機能性表示食品の広告ルール|届出表示の範囲と適正広告自主基準のNG例

機能性表示食品の広告ルールと、届出表示の範囲・適正広告自主基準のNG例を解説する記事のアイキャッチ

最終更新日:2026年11月6日

機能性表示食品の広告で表現できるのは、消費者庁に届け出た機能性(届出表示)の範囲までです。届出表示を切り出して強める、対象者や条件を省く、国が認めたように見せる広告は、景品表示法・健康増進法の問題になり得ます。病気の治療・予防までうたえば、薬機法にも触れるおそれがあります。

本記事は、消費者庁の「事後チェック指針」と、業界4団体の適正広告自主基準(第4版、2026年5月28日)を主な資料にしています。NG例と言い換えの方向性、広告に入れたい表示、2024年以降の制度見直しを順に整理します。

機能性表示食品の広告ルール 早見表

確認すること 問題になりやすい広告の例 見直しの方向
届出表示の切り出し 届出は「血圧が高めの方の血圧を下げることを助ける機能」なのに「血圧が高めの方の血圧を下げる」と書く 補完用語(助ける・サポートなど)と対象者を残し、届出表示どおりに書く
対象者・条件 BMIが高めの人向けの機能を、誰にでも効くように見せる 対象者と条件(「運動とともに」など)を併記する
成分の機能か商品の機能か 成分の研究レビューで届け出たのに「この商品で体脂肪が燃える」と書く 「△△には…の機能があることが報告されています」と成分の機能として示す
機能性関与成分以外の成分 届け出ていない成分にも機能があるように強調する 配合の事実だけを書き、機能と結び付けない
国のお墨付き 「消費者庁認定」「国が認めた」、トクホと誤認させる見せ方 「機能性表示食品(届出番号○○)」と制度上の事実だけを書く
疾病の治療・予防 「肥満症を改善する」「白内障を改善する」 疾病名や医薬品の効能効果に使われる表現を避ける
グラフ・体験談・専門家 極端に切り詰めたグラフ、「個人の感想です」頼みの体験談 グラフは届出資料のものに限り、出典と試験条件を明記する。体験談・専門家のコメントも届出表示の範囲にとどめる

どの論点も、届出表示を超える印象を与えていないかを、広告全体で確かめるのが基本です。根拠と言い換えの考え方を、以下で順に説明します。

機能性表示食品とは(広告担当者が押さえる制度の要点)

機能性表示食品は、事業者が安全性と機能性の科学的根拠などを販売前に消費者庁長官へ届け出て、機能性を表示する食品です。トクホ(特定保健用食品)と異なり、国は個別の審査をしていません(消費者庁「機能性表示食品について」)。

対象は、病気にかかっていない人です。未成年者、妊産婦(妊娠を計画している人を含む)、授乳婦は除かれます。表示できるのは、機能性関与成分(機能の根拠となる成分)による健康の維持・増進に役立つ目的です。疾病リスクの低減は含みません(食品表示基準第2条第1項第10号)。

届出の期限は、販売開始の60日前まで(行政機関の休日は数えない)です。届出実績のない成分などで、確認に特に時間がかかると消費者庁長官が認めた場合は120日前までになります。

届け出た内容は、消費者庁の機能性表示食品の届出情報検索で誰でも確認できます。広告を作る前に、届出表示の原文、対象者、機能性関与成分、根拠の種類を確かめましょう。根拠の種類は、最終製品を使った臨床試験と、研究レビュー(既存の論文を網羅的に集めて評価する方法)です。研究レビューは、最終製品に関するものと機能性関与成分に関するものに分かれます(消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」)。トクホ・栄養機能食品との違いは「健康食品の広告規制」で整理しています。

機能性表示食品の広告で言えるのは「届出表示の範囲」まで

事後チェック指針:届出の範囲を逸脱すると問題になり得る

消費者庁は2020年3月24日、機能性表示食品の広告などの考え方を示す「事後チェック指針」を策定しました。正式名は「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針」です。

指針は、広告の内容が次の範囲にとどまる限り、各法令上問題となるおそれはないとしています。届出に関するガイドラインや、この指針などに沿い、客観的に実証された根拠に基づいて届け出た機能性の範囲です。反対に、届出された機能性の範囲を逸脱すると、各法令上問題となるおそれがあるとしています(第2の1)。

指針は、景品表示法の措置命令(違反の取りやめや再発防止を命じる行政処分)が、故意や過失がなくても命じられる点も挙げています。そのうえで、広告が同法に違反しないよう特に留意するよう求めています。

消費者庁の「機能性表示食品に関する質疑応答集」(2025年10月1日一部改正)の問8-1も同じ立場です。前述の届出の手引きには、科学的根拠の範囲を超えた広告・宣伝は不当表示や虚偽誇大広告に当たるおそれがある、との記載があります。問8-1は、その留意点として、2つの資料の参照を求めています。消費者庁の「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(以下、留意事項)と、事後チェック指針です。

判断は「広告全体の印象」で行われる

誤認されるかどうかは、特定の文言や写真だけでなく、広告全体から受ける印象で判断されます(指針 第2の4)。指針は、届出が「肥満気味の方の内臓脂肪を減らすのを助ける機能性がある。」の商品を例に挙げています。広告全体から、運動や食事制限なしに誰でも容易にお腹が痩せる印象を受ける場合は、景品表示法に違反するとしています。

さらに指針は、さまざまな要素で届出を超える効果を強く印象付けた広告にも触れています。隣に明瞭な打消し表示(強調した内容の条件や例外を知らせる注記)があっても、その印象を打ち消さないことがあり得るとしています。痩身訴求の具体例は「ダイエット広告の薬機法・景表法」で解説しています。

機能性表示食品の適正広告自主基準とは

「『機能性表示食品』適正広告自主基準」は、業界団体が作った広告の自主ルールです。法令ではありませんが、景品表示法の不実証広告規制の考え方や、食品表示基準を踏まえて作られています。不実証広告規制は、求められた根拠資料を示せない表示を不当表示とみなす仕組みです。

項目 内容
発行団体 一般社団法人健康食品産業協議会、公益財団法人日本健康・栄養食品協会、特定非営利活動法人日本抗加齢協会、公益社団法人日本通信販売協会
最新版 第4版(2026年5月28日)。第1版は2016年4月25日
対象者 機能性表示食品の届出者と販売者
主な内容 広告に記載を推奨する5項目、機能性表示の引用・切り出しの注意、グラフ・体験談・専門家の扱い、容器包装の表示の留意事項

自主基準は、広告を流す流通や媒体にも、届出者・販売者が自らの責任で適切な情報を提供するよう求めています。代理店やアフィリエイターが原稿を作る場合も、この基準を共有しておくと確認の目線がそろいます。

なお、名前は似ていますが、医薬品・化粧品などの広告に関する厚生労働省の通知「医薬品等適正広告基準」とは別のものです。

機能性表示食品の広告NG例と言い換え

ここでは、自主基準・事後チェック指針・留意事項が示す例をもとに、問題になりやすい型を5つに分けます。言い換えれば必ず適法になるわけではなく、表示全体で個別に判断される点に注意してください。

NG1:届出表示の一部を切り出して強調する

自主基準は、届出表示の一部だけを示すと、届出を超える機能を期待させるおそれがあるとしています。特に注意する場合として、次の4つを挙げています(6(2)2)ⅰ)。

  • 医薬品的な表現になる切り出し:届出が「血圧が高めの方の血圧を下げる機能」なのに、「血圧が高めの方の血圧を下げる」と切り出して強調する
  • 補完用語を省く切り出し:「血圧が高めの方の血圧を下げることを助ける機能」を「血圧が高めの方の血圧を下げる」と書く。「疲労感を軽減する機能」を「疲労を軽減する機能」と書く
  • 対象者・条件を省く切り出し:BMIが高めの人向けの機能や、運動とともに働く機能なのに、その条件に触れない
  • 範囲を広げる切り出し:「記憶力を維持する機能」を「認知機能維持!」と書く。作用の仕組み(「体重の減少」など)だけを強調する

なぜNGか:事後チェック指針は、届出表示の一部を切り出して強調すると、過大な効果があるように誤認させるおそれがあるとしています。その過大な効果まで届け出たものと誤認させるおそれもあります(第2の2(6))。容器包装では、届出表示の全文が別の場所にあっても誤認のおそれがあるとしています。

言い換えの方向:補完用語(サポート、助ける、役立つ、○○感など)や対象者・条件を残し、届出表示どおりに書くのが基本です。自主基準は、切り出すと医薬品的な表現になる場合、補完用語を付ければ回避できるとしています。

届出表示の切り出し・言い換えのNG例
✕ NG
血圧が高めの方の血圧を下げる
なぜNG:届出表示の「助ける」を省くと医薬品的な効能効果と誤認されるおそれ(自主基準の不適切例)
○ 言い換え
「血圧が高めの方の血圧を下げることを助ける」など、補完用語を残して届出表示どおりに書く
✕ NG
認知機能維持!
なぜNG:届出は「記憶力を維持する機能」に限られるのに、認知機能全体に広げて届出の範囲を超える
○ 言い換え
「記憶力(見聞きした言葉を覚え、思い出す力)を維持する」と届出の範囲で書く
✕ NG
△△(成分名)を含む○○(商品名)は体脂肪の燃焼を助け、スッキリしたボディラインを作ります
なぜNG:成分の研究レビューの届出なのに商品自体の機能のように見せ、届出を超える効果も示す
○ 言い換え
届出表示どおり「△△(成分名)には…の機能があることが報告されています」と成分の機能として書く
出典:「機能性表示食品」適正広告自主基準 第4版(健康食品産業協議会ほか3団体、2026年5月28日)6(2)

補完用語は、届出表示の範囲で表現するための言葉です。届け出ていない機能に付けても、届出の範囲を超えることに変わりはありません。

NG2:成分の機能を「商品の機能」のように見せる

機能性関与成分に関する研究レビューで届け出た商品の場合、根拠があるのは成分の機能です。留意事項は、次のような表示を虚偽誇大表示等のおそれがある例に挙げています(第4の1(2)ア)。

  • 届出表示:「本品には○○が含まれます。○○には、血中コレステロールを低下させる機能があることが報告されています。」
  • 広告:「コレステロールを下げる」

なぜNGか:届出表示の一部を省くことで、根拠のない「商品自体の機能」を示すことになるためです。

言い換えの方向:自主基準は、訴求する機能が成分の機能だと明示するよう求めています。「報告されています」を省く場合は、研究レビューが根拠だと示します(6(2)2)ⅱ)。最終製品の臨床試験で届け出た場合も、成分を含むことによる機能だと分かるようにします(同ⅲ)。

対象の省略にも注意が必要です。「健康な血圧をサポートする」とだけ書くと、血圧を下げる機能と上げる機能の両方があるように読めると、自主基準は指摘しています。「血圧が高めな方の健康な血圧をサポートする」と対象を残すのが適切な例です。

NG3:機能性関与成分以外の成分を強調する

留意事項は、機能性関与成分が「難消化性デキストリン」だけの商品の例を挙げています(第4の1(2)ア)。大豆イソフラボンも含むので機能があるように表示すると、虚偽誇大表示等のおそれがあるとしています。

なぜNGか:届け出ていない成分にも根拠があるように見えるためです。容器包装では、届け出た機能性関与成分以外の成分を含むことを強調する用語が、食品表示基準で禁止されています(第9条第1項第8号ロ)。指針も、広告で同じ強調をすると、その成分が機能性関与成分だと誤認させるおそれがあるとしています(第2の2(2)イ)。

言い換えの方向:自主基準は、配合の事実を書くことは差し支えないとしています。ただし、配合成分を機能の訴求と結び付けないよう求めています(6(2)4)⑦)。なお、2025年10月1日の改正で、成分を「添加していない」「含まない」といった表示の扱いが変わりました。一般の食品と同様に、容器包装に表示できるようになっています(消費者庁「これまでの食品表示基準の改正概要について」)。

NG4:国が認めた・トクホであるように見せる

なぜNGか:機能性表示食品は、国が審査して許可したものではないためです。国の評価・許可を受けたように見せる表示や、トクホと誤認させる表示は問題になり得ます(留意事項 第4の1(2)イ・ウ、指針 第2の5(2)(3))。

留意事項は「消費者庁承認」「○○省推薦」「○○政府機関も認めた」などを例に挙げています。「特定保健用食品ではありません」と書いても、それだけで問題ないとは直ちに判断されないとしています。

実際の処分もあります。消費者庁は2023年11月27日、機能性表示食品の表示に措置命令を出しました(公表資料)。自社サイトで「消費者庁が認定した機能性表示食品です。」と表示していました。運営を委ねたサイトでは「国が痩せると認めたサプリ」などと表示していましたが、国が認めた事実はありませんでした。

言い換えの方向:「機能性表示食品(届出番号○○)」のように、制度上の事実だけを書きます。安全性については、「届出により安全であることを確認」といった表現を、自主基準は不適切な例としています。届出資料にある試験の事実を書くのが適切な例です(6(2)4)②)。トクホや一般の食品と並べて広告するときは、線で区切るなどして区別を明確にします(6(4))。

NG5:グラフ・体験談・専門家のコメントで範囲を超える

事後チェック指針と自主基準は、広告の見せ方についても具体的な注意点を示しています。

  • グラフ・試験結果:届出資料のデータを使い、出典と試験条件(対象者・人数・摂取方法など)を示す。極端なトリミングや軸のスケール調整で、効果を大きく見せない。研究レビューの論文のグラフは、最終製品の試験ではないことと選んだ理由を示す(指針 第2の2(3)、自主基準 6(3))
  • 体験談:効果を保証する断定や、治療が要らないと思わせる内容は、範囲の逸脱になり得る。「個人の感想です」と添えても、体験談の効果の打消しにはならない(指針 第2の2(5)・第2の3)
  • 医師・専門家:推奨すること自体は直ちに問題ではない。内容が届出の範囲を超える場合や、疾病名を示して予防・治療効果を示す場合は問題になり得る(指針 第2の2(4))
  • No.1表示:「売上NO.1」などの根拠が極端に短い期間・限られた対象者・届出前の売上の合算によるのに、明瞭に書かないと問題になり得る(指針 第2の2(7))

なぜNGか:文言が届出表示どおりでも、見せ方によって、届出を超える効果や確実な効果があるように見えるためです。誤認されるかどうかは、広告全体の印象で判断されます(指針 第2の4)。

言い換えの方向:グラフは届出資料のものに限り、出典と試験条件を添えます。体験談は事実に基づく感想にとどめ、効果の保証や、医療が要らないと思わせる内容は載せません(自主基準 6(2)4)⑤)。医師・専門家のコメントは疾病名を出さず、効果や作用の説明を届出資料の範囲にとどめます(同⑥)。No.1表示は、根拠となる期間・対象・集計の範囲を明瞭に書き添えます。

体験談に添える注記の考え方は「打消し表示とは」で詳しく解説しています。

機能性表示食品の広告に入れたい表示(届出番号・注意書き)

自主基準は、機能性表示食品の広告に次の5項目を記載するよう推奨しています(6(1))。機能性を広告でうたわない場合は、各事業者の判断としています。

  1. 「機能性表示食品」である旨
  2. 機能性表示(届出表示)
  3. 「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」
  4. 国の許可を受けたものではない旨(例:「本品は、国による評価を受けたものではありません。」)
  5. 医薬品と異なり、疾病の診断・治療・予防を目的としたものではない旨、または医薬品ではない旨

スペースが限られる広告では、機能性表示を短縮・省略したり、キャッチコピーで代用したりすることも可能としています。ただし、その結果として著しく優良だと誤認されれば、景品表示法・健康増進法の問題になり得ます。新聞・雑誌・Webなど余裕のある広告では、原文で明瞭に書くことが望ましいとしています。

容器包装の表示は、食品表示基準で細かく決まっています(第3条第2項・別表第20)。広告と容器包装の違いは次のとおりです。

表示 容器包装(食品表示基準) 広告(自主基準)
「機能性表示食品」 主要面の上部に文字を枠で囲んで表示 記載を推奨
届出番号 「機能性表示食品」の表示の近くに表示 推奨5項目には含まれない
機能性(届出表示) 「機能性表示」の文字を冠して表示 届出資料に基づき正確に記載
国の評価を受けていない旨 定められた文言で表示(届け出た根拠を消費者庁のサイトで確認できる旨を含む) 「国の許可を受けたものではない」旨の記載を推奨
疾病の診断・治療・予防が目的ではない旨 表示 記載を推奨
食生活の文言 表示 記載を推奨

届出番号は広告の推奨5項目に入っていませんが、消費者が届出情報を確かめる手がかりになります。「機能性表示食品(届出番号○○)」と併記するのも一つの方法です。なお、届出を超える表現は、注意書きを添えても打ち消せないことがあります(指針 第2の4)。

機能性表示食品の広告と景表法・健康増進法・薬機法の関係

1つの広告に、複数の法律が重なってかかります。それぞれの役割は次のとおりです。

機能性表示食品の広告にかかるルール
景品表示法
届出の範囲を超える表示は優良誤認のおそれ。根拠資料を示せなければ不当表示とみなされる(第7条第2項)
健康増進法 第65条
健康保持増進効果等の著しい虚偽・誇大表示を禁止。「何人も」が対象
薬機法
病気の治療・予防などをうたうと、承認のない医薬品の広告(第68条)になるおそれ
食品表示法(食品表示基準)
容器包装の表示ルール。届出番号・注意書きの表示や、疾病の治療・予防効果などの表示禁止を定める
業界の適正広告自主基準
業界4団体の自主ルール(法令ではない)。届出表示の引用・切り出し方などを具体例で示す
出典:e-Gov法令検索(景品表示法・健康増進法・医薬品医療機器等法・食品表示基準)、消費者庁「事後チェック指針」

景品表示法と健康増進法は届出を超える効果の表示、薬機法は病気をうたう表示、食品表示法は容器包装を主に見ています。以下で要点を確認します。

景品表示法:届出の範囲を超えると優良誤認、根拠が問われる

景品表示法は、商品の品質などを実際より著しく優良に見せる表示(優良誤認表示)を禁止しています(第5条第1号)。消費者庁は、表示の裏付けとなる資料の提出を求めることができます。合理的な根拠を示せなければ、措置命令では優良誤認とみなされます(第7条第2項)。課徴金(売上額に応じて国に納めさせる金銭)の納付命令では、優良誤認と推定されます(第8条第3項)。仕組みは「不実証広告規制とは」で解説しています。

指針は、ガイドラインと指針に沿って客観的に実証された届出資料は、合理的な根拠を示す資料として評価されるとしています(第2の2(2)ア)。ただし、届出の範囲を逸脱した説明は問題になり得ます。届出の科学的根拠そのものが合理性を欠く場合も、問題となるおそれがあります(第2の5(4))。

2023年6月30日には、機能性表示食品2商品の表示に措置命令が出ました(公表資料)。自社サイトで「血圧をグーンと下げる」などと表示し、冊子や容器包装の表示も対象になりました。提出された資料は、合理的な根拠と認められませんでした。2025年3月19日には、計1億903万円の課徴金納付命令が出ています(公表資料)。

この措置命令を受け、消費者庁は2023年7月3日、同じ成分・同じ科学的根拠の他の届出88件について、届出者に回答を求めました。2025年2月28日時点で、88件すべてに撤回の申出がありました(消費者庁「機能性表示食品について」)。

課徴金は、原則として対象期間の売上額の3%です。過去10年以内に課徴金納付命令を受けた事業者が再び違反すると、4.5%になります(第8条第1項・第5項)。優良誤認表示には、措置命令を経ずに科される直罰(100万円以下の罰金)もあります(第48条)。措置命令に違反すると、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(第46条。法人は3億円以下、第49条)。

健康増進法:「何人も」虚偽誇大表示が禁止される

健康増進法第65条第1項は、食品の広告などで、健康保持増進効果等(健康の保持増進の効果など)の虚偽誇大表示を禁止しています(e-Gov法令検索)。対象は、著しく事実に相違する表示と、著しく人を誤認させる表示です。主語が「何人も」のため、広告主に限らず、代理店やアフィリエイターも対象になり得ます(留意事項 第3の3)。

国民の健康の保持増進や正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認められると、勧告の対象になります。正当な理由なく勧告に従わなければ、命令の対象になります。命令違反は、6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(第66条・第71条)。

薬機法:病気をうたうと医薬品とみなされるおそれ

医薬品に当たるかの判断基準は、厚生省(現・厚生労働省)の通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」が示しています。昭和46年の通知(薬発第476号)のため、46通知と呼ばれます。46通知は、届け出た表示内容を表示する機能性表示食品を、原則として医薬品と認識しないものと判断して差し支えないとしています。裏を返せば、届出を超えて病気の治療・予防などをうたうと、この扱いの外に出るおそれがあります。

承認を受けていない医薬品の名称や効能効果などの広告は、薬機法第68条で禁止されています(e-Gov法令検索)。違反は、2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその併科の対象です(第85条第5号)。

自主基準は「肥満症を改善する」「白内障を改善する」などを、薬機法の観点から不適切な例に挙げています。「疾病の治療ではない」と打消しを付けても、抵触は避けられないとしています(別添資料2)。

言い換えの方向:疾病名や、医薬品・医薬部外品の効能効果に使われる表現を避け、届出表示の文言(対象者・補完用語を含む)で書きます。

食品表示法:容器包装の表示ルール

容器包装の表示は、食品表示法に基づく食品表示基準に従う必要があります(食品表示法第5条)。表示事項を表示しない、または遵守事項を守らない場合は、指示・命令の対象です。命令に違反すると、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(第6条・第20条)。

食品表示基準第9条第1項第8号は、機能性表示食品の容器包装に表示してはならない用語を定めています。疾病の治療・予防効果をうたう用語や、消費者庁長官の評価・許可などを受けたと誤認させる用語などです。

機能性表示食品制度の見直し(2024〜2026年)と広告への影響

紅麹関連製品の事案を受け、2024年8月23日に食品表示基準が改正されました(令和6年内閣府令第71号)。その後の改正・通知も含め、主な日付と内容は次のとおりです(消費者庁「これまでの食品表示基準の改正概要について」)。

機能性表示食品制度の主な見直し
2024年9月1日
健康被害の情報提供を義務化
医師が食品に起因する(疑いを含む)と診断した健康被害の情報を、都道府県知事等と消費者庁長官に提供
2025年4月1日
毎年の自己点検と報告
遵守状況を毎年点検して報告。新規成分などは届出期限が販売の120日前までになる場合も
2025年10月1日
「含まない」等の表示が可能に
関与成分以外の成分を添加していない・含まない旨を、一般の食品と同様に容器包装へ表示できる
2026年8月31日
経過措置の期限
GMP(天然抽出物等を原材料とする錠剤・カプセル剤等が対象)と、容器包装の表示方法の見直しは、この日までに製造等された分まで従前の例によることができる
2026年10月1日
GMPの点検指針
天然抽出物等を原材料とする錠剤・カプセル剤等のGMPについて、消費者庁が届出者向けの点検指針を通知
出典:消費者庁「これまでの食品表示基準の改正概要について」、食品表示基準 附則(令和6年内閣府令第71号)、消費者庁 消食表第773号(2026年10月1日)

2024年9月1日から、健康被害の情報提供が届出者の義務になりました。医師が、その食品が原因(疑いを含む)と診断した健康被害の情報を集めます。発生・拡大のおそれがあれば都道府県知事等に速やかに提供し、消費者庁長官にも提供します(食品表示基準 別表第27)。

天然抽出物等を原材料とする錠剤・カプセル剤等には、GMP(製造管理・品質管理の基準)に沿った製造が求められます。このGMPと、容器包装の表示方法の見直しには、経過措置がありました。対象は2026年8月31日までに製造・加工・輸入されたものまでで、9月1日以降の分は改正後のルールによります。表示方法の見直しでは、国の評価を受けていない旨や、医薬品との相互作用などの注意喚起の書き方が具体的になっています。

広告担当者は、LPやバナーに載せている商品画像や注意書きが、現在のパッケージの表示と合っているかを確認しておきましょう。

機能性表示食品の広告 公開前チェックリスト

届出内容の確認

  • □ 届出情報検索で、届出表示の原文・対象者・機能性関与成分・根拠の種類を確認した
  • □ 広告の機能性表示は、原文どおりか、補完用語・対象者・条件を残している
  • □ 成分の研究レビューの届出では、成分の機能であることと「報告されている」旨を示している

表現

  • □ 届出表示を切り出して、医薬品的な表現や範囲を広げた表現にしていない
  • □ 機能性関与成分以外の成分を、機能と結び付けていない
  • □ 疾病名や、医薬品の効能効果に使われる表現がない
  • □ 「消費者庁認定」「国が認めた」など、国の許可やトクホと誤認させる表示がない
  • □ 画像・イラスト・見出しを含む広告全体で、届出を超える効果の印象を与えていない

見せ方と表示

  • □ グラフは届出資料のもので、出典と試験条件を明記し、極端なトリミングをしていない
  • □ 体験談・医師のコメント・No.1表示が、届出の範囲と根拠の範囲に収まっている
  • □ 自主基準の推奨5項目(機能性表示食品である旨、国の許可を受けていない旨など)を入れた
  • □ 商品画像や注意書きが、現在の容器包装の表示と合っている
  • □ 代理店・アフィリエイターの制作物も、公開前に確認する体制がある

確認項目が多く、LP・バナー・動画まで目視だけで確認すると漏れが出やすくなります。一次チェックにAIツールを使う方法もあります。アドミルは、広告のテキストや画像、LPを薬機法・景品表示法の観点からAIで審査するツールです。NGになり得る表現と理由、代替案を示します。仕組みは「薬機法チェックツールとは」で紹介しています。届出表示との照合と最終判断は、届出情報を見ながら行いましょう。

よくある質問

Q. 機能性表示食品の広告に届出番号は必要ですか?

届出番号の表示が食品表示基準で定められているのは、容器包装です。自主基準が広告に記載を推奨する5項目にも、届出番号は入っていません。ただし、「機能性表示食品(届出番号○○)」と書くと、消費者が届出情報を確かめやすくなります。

Q. 「サポート」「助ける」を付ければ、どんな機能も書けますか?

書けるのは届出表示の範囲までです。補完用語は、届出表示を切り出したときに医薬品的な表現になるのを避けるため、自主基準が示している言葉です。届け出ていない機能に付けても、範囲は広がりません。届出表示に含まれる補完用語を省くことも、自主基準では不適切な例とされています。

Q. 届出表示の文言をそのまま使えば、広告は問題ありませんか?

届出表示どおりに書くことは前提ですが、それだけでは判断できません。画像・体験談・見出しなどを含む広告全体で、届出を超える効果の印象を与えれば問題になり得ます(事後チェック指針 第2の4)。

Q. 「個人の感想です」と書けば体験談を載せられますか?

事実に基づく感想を載せること自体は、自主基準でも差し支えないとされています。ただし、「個人の感想です」と添えても、体験談で示された効果を打ち消す効果は認められません。体験談の内容が届出の範囲を超えていないかを確認する必要があります(事後チェック指針 第2の3)。

Q. 販売店やアフィリエイターも対象になりますか?

自主基準の対象者は、届出者と販売者です。健康増進法第65条は「何人も」と定めているため、代理店やアフィリエイターも対象になり得ます。景品表示法では、運営を外部に委ねたサイトの表示も含めて、広告主が措置命令を受けた例があります(前述の2023年11月27日の措置命令)。

Q. 機能性表示食品とトクホの広告の違いは何ですか?

トクホは、商品ごとに国が審査して表示を許可した食品です。機能性表示食品には国の個別審査がないため、トクホや国の許可を受けたものと誤認させる表示は問題になり得ます。どちらも、許可・届出の範囲を超えた広告が問題になる点は同じです。

まとめ

  • 機能性表示食品の広告で表現できるのは、届出表示の範囲まで
  • 届出表示の切り出し、補完用語・対象者・条件の省略、成分の機能を商品の機能に見せる表示に注意する
  • 「消費者庁認定」「国が認めた」などの表示には、措置命令が出た例がある
  • 広告には、機能性表示食品である旨や国の許可を受けていない旨など、5項目の記載が推奨されている(自主基準)
  • 景品表示法・健康増進法・薬機法・食品表示法が重ねてかかる
  • 2024年からの制度見直しで、健康被害の情報提供が義務化された。GMPと表示方法の経過措置は、2026年8月31日までに製造等されたものまで

適否は、届出内容と広告全体の印象で個別に判断されます。迷う表現は、消費者庁や都道府県の窓口への相談も検討してください。

参考資料

本記事は2026年10月29日時点の公的資料と業界団体の公表資料に基づきます。個別の表示の適否は、商品区分・届出内容・表示全体の印象で判断が分かれるため、必要に応じて専門家や所管の窓口に確認してください。


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