No.1表示のルール|消費者庁の実態調査報告書の4要件と最上級表現の注意点

No.1表示のルール|消費者庁の実態調査報告書の4要件と最上級表現の注意点

最終更新日:2026年11月4日

No.1表示そのものは禁止されていません。ただし、根拠の調査が表示内容に見合わなければ、景品表示法の不当表示(優良誤認・有利誤認)に当たるおそれがあります。

消費者庁は2024年9月26日の実態調査報告書で、満足度などの主観的評価によるNo.1表示には少なくとも4つの要件が必要としました。①比較対象の適切な選定、②調査対象者の適切な選定、③公平な調査方法、④表示内容と調査結果の対応です。

「最高」「日本一」などの最上級表現も同じく根拠が必要です。医薬品・化粧品等の効能効果は、厚労省の通知で最上級表現が認められていません。医療機関の広告も、医療法とガイドラインで禁じられています。

本記事では、報告書の4要件と問題になる例、注記の書き方、措置命令・課徴金の事例を整理します。第三者のランキングを使うときの注意と、業種別の最上級表現のルールもまとめました。根拠は、消費者庁・公正取引委員会・厚生労働省などの公表資料です。

No.1表示のルール 早見表

確認すること 求められること 問題になりやすい例
根拠の調査(全般) 客観的な調査に基づき、調査結果を正確かつ適正に引用する 自社の社員・関係者だけに聞いた「顧客満足度No.1」
①比較対象 市場の主要な同種商品を含めて比較する 「検索上位○社」とだけ比べた「○○サービス満足度No.1」
②調査対象者 無作為に選び、表示が示す人(利用者など)に聞く 利用経験を確かめないイメージ調査で「顧客満足度No.1」
③調査方法 回答の誘導や、結論ありきの調査をしない 自社を選択肢の一番上に固定する、1位になるまで再調査する
④表示との対応 商品の範囲・地域・期間・出典を、調査どおりに明瞭に示す 期間を書かない「5年連続売上No.1」、範囲が分からない「地域No.1」
高評価%表示 医師などの資格や専門分野を確かめて調査する 自己申告だけで医師と扱った「医師の90%が推奨」
最上級表現 No.1表示と同じく根拠が要る。医薬品等・医療機関は別のルールもある 健康食品の「日本一の品質」、医薬品の「最高のききめ」

①〜④は、2024年の報告書が主観的評価によるNo.1表示について示した要件です。満たしていても表示全体の印象によっては問題になり得るため、個別に確認してください。

No.1表示とは?景品表示法で禁止されているのか

No.1表示とは、「売上No.1」「顧客満足度No.1」「安さ第1位」のように、競合と比べて1位だと強調する表示です。2008年の公正取引委員会の報告書は、「No.1」「第1位」「トップ」「日本一」などの表示をNo.1表示と呼んでいます(第1)。

No.1表示そのものは禁止されていません。同報告書は、No.1表示は商品選びの時間や手間を減らす、一般に有益な情報だとしています(第4の1)。問題になるのは、合理的な根拠に基づかず、事実と異なる場合です。

品質や満足度のNo.1は、品質を実際より著しく良く見せる「優良誤認」(第5条第1号)の問題になります。「安さNo.1」など価格のNo.1は、取引条件を実際より著しく有利に見せる「有利誤認」(第5条第2号)の問題です。条文はe-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」で確認できます。売上実績のNo.1も、初めて買う商品や高額な商品では、品質が優れている印象を与えやすいとされます(2008年報告書 第4の2)。景品表示法の全体像は「景品表示法とは」で解説しています。

No.1表示のガイドラインはある?2つの実態調査報告書

No.1表示だけを対象にした法律の条文はなく、景品表示法では第5条の優良誤認・有利誤認として判断されます。判断の考え方は、次の2つの実態調査報告書で示されています。

資料 公表 主な内容
公正取引委員会「No.1表示に関する実態調査報告書」 2008年6月13日 No.1表示の2要件(客観的な調査・正確かつ適正な引用)。商品の範囲・地域・期間・出典の示し方
消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書」 2024年9月26日 満足度など主観的評価によるNo.1表示の4要件、高評価%表示、広告主の管理体制

2024年の報告書も、根拠の調査が妥当な方法で行われ、表示内容と調査結果が対応している必要があるとしています(第3の1 脚注2)。2008年と同じ趣旨の一般論に、主観的評価の調査に特有の注意点を加えた形です。

売上No.1と満足度No.1の違い

No.1表示は、何を指標にするかで2つに分けると整理しやすくなります。

No.1表示の2つのタイプ
客観的な指標のNo.1
売上・シェア・価格など
・数値で測れる指標で順位を示す
・客観的な調査+結果の正確かつ適正な引用
・商品の範囲・地域・期間を調査どおりに示す
・例:販売数No.1、安さNo.1
主観的評価のNo.1
満足度・おすすめ・〜と思う など
・回答者の感想・意見で順位を示す
・調べる側の恣意や回答のかたよりが入りやすい
・比較対象・対象者・方法・表示との対応の4点
・例:顧客満足度No.1、使ってみたいNo.1
出典:公正取引委員会「No.1表示に関する実態調査報告書」(2008年)、消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書」(2024年)

売上やシェアは数値で確かめられます。一方、満足度などの主観的評価は、調べる側の恣意や回答者のかたよりが入りやすいとされます(2024年報告書 第3の2⑵)。そのため、主観的評価のNo.1表示では、後で見る4要件が特に問われます。

違反した場合の措置命令・課徴金・罰則

No.1表示が不当表示に当たると、消費者庁は表示の取りやめや再発防止を命じる措置命令を出します(第7条第1項)。品質に関する表示は、根拠資料の提出を求められることがあります。期間内に出さなければ、優良誤認とみなされます(第7条第2項)。この仕組みは「不実証広告規制とは」で解説しています。

優良誤認・有利誤認には、対象期間(最長3年)の対象商品の売上額の3%の課徴金が命じられます(第8条第1項・第2項)。過去10年以内に課徴金納付命令を受けた事業者が再び違反した場合は、4.5%になります(同条第5項)。不当表示と知らず、知らないことに相当の注意を怠っていなかった場合や、額が150万円未満の場合は命じられません(第8条第1項ただし書)。

罰則もあります。優良誤認・有利誤認の表示は、それ自体が100万円以下の罰金の対象です(第48条)。措置命令に違反すると、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で、併科もあります(第46条)。この場合、行為者だけでなく法人にも3億円以下の罰金が科されます(第49条第1項第1号)。第48条の違反では、法人の罰金も100万円以下です(同項第2号)。

消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書」(2024年)のポイント

消費者庁は2024年9月26日、「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表しました(消費者庁の公表資料)。背景には、満足度などの主観的評価によるNo.1表示への措置命令が相次いだことがあります。報告書は2023年6月〜2024年3月の13件を挙げ、表示に見合った調査がなかった点で共通するとしています(第1)。

項目 内容
調査期間 2024年3月〜9月
集めた表示 No.1表示275件、高評価%表示93件(計368件)
消費者アンケート 1,000人(2024年8月1日〜9日)
ヒアリング 広告主15社、日本マーケティング・リサーチ協会、大手調査会社3社など

高評価%表示とは、「医師の○%が推奨」のように、第三者の好意的な評価の割合を示す表示です。第三者の主観的評価を訴求する点がNo.1表示と同じため、調査の対象に含められました(第2の1⑴)。

消費者はNo.1表示を「利用者の評価」と受け取りやすい

  • No.1表示・高評価%表示を見たことがある人のうち、購入の判断に影響すると答えた人はそれぞれ約5割(第2の3⑴)
  • 「顧客満足度No.1」の例を見て、実際の利用者に調査したと思った人は56.8%(第2の3⑵イ)
  • 「医師の90%が推奨」の例では、約5割が医師の専門的な根拠や裏付けがあると受け止めた(第2の3⑶イ)

この受け取られ方が、後で見る要件②(調査対象者)の判断の土台になっています。

調査会社の勧誘でNo.1表示を始めた広告主が多い

ヒアリングでは、調査会社やコンサルティング会社の勧誘をきっかけにNo.1表示を始めた広告主のほうが多くいました(第2の4⑵)。費用は1フレーズ10万円〜数十万円が多く、「1位が獲れるまで追加費用なしで再調査する」と勧誘する例もありました。

調査の具体的な中身(質問文・比較対象・回答者が見た画面など)を把握していたのは、15社中1社だけでした(第2の4⑶)。根拠資料を保管しておらず、ヒアリングを機に調査会社から取り直した広告主も複数いました(第2の4⑷)。

主観的評価によるNo.1表示の4要件と問題になる例

報告書は、主観的評価によるNo.1表示の根拠となる調査は、少なくとも次の4点を満たす必要があるとしています(第3の1)。

  1. 比較する商品等が適切に選定されていること
  2. 調査対象者が適切に選定されていること
  3. 調査が公平な方法で実施されていること
  4. 表示内容と調査結果が適切に対応していること

以下、報告書が「景品表示法上問題となるおそれがある」とした典型例を、要件ごとに見ていきます。

①比較する商品等が適切に選定されている

No.1表示は、競合と比べて1位だという表示です。そのため、比較の対象となる同種の商品を適切に選んだうえで、順位を調べる必要があります(第3の2⑴)。次のような調査は、合理的な根拠とはいえないおそれがあります。

  • 「○○サービス満足度No.1」なのに、市場の主要な同種サービスの一部または全部を比較対象に含めていない
  • 検索結果で上位に出た商品を選んだだけで、主要な同種商品が抜けている

「比較対象企業選定条件:『○○』で検索上位○社」と注記する例もあります。報告書は、位置・文字の大きさ・色から明瞭でない注記では、表示と調査結果が対応しているとはいえないとしています。

②調査対象者が適切に選定されている

主観的評価の調査は、売上額のような数値の調査より、恣意性やかたよりが入りやすいとされます。そのため回答者は、少なくとも無作為に選ぶ必要があります(第3の2⑵ア)。自社の継続購入者だけや、自社の社員・関係者に聞いた調査は、問題となるおそれがあります。

もう1つの論点は、回答者の属性です。「顧客満足度No.1」は、特段の事情がない限り、実際の利用者に調査した結果を示す表示と考えられます(第3の2⑵イ)。利用経験のない人に聞いた調査や、利用経験を確かめずに回答者を選んだ調査は、問題となるおそれがあります。

ウェブサイトを見せて印象を聞くだけの「イメージ調査」を根拠にした「満足度No.1」も、報告書は問題となるおそれがあるとしています。「利用したい」「コスパが良いと思う」といった言い回しでも、約5割の消費者は利用者への調査だと受け止めていました。言い回しを変えるだけでは足りない場合があります。

表示によっては、利用者の中でもさらに範囲を絞る必要があります。報告書は、次のような例を挙げています(第3の2⑵イ(イ))。

  • 「20代顧客満足度No.1」なら、20代の利用者に調査する
  • 「コスパが良いと思う」No.1で、自社の利用者の大半が特に安いキャンペーン料金だった場合は、その人たちを除かないと不公平になる
  • 保険の顧客満足度なら、保険の適用を受けたことがある契約者でないと適切に評価できない

③調査が公平な方法で実施されている

調査方法も、調べる側の恣意や回答のかたよりを除く必要があります(第3の2⑶)。報告書は、次の場合を問題となるおそれがある例に挙げています。

  • 自社に有利になるよう回答を誘導する(自社を選択肢の一番上に固定する場合を含む)
  • 自社が1位になるまで調査を繰り返す、1位になった時点で調査を終えるなど、結論ありきの調査

④表示内容と調査結果が適切に対応している

正しく調査していても、表示が調査結果より広く受け取られれば問題になります。2008年の報告書は、次の4点で表示と調査がずれやすいとしています(第5)。

確認する点 ずれの例 望ましい示し方
商品の範囲 「中高年向け美容液」の中での1位を「美容液売上No.1」と表示 調査に即して、消費者が分かる商品の範囲を示す
地理的範囲 どこの範囲か分からない「地域No.1」 都道府県・市町村など、調査した地域を示す
調査期間・時点 直近ではNo.1でないのに、期間を示さず「5年連続No.1」 直近の結果に基づき、調査期間・時点を示す
出典 出典がない、または自社調べを第三者の調査のように見せる 調査会社名と調査の名称などを具体的に示す

「5年連続売上実績No.1」とだけある表示は、67.2%が直近までの5年連続だと受け止めていました(同報告書 第5の3⑵)。期間を書かないと、今もNo.1だと誤認されるおそれがあります。

4要件を、表示を出す前の確認にあてはめると次のようになります。

そのNo.1表示、4要件を満たす?
Q1
比較対象を、検索上位などで任意に絞った
はい
要件①を欠くおそれ。市場の主要な同種商品を含めて比較する
いいえ
次の質問へ
Q2
表示が示す人(利用者など)以外に聞いた
はい
要件②を欠くおそれ。利用経験などを確認して調査する
いいえ
次の質問へ
Q3
回答を誘導した、または1位になるまで調査を繰り返した
はい
要件③を欠くおそれ。公平な方法で調査し直す
いいえ
次の質問へ
Q4
商品の範囲・地域・時点が、表示と調査で食い違う
はい
要件④を欠くおそれ。表示を調査結果に合わせる
いいえ
4要件の上では問題が少ない可能性。表示全体の印象は個別に確認する
出典:消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書」第3

「はい」が1つでもあれば、表示の見直しを検討しましょう。すべて「いいえ」でも、表示全体から受ける印象で判断されるため、問題がないとは限りません。

「医師の90%が推奨」など高評価%表示も同じ考え方

高評価%表示は、必ずしも同種の商品との比較を前提にしない点がNo.1表示と違います。ただ、第三者の主観的評価を根拠にする点は同じで、合理的な根拠の考え方も基本的に共通です(第4の2)。

特に医師などの専門家の評価を示す表示は、消費者への影響が大きいとされます。報告書は、次のような調査は問題となるおそれがあるとしています。

  • 回答者が医師かどうかを自己申告で確かめるだけで、客観的に担保していない
  • 回答した医師の専門分野が、商品の評価に必要な知見と合っていない
  • 調査会社などが、合理的な根拠のない商品情報(試験結果や認定など)を医師に示して回答させている

なお医薬品・化粧品などでは、医師などが推薦している旨の広告自体が原則として認められていません。厚労省の通知「医薬品等適正広告基準」第4の10によるもので、解説は、事実であっても不適当という趣旨だとしています。

No.1表示の注記の書き方と「注記で直らない」ケース

注記は、No.1の根拠を消費者が確かめられるようにするものです。2008年の報告書は、次の事項を、No.1表示と同じ視野に入る位置に明りょうに示すことが望ましいとしています(第4の3⑵・第5)。

  • 出典:調査会社名と調査の名称(雑誌の調査なら、雑誌名・発行年月日も)
  • 商品の範囲:どのカテゴリーでのNo.1か
  • 地理的範囲:都道府県・市町村などの調査地域
  • 調査期間・時点:いつの調査か(直近の結果に基づくこと)

顧客満足度のように調査方法がさまざまな表示は、調査方法の概要もあわせて示すことが望ましいとされます(2008年報告書 第5の4⑷)。2024年の報告書は、表示物に調査方法の概要を載せる方法を挙げています(第5の1⑵)。直接載せにくい場合は、QRコードなどで確認できるようにするのも一つの方法としています。

注記を付けても問題が残るケース

注記は、表示と調査のずれを埋めるものではありません。「顧客満足度No.1」の根拠がイメージ調査の場合について、報告書は次の注記を例に挙げています(第3の2⑵イ(ア))。これらの注記があっても、表示と調査結果が対応していないことに変わりはないとしています。

  • サイトイメージ調査
  • 本調査はサイトのイメージをもとにアンケートを実施しています。
  • 本ブランドの利用有無は聴取していません。

注記の中身が正しくても、文字が小さい、離れた位置にあるなど明瞭でなければ、やはり問題となるおそれがあります。強調表示と注記の関係は「打消し表示とは」で詳しく解説しています。

調査会社に任せたNo.1表示でも責任は広告主にある

報告書は、調査会社などの第三者が調査をしていても、不当なNo.1表示の責任は広告主にあるとしています(第5の2)。第三者機関の調査があると確かめるだけでは不十分です。調査内容が表示と対応しているかを、自らの責任で確認する必要があります(第5の1⑵)。

報告書は、不当なNo.1表示が生まれる背景に、次の共通点があったとしています(第5の1⑴)。

  • 競合に見劣りしないよう、何らかのNo.1をうたいたいという動機
  • 不適切な調査を安く請け負う調査会社があり、簡単に委託できる環境
  • 「聞いても分からない」「調査会社が適法と言っている」として、調査内容を確かめない姿勢

報告書は、このうち根拠に無関心な3つ目の姿勢を、問題が大きいと指摘しています。課徴金の判断でも、この姿勢が問われています(次章の事例を参照)。

景品表示法第22条第1項は、表示を適正に管理する体制づくりを事業者に義務付けています。具体的な措置は、内閣府告示の管理措置指針(事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針)が示しています。報告書と同指針をもとに、社内の確認の流れを整理しました。

No.1表示を出す前の社内確認
1
担当者を決める
表示の根拠を確認する担当者・部門を決める(兼務でもよい)
2
調査資料を入手
調査票・回答画面、比較対象と選び方、回答者の条件を受け取る
3
表示と照合する
商品範囲・対象者・地域・期間が、表示の受け取られ方と合うか確かめる
4
注記を近くに置く
調査主体・期間・対象者・比較対象を、No.1の近くに読める大きさで示す
5
資料を保管する
商品を提供し得る期間は、根拠資料を後から確認できるよう保管する
出典:消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書」第5、「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」をもとに作成

担当者は専任でなくてもよく、法令遵守の担当者が兼ねることもできます(報告書 第5の1⑵ 脚注3)。調査会社と契約する段階で、調査票や回答画面の提出を条件にしておくと、確認しやすくなります。

No.1表示の措置命令・課徴金の事例

報告書が挙げた13件の措置命令の一部には、その後、課徴金納付命令も出ています。主な例は次のとおりです。

事業者・商品 主な表示 問題とされた調査 処分
エクスコムグローバル(海外Wi-Fiレンタル「イモトのWiFi」) 旅行ガイドブックの広告などで「お客様満足度 No.1」など3項目のNo.1 利用経験を確かめず、任意に選んだ9事業者とウェブサイトの印象を比べる調査 措置命令(2024年2月28日、公表資料)、課徴金1億7262万円(2026年3月12日、公表資料)
飯田グループホールディングスほか4社(注文住宅) チラシや自社サイトで「顧客満足度No.1」「3冠」など 利用経験や知見を確かめず、特定の9事業者とウェブサイトの印象を比べる調査 措置命令(2024年2月29日、5社、公表資料)、課徴金 子会社4社(住宅情報館・一建設・飯田産業・アーネストワン)計4億4116万円(2026年10月28日、公表資料)
新日本エネックス(太陽光発電・蓄電池) 自社サイトで「アフターフォローも充実の太陽光発電蓄電池販売」など3部門のNo.1 利用経験や知見を確かめず、特定の事業者の印象を問う調査 措置命令(2024年2月27日、公表資料)、課徴金9989万円(2025年6月5日、公表資料)

3件とも、利用者などに調査した結果、1位だったかのように表示していました。実際の調査は、回答者の利用経験などを確かめず、自社と特定の他社の印象を問うものでした。消費者庁は、客観的な調査に基づかず、結果の引用も正確・適正でないと判断しています。

課徴金納付命令では、第8条第1項ただし書の「相当の注意」は認められませんでした。各社が、調査の客観性や表示との対応を十分に検証しなかったためです。アフィリエイトサイトのNo.1表示が問題になった例は、次章で取り上げます。

「○○ランキング1位」を自社の広告で使うときの注意点

ECモールや雑誌のランキングなど、第三者が作った順位を自社の広告で使う場合も、考え方は同じです。2008年の報告書は、第三者のランク付けを根拠にする場合の注意点も示しています(第5の4⑷)。その調査が客観的に実証された根拠に基づくか、確認する必要があるとしています。

同報告書の考え方にならえば、ランキングの名称・部門・集計期間を示すことが望ましいといえます。直近の結果に基づいて表示することも大切です。たとえば、ある1日だけの1位を、長い期間を通じた1位のように見せる表示は避けましょう。

外形上は第三者のランキングでも、広告主が表示内容の決定に関与していれば、広告主の表示になります(ステルスマーケティング告示の運用基準 第2)。その場合も、ここまでの考え方がそのまま当てはまります。

実際に、アフィリエイトサイトのNo.1表示で広告主が措置命令を受けた例があります(2023年12月7日 措置命令)。表示は「30〜60代女性が選ぶダイエットサプリ No.1」などでした。根拠の調査は、利用経験を確かめず、特定の9商品とサイトの印象を比べるものでした。この事例は「景品表示法の違反事例12選」でも紹介しています。

「最高」「日本一」など最上級表現の注意点

景品表示法には、「最高」「日本一」「業界一」のような最上級表現だけを禁じる規定はありません。No.1表示と同じく、優良誤認・有利誤認に当たるかで判断されます。2008年の報告書も、「トップ」「日本一」などをNo.1表示に含めています。根拠を示せなければ、優良誤認・有利誤認のおそれがあります。

消費者庁は、問題となる比較広告の例に「この技術は日本で当社だけ」という表示を挙げています(消費者庁「比較広告」)。実際は、他社も同じ技術の製品を販売していた例です。「日本初」「業界唯一」のような表現も、調べた範囲と時点を確かめておく必要があります。

No.1表示や最上級表現は、他社より優れていると示す点で比較広告と共通します。他社と比べる広告に共通する3要件(客観的な実証・正確かつ適正な引用・公正な比較方法)は、消費者庁の比較広告ガイドラインが示しています。3要件の中身と「当社比」・他社比較の注意点は「比較広告のルールとは」で解説しています。

業種別の最上級表現のルール

商品や業種によっては、景品表示法に加えて、最上級表現を直接制限するルールがあります。

分野 よりどころ 主な内容
健康食品 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」第4の2⑷ 「最高級」「最高レベル」「日本一」「ベスト」は虚偽誇大表示等のおそれ。「絶対」「誰でも簡単に」も同様。根拠のないNo.1表示も該当し得る
医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器 厚労省の通知「医薬品等適正広告基準」第4の2・第4の3⑹と解説 効能効果・安全性の最大級の表現は不可(「最高のききめ」「比類なき安全性」など)。製造方法の「最高の技術」も不可
病院・診療所 医療法第6条の5第2項第1号、医療広告等ガイドライン 他院より優良とする比較優良広告は禁止。「日本一」「No.1」「最高」などは客観的な事実でも不可
不動産 不動産の表示に関する公正競争規約 第18条第2項 「最高」「日本一」「当社だけ」などは、合理的な根拠を示す資料がなければ使えない。「最高」などは根拠となる事実の併記も必要

医薬品等適正広告基準の解説は、「売上げNo.1」も最大級の表現の例に挙げています。ただし化粧品と、新指定医薬部外品以外の医薬部外品は、この例から除かれています。新指定医薬部外品は、のど清涼剤など「指定医薬部外品」と表示する製品群の一部です。

医療広告等ガイドラインは、「日本有数の実績」「県内一の医師数」といった表現も、禁止される比較優良広告の例に挙げています。最上級の表現や、優秀性について著しい誤認を与える表現を除けば、客観的な事実の記載は必ずしも妨げないとしています。ただし求められれば合理的な根拠を示せる必要があり、調査結果を引用するなら出典・実施主体・範囲・実施時期などの併記が必要です。

公正競争規約は、景品表示法第36条に基づき、内閣総理大臣と公正取引委員会の認定を受けて業界が定めるルールです。不動産の表示規約は、協議会の構成団体に所属する宅地建物取引業者などに適用されます。

No.1表示・最上級表現のNG例と言い換え

よくある表現を、なぜNGか・言い換えの方向性とあわせて整理しました。

NG表現の例 なぜNGか 言い換えの方向性
「顧客満足度No.1」(根拠はサイトの印象を聞く調査) 利用者の評価と受け取られるのに、利用経験を確かめていない 利用者に聞いた調査がある場合だけ表示し、対象者・期間・比較対象を近くに示す
「○○サービス満足度No.1」(比較対象は検索上位10社) 市場の主要な同種サービスが抜けた比較は、合理的な根拠にならないおそれ 主要な同種サービスを含めて調べ直す。できなければNo.1をうたわない
「使ってみたい○○No.1」 「〜したい」でも、利用者への調査結果と受け取られる場合がある 何を誰に聞いた結果かを明示し、受け取られ方に合う調査かを確かめる
「5年連続売上No.1」(期間の記載なし) 直近までの5年間と受け取られやすく、過去の結果だけなら誤認のおそれ 直近の結果に基づき、調査期間・時点を示す
「地域No.1の実績」 どこの範囲か分からず、調査した範囲より広く受け取られやすい 都道府県・市町村など、調査した地域を示す
「医師の90%が推奨」(医師かは自己申告のみ) 回答者が医師であることを客観的に担保していない 資格と専門分野を確かめた調査にする。医薬品・化粧品等は推薦の広告自体が制限される
「日本一の品質のサプリメント」 健康食品の効果は一定範囲で最高とは立証できず、虚偽誇大表示等のおそれ 配合量や製法など、事実として示せる具体的な特徴を書く
「最高のききめの胃腸薬」 効能効果の最大級の表現は、医薬品等適正広告基準で認められていない 承認された効能効果の範囲で、強調せずに表現する

言い換えても、表示全体の印象と根拠の中身で判断される点は変わりません。根拠の調査が表示と合わない場合は、No.1や最上級の表現そのものを外すことも検討しましょう。

No.1・最上級表現は、LPやバナー、記事広告のあちこちに入り込みがちです。アドミルのような広告審査AIで公開前に拾い出す方法もあります。ただし調査の中身が表示と合うかは、根拠資料を見て人が確認する必要があります。AIチェックでできることと限界は「景表法AIチェックとは」で解説しています。

よくある質問

Q. No.1表示は違法ですか?

No.1表示そのものは禁止されていません。合理的な根拠に基づかず、事実と異なる場合に、優良誤認・有利誤認として問題になります。満足度などの主観的評価によるNo.1表示は、報告書の4要件を満たしているかを確認してください。

Q. 「自社調べ」のNo.1表示は使えますか?

一律に禁止されてはいません。ただ2008年の報告書は、自社調べは客観的でない独自の基準になりやすく、問題となりやすいとしています。自社調べなのに第三者の調査のように見せる表示も、問題となるおそれがあります。

Q. No.1の根拠となる調査は何年前まで使えますか?

景品表示法や2つの報告書には、年数の決まりはありません。2008年の報告書は、直近の調査結果に基づいて表示し、調査期間・時点を明りょうに示すことが望ましいとしています。過去の結果だけで今もNo.1のように見せると、問題となるおそれがあります。

Q. 化粧品の広告で「売上No.1」は使えますか?

医薬品等適正広告基準の解説は「売上げNo.1」を最大級の表現の例に挙げていますが、化粧品はこの例から除かれています。ただし景品表示法の考え方(客観的な調査と正確な引用)はかかります。「最高のききめ」のような効能効果の最大級の表現は、化粧品でも認められていません。使えるかどうかは、根拠の調査の中身と表示全体の印象で個別に判断されます。

Q. 「業界初」「唯一」も同じ考え方ですか?

他社にない、他社より優れていると示す点で、同じく根拠が必要です。「この技術は日本で当社だけ」と表示したのに、他社も同じ技術を使っていた例は、消費者庁が問題となる比較広告の例に挙げています。

まとめ

  • No.1表示は禁止されていないが、合理的な根拠がなく事実と異なれば、優良誤認・有利誤認のおそれがある
  • 根拠の調査は、客観的な方法で行い、結果を正確かつ適正に引用する(2008年報告書)
  • 主観的評価のNo.1表示は、少なくとも比較対象・調査対象者・調査方法・表示との対応の4要件を満たす必要がある(2024年報告書)
  • 注記で表示と調査のずれは直らない。調査会社に任せても責任は広告主にある
  • 第三者のランキングを自社の広告で使うときも、根拠と集計の範囲・期間を確かめて示す。広告主が関与したランキングは広告主の表示になる
  • 「最高」「日本一」も根拠が必要。医薬品等の効能効果や医療広告などでは、業種別のルールで認められていない

表示の適否は、商品の区分や表示全体の印象で個別に判断されます。迷う表現は、消費者庁や都道府県の景品表示法の相談窓口、医薬品・化粧品などは都道府県の薬務課への相談も検討してください。

参考資料

本記事は2026年10月29日時点の公的資料に基づきます。個別の表示の適否は、商品区分・承認内容・表示全体の印象で判断が分かれるため、必要に応じて専門家や所管の窓口に確認してください。


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