医薬品等適正広告基準とは?14項目の要点と化粧品・医薬部外品広告での読み方

医薬品等適正広告基準とは?14項目の要点と化粧品・医薬部外品広告での読み方(アドミルブログ)

最終更新日:2026年11月5日

医薬品等適正広告基準は、薬機法の広告規制(第66条〜第68条)を運用するために厚生労働省が示した通知です。法律ではありませんが、都道府県などが広告を監視指導するときのよりどころになります。医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の、すべての媒体の広告が対象です。

中心は「第4(基準)」の14項目です。第4の1〜3(名称・製造方法・効能効果等)は第66条第1項の解釈、4〜14は広告の適正を図るために守るべき事項とされています。化粧品は厚労省の通知が定める56の効能の範囲、医薬部外品は承認を受けた効能効果の範囲を超えないことが出発点です。本記事では、14項目の要点と化粧品・医薬部外品の広告での読み方を、厚労省の通知とその解説をもとに整理します。

医薬品等適正広告基準の14項目 早見表

第4の項目 主な内容 該当する例(解説・Q&Aから)
1 名称関係 承認・届出を受けた名称以外を使わない。愛称は医薬部外品・化粧品・医療機器に限り条件付きで可(医薬品・再生医療等製品は不可) 販売名を示さずに愛称だけを使う(医薬部外品など)
2 製造方法関係 製造方法の偽りや、優秀性を誤認させる表現をしない 「最高の技術」「最先端の製造方法」
3 効能効果、性能及び安全性関係 効能効果の範囲、成分、用法用量、保証・最大級の表現、速効性など8項目 「根治」「副作用の心配はない」「最高のききめ」「すぐ効く」
4 過量消費又は乱用助長 使いすぎや乱用を促す広告をしない 子どもが自分で医薬品を手に取る場面、医薬品のまとめ買いでの過度な値引き
5 医療用医薬品等の広告の制限 医療用医薬品などは一般人向けに広告しない 医療用医薬品の一般向け広告
6 一般向広告における効能効果の制限 医師の治療が必要な病気が、自分で治るかのような表現をしない 「糖尿病」「高血圧」などの病名を挙げる
7 習慣性医薬品 習慣性がある旨を付記・付言する(文字や音声で書き添える) (対象)厚生労働大臣が指定する医療用医薬品
8 使用及び取扱い上の注意 注意が必要な品目は、注意事項などを付記・付言する (付記が必要な品目)染毛剤・パーマネント・ウェーブ用剤など
9 他社の製品の誹謗 他社製品をけなす広告をしない 「他社の口紅は流行おくれのものばかりである。」
10 医薬関係者等の推せん 医師・美容師・病院・大学・官公庁などの推せんや公認を広告しない 「○○大学との共同研究」「厚生労働省認可」
11 懸賞、賞品等 射こう心をあおる懸賞や、医薬品を賞品にする広告をしない 容器と引き換えに医薬品を渡す
12 不快、迷惑、不安又は恐怖 不安や恐怖をあおる表現をしない。メール広告の方法も定める 「あなたはすでに○○病です」
13 テレビ・ラジオの提供番組 番組の出演者が、製品の効能などに触れない 提供番組の中で出演者が効能を語る
14 医薬品の化粧品的用法等 医薬品の化粧品的・食品的用法や、医療機器の美容・健康器具的用法を強調しない バイブレーターなどを痩身目的に使う用法の強調

右の列は、厚労省の解説やQ&Aが挙げる例です。化粧品・医薬部外品ではとくに3・9・10が関係し、NG表現と言い換えの方向性は後半の節で整理します。

医薬品等適正広告基準とは?法律ではなく厚労省の通知

医薬品等適正広告基準は、次の2つの通知で示されています。

通知とは、行政機関が都道府県などに法令の運用を示す文書です。どちらも都道府県などにあてた通知で、関係業者や団体への周知を求めています。以下、基準本体を「基準」、解説の通知を「解説」と呼びます。

薬機法第66条〜第68条との関係

薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。広告については、次の3つの条文があります(e-Gov法令検索)。

  • 第66条:虚偽・誇大広告の禁止。医師などが効能を保証したと誤解されるおそれのある広告も含む
  • 第67条:がんなど特殊疾病に使う医薬品・再生医療等製品の広告の制限
  • 第68条:承認前の医薬品・医療機器・再生医療等製品の広告の禁止

解説は、基準の第4の1〜3を「第66条第1項の解釈」、4以降を「遵守すべき事項」と位置づけています(解説の2(1))。条文の概要は「薬機法とは」で、広告に当たるかの3要件と各条文の違いは「薬機法とアフィリエイト・SNS広告」で解説しています。

医薬品等適正広告基準の位置づけ
薬機法 第66条〜第68条(法律)
虚偽・誇大広告、特殊疾病用医薬品等の広告、承認前の広告を規制。違反の内容に応じて措置命令・課徴金・罰則の対象
医薬品等適正広告基準(局長通知)
第4の1〜3は第66条第1項の解釈。4〜14は広告の適正を図るために守るべき事項
解説及び留意事項等(課長通知)
項目ごとの具体例と運用上の注意。文面だけで形式的に判断せず、広告全体から総合的に判断するとしている
業界団体の自主基準
例:日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」。化粧品等の表現例を補うもので、法令・通知そのものではない
出典:厚生労働省「医薬品等適正広告基準の改正について」「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」、e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、京都府掲載の日本化粧品工業会 講習資料

基準と解説は、行政が法律を解釈・運用するときの指針です。業界団体の自主基準は、その下で化粧品などの表現例を補う位置づけと考えると整理しやすくなります。

対象は医薬品等の5区分・すべての媒体(第1・第2)

基準の目的は、医薬品等の広告が虚偽・誇大にならないようにし、適正を図ることです(第1)。対象は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の5区分です。

媒体も問いません。新聞・雑誌・テレビ・ラジオのほか、ウェブサイトやSNSなど、すべての媒体の広告が対象です(第2)。解説は、媒体の多様化を踏まえ、媒体を問わず適用することを明示したものとしています。

医療機器の広告にも基準は及びます。解説は、家庭用電気治療器などに「安全です、安心してお使いください。」と漠然と書く表現を問題にしています(第4の3(5))。

広告を行う者の責務(第3)と「全体で判断する」原則

第3は、広告を行う者に、正確な情報の伝達と、医薬品等の品位を損なわない広告を求めています。解説は、ふざけたものや性的表現などで信用を損なう広告を避けるよう求めています。誇張しすぎたアニメーションや語呂合わせにも注意を促しています。

運用の前提として、解説は冒頭で次の2点を示しています。

  • 違反広告に当たるかは、解説の事例や文面だけで形式的に判断しない。媒体の性質、広告全体の構成、文脈なども総合的に考慮する(解説の1)
  • 医薬関係者向けか一般人向けか、医薬品広告か化粧品広告かなど、広告の性格の違いを考え、画一的な扱いを避ける(解説の2(2))

例示された言葉を避けるだけでは足りず、広告全体の印象まで確認する必要がある、ということです。

医薬品等適正広告基準の最新版は?平成29年の全面改正

現行の基準は、平成29年(2017年)9月29日に全面改正されたものです。それ以前の基準は、昭和55年(1980年)10月9日の厚生省薬務局長通知です。平成14年(2002年)3月28日の改正を経ていました。全面改正にあわせて、旧通知は廃止されています。

改正は、広告を巡る環境の変化を受け、一般用医薬品と指定医薬部外品に関する部分を中心に見直したものです。解説も同じ日に新しくなり、昭和55年の監視指導課長通知は廃止されました。

厚労省の「医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)」は、この改正で使用前・後の写真等が使えるようになったとしています(Q2)。ただし、承認等の範囲外の効能を思わせるものや、安全性の保証になるものなどは除かれます。

2026年10月29日時点で、厚労省の「医薬品等の広告規制について」に載っている基準と解説は、この平成29年の2本です。関連して、次の資料も公表されています。

  • 「医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)」(平成30年8月8日 事務連絡):使用前・後の写真や「大学との共同研究」の扱い
  • 「化粧品における特定成分の特記表示について」(令和7年3月10日 医薬監麻発0310第3号):化粧品で特定の成分を表示する場合(特記表示)の扱い

第4の1〜3:名称・製造方法・効能効果等(第66条第1項の解釈)

第4の1〜3は、名称・製造方法・効能効果について、広告で表現できる範囲を示しています。解説には、化粧品・医薬部外品だけに向けた留意事項も、品目ごとの見出しで分けて書かれています。

第4の1 名称関係:販売名と愛称

承認や届出を受けた名称(販売名)や一般的名称以外の名称は、原則として使えません。販売名そのものも、製造方法・効能効果・安全性について事実と違う認識を与えるものであってはなりません。

化粧品・医薬部外品で押さえたい点は次のとおりです(解説 第4の1)。

  • 愛称:医薬品・再生医療等製品は使えない。医薬部外品・化粧品・医療機器は、製品の同一性を誤認させない範囲で使える。ただし、販売名に使えない言葉は愛称にも使えない
  • 愛称を広告に使うときは、販売名などを付記(文字で書き添える)または付言(音声で言い添える)する。この付記・付言は化粧品を除く
  • 略称:ブランド名など販売名の共通部分だけを使うときは、販売名を付記・付言する
  • 漢字の名称で承認等を受けた製品(医薬部外品など)は、名称を仮名やアルファベットに置き換えない(ふりがなやアルファベットの併記は可)

第4の2 製造方法関係:「最高の技術」は使えない

実際と異なる製造方法や、優秀性を誤認させる表現は禁止です。解説は「最高の技術」「最先端の製造方法」「理想的な製造方法」「家伝の秘法により作られた…」などを、認められない例に挙げています。

製造部門や研究部門を広告の題材にすることは、条件付きで差し支えないとされています。事実であり、優秀性や他社との比較で誤認を与えない場合です。研究内容は、事実を正確に、強調せずに表現します。事実である特許の表示は、第4の10(推せん)で扱われます。

第4の3(1)(2) 効能効果の範囲:医薬部外品は承認、化粧品は56効能

承認等が必要な医薬品等は、承認等を受けた効能効果の範囲を超えて表現できません。明示か暗示かは問いません(第4の3(1))。承認を要しない化粧品は、平成23年の局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」の範囲を超えられません(第4の3(2))。

医薬部外品は、原則として品目ごとに承認を受けます(薬機法第14条第1項)。解説が示す主な注意点は次のとおりです。

  • しばり表現(承認された効能効果に付いた条件や限定)は省略しない。しばりの部分も、ほかの部分と同じくらい伝わる方法で書く
  • 「○○を防ぐ」で承認された製品を、単に「○○に」と表現しない(承認された効能効果が明瞭に別記されている場合を除く)
  • 化粧品などと同じ紙面で広告するときは、「医薬部外品」である旨を明記する
  • 薬用化粧品(化粧品的な医薬部外品)は、条件を満たせば化粧品の効能表現も使える。条件は、医薬部外品であることを隠さない、承認された効能のように見せないなど

化粧品は、56の効能の範囲で広告します。56効能の一覧と言い換えは「化粧品広告の薬機法NG表現と言い換え一覧」にまとめています。解説が示す化粧品の注意点は次のとおりです。

  • 「化粧くずれを防ぐ」「小じわを目立たなく見せる」などのメーキャップ効果は、事実に反しない限り表現できる。「清涼感を与える」などの使用感も同様。基礎化粧品でも、事実であれば表現できる
  • 化粧品の多くは、薬理作用(成分が体の働きに作用して効果を出すこと)で効能が認められたものではない。そのため、56効能以外の薬理作用による効能効果は表現できない
  • 数種の化粧品を1つの広告で扱うときは、それぞれの効能の範囲を超えない
化粧品と医薬部外品で書ける効能効果の範囲
化粧品
承認を要しないもの(第4の3(2))
・56の効能の範囲を超えない
・薬理作用による効能効果は表現できない
・メーキャップ効果・使用感は事実なら可
・特定成分は配合目的を併記する
医薬部外品
原則として品目ごとに承認(第4の3(1))
・承認された効能効果の範囲を超えない
・しばり表現を省略しない
・「○○を防ぐ」を「○○に」と縮めない
・薬用化粧品は条件付きで化粧品の効能も可
出典:厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」第4の3、同「化粧品における特定成分の特記表示について」(令和7年3月10日)

同じ「肌」の商品でも、化粧品か医薬部外品かで書ける範囲が変わります。広告を作る前に、商品区分と承認・届出の内容を確かめましょう。

第4の3(3) 成分の表現:特記表示と「無添加」

成分や分量について、虚偽や不正確な表現で効能や安全性を誤認させてはいけません。解説は「高貴薬配合」「デラックス処方」などを、認めない例に挙げています。「天然成分を使用しているので副作用がない」といった表現も同様です。

化粧品・医薬部外品では、次の2点がよく問題になります。

  • 特記表示(配合成分のうち、特定の成分を表示すること):化粧品では、その成分が有効成分のように誤解されるため原則として認められません。令和7年の通知は、配合目的を必ず併記するなど、留意事項とQ&Aに沿う場合に限り認めるとしています。広告の本文中で成分名に触れるだけでも、特記表示に当たります(同通知のQ&A 4)。配合成分をすべて同等に表示する場合は、特記表示に当たりません(Q&A 2)。同通知は、配合目的のない「アロエエキスを配合した化粧水です」を不可としています。「うるおい成分コラーゲンを配合」は差し支えないとしています
  • 未配合(無添加)の表現:「肌のトラブルの原因になりがちな指定成分・香料を含有していない」は不正確とされます。「指定成分、香料を含有していない」旨にとどめ、「100%無添加」「100%ピュア」のように必要以上に強調しないこととされています

医薬部外品でも、承認を受けた有効成分以外の成分の特記表示は、化粧品に準じます(同通知のQ&A 7)。成分名に「薬」の字を含むもの(「生薬エキス」など)や「漢方成分抽出物」は、特記表示が認められない例とされています。

第4の3(4) 用法用量:併用をすすめる表現

承認等の範囲や、医学・薬学上認められた範囲を超える用法用量で、効能や安全性を誤認させてはいけません。解説は、併用に関する表現を原則として認めていません。ただし、化粧品などを順番に使うことの表現は差し支えないとされています。

このほか、「いくら飲んでも副作用がない」「使用法を問わず安全である」といった表現も認められません。複数の用法用量があるのに、1つだけを強調することも避けます。

第4の3(5) 保証表現:使用前後の写真・体験談・臨床データ

効能効果や安全性を具体的に挙げ、それが確実だと保証する表現は禁止です(第4の3(5))。解説は「根治」「全快する」「安全性は確認済み」「副作用の心配はない」などを例に挙げ、明示・暗示を問わず認めないとしています。

化粧品・医薬部外品の広告で特に関係するのは、次の点です。

  • 使用前・後の写真や図:承認外の効能を思わせるもの、効果の出る時間や持続時間を保証するもの、安全性を保証するものは認められない
  • 体験談:愛用者の感謝の言葉や「私も使っています。」といった体験談的な広告は、原則として行わない。例外は、化粧品などの使用感を説明する場合と、タレントが単に製品を説明・呈示する場合。使用感だけを特に強調するのも避ける
  • 臨床データ・実験例:一般向けの広告では、かえって誤解を与えるおそれがあるため、原則として示さない
  • 「刺激が少ない」など:安全性を誤認させるおそれがあるため使わない。低刺激性などが立証され、安全性を強調しない場合は例外とされる
  • 歴史:「創業○○年」は差し支えない。ただし「○○年の歴史を持っているから良く効く」のように、効き目や安全性の保証に結びつけない

厚労省のQ&Aは、使用前・後の写真などについて、具体的な事例で判断を示しています(Q1・Q2)。

事例 Q&Aの判断
化粧品の染毛料・医薬部外品の染毛剤で、使用前・後の色を対比する 原則、差し支えない
洗浄料(薬用化粧品など)で、汚れた肌と洗浄後の肌の写真を使う 原則、差し支えない
シャンプー(化粧品)で、フケがある頭皮と使用後の頭皮の写真を使う 原則、差し支えない
「メラニンの生成を抑え、シミ、ソバカスを防ぐ」薬用化粧品で、使用後に紫外線を浴びてもシミ・ソバカスが目立たない肌の写真を使う 認められない(「防ぐ」を使用前・後の写真で表現するのは不可能なため)
良い印象と悪い印象のイラストや写真を並べ、製品の効果と結びつける 第4の3(5)に抵触すると判断される場合は指導対象

同じ使用前・後の写真でも、効能が「防ぐ」なのか、色や汚れの変化を事実として示せるのかで扱いが分かれます。体験談と注記(打消し表示)の関係は、「打消し表示とは」で解説しています。

第4の3(6)〜(8) 最大級表現・速効性・本来の効能でない表現

最大級の表現(第4の3(6)):効能効果や安全性について、最大級やそれに類する表現はできません。解説は「最高のききめ」「無類のききめ」「世界一を誇る○○」「比類なき安全性」「絶対安全」などを挙げています。「強力な」「強い」も原則として認められません。「新発売」「新しい」は、発売後12か月を目安に使えるとされています。

解説は「売上げNo.1」も最大級の例に挙げています。ただし、化粧品と医薬部外品(新指定医薬部外品を除く)は、この例から除かれています。新指定医薬部外品は、のど清涼剤やビタミンC剤などです。一方で、No.1表示は景品表示法の対象です。根拠のない表示は優良誤認表示に当たるおそれがあり、措置命令や課徴金の対象になり得ます。優良誤認表示とは、商品の品質などを、実際や他社のものより著しく優れていると示す表示です(景品表示法第5条第1号)。優良誤認表示には、直罰(措置命令を経ずに科される刑事罰)として100万円以下の罰金もあります(第48条)。

効能効果の発現程度(第4の3(7)):速効性や持続性は、医学・薬学上認められた範囲を超えて表現できません。「すぐ効く」「飲めばききめが3日は続く」は原則として認められません。単に「速く効く」とする表現も認められないとされています(一部の医薬品に条件付きの例外があります)。

本来の効能効果と認められない表現(第4の3(8)):本来の効能とはいえない効果を示し、効能を誤認させる広告はできません。解説は、頭痛薬で「受験合格」、保健薬で「活力を生み出す」「人生を2倍楽しむ」などを例に挙げています。効能効果の二次的・三次的な効果を表現することも、第4の3(1)に抵触するとされています。

第4の4〜14:広告の適正のために守るべき事項

第4の4以降は、消費者の使用を誤らせたり、乱用を助長したり、信用を損なったりしないために守る事項です。医薬品向けの項目が多いものの、化粧品・医薬部外品にかかる項目もあります。

第4の4〜8:乱用助長・医療用医薬品・病名・注意事項の付記

  • 4 過量消費・乱用助長:小学生以下の子どもをモデルにするときは、子どもが自分で医薬品を手に持つ・使う場面を使わない。殺虫剤の広告に幼い子どもを使わない。医薬品の多数購入・多額購入による過度な値引き広告もしない
  • 5 医療用医薬品等:医療用医薬品や再生医療等製品は、医薬関係者以外の一般人を対象に広告しない。医療関係者が使う医療機器のうち、一般人が使うと危害のおそれがあるものも同様。がん・肉腫・白血病に使う医薬品のうち指定されたものは、第67条に基づき一般向けの広告が制限されている
  • 6 一般向広告での効能効果:医師の診断・治療によらなければ治癒が期待できない病気がある。こうした病気(胃潰瘍、糖尿病、高血圧、心臓病、肝炎、白内障など)を、自分で治せるかのように表現しない。病名を書くだけでも自己治癒を期待させるおそれがあるため、使わないよう注意する
  • 7 習慣性医薬品:厚生労働大臣が指定する医療用医薬品は、習慣性がある旨を付記・付言する
  • 8 使用上の注意:注意を特に喚起すべき品目は、注意事項などを付記・付言する。医薬部外品では殺虫剤(蚊取り線香を除く)、染毛剤、パーマネント・ウェーブ用剤が挙げられている。化粧品は、業界団体の「化粧品の使用上の注意表示に関する自主基準」を参考にするとされている

4〜7は主に医薬品に向けた項目ですが、8は医薬部外品・化粧品にも関係します。

第4の9:他社製品の誹謗と比較広告

品質・効能効果・安全性などについて、他社の製品を誹謗する広告はできません。解説は、他社製品を実際より悪く表現する例(「他社の口紅は流行おくれのものばかりである。」)を挙げています。他社製品の内容について事実を述べる例(「どこでもまだ××式製造方法です。」)も、本項に抵触する表現とされています。

比較広告は、漠然とした比較でも第4の3(5)(保証表現)に抵触するおそれがあります。製品同士を比べるのは、自社製品の範囲で、対照製品の名称を明示する場合に限られます。他社製品との比較広告は、明示・暗示を問わず行わないこととされています。

景品表示法は、比較広告そのものを禁止していません。消費者庁は、比較広告が不当表示にならないためには、3つの要件をすべて満たす必要があるとしています(消費者庁「比較広告」)。医薬品等の広告では、これとは別に、上の解説のとおり他社製品との比較広告を行わないこととされています。

第4の10:医薬関係者等の推せん(医師・美容師・大学・官公庁)

医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局などが、指定・公認・推せん・指導・選用している等の広告はできません(第4の10)。世間の認識に大きな影響を与える公務所(官公庁)や、学校・学会を含む団体も対象です。解説は、一般消費者への影響が大きいため、一定の場合を除きたとえ事実でも不適当とする趣旨だとしています(例外は、公衆衛生のために公務所などが指定している事実を広告する場合など)。

解説とQ&Aが示す主な点は次のとおりです。

  • 「公認」には法律による承認や許可も含まれる。「厚生労働省認可(許可・承認等)」「経済産業省認可(許可)」なども本項に抵触する
  • 特許の表現は、事実でも本項に抵触し、事実でなければ虚偽広告として扱われる
  • 推せんなどが事実でない場合は、薬機法第66条第2項(医師などの保証と誤解させる広告)に抵触する
  • 美容師などが店頭で化粧品の使い方を実演することまで禁じる趣旨ではない
  • 化粧品等の広告で「大学との共同研究」と書くことは、本項に抵触するため認められない(Q&A Q3)

第4の11〜13:懸賞・不安をあおる表現・番組内の言及

  • 11 懸賞・賞品:射こう心(偶然の利益を期待する気持ち)をあおる過剰な懸賞・賞品で広告しない。医薬品を懸賞や賞品にしない(家庭薬を見本として提供する程度は可)。容器などと引き換えに医薬品を渡す広告もしない。景品の提供そのものは、景品表示法に反しない限り認められる
  • 12 不快・不安・恐怖:「あなたにこんな症状はありませんか、あなたはすでに○○病です」のように、不安や恐怖をあおる表現はしない。名称などの連呼は5回程度が目安。電子メール広告では、連絡先の表示、承諾のない送信は件名に広告である旨の表示、受信拒否の方法の表示などが求められる。なお、特定電子メール法第3条により、広告メールは原則として事前に同意した人などにしか送れない(e-Gov法令検索)
  • 13 テレビ・ラジオの提供番組:提供番組や映画・演劇で、出演者が特定の製品の効能などに言及・暗示しない。CMでのタレントの発言は一律に禁止ではないが、基準の範囲を超えないよう配慮する。司会者がCMをするときは「これからCMです。」などと明示する

第4の14:医薬品の化粧品的用法・医療機器の美容器具的用法

医薬品の化粧品的・食品的な用法や、医療機器の美容器具的・健康器具的な用法を強調し、安易な使用を助長する広告はできません。解説は、医療機器の「健康器具的用法」を、バイブレーターや家庭用電気治療器を運動不足の解消に使う用法としています。「美容器具的用法」は、バイブレーターなどを痩身目的に使う用法です。

化粧品・医薬部外品の広告NG表現と言い換えの方向性

ここまでの項目を、化粧品・医薬部外品の広告でよく見る表現に当てはめます。まず、迷いやすい3つの例です。

適正広告基準に照らしたNG表現と言い換え
✕ NG
○○大学との共同研究から生まれた美容液
なぜNG:化粧品等では第4の10(医薬関係者等の推せん)に抵触し、認められないとされる
○ 言い換え
共同研究の表示はやめ、成分の配合目的など商品の事実で説明する
✕ NG
しみ・そばかすに。薬用クリーム
なぜNG:「○○を防ぐ」と承認された効能を、単に「○○に」と縮めるのは不可(第4の3(1)の解説)
○ 言い換え
承認どおり「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」と書く
✕ NG
天然成分だから副作用の心配がありません
なぜNG:安全性を保証する表現。解説が認めない例に挙げている(第4の3(3)・(5))
○ 言い換え
安全性を強調しない。低刺激性は立証できる場合に、強調せず事実を示す
出典:厚生労働省「医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)」Q3、「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」第4の3。2つ目は承認効能が「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」の場合。適否は表示全体で個別に判断される

どの例も、言葉を差し替えるだけでなく、承認・効能の範囲と商品の事実に戻って表現を組み立て直すのが近道です。そのほかの例は次のとおりです。

基準の項目 NG表現の例 なぜNGか 言い換えの方向性
第4の3(2) 化粧品の効能 「シミが消える化粧水」 56効能の範囲を超え、治すような効果を示している 「消える」とは書かず、56効能の範囲で書く。「目立たなく見せる」などのメーキャップ効果は、その製品で事実である場合に限り示す
第4の3(2) 薬理作用 「血行を促進して肌を再生する美容液」 化粧品は、56効能以外の薬理作用による効能効果を表現できない 「肌にうるおいを与える」など、56効能と使用感の範囲で表す
第4の3(3) 特記表示 「アロエエキスを配合した化粧水です」 配合目的がなく、有効成分のように誤認させる(令和7年の通知で不可の例) 「アロエエキス(保湿成分)配合」のように配合目的を併記する
第4の3(3) 未配合表現 「100%無添加」 未配合を必要以上に強調する表現として、解説が例示している 含まない成分を具体的に示し、強調しない
第4の3(5) 写真 「シミ・ソバカスを防ぐ」薬用化粧品で、使用後に紫外線を浴びてもシミが目立たない写真 「防ぐ」は使用前・後の写真では表現できないとされる(Q&A Q2) 承認の効能を超えない写真に限る。「防ぐ」効能を前後比較で見せない
第4の3(5) 体験談 「1週間でニキビが治りました」(愛用者の声) 体験談は効能の裏付けにならず、化粧品で認められるのは使用感の説明 のびや香り、さっぱり感など、使用感の感想にとどめる
第4の3(6) 最大級 「最高の保湿力」「絶対安全」 効能効果・安全性についての最大級表現 最上級を使わず、効能の範囲内で事実を示す
第4の9 誹謗・比較 「他社の化粧水では潤わない」 他社製品の誹謗。他社製品との比較広告も行わないこととされている 比べるなら自社製品の範囲で、対照製品名を明示する
第4の10 推せん 「皮膚科医推薦」「厚生労働省認可」 事実でも不適当とされる推せん・公認の表示 推せん・公認の表示はやめ、成分や使用感など商品の事実で説明する

言い換えの方向性は一例です。言い換えれば必ず適切になるわけではなく、商品区分・承認内容・広告全体の印象で個別に判断されます。

日本化粧品工業会の「化粧品等の適正広告ガイドライン」との違い

化粧品の広告では、業界団体である日本化粧品工業会の「化粧品等の適正広告ガイドライン」もよく参照されます。これは業界の自主基準で、法令や厚労省の通知そのものではありません。

京都府が掲載している同会の講習資料「『化粧品等の適正広告ガイドライン』について」は、このガイドラインを次のように説明しています。化粧品等の特性に応じて表現できる範囲を解説し、認められる表現と認められない表現を例示するものです。構成は、広告全般の原則を定める「基本編」と、個別の表現を扱う「表現編」です。

通知である基準・解説を土台に、化粧品の表現の具体例を自主基準で補う関係です。版が改められることがあるため、参照するときは同会のウェブサイトで最新の版を確認してください。

医薬品等適正広告基準に違反するとどうなる?

基準は通知なので、基準そのものに罰則はありません。ただし、第4の1〜3は第66条第1項の解釈を示したものです。これに反する広告は、虚偽・誇大広告として次の対象になり得ます(e-Gov法令検索)。

  • 措置命令:違反行為の中止や再発防止策などの命令(第72条の5)
  • 課徴金:対象期間に取引した対価の合計額の4.5%(第75条の5の2。算定額が225万円未満なら命じられない)
  • 刑事罰:2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその併科(第85条第4号)。法人にも罰金刑(第90条)

基準の通知は、都道府県などに広告の監視指導への配慮を求めています。第4の4以降を含む基準全体が、監視指導のよりどころです。違反した場合のリスクの全体像は、「薬機法違反とは」で整理しています。

化粧品・医薬部外品広告の公開前チェックリスト

前提の確認

  • □ 商品区分(化粧品/医薬部外品/医薬品/医療機器)を確認した
  • □ 医薬部外品は、承認書の効能効果をしばり表現まで含めて手元に用意した
  • □ 化粧品は、訴求する効果が56効能・メーキャップ効果・使用感のどれに当たるかを整理した

表現(第4の1〜3)

  • □ 愛称・略称を使う場合、販売名の付記など必要な表示をした
  • □ 製造方法や研究について、最大級や優秀性を誇張する表現がない
  • □ 承認・効能の範囲を超える効果や、二次的・三次的な効果を表現していない
  • □ 広告で特定の成分名に触れる場合は、目立たせていなくても配合目的を併記した(医薬部外品は、承認を受けた有効成分以外の成分が対象)
  • □ 「無添加」などは、含まない成分を示し、必要以上に強調していない
  • □ 「副作用がない」「刺激が少ない」など、安全性を保証・強調する表現がない
  • □ 使用前・後の写真や図が、承認外の効能や効果の保証を思わせない
  • □ 体験談は使用感の範囲で、効能効果や安全性に触れていない
  • □ 効能効果・安全性の最大級表現や、「すぐ効く」などの表現がない

そのほか(第4の4〜14と他の法律)

  • □ 他社製品をけなす表現や、他社製品との比較がない
  • □ 医師・美容師・大学・官公庁などの推せん、公認、共同研究を示していない
  • □ 病名を挙げたり、不安をあおったりする表現がない
  • □ No.1表示や価格表示など、景品表示法の観点も別に確認した

項目が多く、LPや動画まで目で追うと見落としが出やすくなります。一次チェックにAIツールを使う方法もあります。アドミルは、広告のテキストや画像、LPを薬機法・景品表示法の観点からAIで審査するツールです。問題になり得る表現と理由、言い換えの案を示します。仕組みは「薬機法チェックツールとは」で紹介しています。最終判断は、商品区分・承認内容・表示全体を踏まえて行いましょう。

よくある質問

Q. 医薬品等適正広告基準は法律ですか?

法律ではなく、厚生労働省の局長通知です。ただし、第4の1〜3は薬機法第66条第1項の解釈を示したものです。これに反する広告は、法律違反として措置命令・課徴金・刑事罰の対象になり得ます。

Q. 医薬品等適正広告基準の最新版はいつのものですか?

平成29年(2017年)9月29日の全面改正版です(薬生発0929第4号)。同じ日に解説(薬生監麻発0929第5号)も出ています。2026年10月29日時点で、厚労省の広告規制のページに掲載されているのはこの2本です。

Q. 化粧品にも医薬品等適正広告基準は適用されますか?

適用されます。基準の対象は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品です。解説には、化粧品・医薬部外品だけに向けた留意事項も示されています。

Q. 化粧品の広告で「売上No.1」は使えますか?

解説は「売上げNo.1」を最大級表現の例に挙げています。化粧品と医薬部外品(新指定医薬部外品を除く)は、この例から除かれています。ただし、効能効果や安全性についての最大級表現は認められません。No.1表示は景品表示法の対象でもあるため、調査の根拠と表示が対応しているかも確認が必要です。

Q. 美容師の推せんを広告に使えますか?

基準の第4の10は、美容師などが推せん・指導・選用している等の広告を認めていません。解説は、事実であっても不適当とする趣旨だとしています。一方で、美容師などが店頭で化粧品の使い方を実演すること自体を禁じる趣旨ではないとされています。

Q. 健康食品にも医薬品等適正広告基準は適用されますか?

基準の対象は医薬品等で、食品は含まれません。ただし健康食品でも、医薬品的な効能効果をうたうと、承認のない医薬品の広告として薬機法違反になるおそれがあります。

まとめ

  • 医薬品等適正広告基準は、薬機法第66条〜第68条を運用するために厚労省が示した通知で、法律ではない
  • 対象は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の、すべての媒体の広告
  • 第4の1〜3は第66条第1項の解釈、4〜14は広告の適正のために守る事項
  • 化粧品は56効能の範囲、医薬部外品は承認された効能効果の範囲(しばり表現を含む)が基本
  • 保証・最大級の表現、体験談、使用前・後の写真、推せん(大学との共同研究を含む)、他社比較は特に注意
  • 現行版は平成29年の全面改正。具体例は解説と厚労省のQ&Aで確認する

適否は、商品区分・承認内容・表示全体の印象で個別に判断されます。迷う表現は、所管の都道府県の薬務担当窓口への相談も検討してください(例:東京都保健医療局「医薬品等の広告規制について」)。

参考資料

本記事は2026年10月29日時点の公的資料に基づきます。個別の表示の適否は、商品区分・承認内容・表示全体の印象で判断が分かれるため、必要に応じて専門家や所管の窓口に確認してください。


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