ステマ規制とは?どこまで対象か、口コミ・レビュー依頼とPR表記を解説

最終更新日:2026年10月22日

ステマ規制とは、広告なのに広告だと分からない表示を禁止するルールです。景品表示法第5条第3号に基づく告示で、2023年10月1日から施行されています。規制対象は広告主で、「事業者が表示内容の決定に関与したか」と「広告だと明瞭か」の2点で判断します。口コミは、内容を指定せず、割引程度の特典で投稿を頼むだけなら通常は対象外です。一方、★5や推奨コメントを条件にすると事業者の表示となり、広告であることの明示が必要になります。

【早見表】ステマ規制はどこまで対象?よくあるケースの判断

よくあるケース 判断の目安 必要な対応 根拠
街頭で試供品を配り「よければSNSに感想を」と声をかける 通常、事業者の表示に当たらない 投稿内容を指示しない Q&A Q4
特定のインフルエンサーに商品を無償提供し、投稿を依頼する やり取り・提供目的・取引関係しだいで事業者の表示になる 該当するなら「PR」等を明記してもらう Q&A Q5
報酬を払って投稿を依頼する(内容の指定なし) 事業者の表示に該当する可能性が高い 「○○社から依頼を受けて投稿しています」等を明記 Q&A Q19
口コミ投稿を条件に割引・次回クーポンを出す(内容の指定なし) 通常、事業者の表示に当たらない(割引程度の特典が前提) 評価や内容を条件にしない。Googleマップ等は規約で特典自体を禁止 Q&A Q6前段・Q7
★5や「おすすめ」のコメントを条件に割引する 事業者の表示に当たる 条件から外す。続けるなら広告と明示しないと違反 Q&A Q6後段
指定ハッシュタグ付きの感想投稿から抽選でプレゼント 通常、当たらない。具体的な感想文の指定は該当 感想の中身を指定しない Q&A Q8
事実に反するレビューに修正を依頼する 当たらない。都合の良い内容への修正依頼は該当 依頼理由を記録する Q&A Q9
アンケートから好意的な回答だけを「お客様の声」に載せる 事業者の表示に当たる 無作為に引用するか、事業者の表示と明示 Q&A Q10
依頼したインフルエンサーの投稿をLPに「お客様の声」として載せる 「お客様の声」としての掲載は適当でない 依頼した投稿だと分かる形で掲載 Q&A Q16
従業員が自社商品をSNSで紹介する 地位・担当業務・目的しだい 販促の立場なら「広告」等を明記。所属表示だけでは足りないことも Q&A Q3・Q12

表は、消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」の考え方を要約したものです。実際の該当性は、依頼の経緯・対価・表示全体の見え方などから個別に判断されます。

出典:消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」

ステマ規制とは?景品表示法の「ステマ告示」のこと

ステマ(ステルスマーケティング)とは、広告なのに広告であることを隠すことです。消費者庁はこれを景品表示法上の不当表示として規制しています。

規制の根拠は、景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)第5条第3号です。同号に基づき、内閣総理大臣が「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」を指定しました(令和5年内閣府告示第19号)。告示は2023年3月28日、施行は2023年10月1日です。

「ステマ規制法」は独立した法律名ではなく、景品表示法第5条第3号に基づく指定告示を指すことを示した図

「ステマ規制法」という法律はない

「ステマ規制法」という名前の独立した法律はありません。検索や社内資料で使われる「ステマ規制法」は、上記の告示を指す通称です。

呼び方 正確な中身 確認する資料
ステマ規制/ステマ規制法 景品表示法第5条第3号に基づく指定告示(令和5年内閣府告示第19号) 告示本文
判断基準(いわゆるステマ規制のガイドライン) 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(2023年3月28日 消費者庁長官決定) 運用基準
具体例 ステルスマーケティングに関するQ&A(Q1〜Q21) 消費者庁Q&A

社内で説明するときは「景品表示法第5条第3号に基づく告示(いわゆるステマ規制)」と書くと誤解がありません。

なぜ規制されるのか

消費者は、企業の広告なら「多少の誇張はある」と割り引いて受け取ります。広告と分からないと、第三者の率直な感想と思い込み、商品を正しく比べられなくなります。運用基準は、これを規制の理由として挙げています。

対象になる媒体・ならない表示

SNS投稿やレビュー投稿だけでなく、テレビ・新聞・ラジオ・雑誌の表示も対象です。一方、個人の自主的な感想や、テレビCMのように広告と分かるものは対象外です。

出典:消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」、告示本文(PDF)、運用基準(PDF)

ステマ規制の対象は誰?広告主が対象で、インフルエンサーは原則対象外

規制の対象は、自社の商品・サービスについて表示内容の決定に関与した事業者、つまり広告主です。依頼を受けて投稿するインフルエンサーやアフィリエイターは、原則として対象外です(Q&A Q1)。

関係者 ステマ規制上の位置づけ 実務での注意点
広告主(メーカー・D2C・EC事業者・店舗) 規制の対象 依頼内容、対価、投稿条件、LPへの転載を管理する
広告代理店・制作会社・ASP 自ら商品を供給していなければ、表示規制の対象外(表示に関するQ&A Q3) 代理店に表示内容の決定を任せても、広告主は「決定に関与」したことになる。ルールと確認記録を共有する
インフルエンサー・アフィリエイター 原則対象外。広告主と共同で商品を供給する例外的な場合は対象 依頼・報酬・提供がある投稿は、関係性を分かるように書いてもらう
従業員・役員 地位・担当業務・目的によって事業者の表示になる 販売・開発の担当者による販促投稿は「広告」等を明記する

広告代理店の扱いは、消費者庁「表示に関するQ&A」に書かれています。景品表示法の表示規制は、自ら供給する商品の表示が対象です。そのため、広告代理店やメディア媒体は、原則として規制の対象になりません(Q3)。一方、広告主が表示内容の決定を他の事業者にゆだねた場合も、広告主が「決定に関与」したことになります(Q2)。外部に任せている施策ほど、広告主側での確認が欠かせません。

出典:消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」Q1・Q3・Q12、消費者庁「表示に関するQ&A」Q2・Q3

ステマ規制の判断基準|2つの要件で確認する

ステマ規制に当たるのは、次の2つを両方満たす表示です。

  1. 事業者の表示であること(事業者が表示内容の決定に関与している)
  2. 一般消費者が、事業者の表示だと判別しにくいこと

ステマ規制で確認する2つの軸として、事業者の表示といえるかと、広告であることが明瞭かを並べた図

要件1|事業者の表示か(表示内容の決定に関与したか)

運用基準は、事業者が第三者に表示させる例として次を挙げています。

  • 第三者に、SNSや口コミサイトへ自社商品の投稿をさせる
  • ECサイトの出店者が、ブローカーや購入者に依頼してレビューを書かせる
  • アフィリエイターに委託して、自社商品を紹介させる
  • 他の事業者に依頼し、競合商品に低い評価の口コミを書かせる

明示的に依頼していなくても、事業者の表示になる場合があります。判断材料は、具体的なやり取り(メール・口頭・送付状)、対価の内容、提供の目的、関係がどのくらい続いているか、です。対価には金銭や物品のほか、イベント招待などの接待も含まれます。

逆に、事業者が関わっていても、第三者が自主的に決めた内容なら事業者の表示にはなりません。運用基準は次の例を示しています。

事業者の表示にならない例 運用基準
第三者が自主的に投稿する(複数回でも同じ) 第2・2(1)ア
無償提供して投稿を依頼したが、内容は第三者が自主的に決めた 第2・2(1)イ
ECレビューの謝礼に次回割引クーポンを配るが、投稿内容のやり取りは一切ない 第2・2(1)オ
SNSキャンペーンや懸賞に応募するための自主的な投稿 第2・2(1)カ
自社サイトで第三者の投稿を、恣意的に抜き出さず、手を加えずに引用する 第2・2(1)キ
不特定多数への試供品配布の結果、自主的に投稿された 第2・2(1)ク
新聞・雑誌・放送などが自主的に企画・編集した記事や番組 第2・2(2)

ただし、どの例も「自主的な内容」であることが前提です。同じ施策でも、投稿内容への指示や継続的な取引があれば結論が変わります。

要件2|一般消費者が広告だと分かるか(明瞭性)

運用基準は、明瞭な表示の例として次の2つを挙げています。

  • 「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」と表示する
  • 「A社から商品の提供を受けて投稿している」のように文章で示す

これらの言葉を使っても、表示全体で分かりにくければ不十分です。逆に、表示全体で明瞭なら、ほかの言い方も認められます(Q&A Q11)。

なお、事業者自身のサイトや公式SNSアカウント、テレビCM、新聞の広告欄は、もともと広告と分かるため対象外です。ただし自社サイトでも、専門家や消費者の客観的な意見に見せたページは、事業者の表示だと明示する必要があります(運用基準第3・2(2)オ)。

出典:運用基準 第2・第3(PDF)

ステマ規制と口コミ・レビュー|依頼・特典・転載はどこまでOKか

口コミ施策は、ステマ規制で最も判断に迷う領域です。ポイントは「投稿を促すこと」と「投稿の中身を決めること」の違いです。

口コミ投稿を依頼する・割引やクーポンを付ける

口コミ投稿を条件にサービスを割引する。購入者にレビュー投稿を条件として次回クーポンを渡す。消費者庁は、内容を指示していなければ、どちらも通常は事業者の表示に当たらないとしています(Q&A Q6前段・Q7)。

理由は、投稿内容への指示がなく、関係も「割引程度の対価」にとどまるためです。高額な謝礼を出す場合や、継続的に同じ人へ依頼する場合は、この前提が崩れることがあります。

★5・高評価・推奨コメントを条件にする

「★5を付けてくれたら割引」は、事業者が投稿内容を決めているため事業者の表示に当たります(Q&A Q6後段)。「おすすめです」など推奨コメントを条件にする場合も同じです。

実際に、評価を条件にした口コミで措置命令が出ています。Googleマップで★5または★4の投稿を条件に、ワクチン接種費用を割り引いたクリニックの事案です(2024年6月公表、医療法人社団祐真会)。

ホットペッパービューティーで★5の口コミを条件に、次回500円を割り引いた事案もあります。こちらは確約計画が認定されました(2025年8月公表、株式会社LAVA International)。従業員による★5投稿も、違反の疑いがある行為に含まれていました。確約計画の認定は、違反を認定したものではありません。

NG例 なぜNGか 言い換えの方向性
「★5レビューで次回10%OFF」 評価を条件にしており、事業者が内容を決めている 「レビューを書いてくれた方に次回10%OFF」(評価は自由と明記)。ただしGoogleマップ等では規約で特典自体が禁止
「『おすすめ』と書いてくれたらプレゼント」 推奨コメントの条件化も同じ扱い(Q6) 感想の中身を条件にしない
低評価の人には投稿を案内しない 好意的な声だけを集める設計で、関与を疑われやすい 全購入者に同じ案内を送る

言い換え例は、景品表示法の観点での方向性です。特典を付けられるかどうかは、投稿先のプラットフォームの規約も確認してください(後述の「Google口コミの特典」)。

口コミの修正・削除を依頼する

事実と違う内容(存在しない性能など)や、他社の名誉を傷つける内容の修正依頼は、それだけでは事業者の表示になりません。一方、感想そのものを自社に都合の良い内容へ直してもらうと、修正後の投稿は事業者の表示になります(Q&A Q9)。

アンケートや口コミを「お客様の声」としてLPに載せる

アンケート回答から無作為に選んで、そのまま引用するなら、通常は事業者の表示に当たりません。好意的な回答だけを選ぶ場合や、「良い点・悪い点」のうち良い点だけを切り出す場合は事業者の表示になります(Q&A Q10)。

その場合は、事業者の表示だと明示しないと違反です。運用基準が問題にしているのは、評判を上げる意見だけを抜き出したことが消費者に分からない表示です(第2・2(1)キ)。そのため、選んだ主体だけでなく選び方まで書くのが安全です。例えば「お寄せいただいたご意見のうち、好意的なものを当社が選んで掲載しています」のような書き方です(消費者庁の例示ではなく、当社の考える一例です)。

インフルエンサー・モニターの投稿をLPに転載する

依頼したインフルエンサーの投稿を「お客様の声」として載せるのは適当ではありません(Q&A Q16)。「お客様の声」は、自主的な感想と受け取られるためです。依頼した投稿だと分かる形で掲載します。

措置命令でも、転載型の事案が目立ちます。対価を払って依頼したInstagram投稿を、自社サイトの「お客様の声」「SNSでも話題!」に抜き出した事案では、「※個人の感想です。」と添えていても違反とされました(2024年8月公表、RIZAP株式会社)。

NG例 なぜNGか 言い換えの方向性
依頼投稿を「お客様の声」「みんなのリアルな声」として掲載 自主的な感想と誤認される(Q16) 「当社が依頼したモニターの投稿です」と見出し近くに表示
「SNSでも大人気!」の下に依頼投稿の画像を並べる 自然発生の話題に見え、依頼関係が分からない 「当社が商品を提供し、投稿を依頼したものです」と明記
「※個人の感想です。」だけを添える 効果の個人差の注記で、依頼関係は分からない 依頼・提供の事実を書く

転載で見落としやすいのは、「※個人の感想です。」の注記です。これは効果の個人差を示すもので、依頼や提供の事実を伝える表示にはなりません。

口コミ投稿キャンペーン・ハッシュタグ指定

「#商品名」を付けた感想投稿から抽選でプレゼントする企画は、内容が抽選に影響しなければ、通常は事業者の表示に当たりません。「#毎日食べたい美味しさ」のように具体的な感想をハッシュタグで指定すると、事業者の表示になります(Q&A Q8)。

なお、購入者だけが応募できる懸賞は、景品の上限額のルールも関係します。詳しくは景品表示法のプレゼント上限で解説しています。

Google口コミの特典は「法律」と「規約」の両方を確認する

景品表示法上は事業者の表示に当たらない口コミ特典でも、プラットフォームの規約で禁止されていることがあります。例えばGoogleマップのポリシーは、口コミの投稿と引き換えに割引や無料商品などのインセンティブを提供する行為を禁止しています。肯定的な口コミだけを選んで募ることも禁止です。

楽天市場やAmazonなど、出店先ごとのレビュー規約も確認しましょう。

SNS広告として配信する場合は、媒体の広告審査もあります。例えばMetaは、広告を1件ずつポリシーに照らして審査し、違反する広告主のアカウントを制限することがあるとしています。法令上の処分とは別に、配信の停止や差し戻しにつながる点も押さえておきましょう。

出典:Google「マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー(禁止または制限されているコンテンツ)」、Meta「広告規定の紹介」

口コミ収集ツール・代行サービスを使うときの確認点

「口コミツールはステマにならないか」は、ツールの名前ではなく運用の設計で決まります。運用基準は、事業者から委託を受けた仲介事業者のやり取りも、事業者側の関与として扱っています(第2・2(1)オ)。

  • 投稿の依頼文で、評価や感想の中身を指定していないか
  • 高評価の人だけを投稿画面に誘導する仕組みになっていないか
  • 謝礼が「割引程度」を超えていないか
  • 集めた口コミをLPで使うとき、抜き出し方を恣意的にしていないか
  • 代行業者が投稿者とどんなやり取りをしているか、記録で確認できるか

PR表記はどこに書く?SNS・動画・アフィリエイトの書き方

事業者の表示に当たる投稿では、広告であることを明瞭に示します。運用基準は、分かりにくい表示の例を具体的に挙げています(第3・1)。

NG例 なぜNGか 言い換えの方向性
30個のハッシュタグの末尾に「#PR」 大量のハッシュタグに埋もれる(第3・1(2)ク) 本文の冒頭に「PR」「広告」と書く
本文に書かず、ツリー(リプライ)に「広告」 通常、気づかれないおそれがある(Q14) 投稿本文に表示する
冒頭は「広告」、文中で「第三者として正直な感想です」 広告かどうかが分かりにくい(第3・1(2)イ) 「○○社から依頼を受けて投稿しています」で統一
動画の冒頭数秒だけ「PR」 途中から見た人が気づかない(Q15) 画面上に常に「広告」等を表示する
周りより小さい・薄い色の「PR」 認識しにくい(第3・1(2)カ・キ) 本文と同等以上の大きさとコントラストにする
従業員アカウントで「私は○○社の社員です」だけ 所属だけでは明瞭とは限らない(Q12) 「自社商品の宣伝です」「広告」と明記

どの例も、「PR」の文字があるかではなく、見た人が広告だと気づけるかで判断されます。位置・大きさ・本文との矛盾の3点を、投稿前に確認しましょう。

SNS投稿(X・Instagram・TikTok)

投稿本文の冒頭か、すぐ目に入る位置に「PR」「広告」と書きます。「○○社から商品の提供を受けて投稿しています」と関係性を書く方法も有効です。

X風の投稿でPR表記がハッシュタグ末尾に埋もれたNG例と、冒頭に依頼関係を書いたOK例を比べた図

Instagramのストーリーズのように一瞬で消える形式では、文字の大きさと背景とのコントラストにも注意します。

Instagramのフィード投稿とストーリーズで、PR表記の位置・文字の大きさ・コントラストを確認する例

動画・ライブ配信

途中から見る人もいるため、冒頭だけの表示では見逃されるおそれがあります。画面上に常に「広告」と表示するなど、動画全体で分かる形が望ましいとされています(Q&A Q15)。概要欄だけの表示も避けましょう。

アフィリエイト記事・比較サイト

サイト冒頭に「このサイトはアフィリエイト広告を利用しています」と書いても、文字の大きさや色によっては不十分です(Q&A Q13)。

専門家コメントのように「客観的な意見」に見える部分が依頼によるものなら、その近くにも表示が必要です。例えば「○○社から○○先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています」と書きます。

複数の商品を比べるアフィリエイトサイトは、サイト自体が広告と明瞭なら、商品ごとに個別の表示は不要です(運用基準第3・1(1)イ注)。

アフィリエイトの比較記事で、記事冒頭の広告表記に加え、ランキングや口コミ欄の近くにも関係性を表示する例

アフィリエイト広告は、薬機法など他の法令の確認も必要です。医薬品・化粧品の表現は薬機法とアフィリエイト・SNS広告をご覧ください。

ステマ規制に違反するとどうなる?措置命令・課徴金・罰則

ステマ告示に違反すると、措置命令の対象になります。課徴金と刑事罰の扱いは、優良誤認・有利誤認と異なります。

処分・手続 ステマ告示違反の場合 根拠
措置命令 誤認の排除、再発防止策、同様の表示の禁止などを命じられ、公表される 景品表示法第7条第1項、Q&A Q2
指導 違反のおそれがある段階で行政指導を受ける Q&A Q2
課徴金 ステマ告示(第5条第3号)は対象外。同じ表示に優良誤認・有利誤認があれば、そちらは対象になり得る 第8条第1項、Q&A Q2
刑事罰 ステマ告示違反そのものに直接の罰則はない。措置命令に違反すると2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法人は3億円以下の罰金) 第46条・第49条
確約手続 確約計画(是正措置計画・影響是正措置計画)が認定されると、その行為には措置命令・課徴金の規定が適用されない。認定が取り消された場合を除く(2024年10月1日施行) 第26条〜第33条(効果は第28条・第32条)

課徴金は、優良誤認・有利誤認の対象商品の売上額の3%です。また優良誤認・有利誤認には、2024年10月1日から直罰(100万円以下の罰金、第48条)も設けられました。ステマと同時に、効果や価格の表示も確認する必要があります。

措置命令は消費者庁だけでなく、都道府県も出しています。東京都は2025年3月、地方自治体で初めてステマ告示を含む措置命令を出しました。

告示の施行前に投稿されたものでも、施行後も表示が続いていれば対象になり得ます(Q&A Q20)。過去の依頼投稿や、LPに残る転載も棚卸ししましょう。

出典:e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」、消費者庁「令和5年改正景品表示法(概要)」(PDF)、東京都「景品表示法に基づく措置命令」(ステルスマーケティング告示に該当する広告に対する措置命令は地方自治体で初、2025年3月28日)

措置命令の事例に共通する3つのパターン

消費者庁は2024年6月以降、ステマ告示に基づく措置命令を続けて公表しています。代表的な事案を見ると、次の3パターンに集約できます。

  1. 評価を条件にした口コミ(★5・高評価を条件に特典を出す)
  2. 依頼投稿の転載(依頼した投稿を、自社サイトやモールの店舗ページに第三者の声として載せる)
  3. 他の不当表示との併発(ステマとあわせて、優良誤認などの表示も指摘される)

措置命令事例から見る注意領域として、口コミ投稿・インフルエンサー投稿・自社サイト転載・アフィリエイト広告の4つを並べた図

公表日 事業者(処分) 問題とされた表示 パターン
2024年6月7日 医療法人社団祐真会(措置命令) Googleマップで★5または★4の投稿を条件に、ワクチン接種費用を割り引いた口コミ 評価を条件にした口コミ
2024年8月9日 RIZAP株式会社(措置命令。優良誤認とあわせて) 対価を払って依頼したInstagram投稿を、自社サイトの「お客様の声」等に抜粋 依頼投稿の転載/他の不当表示との併発
2025年3月25日 ロート製薬株式会社(措置命令) モニター募集サイト経由で無償提供し、方針に沿った投稿を依頼。投稿画像を自社サイトに「“わたしも”使っています from Instagram」と掲載 依頼投稿の転載
2026年6月29日 高光製薬株式会社(措置命令) 募集した第三者に無償提供して投稿を依頼し、画像を自社サイトや楽天市場・Yahoo!ショッピングの店舗ページに「SNSでも大人気!」として掲載 依頼投稿の転載

共通するのは、依頼や対価の事実を表示しないまま、第三者の自然な声に見せた点です。投稿を依頼する段階だけでなく、LPやモールの商品ページに二次利用する段階でも確認が必要です。

事案の詳細と、そのほかの措置命令の一覧はステマ規制の違反事例まとめで解説しています。

出典:消費者庁「医療法人社団祐真会に対する景品表示法に基づく措置命令について」、同「RIZAP株式会社に対する…」、同「ロート製薬株式会社に対する…」、同「高光製薬株式会社に対する…」、同「株式会社LAVA Internationalから申請があった確約計画の認定について」

ステマ規制とあわせて確認したい表示

PR表記が正しくても、表示の中身が別の規制に触れることがあります。措置命令でも、ステマと優良誤認・有利誤認が同時に指摘された事案があります。

表示例 関係する規制 確認すること
「満足度98%」「No.1」「ランキング1位」 優良誤認・有利誤認 調査対象・方法・時期を示せるか
「本日限定」「先着100名」 有利誤認 実際に期間・数量の限定があるか
「シミが消える」「痩せる」 薬機法・健康増進法・優良誤認 商品区分と承認・届出の範囲内か
ビフォーアフター写真・体験談 優良誤認・薬機法 効果を保証する印象になっていないか

No.1表示や価格表示の考え方は、景表法ガイドラインの解説で詳しく整理しています。景品表示法の全体像は景品表示法とは?をご覧ください。

社内で使えるステマ規制チェックリスト

確認項目 チェック内容 主な担当
依頼関係 投稿者に依頼・商品提供・報酬・割引・招待をしていないか マーケティング・代理店
投稿条件 投稿文・評価・ハッシュタグ・画像を指定していないか マーケティング
口コミ施策 ★5や推奨コメントを条件にしていないか。高評価の人だけに案内していないか マーケティング・CS
PR表記 本文冒頭など目に入る位置に、十分な大きさで「PR」「広告」等があるか 制作・法務
動画 動画全体を通して広告と分かるか。概要欄だけになっていないか 制作
転載・二次利用 依頼投稿を「お客様の声」等として載せていないか。抜き出し方は恣意的でないか 制作・法務
従業員の投稿 販促担当者の投稿に「広告」等の表示があるか 人事・広報
表示の中身 No.1・効果・価格・限定表示に根拠があるか。薬機法の範囲内か 法務・品質保証
記録 依頼文・契約書・投稿確認・修正依頼・掲載許諾を保存しているか マーケティング・代理店
過去施策 施行前の依頼投稿や古いLPの転載が残っていないか マーケティング

景品表示法第22条は、事業者に表示を管理する体制づくりを義務づけています。消費者庁の指針も参考に、依頼文のテンプレート、媒体別のPR表記ルール、転載時の承認フローを決めておきましょう。

投稿やLPの数が多い場合は、AIでリスク箇所を先に洗い出し、人が最終判断する分担も有効です。景表法のAIチェックの使いどころは景表法AIチェックとはで紹介しています。

出典:消費者庁「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」(PDF)

よくある質問

Q. ステマ規制はいつから始まりましたか?

2023年10月1日に施行されました。告示は2023年3月28日です。施行前の投稿でも、施行後に表示が続いていれば対象になり得ます。

Q. 「PR」と書けば必ず問題ありませんか?

必ずとは言えません。小さすぎる、ハッシュタグに埋もれている、本文と矛盾する文言があるなど、表示全体で分かりにくければ不十分です。

Q. インフルエンサーに商品を無償提供しただけでもステマになりますか?

提供だけで直ちに違反とはなりません。ただし特定の人を選んで提供すると、やり取りや取引関係によっては事業者の表示になります(Q&A Q5)。投稿してもらう場合は、提供を受けた旨を書いてもらうと誤解を防げます。

Q. レビュー投稿でクーポンを渡すのはステマですか?

内容を指示しなければ、通常は事業者の表示に当たりません(Q&A Q7)。★5や好意的なコメントを条件にすると、事業者の表示になります。

Q. Google口コミに特典を付けるのは違法ですか?

割引程度の特典で、口コミの内容を指定しない場合は、景品表示法上は通常ステマに当たらないとされています(Q&A Q6)。ただしGoogleマップのポリシーは、口コミと引き換えのインセンティブ提供を禁止しています。法律と規約は分けて確認しましょう。

Q. ステマ規制に違反すると罰金や課徴金はありますか?

ステマ告示違反は措置命令の対象で、課徴金の対象外です。直接の罰則もありません。ただし措置命令に違反すると刑事罰があります。同じ表示に優良誤認・有利誤認があれば、課徴金や直罰の対象になり得ます。

Q. 広告代理店に任せていれば、広告主は責任を負いませんか?

負います。景品表示法の表示規制の対象は、商品を供給する広告主です。表示内容の決定を代理店にゆだねた場合も、広告主が決定に関与したことになります(消費者庁「表示に関するQ&A」Q2・Q3)。代理店やASPとルールを共有し、確認の記録を残しましょう。

Q. 従業員が個人のSNSで自社商品を紹介するのは大丈夫ですか?

販売・開発の担当者などが販促目的で投稿すると、事業者の表示になります。その場合は「広告」等の表示が必要で、所属を書くだけでは足りないことがあります(Q&A Q3・Q12)。

まとめ|ステマ規制は「関与の有無」と「表示の分かりやすさ」で決まる

  • ステマ規制は景品表示法第5条第3号の告示で、2023年10月1日施行。対象は広告主
  • 判断は「事業者が表示内容に関与したか」と「広告だと明瞭か」の2点
  • 口コミは、投稿を頼むだけなら通常対象外。★5や推奨コメントを条件にすると事業者の表示
  • 依頼投稿を「お客様の声」として転載するのは、措置命令で繰り返し問題になっているパターン
  • PR表記は本文冒頭など目に入る位置に。動画は全体を通して表示する
  • 違反は措置命令の対象。課徴金はないが、優良誤認・有利誤認との併発に注意

実際の該当性は、依頼の経緯、対価、表示全体の見え方によって個別に判断されます。判断に迷う施策は、消費者庁の相談窓口や専門家への確認も検討しましょう。

SNS投稿やLPの転載表示を、公開前にまとめて確認しませんか?

ステマ規制の確認は、PR表記の有無だけでは終わりません。転載した口コミの見せ方や、No.1・効果・価格の表示もあわせて確認が必要です。AIによる広告審査ツール「アドミル」は、景表法・薬機法の観点でリスク箇所を指摘し、言い換えの方向性を提案します。

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免責事項:本記事は2026年10月7日時点の公的資料に基づく一般的な情報提供であり、個別案件への法的助言ではありません。具体的な施策は最新の告示・運用基準・Q&Aを確認し、必要に応じて専門家にご相談ください。

参考資料