最終更新日:2026年7月2日
薬機法施行令(やっきほうしこうれい)とは、薬機法の条文だけでは定めきれない具体的な対象・手続・権限などを定める政令です。広告実務では、薬機法そのものだけでなく、施行令、施行規則、通知、ガイドラインをあわせて確認する必要があります。
特に広告担当者が押さえたいのは、薬機法施行令第64条です。同条は、薬機法第67条第1項に関係する特殊疾病として、がん、肉腫しゆ、白血病を定めています。医薬品・再生医療等製品の広告だけでなく、健康食品、サプリメント、化粧品、記事LP、SNS投稿などでも、疾病名や治療・予防を想起させる表現には慎重な確認が必要です。
読み方も確認
- 薬機法 読み方:やっきほう
- 薬機法施行令 読み方:やっきほうしこうれい
- 施行規則 読み方:しこうきそく
- 政令 読み方:せいれい
- 効能効果 読み方:こうのうこうか
- 標ぼう 読み方:ひょうぼう
この記事では、「薬機法 施行令」で検索している広告・マーケティング担当者に向けて、薬機法・施行令・施行規則の違い、広告実務で見るべき条文、商材別の確認ポイント、景品表示法やステマ規制との関係まで整理します。

薬機法施行令とは?まず押さえるべき結論
薬機法施行令とは、正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令」といいます。薬機法本体から委任された事項について、内閣が政令として具体的に定めたものです。
薬機法本体は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の品質・有効性・安全性の確保などを目的とする法律です。一方で施行令は、薬機法の中で「政令で定める」とされている対象や手続を具体化する役割を持ちます。
薬機法施行令の正式名称、条文、施行令第64条の確認根拠です。
e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令」
厚生労働省「医薬品等の広告規制について」
薬機法施行令は広告担当者にも関係する
薬機法施行令は、薬局、製造販売業、製造業、販売業、医療機器、再生医療等製品など幅広い事項を定めています。そのため、すべての広告担当者が全文を読み込む必要があるとは限りません。
ただし、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品、または健康食品・サプリメント・美容雑貨などを扱う広告では、薬機法本体だけでなく、施行令や施行規則に基づく広告制限が関係する場合があります。
【早見表】薬機法・施行令・施行規則・通知の違い
| 区分 | 位置づけ | 広告実務での見方 |
|---|---|---|
| 薬機法 | 法律本体。規制の基本ルールを定める。 | 第66条、第67条、第68条など広告規制の根拠を確認する。 |
| 薬機法施行令 | 法律から委任された具体事項を定める政令。 | 第64条など、法律で「政令で定める」とされた対象を確認する。 |
| 薬機法施行規則 | 厚生労働省令。手続や細かな運用を定める。 | 広告方法の制限、指定品目、届出・手続の詳細を確認する。 |
| 通知・ガイドライン | 行政解釈や運用上の留意点を示す資料。 | 医薬品等適正広告基準、解説、Q&Aで表現判断の実務を確認する。 |
広告チェックでは、「薬機法の条文だけを見る」のではなく、薬機法、施行令、施行規則、通知・ガイドラインを階層的に確認することが重要です。特にWeb広告では、見出し、画像、体験談、注記、購入導線、SNS投稿まで含めて表示全体で判断される点に注意しましょう。
薬機法施行令で広告担当者が特に見るべき条文
薬機法施行令は広範囲にわたりますが、広告実務で特に確認したいのは第10章「医薬品等の広告」にある第64条です。
施行令第64条:特殊疾病の範囲
薬機法施行令第64条は、薬機法第67条第1項に規定する特殊疾病として、「がん、肉腫しゆ及び白血病」を定めています。これは、医師又は歯科医師の指導の下に使用されるのでなければ危害を生ずるおそれが特に大きいものについて、一般向け広告の制限につながる重要な規定です。
実務上は、がん、肉腫、白血病に関する効能効果を思わせる広告表現は、医薬品・再生医療等製品だけでなく、健康食品やサプリメント、記事LP、体験談、SNS投稿でも慎重な確認が必要です。食品や雑貨であっても、表示全体から医薬品的な効能効果を標ぼうしていると見られる場合、薬機法上のリスクが生じ得ます。
施行規則第228条の10もあわせて確認する
薬機法施行令第64条を確認する際は、薬機法施行規則第228条の10もあわせて確認する必要があります。同条では、薬機法第67条第1項の規定により指定する医薬品又は再生医療等製品について、別表第五で定める旨が示されています。
また、施行規則第228条の10第2項では、施行令第64条に規定する特殊疾病に関する広告について、医薬関係者向けの新聞・雑誌による場合など、主として医薬関係者を対象として行う場合を除き、行ってはならない旨が定められています。
そのため、広告実務では「施行令第64条に特殊疾病が書かれている」という理解だけで止めず、施行規則第228条の10で、どの品目・どの広告方法が制限されるのかまで確認することが重要です。

薬機法の広告規制は第66条・第67条・第68条を中心に見る
薬機法施行令を理解するには、薬機法本体の広告規制とあわせて見る必要があります。広告担当者がまず押さえるべき条文は、第66条、第67条、第68条です。
| 条文 | 内容 | 広告実務での注意点 |
|---|---|---|
| 第66条 | 虚偽・誇大広告等の禁止 | 明示・暗示を問わず、効能効果や性能について虚偽・誇大な表示を避ける。 |
| 第67条 | 特定疾病用の医薬品・再生医療等製品の広告制限 | 施行令第64条で定められた特殊疾病との関係を確認する。 |
| 第68条 | 承認前の医薬品・医療機器・再生医療等製品の広告禁止 | 未承認の効能効果、医薬品的な標ぼう、疾病名の訴求に注意する。 |
第66条は「何人も」が対象
薬機法第66条は「何人も」と規定しているため、メーカーだけでなく、広告代理店、制作会社、アフィリエイター、インフルエンサー、ライターなども対象となり得ます。
また、第66条第2項では、医薬品等の効能、効果又は性能について、医師その他の者が保証したものと誤解されるおそれがある記事の広告・記述・流布は、第66条第1項に該当するとされています。医師、薬剤師、専門家、研究機関、著名人の推薦・監修・コメントを使う場合は、表示全体から「効果を保証している」と受け取られないか確認が必要です。
薬機法施行令と広告リスクの関係
薬機法施行令第64条は、広告担当者にとって「疾病名を含む表現はすべて使えない」と単純に判断するための条文ではありません。重要なのは、薬機法第67条、施行令第64条、施行規則第228条の10、商材区分、広告の対象者、表示全体をあわせて確認することです。
たとえば、医療関係者向けの情報提供と、一般消費者向けのLP・SNS広告では、同じ文言でも確認すべき観点が異なります。また、健康食品やサプリメントでは、医薬品ではないにもかかわらず、疾病の治療・予防を想起させる表現を用いると、未承認医薬品的な広告と評価されるリスクがあります。
「がんに効く」「白血病を予防」などの表現は特に慎重に確認する
「がんに効く」「白血病を予防する」「抗がん作用がある」など、疾病の治療・予防・改善を直接的に示す表現は、広告実務上、特に慎重な確認が必要です。健康食品、サプリメント、化粧品、美容機器などでこのような表現を使うと、薬機法だけでなく、景品表示法や健康増進法の観点からも問題となる可能性があります。
また、本文では直接書いていなくても、医師風の人物画像、白衣、研究データの見せ方、口コミ、Before/After、ランキング表示などを組み合わせることで、表示全体として医薬品的な効能効果を暗示していると見られる場合があります。
商材別に見る薬機法施行令・広告規制の確認ポイント
広告表現の適否は、文言単体では判断できません。商材区分、承認・届出内容、根拠資料、画像、注記、LP全体の流れ、体験談、購入導線、SNS投稿との関係などを総合的に確認する必要があります。
| 商材区分 | 表現の基本範囲 | 注意点 |
|---|---|---|
| 一般化粧品 | 化粧品の効能効果56項目の範囲内 | 「シミを消す」「治す」「肌が再生する」など、医薬品的な表現に注意する。 |
| 医薬部外品 | 個別承認された効能効果の範囲内 | 承認範囲を超える強調、最上級表現、保証表現に注意する。 |
| 健康食品・サプリメント | 原則として医薬品的効能効果の標ぼう不可 | 疾病の治療・予防、身体機能の改善を断定する表現は避ける。 |
| 機能性表示食品 | 届出内容に即した表示が前提 | 届出表示から外れた効能効果や疾病訴求はリスクが高い。 |
| 医療機器・美容機器 | 承認・認証・届出内容、該当性に応じて確認 | 美容器具的・健康器具的な見せ方でも、性能や効能の誤認に注意する。 |
化粧品56効能、機能性表示食品の届出内容、薬機法広告規制の確認根拠です。
厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」
消費者庁「機能性表示食品の届出情報検索」
厚生労働省「医薬品等の広告規制について」
薬機法・施行令・商材別ルールの確認に時間がかかっていませんか?
薬機法施行令だけでなく、商材区分、承認範囲、景表法、ステマ規制まで確認すると、広告チェックの工数は大きくなりがちです。
AIによる広告法務チェックツール「アドミル」なら、リスク箇所を瞬時に判定し、ガイドラインに沿った代替表現の方向性をご提案します。
薬機法施行令だけでなく景品表示法・健康増進法も確認する
広告審査では、薬機法上の表現だけを確認しても十分とは限りません。特に化粧品、健康食品、サプリメント、機能性表示食品、D2C通販では、景品表示法や健康増進法の観点も重要です。
No.1・高評価%・ランキング表示の確認ポイント
「日本初」「No.1」「最高峰」「満足度98%」などの表示は、薬機法だけでなく景品表示法上の優良誤認・有利誤認リスクが問題になり得ます。実務では、少なくとも次の観点を確認します。
- 比較対象が明確か
- 調査対象者が商品利用者・購入者など実態に合っているか
- 質問文が誘導的でないか
- 集計方法、調査時点、調査機関が明示できるか
- 広告の目立つ箇所に必要な注記が分かりやすく表示されているか
体験談・Before/After・口コミの注意点
体験談や口コミであっても、広告全体の一部として評価されます。「個人の感想です」と注記しても、疾病の治療・予防、効能効果の保証、著しい変化を一般化するような見せ方は、薬機法や景品表示法のリスクが残ります。
また、インフルエンサー投稿やアフィリエイト広告では、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す表示がステルスマーケティング規制の対象となる可能性があります。PR表記の有無だけでなく、表示の位置、視認性、投稿全体から広告であることが分かるかを確認しましょう。
No.1表示、ステルスマーケティング規制、健康増進法上の誇大表示の確認根拠です。
消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書の公表について」
消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」
消費者庁「健康増進法(誇大表示の禁止)」

薬機法施行令をe-Govで確認する手順
薬機法施行令は改正されることがあるため、記事や解説サイトだけで判断せず、必ずe-Gov法令検索や厚生労働省の公表資料で最新の条文を確認しましょう。
- e-Gov法令検索で「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令」と検索する
- 法令名、法令番号、施行日、改正履歴を確認する
- 広告実務では「第10章 医薬品等の広告」「第64条」を確認する
- 薬機法本体の第66条、第67条、第68条もあわせて確認する
- 施行規則、医薬品等適正広告基準、解説・Q&Aを確認する
改正法の施行に伴って、施行令や施行規則が整備されることもあります。最新の改正情報は、厚生労働省の改正情報ページもあわせて確認してください。
最新条文と薬機法等の改正情報を確認するための一次情報です。
e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令」
厚生労働省「令和7年の薬機法等の一部改正について」
薬機法広告規制に違反した場合のリスク
薬機法の広告規制に違反した場合、内容や事案に応じて、措置命令、課徴金納付命令、刑事罰などの対象となる可能性があります。広告担当者は、罰則だけを過度に恐れるのではなく、まずは表示の修正、再発防止、根拠資料の整理、チェック体制の整備という実務対応を優先することが重要です。
| リスク | 主な内容 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 措置命令 | 違反行為の中止、再発防止に必要な措置、公示などを命じられる可能性があります。 | LP、広告文、記事LP、SNS投稿、アフィリエイト素材など、関連表示全体の見直しが必要です。 |
| 課徴金納付命令 | 薬機法第66条第1項の違反行為について、対象期間の取引額に応じた課徴金が命じられる可能性があります。 | 売上規模が大きい広告ほど、表示チェックと根拠資料の管理が重要になります。 |
| 刑事罰 | 悪質な事案では、懲役又は罰金などの対象となる可能性があります。 | 違反の可能性を認識した場合は、放置せず、速やかに表示停止・修正・専門家確認を行うことが望まれます。 |
なお、広告表現のリスクは、文言単体ではなく、商材区分、承認・届出内容、根拠資料、画像、注記、媒体、前後文脈、表示全体により判断されます。問題が疑われる場合は、自己判断だけで公開を継続せず、必要に応じて専門家や所轄行政機関へ確認することが重要です。
広告審査で使える薬機法施行令チェックリスト
薬機法施行令を含めた広告審査では、次のチェックリストを使うと確認漏れを減らしやすくなります。
| 確認項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 商材区分 | 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、健康食品、機能性表示食品などを分類したか。 |
| 根拠資料 | 承認書、届出情報、試験資料、調査資料などを確認したか。 |
| 効能効果 | 承認・届出・化粧品56効能の範囲を超えていないか。 |
| 特殊疾病 | がん、肉腫、白血病など、薬機法施行令第64条に関係する表現がないか。 |
| 施行規則 | 施行規則第228条の10に関係する指定品目・広告方法を確認したか。 |
| 医師等の保証 | 医師、薬剤師、専門家、研究機関が効能効果を保証しているように見えないか。 |
| 最上級表現 | 最高、最先端、No.1、日本初などに客観的根拠と適切な注記があるか。 |
| 体験談・口コミ | 例外的な結果を一般化していないか。PR表記は適切か。 |
| 媒体別表示 | LP、バナー、SNS、記事LP、ECページ、動画テロップで表示全体を確認したか。 |

薬機法施行令に関するよくある質問
Q1. 薬機法施行令とは何ですか?
薬機法施行令とは、薬機法本体から委任された具体的な対象・手続・権限などを定める政令です。広告実務では、薬機法本体、施行令、施行規則、通知・ガイドラインをあわせて確認する必要があります。
Q2. 薬機法と薬機法施行令の違いは何ですか?
薬機法は法律本体であり、基本的な規制内容を定めます。薬機法施行令は、法律で「政令で定める」とされた事項を具体化するものです。広告分野では、薬機法第67条と施行令第64条の関係が代表例です。
Q3. 薬機法施行令第64条では何が定められていますか?
薬機法施行令第64条では、薬機法第67条第1項に規定する特殊疾病として、がん、肉腫しゆ、白血病が定められています。これらに関する医薬品・再生医療等製品の一般向け広告は慎重な確認が必要です。
Q4. 施行規則第228条の10とは何ですか?
薬機法施行規則第228条の10は、薬機法第67条第1項の規定により指定する医薬品又は再生医療等製品と、施行令第64条に規定する特殊疾病に関する広告方法の制限を定める規定です。施行令第64条とあわせて確認する必要があります。
Q5. 健康食品やサプリメントにも薬機法施行令は関係しますか?
健康食品やサプリメントは通常、薬機法上の医薬品ではありません。ただし、広告で疾病の治療・予防、身体機能の改善など医薬品的効能効果を標ぼうすると、未承認医薬品の広告と評価されるリスクがあります。施行令第64条の特殊疾病に関する表現も、表示全体から慎重に確認する必要があります。
Q6. 「薬機法施行令だけ」を見れば広告表現の適否は判断できますか?
判断できません。広告表現の適否は、薬機法、施行令、施行規則、医薬品等適正広告基準、景品表示法、健康増進法、ステマ規制、媒体審査基準などを総合して確認する必要があります。
Q7. 薬機法施行令の最新条文はどこで確認できますか?
最新条文は、e-Gov法令検索で確認できます。薬機法等の改正情報は、厚生労働省の改正情報ページもあわせて確認すると実務上有用です。
薬機法施行令まで含めた広告チェックを効率化したい方へ
薬機法、施行令、施行規則、景表法、ステマ規制を横断して確認するには、属人的なチェックだけでは負担が大きくなりがちです。
AIによる広告法務チェックツール「アドミル」なら、リスク箇所を瞬時に判定し、ガイドラインに沿った代替表現の方向性をご提案します。
まとめ:薬機法施行令は広告実務でも確認すべき重要ルール
薬機法施行令は、薬機法本体から委任された具体事項を定める政令です。広告担当者にとっては、特に第64条と薬機法第67条の関係を理解しておくことが重要です。
また、施行令第64条を確認する際は、施行規則第228条の10もあわせて確認する必要があります。施行令は特殊疾病の範囲を定め、施行規則は指定品目や広告方法の制限を具体化しているためです。
ただし、広告表現の適否は、施行令だけでは判断できません。商材区分、承認・届出内容、根拠資料、画像、注記、体験談、LP全体の文脈、SNSやアフィリエイトの表示まで含めて、総合的に確認する必要があります。
薬機法施行令を確認する際は、e-Gov法令検索や厚生労働省、消費者庁の一次情報を起点にし、実務ではチェックリスト化して継続的に運用することをおすすめします。
免責事項:本記事は、薬機法施行令および広告規制に関する一般的な情報提供を目的としたものです。個別の広告表現の適否は、商材区分、承認・届出内容、根拠資料、表示全体、画像、注記、媒体、前後文脈などにより異なります。具体的な判断が必要な場合は、所轄行政機関、弁護士、薬事広告に詳しい専門家等へご相談ください。

