以外に購入者が負担する金銭があれば、その内容・額を確認します。
継続契約の条件 2回以上継続して契約する必要がある場合、その旨と販売・提供条件を確認します。
その他の特別な条件 販売数量の制限、ソフトウェアの動作環境など、商品・契約内容に応じた事項を確認します。
上表は主要項目を実務向けに整理したものです。実際には、商品・サービスや契約条件によって追加表示が必要となる場合があります。
参考資料(出典): 消費者庁「通信販売|特定商取引法ガイド」 法第11条に基づく通信販売広告の表示事項の整理に参照しています。

「特商法表記ページを作れば商品LPは自由」ではない

EC事業者は、一般に「特定商取引法に基づく表記」のページを設けています。しかし、そのページだけ用意すれば、商品LPや広告上の表示を自由に設計できるという意味ではありません。 インターネット上の商品ページやLPが通信販売の広告に当たる場合、その広告についても特定商取引法上のルールを確認する必要があります。 また、返品特約などについては、単に別ページに記載されているかどうかだけではなく、消費者が確認できる表示方法になっているかという観点も重要です。

定期購入は「最終確認画面」までチェックする

EC・D2C事業者が特に注意したいのが、定期購入などの申込み直前の最終確認画面です。 ECサイトの広告から最終確認画面までの特定商取引法の確認ポイント インターネット通販では、契約の申込みを行う最終確認画面において、一定事項を消費者が一覧性をもって確認できるよう表示することが求められています。 主な表示事項は次のとおりです。
  • 商品の分量
  • 販売価格・役務の対価
  • 送料
  • 支払時期・方法
  • 商品の引渡時期・役務の提供時期
  • 申込み期間に定めがある場合はその内容
  • 申込みの撤回・契約解除に関する事項
さらに、契約の申込みとなることを誤認させる表示や、これらの事項について誤認させる表示は禁止されています。 インターネット通販では、最終確認画面で申込み内容を容易に確認し、訂正できる設計になっているかという点も確認が必要です。 通信販売の最終確認画面で確認したい価格や解約条件などの表示項目
参考資料(出典): 消費者庁「通信販売|特定商取引法ガイド」 消費者庁「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」 最終確認画面の表示事項、誤認させる表示の禁止、申込み内容の確認・訂正に関する整理に参照しています。

定期購入で確認したいポイント

定期購入LPにおける初回価格や契約条件の表示確認例
  • 1回限りの購入か、定期購入かが明確か
  • 初回価格だけでなく2回目以降の価格も確認できるか
  • 各回の金額や支払総額を確認できるか
  • 商品の分量・提供回数・契約期間を確認できるか
  • 解約方法や解約条件を確認できるか
  • 申込み期間に条件がある場合、その内容を確認できるか
  • 注文確定操作が契約の申込みになることを認識できるか
  • 申込み内容を容易に確認・訂正できるか
例えば「初回500円」と大きく訴求していても、複数回の購入条件や2回目以降の価格、解約条件などが認識しにくい場合には、表示全体を慎重に確認する必要があります。

LP・広告・申込画面の確認工数を減らしたい方へ

EC広告では、特商法だけでなく景表法や薬機法など複数のルールを横断して確認する場面があります。制作と確認の往復が増えている場合は、広告チェックの仕組み化も検討しましょう。 AIによる広告法務チェックツール「アドミル」なら、リスク箇所を瞬時に判定し、ガイドラインに沿った代替表現の方向性をご提案します。

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特定商取引法だけ確認すればよい?景品表示法などとの違い

EC・D2C広告では、特定商取引法だけを確認すれば足りるとは限りません。 割引表示と定期購入条件を確認するEC広告の参考例 例えば価格やNo.1表示、口コミ、商品の効果を訴求する場合には、景品表示法や、商品区分によっては薬機法・健康増進法などの確認も必要になります。
表示例 主な確認ポイント
「初回500円」 定期購入なら2回目以降の価格、総額、契約条件、解約条件等も確認
「通常価格から50%OFF」 販売条件に加え、比較対象価格等について景品表示法上の根拠も確認
「売上No.1」 比較対象、調査対象者、質問内容、集計方法、調査時点等を確認
口コミ・体験談 表示内容の根拠や広告であることの明示、商品区分によっては薬機法等も確認
広告表現の適否は、文言だけで判断できるものではありません。商材区分、根拠資料、表示全体、画像、注記、前後文脈によって個別に判断する必要があります。

特定商取引法と景品表示法の違い

比較項目 特定商取引法 景品表示法
主な対象 訪問販売、通信販売等の特定の取引類型 商品・サービスの表示や景品類
EC実務の例 販売条件、返品・解約条件、最終確認画面など 優良誤認、有利誤認、二重価格、No.1表示、ステマ規制など
同じLPが複数の法律の対象になることがあります。 例えば定期購入LPで「初回50%OFF」と表示する場合、特定商取引法上の契約条件だけでなく、景品表示法上の価格表示についても確認する必要があります。

特定商取引法が適用されない場合もある

特定商取引法には適用除外が設けられています。 通信販売についても、例えば「営業のため、又は営業として締結するもの」や、国・地方公共団体が行う一定の取引、他法令によって消費者保護が図られている一定の取引などは、適用除外となる場合があります。 ただし、「相手が個人事業主だから」「副業目的と書いてあるから」といった形式面だけで、直ちに特定商取引法の適用対象外と判断できるとは限りません。 実際の適用関係については、契約目的や取引実態などを踏まえて個別に確認する必要があります。

特定商取引法に違反するとどうなる?

特定商取引法に違反した場合、違反内容や取引類型に応じて行政処分等の対象となる可能性があります。

1.業務改善の指示

違反行為等について、業務を改善するよう指示が行われる場合があります。

2.業務停止命令・業務禁止命令

一定の場合には事業者に対する業務停止命令や、役員等に対する業務禁止命令の対象となる場合があります。

3.一部の違反には罰則もある

特定商取引法では、一部の違反行為について刑事罰も設けられています。 ただし、違反があれば必ず同じ行政処分や罰則が適用されるわけではありません。対象となる条文や行為態様等によって個別に確認する必要があります。

EC・D2C事業者向け|特定商取引法チェックリスト

  • 自社の取引が通信販売等のどの類型に該当するか確認した
  • 販売価格・送料・その他の追加負担を確認した
  • 支払時期・支払方法を確認した
  • 商品の引渡し・サービス提供時期を確認した
  • 返品・キャンセル・解約条件を確認した
  • 事業者名・住所・電話番号等を確認した
  • 必要に応じて代表者または通信販売業務責任者を表示した
  • 定期購入の場合、各回の価格や契約条件を確認した
  • 最終確認画面に必要事項を一覧性のある形で表示した
  • 申込み内容を容易に確認・訂正できるか確認した
  • LP・広告・カート・最終確認画面で条件に矛盾がないか確認した
  • 景品表示法、薬機法、健康増進法等の確認が必要か検討した
このチェックリストのみで個別の取引・広告の適法性を判断できるものではありません。実際には商材、販売方法、契約条件、広告表示全体などを踏まえた確認が必要です。

特定商取引法に関するよくある質問

特定商取引法とは簡単にいうと何ですか?
訪問販売や通信販売など、消費者トラブルが生じやすい一定の取引について、事業者が守るべきルールと消費者を保護するためのルールを定めた法律です。
特定商取引法は何と読みますか?
「とくていしょうとりひきほう」と読みます。正式名称は「特定商取引に関する法律」で、「特商法(とくしょうほう)」と略されることがあります。
特定商取引法に基づく表記はネットショップなら必要ですか?
インターネットを利用して消費者から申込みを受け、商品等を販売したり有償で役務を提供したりする取引は、通信販売の規制対象となり得ます。ただし、適用除外もあるため具体的な取引形態に応じた確認が必要です。
個人事業主でも特定商取引法に基づく表記は必要ですか?
個人であっても、要件を満たせば特定商取引法上の販売業者・役務提供事業者に該当します。法人か個人かだけで判断するものではありません。
個人事業主は住所を非公開にできますか?
特定商取引法第11条ただし書の条件を満たす場合、広告上の一定の表示事項を省略できる仕組みがあります。ただし、個人事業主であれば無条件で住所を非公開にできるわけではありません。
電話番号の代わりにメールアドレスだけでもよいですか?
通信販売広告の表示事項には電話番号が含まれます。一定条件で表示を省略できる場合はありますが、メールアドレスがあれば常に電話番号が不要になるとはいえません。
通信販売にクーリング・オフはありますか?
訪問販売などに設けられている一般的なクーリング・オフ制度は通信販売にはありません。一方、商品の返品については特定商取引法第15条の3にルールがあります。
返品不可と書けばすべての返品を断れますか?
一律には判断できません。通信販売における返品特約の表示と、商品が契約内容に適合しない場合などに生じ得る責任は分けて検討する必要があります。
定期購入では何を追加して記載すればよいですか?
契約内容に応じて、定期購入であること、各回の価格、支払総額、契約期間・購入回数、解約条件・方法などを整理します。また、申込み直前の最終確認画面における表示も確認する必要があります。
特商法ページをフッターに設置すれば十分ですか?
分かりやすいリンクを設けて表示箇所へ容易に到達できる設計は重要ですが、返品特約や最終確認画面など別途確認すべき表示もあります。特商法ページだけで全対応が完了するとは限りません。
特定商取引法に基づく表記のテンプレートをそのまま使えますか?
テンプレートは項目整理に便利ですが、実際の販売条件と一致するよう調整が必要です。送料、決済方法、配送条件、返品条件、継続契約の有無などを確認してください。

まとめ|特定商取引法は「取引類型」と「購入導線」の両方を確認する

特定商取引法は、訪問販売や通信販売など、消費者トラブルが生じやすい7つの取引類型について、事業者が守るべきルールと消費者保護のルールを定めた法律です。 EC・D2C事業者の場合、特に重要なのが通信販売です。 「特定商取引法に基づく表記」だけを確認するのではなく、広告・商品LP・返品や解約条件・カート・最終確認画面まで、一連の購入導線として確認することが実務上重要です。 さらに、「50%OFF」「No.1」、口コミ、商品効果などの広告表現については、景品表示法や薬機法等が関係する場合もあります。 表現や表示の適否は、商材区分、契約内容、根拠資料、表示全体、画像、注記、前後文脈などによって変わるため、一律に判断せず個別に確認しましょう。

広告表現と販売条件のチェックを効率化したい方へ

LP、記事広告、SNS広告などを複数運用していると、特商法・景表法・薬機法など確認すべきポイントも増えていきます。アドミルは、広告制作時のチェック工数削減と、クリエイティブ制作・法務確認の両立を後押しします。 AIによる広告法務チェックツール「アドミル」なら、リスク箇所を瞬時に判定し、ガイドラインに沿った代替表現の方向性をご提案します。

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免責事項:本記事は、2026年8月24日時点で確認できる公的情報をもとに、特定商取引法に関する一般的な情報を提供するものです。個別の取引や広告表現の適法性を保証するものではありません。実際の適用関係は、取引形態、契約内容、商材、広告表示全体、勧誘経緯その他の事情によって異なります。具体的な案件については、所管行政機関や弁護士等の専門家への確認をご検討ください。