最終更新日:2026年11月2日
定期購入の通販では、注文を確定する直前の「最終確認画面」に、6つの事項を表示する義務があります(特定商取引法第12条の6)。分量、販売価格と送料、支払の時期と方法、引渡時期、申込期間(定めがある場合)、解約などの条件です。定期購入では、各回の分量と代金、支払総額、解約の申出期限や違約金(ある場合)まで示します。
初回価格や「お試し」だけを目立たせ、定期購入だと分かりにくくする表示も禁止されています(同条第2項)。違反は業務停止命令などの行政処分や罰則の対象です。解約については、通販にクーリング・オフ(無条件の解除)はありません。広告などに返品特約(返品の可否や条件の定め)の表示がなければ、購入者は商品の到着から8日以内なら解除できます(第15条の3)。また、解約を妨げる事実と違う説明は禁止され(第13条の2)、表示の違反で誤認した申込みは取り消せます(第15条の4)。条文の解釈と具体例は、消費者庁の「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」(以下、ガイドライン)が示しています。本記事では、表示事項の書き方、NG例と言い換え、解約のルールを、処分事例とあわせて整理します。
特定商取引法の最終確認画面に表示する6項目【定期購入の早見表】
| 表示事項(第12条の6第1項) | 定期購入で示す内容 | 不足しやすい例 |
|---|---|---|
| 1. 分量 | 各回に届く数量と、引渡しの回数(総分量が分かるように)。無期限の契約は無期限である旨 | 5か月分の契約なのに、1か月分の分量だけ |
| 2. 販売価格・送料 | 各回の代金(初回と2回目以降を対比)、支払総額、実際に支払う送料 | 初回価格だけで、2回目以降の価格がない |
| 3. 支払の時期・方法 | 各回の代金の支払時期と支払方法 | 初回の支払いしか分からない |
| 4. 引渡時期 | 初回と2回目以降、それぞれの発送・お届けの時期 | 2回目以降がいつ届くか書いていない |
| 5. 申込期間(定めがある場合) | 販売そのものの期限を、具体的な期間で | 「今だけ」としか書いていない |
| 6. 申込みの撤回・解除に関する事項 | 解約の方法・申出期限・違約金などの不利益、返品特約 | 解約の申出期限や、解約時に支払う金額(違約金など)が書いていない |
表は、法律が定める6項目に、ガイドラインが定期購入について示す内容を当てはめたものです。無期限の契約で「1年分」などの目安を示す方法は、ガイドライン上「望ましい」とされる推奨で、後の節で分けて説明します。
定期購入に関わる特商法のルールの全体像
特定商取引法(以下、特商法)は、通信販売や訪問販売などの取引を公正にし、購入者の損害を防ぐための法律です(第1条)。全体像は「特定商取引法とは」で解説しています。
ネット通販の定期購入では、広告から解約までの各段階に、次のルールがかかります。
このうち表示の中心になるのが、最終確認画面の表示義務と、誤認させる表示の禁止(第12条の6)です。広告と最終確認画面の両方に、定期購入の条件を示す必要があります。
トラブルの相談も続いています。国民生活センターの集計では、通信販売で購入した定期購入の商品に関する相談は、2025年度に93,065件でした。2023年度の80,315件、2024年度の89,401件から増えています。件数は2026年5月31日現在の集計です(国民生活センター「通信販売での定期購入」)。
最終確認画面(特定申込みの画面)とは
第12条の6が対象にするのは「特定申込み」です。事業者が用意した申込書面(はがき・申込用紙など)や、ネット通販の手続画面に従って行う申込みを指します。ネット通販では、ボタンを押すと申込みが完了する画面が最終確認画面です。ガイドラインは、次のような画面も対象になるとしています(Ⅰの1)。
- 表題がない、または表題が「確認」でなくても、ボタンを押すと申込みが完了する画面
- チャットやSNSを使って申込みを受ける画面
- 決済情報の入力だけ別画面で行う場合は、その手前の申込内容の確認画面
- 広告から注文確認までスクロールで続く1枚のページでは、最終的な注文内容の確認部分
テレビ広告を見て電話で申し込む場合のように、事業者が用意した書面や画面を使わない申込みは、特定申込みに当たらないとされています(Ⅰの1(2))。ただし、同じ商品をはがきやネットでも受け付けていれば、そちらには適用されます。なお、ガイドラインは、申込み前の最終画面だと分かる標記をすることが望ましいとしています。例として、画面の表題を「注文内容の最終確認」とする方法を挙げています(Ⅰの1(1)②)。
LP(広告)に書いても最終確認画面の表示は別に必要
LPなどの広告と最終確認画面は、別々の規制です。ガイドラインは、広告で第11条の表示をしても、それで第12条の6第1項の義務を果たしたことにはならないとしています(Ⅰの1(3))。
最終確認画面では、表示事項を網羅的に表示するのが原則として望ましいとされます。ただし、全ての事項を載せるとかえって分かりにくくなる場合は、リンク先や別ウィンドウで詳細を示す方法も認められています。その場合も、参照する事項と参照先を最終確認画面に明示します。参照先では、必要事項を容易に認識できるようにしておく必要があります(Ⅰの2(1)②、画面例4)。
広告の側では、2回以上続けて契約する必要があるとき、その旨と金額・契約期間などを表示します(施行規則第23条第7号)。消費者庁の特定商取引法ガイド「通信販売」の表では、この事項は省略できないものとされています(施行規則第25条)。広告の表示事項の全体は「通販広告の表示義務」で整理しています。
特商法ガイドラインに沿った定期購入の最終確認画面の書き方
ここからは、6項目それぞれについて、ガイドラインが定期購入に求める内容を見ていきます(Ⅰの2(2))。ガイドラインでいう定期購入契約は、商品を定期的に続けて引き渡し、購入者がその代金を支払う契約です。
分量:各回の数量と回数、総分量を示す
分量は、数量・回数・期間などを、消費者が認識しやすい形で示します。定期購入では、各回に届く数量に加えて、総分量が分かるよう引渡しの回数も表示します。
- 5か月分の契約なのに1か月分の分量だけを表示すると、分量を正しく表示していないことになる
- 初回と2回目以降で内容量が違うなら、各回の分量が分かるように書く
- サブスクリプション(定額で継続して利用する契約)は、提供期間や期間内の利用回数の定めがあれば、その内容を書く
注文や決済の手続が形式上1回ごとに分かれていても、注意が必要です。更新しないと違約金がかかる契約や、自動で更新される契約が当たります。こうした契約では、実態に合わせた分量と価格を表示します(Ⅰの2(2)①の注7)。
販売価格・送料:初回と2回目以降の代金、支払総額を並べる
定期購入では、各回の代金と、消費者が支払う代金の総額を明確に表示します。初回と2回目以降で代金が違うなら、初回の代金と対比して2回目以降の代金も示します。送料は、実際に消費者が支払う金額を書きます(Ⅰの2(2)②)。
ガイドラインの画面例は、初回1,600円、2〜5回目は各3,800円(送料込み)です。そのうえで、5回分の支払総額16,800円を併記しています。初回だけを大きく見せず、総額まで同じ画面で読める形にするのがポイントです。
無料期間や割引期間のあとに有償の契約へ自動で移るサブスクリプションでは、移る時期と支払う金額を、あらかじめ分かるように表示します。
支払時期・引渡時期:各回の時期を書く
支払の時期・方法と引渡時期は、広告(第11条)と同じ考え方で表示します。定期購入では、各回の支払時期と各回の引渡時期も明確にします。ガイドラインの画面例では、次のように書いています。
- 支払時期:クレジットカードは毎月1回分を引き落とし、コンビニ後払いは商品到着後7日以内
- 引渡時期:初回は注文完了から4日以内に発送、2回目以降は前回発送日から1か月が経過する日に発送
この2項目は、明確に分かるリンクや別ウィンドウで詳細を示す方法も認められています(Ⅰの2(2)③④)。
申込期間:「今だけ」では表示したことにならない
申込期間は、商品の販売そのものに期限がある場合に表示します。購入期限のカウントダウンや期間限定販売などです。価格や特典だけを期間限定にしている場合は、この「申込みの期間」には当たらないとされています(Ⅰの2(2)⑤)。
表示するときは、期間の定めがあることと、具体的な期間を示します。「今だけ」のように期間を特定できない書き方では、表示したことになりません。
解約などの条件:申出期限・違約金・解約方法を書く
6つ目の「申込みの撤回又は解除に関する事項」では、解約の条件・方法・効果を示します。定期購入なら、解約の申出期限や、解約時の違約金などの不利益も含まれます(Ⅰの2(2)⑥)。
返品特約(商品到着後の返品の可否や条件)がある場合も、ここに入ります。返品特約の書き方は「通信販売の返品特約」で解説しています。
解約方法を特定の手段に限る場合は、特に注意が必要です。ガイドラインは、次のような場合はリンク先に任せず、広告画面と最終確認画面の両方で明確に表示する必要があるとしています。
- 電話したうえで、さらにメッセージアプリの操作が要るなど、消費者が想定しない限定をする
- 解約のために、追加の個人情報の提出を求める
- 解約の受付を、特定の時間帯に限る
- 申し込んだ手段からみて容易に使える手段で、解約の連絡を受け付けない
ただし、表示したからといって、その制約が民事上有効になるわけではありません。消費者の権利を不当に制限する条項は、消費者契約法などで無効となることがあると、ガイドライン自身が注記しています。
電話で解約を受け付けるなら、確実につながる番号を載せます。一切つながらない場合や、折り返しを頼んでも連絡がない場合は、解約に関する事項の不実の表示に当たるおそれがあります。
期間の定めがない定期購入・サブスクの場合
解約を申し出るまで続く無期限の定期購入やサブスクリプションでは、その旨を明確に表示する必要があります。自動更新がある契約も、その旨を表示します(Ⅰの2(2)①)。
総分量や支払総額は確定しません。そのためガイドラインは、目安にすぎないと明確にしたうえで、1年分など一定期間の分量・支払額を示すことが望ましいとしています。通信販売広告Q&Aも、広告で半年分・1年分などの目安を示す場合に触れています。その期間を契約期間と誤認されないよう、目安だと明示する必要があるとしています(Q21)。
最終確認画面で禁止される誤認表示と、確認・訂正できない画面
第12条の6第2項は、最終確認画面での2種類の表示を禁止しています。表示事項を全部載せていても、見せ方によって違反になり得ます。あわせて、申込み内容を確認・訂正できない画面も規制の対象です(第14条第1項第2号)。
押すと申込みになると分からない表示(第1号)
ボタンを押すと有償の契約の申込みになることを、消費者が明確に認識できない表示です。ガイドラインは次の例を挙げています(Ⅰの3(1))。
- 申込はがきで「無料プレゼント」などを強調し、有償の契約の申込みだと分かりにくい
- ボタンが「送信する」「次へ」だけで、画面のほかの部分にも申込みだと分かる表示がない
一方、表題が「注文内容の確認」で、ボタンが「申込みを確定する」の画面なら、一般に誤認させないと考えられるとしています。
定期購入の条件を誤認させる表示(第2号)
表示事項を載せていて、内容も事実なのに、意味を取り違えさせる表示です。表示の位置・形式・大きさ・色調などを総合的に考慮し、ほかの表示と組み合わせた全体の印象で判断されます(Ⅰの3(2))。ガイドラインは、定期購入について次のような場合を挙げています。
- 初回の分量や価格を強調し、ほかの条件を小さな文字や離れた位置に書いて、定期購入ではないと誤認させる
- 定期購入の条件を、別の契約の広告を挟んだ後や、「申込みを確定する」ボタンの下に書く
- 「お試し」「トライアル」を強調しているのに、実際は定期購入だったり、解約に条件があったりする(該当するおそれが強いとされる)
- 「いつでも解約可能」と強調しているのに、実際は解約条件などが付いている
申込み内容を確認・訂正できない画面(第14条第1項第2号)
ネット通販では、申込み内容を容易に確認・訂正できる画面にしておく必要があります。できない画面は「顧客の意に反して申込みをさせようとする行為」として、行政処分の対象です(第14条第1項第2号、施行規則第42条第1項)。ガイドラインは、次の場合に該当するおそれがあるとしています(Ⅱの2)。
- 最終確認画面で、注文内容を容易に確認できない
- 「変更」「注文内容を修正する」「前のページへ戻る」など、訂正の手段がない
- 商品欄などに定期購入だと分かる記載がないまま、定期購入で申し込む設定が初めから選ばれていて、よほど注意しないと気づかない
確認できる表示と、訂正できる手段(たどり方の明示を含む)があれば、この行為には当たらないと考えられるとされています。
定期購入の初回価格・「お試し」表示のNG例と言い換え
ガイドラインの画面例と、2026年の処分事例で問題とされた表示から、典型的なNG例と言い換えの方向性をまとめます。
どの例も、強調した言葉と実際の契約条件が食い違っている点が問題です。言い換えでは、初回の価格と同じ見やすさで、定期購入であること・総額・解約条件を並べます。
そのほか、最終確認画面で見直したい表示は次のとおりです。
| 見直したい表示 | なぜNGか | 言い換えの方向性 |
|---|---|---|
| ボタンが「送信する」「次へ」だけで、押すと申込みが確定する | 有償の申込みになると分からず、第2項第1号に当たるおそれ | 表題を「注文内容の最終確認」、ボタンを「注文を確定する」にする |
| 5回の定期購入なのに「1か月分(3袋)」とだけ表示 | 総分量が分からず、分量を正しく表示していない | 「各回3袋×5回、計15袋」のように回数と総分量を書く |
| 販売自体に期限があるのに「今だけ」とだけ表示 | 期間を特定できず、申込期間を表示したことにならない | 「○年○月○日まで」と具体的な期限を書く |
| 商品欄に定期購入の記載がないまま、定期購入のコースが初めから選ばれている | よほど注意しないと気づかず、意に反する申込みをさせる行為(第14条第1項第2号)のおそれ | 1回購入と定期購入を並べ、消費者が自分で選ぶ形にする。商品欄にも定期購入だと書く |
| 「解約は専用アプリのチャットのみ」を注意事項の奥に記載 | 解約方法の限定は、最終確認画面で明確に示す必要がある | 解約の欄に方法の限定をはっきり書く。申込みと同じ手段で解約できるかも見直す |
| 解約受付の電話番号に、実際はつながらない | 解約に関する事項の不実の表示に当たるおそれ | 確実につながる番号を載せ、折り返しの運用を決めておく |
いずれも、ガイドラインが違反のおそれを示した例をもとにしています。実際に違反となるかは、画面全体の作りや契約の内容によって個別に判断されます。
「通常価格○円→初回○円」のような価格の比較は、景品表示法の有利誤認表示(第5条第2号)の観点でも確認が必要です。考え方は「有利誤認とは」の初回価格・定期購入の項で解説しています。
定期購入の解約に関する法律のルール
「定期購入を解約できない」というトラブルについて、特商法は表示義務のほかに、次のようなルールを置いています。ここでは事業者側から見た要点を整理します。
解約を妨げる不実告知の禁止(第13条の2)
通信販売の事業者は、申込みの撤回や解除を妨げるため、解除に関する事項などについて事実と違うことを告げてはなりません(第13条の2)。たとえば、途中で解約できる契約なのに「途中解約はできません」と案内する行為が考えられます。違反は行政処分と罰則の対象です。
また、解除によって生じる返金などの債務の履行を拒んだり、不当に遅らせたりする行為も、指示の対象です(第14条第1項第1号)。
表示の違反で誤認した申込みは取り消せる(第15条の4)
最終確認画面の表示に違反があり、消費者が誤認して申し込んだ場合、消費者はその申込みを取り消せます(第15条の4)。対象は次の4つです。
- 表示事項について不実の表示をし、事実だと誤認させた
- 表示事項を表示せず、その事項がないと誤認させた
- 申込みになることを誤認させる表示(第2項第1号)で、申込みにならないと誤認させた
- 表示事項を誤認させる表示(第2項第2号)で、その事項について誤認させた
取消権は、誤認に気づき、取り消せると知った時から1年間使わないと、時効で消えます。条文の「追認をすることができる時」に当たる時点です(民法第124条第1項)。契約の締結から5年を経過したときも同じです(第15条の4第2項が準用する第9条の3第4項)。
商品到着後8日間の返品ルールとの関係(第15条の3)
通信販売には、訪問販売のようなクーリング・オフ(一定期間内の無条件の解除)はありません。代わりに、商品の引渡しを受けた日から8日以内なら、申込みの撤回や契約の解除ができます(第15条の3)。ただし、広告に返品特約を表示していれば、その特約に従います。
ネット通販のような電子消費者契約では、広告に加えて、申込みの操作をする画面にも特約を表示しておく必要があります。そうでないと、特約ではなく8日間のルールが適用されます(第15条の3第1項ただし書、施行規則第44条)。定期購入の解約条件と返品特約は別の事項なので、両方を書き分けます。
定期購入の表示で処分された事例(消費者庁の公表資料)
最終確認画面の誤認表示(第12条の6第2項)を含む処分は、2025年以降も続いています。2026年3月には、定期購入の表示が問題になった通販業者への業務停止命令が相次ぎました。
| 処分日・事業者(商品) | 問題とされた表示 | 実際の契約 | 処分 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月16日/ピュレアス(サプリメント) | 広告に「定期縛りなし!! 1回で解約OK!」など。注文内容欄は「合計:500円」と初回の価格等だけを強調し、2回目以降の送料を含む価格も表示せず | 2回目を受け取らずに解約すると、税込9,480円の支払いが必要な定期購入 | 業務停止命令3か月・指示、代表者に業務禁止命令(第12条、第12条の6第1項・第2項)(公表資料) |
| 2026年3月23日/MIO(美容クリーム) | 広告に「送料無料&定期回数縛りなし」「1人1個まで解約不要 購入回数のお約束なし!」など。注文内容欄は初回1,980円(税込2,178円)など初回の価格等だけを強調 | 期限の定めのない定期購入で、2回目以降は1回税込19,734円。2回目を買わずに解約すると税込8,910円の支払いが必要 | 業務停止命令6か月・指示、代表者に業務禁止命令(第12条、第12条の6第2項)(公表資料) |
どちらの事案も、広告からチャットボット形式のページに移り、そこで申込みを受ける作りでした。チャット形式でも、申込みが完了する部分には第12条の6がかかります。解約時に支払いが生じる契約で「縛りなし」「解約不要」と打ち出すと、実際の条件と食い違います。こうした言葉に頼らず、解約の申出期限と解約時に支払う金額を、訴求の文言と同じ見やすさで示すのが言い換えの方向です。
2026年3月26日には、Meilie・WELLVY(美容クリーム等)の2社も、6か月の業務停止命令を受けました。MIOと同じく、期限の定めのない定期購入なのに、注文内容欄で初回の価格等だけを強調した事案です(公表資料はMIOと同じ)。2025年にも、VIRTH(6月)、ASUNOBI(9月)、BIZM(11月)の3社に、6か月の業務停止命令が出ています。いずれも第12条の6第2項の違反を含みます(VIRTH/ASUNOBI/BIZM)。
特商法違反の行政処分と罰則(最終確認画面・解約)
最終確認画面の表示義務や、誤認させる表示の禁止に違反すると、指示や業務停止命令の対象になります(第14条・第15条)。業務停止命令にあわせて、代表者などに業務禁止命令が出ることもあります(第15条の2)。処分は消費者庁のほか、都道府県知事も行っています(第68条)。罰則は違反の種類で異なります。拘禁刑は、2025年6月1日に懲役と禁錮を一本化してできた刑です(刑法第9条・第12条)。「併科」は、拘禁刑と罰金の両方を科すことです。
| 違反 | 罰則(違反行為をした者) | 法人への罰金 |
|---|---|---|
| 最終確認画面に表示しない・不実の表示(第12条の6第1項) | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり)(第70条第2号) | 1億円以下(第74条第1項第2号) |
| 最終確認画面で誤認させる表示(第12条の6第2項) | 100万円以下の罰金(第72条第1項第4号) | 100万円以下(第74条第1項第3号) |
| 解約を妨げる不実告知(第13条の2) | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり)(第70条第1号) | 1億円以下(第74条第1項第2号) |
| 広告の誇大広告等(第12条) | 100万円以下の罰金(第72条第1項第1号) | 100万円以下(第74条第1項第3号) |
| 確認・訂正できない画面(第14条第1項第2号) | 直接の罰則はなく、指示・業務停止命令の対象。指示に違反すると6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(併科あり)(第71条第2号) | 指示違反は100万円以下(第74条第1項第3号) |
| 業務停止命令への違反 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり)(第70条第3号) | 3億円以下(第74条第1項第1号) |
指示や業務停止命令をしたときは、その旨が公表されます(第14条第3項・第15条第4項)。特商法違反の処分や罰則の全体は「特定商取引法違反になるケース」で解説しています。
定期購入の最終確認画面チェックリスト
画面の作り
- □ どの画面が最終確認画面かを特定した(チャット形式、決済画面へ移る前の確認画面を含む)
- □ 表題とボタンで、押すと申込みになると分かる(例:「注文内容の最終確認」「注文を確定する」)
- □ 申込み内容を確認でき、「変更」「戻る」など訂正の手段がある
- □ 定期購入のコースを初めから選んだ状態にする場合も、定期購入であることと条件が商品欄で分かる
表示事項
- □ 各回の数量、引渡しの回数、総分量
- □ 初回と2回目以降の代金、送料、支払総額(無期限なら、その旨と目安)
- □ 各回の支払時期・支払方法と、各回の引渡時期
- □ 販売そのものに期限があるなら、具体的な申込期間
- □ 解約の方法・申出期限・違約金など(解約方法を限定するなら、その内容を最終確認画面に明記)
- □ 返品特約(返品の可否・条件・送料の負担)
見せ方と運用
- □ 「初回○円」「お試し」「いつでも解約可能」「縛りなし」と、実際の条件が食い違っていない
- □ 定期購入の条件が、小さな文字・離れた位置・確定ボタンの下に置かれていない
- □ LP(広告)にも、定期購入である旨と金額・契約期間を表示している
- □ 解約受付の電話番号が実際につながり、折り返しの運用も決めている
最終確認画面の表示事項は、カートやチャットの設定と実際の画面を見比べて確かめるのが確実です。LPやバナーの「初回○円」「縛りなし」などの訴求文言は、景品表示法の観点からもチェックが必要です。
アドミルは、広告のテキストや画像、LPを景品表示法・薬機法の観点からAIで審査するツールです。NGになり得る表現と理由、代替案を示します。景表法での使い方は「景表法AIチェックとは」で紹介しています。
よくある質問(FAQ)
Q. LPに定期購入の条件を書いていれば、最終確認画面は簡単でもよいですか?
最終確認画面にも表示が必要です。ガイドラインは、広告で表示しても第12条の6第1項の義務を果たしたことにはならないとしています。リンクで広告の該当箇所を参照させる方法は、全ての事項を載せるとかえって分かりにくくなる場合に認められます。その場合も、参照する事項と参照先を画面に明示し、参照先で必要事項を容易に認識できるようにします。解約方法を限定する場合は、リンクに任せず最終確認画面に明記します。
Q. チャットボット形式の申込みも対象ですか?
対象です。ガイドラインは、チャットやSNSを使って申込みを行う場合も含むとしています。2026年3月の処分事例でも、チャットボットのページ内の注文内容欄が誤認表示とされました。会話の流れで条件が散らばらないよう、確定ボタンの直前に条件をまとめて示します。
Q. 「初回無料」「お試し」という言葉は使えませんか?
言葉そのものが一律に禁止されているわけではありません。ただし、定期購入なのに「お試し」「トライアル」を強調すると、試行的な契約と受け取られやすくなります。ガイドラインは、この場合に誤認表示に当たるおそれが強いとしています。使うなら、定期購入であること・回数・総額・解約条件を、同じ見やすさで近くに示します。適否は表示全体で個別に判断されます。
Q. 解約の受付を電話だけにしてもよいですか?
ガイドラインは、解約方法を特定の手段に限る場合、その内容を広告画面と最終確認画面で明確に表示する必要があるとしています。申し込んだ手段からみて容易に使える手段で解約を受け付けない場合も同じです。電話で受け付けるなら、確実につながる番号を載せます。表示しても、その制約が民事上有効になるとは限らない点にも注意します。
Q. 購入者から「定期購入だと気づかなかった」と言われたら、どうすればよいですか?
まず、申込み時の最終確認画面に、6つの事項が誤認のない形で表示されていたかを確認します。表示義務違反や誤認表示で誤認して申し込んだ場合、購入者は申込みを取り消せます(第15条の4)。表示に問題がない場合も、返品特約や解約条件に沿って対応します。購入者側の相談窓口としては、消費者ホットライン「188」があります。
Q. 電話注文だけで定期購入を受けている場合も対象ですか?
事業者が用意した書面や画面を使わない電話だけの申込みは、特定申込みに当たらず、第12条の6の対象外とされています。ただし、同じ商品をはがきやネットでも受け付けていれば、そちらには適用されます。電話での申込みを促す広告にも、第11条の表示義務(定期購入の条件を含む)はかかります。
まとめ
定期購入の通販で押さえておきたい点は、次の4つです。
- 最終確認画面に、分量・価格と送料・支払の時期と方法・引渡時期・申込期間(定めがある場合)・解約などの条件を表示する(第12条の6第1項)
- 定期購入では、各回の分量と代金、支払総額、解約の申出期限や違約金まで示す
- 初回価格・「お試し」・「いつでも解約可能」の強調で、条件を誤認させない(第12条の6第2項)
- 解約を妨げる不実告知の禁止、取消権、8日間の返品ルールもあわせて確認する
LPと最終確認画面は別々に規制されるため、両方を同じ基準で見直すことが大切です。表示の適否は、画面全体の印象や契約の内容で個別に判断されます。
参考資料
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」 https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000400089
- e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134
- e-Gov法令検索「民法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- e-Gov法令検索「刑法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045
- 消費者庁「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20241119la02_09.pdf
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「ガイドライン(通信販売)」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/guidelines.html
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売広告Q&A」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/advertising.html
- 消費者庁「通信販売業者【株式会社ピュレアス】に対する行政処分について」(2026年3月19日公表) https://www.caa.go.jp/notice/entry/045480/
- 消費者庁「通信販売業者【株式会社MIO、株式会社Meilie及び株式会社WELLVY】に対する行政処分について」(2026年3月27日公表) https://www.caa.go.jp/notice/entry/045634/
- 消費者庁 通信販売業者に対する行政処分の公表資料(VIRTH 2025年6月/ASUNOBI 2025年9月/BIZM 2025年11月) https://www.caa.go.jp/notice/entry/042885/ / https://www.caa.go.jp/notice/entry/043486/ / https://www.caa.go.jp/notice/entry/044086/
- 国民生活センター「通信販売での定期購入」(2026年7月31日更新) https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/subscription_traps.html
本記事は2026年10月29日時点の公的資料に基づきます。個別の表示の適否は、商品区分・契約の内容・表示全体の印象で判断が分かれるため、必要に応じて専門家や所管の窓口に確認してください。
定期購入のLPや広告の表現を公開前にチェックしたい方は、AIで景品表示法・薬機法の観点から広告を審査するアドミルをご覧ください。→ アドミル(広告審査AI)
