比較広告のルールとは?景表法の3要件と「当社比」・他社比較の注意点

比較広告のルールとは?景表法の3要件と「当社比」・他社比較の注意点

最終更新日:2026年10月30日

比較広告そのものは、景品表示法で禁止されていません。ただし消費者庁の比較広告ガイドラインは、不当表示にならないために3つの要件をすべて満たす必要があるとしています。①主張する内容が客観的に実証されている、②実証された数値や事実を正確かつ適正に引用する、③比較の方法が公正である、の3つです。化粧品・医薬部外品・医薬品などでは、厚労省の通知「医薬品等適正広告基準」の解説で、他社製品との比較広告は行わないこととされています。

本記事では、3要件の中身、「当社比」の書き方、他社名を出すときの注意点、NG例と言い換えを整理します。根拠は、消費者庁と厚生労働省の公表資料です。

比較広告のルール 早見表

確認すること 内容 問題になりやすい例
①客観的な実証 主張する範囲を、確立された方法か、社会通念上妥当な方法(無作為抽出・相当数のサンプルなど)で実証する 自社に有利な少人数の調査だけで「A社より優秀」
②正確・適正な引用 実証された範囲・条件の中で、調査の趣旨に沿って引用する 温暖地での実験だけで「全国どこでも優秀」
③公正な比較方法 比較項目・比較対象を公正に選び、長所と切り離せない短所を隠さない 自社の上位グレードと他社の標準グレードを、同格のように比べる
中傷・ひぼう 具体的な情報を示さず、他社やその商品をおとしめるだけの表示をしない 根拠なく「○○社の製品はすぐ壊れる」
「当社比」 ガイドラインの趣旨を参酌して(考え合わせて)判断される。比べた自社製品と条件が分かるようにする 何と比べたか分からない「当社比2倍」
化粧品・医薬品等 他社製品との比較は明示・暗示とも行わない。自社製品どうしは対照製品名を明示する(厚労省の通知の解説) 「A社の美容液よりうるおう」

①〜③は比較広告ガイドラインが示す要件で、満たしていても表示全体の印象によっては問題になり得ます。化粧品・医薬品等の行は、景品表示法に加えてかかる厚労省の通知によるルールです。

比較広告とは?景表法で禁止されているのか

比較広告とは、自社の商品・サービスを、競争関係にある特定の商品などと比べる広告です。比較対象を暗示する場合も含み、内容や取引条件を客観的に測定・評価して比べるものを指します(比較広告ガイドライン1.)。

比較広告ガイドラインは、消費者庁の「比較広告に関する景品表示法上の考え方」のことです。1987年(昭和62年)に公正取引委員会事務局が示し、2016年(平成28年)4月1日に消費者庁が改正しました。法律そのものではなく、景品表示法上の考え方を示した資料です。

比較そのものは禁止されていない

景品表示法第5条第1号は、品質などを実際より著しく優良と示す表示を禁じています。あわせて、事実に相違して同種または類似の商品・サービスを供給する他の事業者のものより著しく優良と示す表示も禁じています。第2号は、価格などの取引条件について同じ形で定めています(e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」)。第1号に当たる表示を優良誤認表示、第2号に当たる表示を有利誤認表示と呼びます。

一方で消費者庁は、競争事業者の商品との比較そのものを禁止・制限するものではないとしています(消費者庁「比較広告」)。ガイドラインは、品質や取引条件を比べるための具体的な情報を提供する比較広告を、望ましいものとしています(はじめに)。

問題になるのは、他社より優れている・安いという表示が事実と違ったり、消費者を誤認させたりする場合です。判断基準は「優良誤認とは」、品質と価格の区別は「優良誤認と有利誤認の違い」で解説しています。

比較広告にかかる主なルール

比較広告には、景品表示法のほかにも、比べる内容や商品によって次のルールがかかります。

比較広告にかかる主なルール
景品表示法 第5条+比較広告ガイドライン
すべての商品・サービスが対象。3要件と中傷・ひぼうの考え方を示す
価格表示ガイドライン
他社の価格と比べる二重価格表示や「他店より安い」などの表示
医薬品等適正広告基準(厚労省の通知)
化粧品・医薬部外品・医薬品など。第4の9の解説で他社製品との比較広告は行わないとされる
不正競争防止法 第2条第1項第21号
競合の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知・流布する行為
出典:e-Gov法令検索(景品表示法・不正競争防止法)、消費者庁「比較広告に関する景品表示法上の考え方」「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」、厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」

他社の価格と比べるなら価格表示ガイドライン(消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」)、化粧品などは厚労省の通知もあわせて確認します。景品表示法の全体像は「景品表示法とは」、消費者庁のほかのガイドラインは「景表法ガイドラインとは」にまとめています。

比較広告が不当表示になった場合

比較広告が優良誤認・有利誤認に当たると、消費者庁は措置命令を出せます(第7条第1項)。措置命令は、違反行為の差止めや再発防止などを命じる行政処分です。課徴金納付命令の対象にもなり、額は原則として対象商品の売上額の3%です(第8条第1項。算定額が150万円未満なら命じられません)。

罰則もあります。実際や他社のものより著しく優良・有利だと誤認させるような表示をすると、100万円以下の罰金の対象です(第48条)。措置命令を経ずに科され得る罰則で、直罰と呼ばれます(2024年10月1日施行の令和5年改正で新設)。措置命令に違反した場合は、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり)です(第46条)。法人には、措置命令違反で3億円以下の罰金が科され得ます(第49条)。

比較広告ガイドラインの3つの要件

ガイドラインは、比較広告が不当表示とならないためには、次の3つをすべて満たす必要があるとしています(ガイドライン2(2))。要件ごとに、ガイドラインが考慮する点を整理すると次のとおりです。

3要件ごとにガイドラインが考慮する点
①客観的に実証
ガイドライン3
・実証の範囲=広告で主張する範囲(3(1))
・確立された方法か、妥当な調査方法(3(2))
・方法が妥当なら自社調査も根拠になる(3(3))
②正確・適正に引用
ガイドライン4
・限られた条件の結果を全体に広げない(4(1)ア)
・一部の項目を恣意的に選ばない(4(1)イ)
・調査機関・時点・場所を示すのが適当(4(2))
③公正な比較方法
ガイドライン5
・項目:一部の差を全体の優秀性にしない(5(1))
・対象:グレード違い・旧型を同等のように見せない(5(2))
・短所:長所と切り離せない短所を隠さない(5(3))
出典:消費者庁「比較広告に関する景品表示法上の考え方」2(2)・3〜5(括弧内は項目番号)

3要件を満たしていても、表示全体から受ける印象で判断される点は変わりません。以下、要件ごとに中身を見ていきます。

①主張する内容が客観的に実証されている

実証が必要なのは、比較広告で主張する事項の範囲です。たとえば「某市で調査した結果、A商品よりB商品の方が優秀だった」と表示するとします。この場合、某市でその調査が行われ、主張どおりの結果が出ていることが必要です(ガイドライン3(1))。

実証は、確立された方法があればその方法で行います。なければ、社会通念上・経験則上妥当と考えられる方法によります。ガイドラインは、無作為抽出法で相当数のサンプルを選び、作為が生じないように行う調査を例に挙げています(3(2))。

どの程度の調査が必要かは、商品の特性や、広告の影響の範囲・程度で変わります。広い地域で他社製品との好みの差を示すなら、相当数のサンプルが必要です。一方、中小企業が低額の商品を一部の地域に限って比較広告する場合は、比較的少ないサンプルで足りるとされています(3(2))。

根拠の扱いについては、次の考え方も示されています(3(2)・3(3))。

  • 公的機関や、比較される側の事業者がパンフレットなどで公表し、客観的に信頼できる数値や事実は、実証されているものとして扱える
  • 調査は広告主と関係のない第三者機関によるものが望ましい。ただし方法が妥当なら、自社の調査も根拠にできる

品質や性能で他社より優れていると示す比較では、消費者庁から根拠資料の提出を求められることがあります。期間内に提出しない場合や、提出した資料が合理的な根拠と認められない場合、措置命令では優良誤認とみなされます(第7条第2項)。課徴金納付命令では優良誤認と推定されます(第8条第3項、消費者庁「優良誤認とは」)。

②実証された数値・事実を正確かつ適正に引用する

引用は、実証された事実の範囲内で行います。ガイドラインは、温暖地用エンジンオイルの例を挙げています。温暖地での比較実験の結果だけを根拠に、国内のすべての地域で自社製品が優秀だと主張するケースです。主張している事実までは実証がないため、不当表示となるおそれがあるとしています(4(1)ア)。

調査結果の一部を使う場合は、調査の趣旨に沿って引用します。多数の項目で比べた調査から、一部の項目を恣意的に選んで点数化・平均する引用は、不当表示となるおそれがあります(4(1)イ)。

調査を引用するときは、調査機関・調査時点・調査場所などを広告中に表示するのが適当とされています。広告スペースの都合で省いても、調査方法を適切に説明できる限り特に問題ないとされます(4(2))。

ただし、調査機関や時点をあえて伏せる表示は別です。自社調査や相当前の調査なのに「近時における権威ある調査によれば」のように見せると、不当表示となるおそれがあります(4(2))。

③比較の方法が公正である

ガイドラインは、比較の方法の公正さを3つの観点で見ています(5(1)〜(3))。

観点 問題になるおそれがある比較 ガイドラインの例
比較項目の選び方 全体の機能・効用にあまり影響しない項目の差を、商品全体が優れているように強調する ささいな改良にすぎないのに、他社の従来品と比べて画期的な新製品のように表示
比較対象の選び方 同等と認識されていない商品や、製造・販売が中止された商品と比べ、同等品・現行品どうしの比較のように見せる 自社のデラックスタイプと他社のスタンダードタイプの内装を、グレードの違いに触れずに比較
短所の表示 表示が義務付けられている事項や通常表示される事項のうち、長所と切り離せない短所を表示しない 高圧電線が架設されているため安い土地なのに、その事情に触れずに価格を比較

ガイドラインは、どの項目・どの商品と比べても、一般には特に問題ないとしています。問われるのは、その比べ方で商品全体を実際より良く見せていないかです。

「当社比」とは?使うときの注意点

「当社比」は、一般に自社の従来品や別の自社製品と比べた結果を示す表示です。景品表示法や比較広告ガイドラインに、「当社比」の定義はありません。

ガイドラインの対象は、競争関係にある特定の商品との比較です。それ以外の形で比べる広告も、個々の事例ごとにガイドラインの趣旨を参酌して判断するとされています(ガイドライン1.)。また景品表示法第5条第1号は、実際のものより著しく優良と示す表示も禁じています。当社比なら自由に書ける、というわけではありません。

ガイドラインの趣旨に照らすと、当社比では次の点を確かめておきたいところです。

  • 何と比べたか(比較した自社製品の名称・型番など)が分かる
  • 比べた項目と条件を、根拠資料で説明できる
  • 限られた条件での結果を、どんな使い方でも同じ差が出るように見せていない
  • 一部の項目の差を、商品全体が優れているように強調していない

「当社通常価格より30%OFF」のように、自社の過去の価格と比べる表示は、価格表示のルールで判断されます。よりどころは消費者庁の「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン)です。二重価格表示とは、販売価格に、それより高い比較対照価格を併記する表示です(第4)。割引率の表示も、基本的に二重価格表示と同じ考え方で判断されます(第5)。

化粧品・医薬部外品で「当社比」を使う場合

化粧品などの製品どうしの比較は、自社製品の範囲で、対照とした製品の名称を明示する場合に限るとされています。漠然と比べる場合も、効能効果等を保証する表現の禁止に抵触するおそれがあります(厚労省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」第4の9の解説)。

また、一般向けの広告で臨床データや実験例などを例示することは、原則として行わないこととされています(同 第4の3(5)の解説)。家電などのように試験条件を詳しく書いて示す方法は、化粧品にはそのまま当てはまりません。

他社名・他社商品を出して比較してよい?(中傷・ひぼうの禁止)

景品表示法の上では、特定の他社商品を比較対象として示すこと自体は禁止されていません。ガイドラインの定義も、比較対象を明示する場合と暗示する場合の両方を含んでいます(ガイドライン1.)。他社名を出すかどうかにかかわらず、3要件を満たすことが前提です。

中傷・ひぼうにわたる比較は不当表示のおそれ

中傷・ひぼうとは、具体的な情報を伝えるためではなく、競争事業者やその商品を陥れるために、ことさら欠点を指摘するものです。ガイドラインは、次の2つを不当表示となるおそれがあるものとしています(ガイドライン6.)。

  • 事実に反する中傷・ひぼうで、消費者に誤認を与えるもの
  • 事実に基づく内容でも、信用失墜や人身攻撃にわたり、比較対象が実際より著しく劣っている印象を与えるもの

ガイドラインは、刑法など他の法律の問題や、倫理・品位の問題になることもあると注意しています(6.)。調査結果の引用の仕方などによっては、著作権法などで禁止される場合もあるとしています(8.)。

競合の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知・流布は、不正競争防止法の「不正競争」にも当たります(第2条第1項第21号)。この場合、競合から差止めや損害賠償を請求されるおそれがあります(第3条・第4条、e-Gov法令検索「不正競争防止法」)。

他社の価格と比べる場合

市価や特定の他社の販売価格と比べる二重価格表示では、他社の最近時の販売価格を正確に調査する必要があります。特定の他社と比べるなら、その他社の名称を明示する必要があるとされています(価格表示ガイドライン 第4の4(1))。

「他店より安くします」のような表示も注意が必要です。限定条件を分かりにくく示して安さを強調すると、他社より著しく有利だと誤認させ、不当表示に当たるおそれがあります(同 第6の1)。

ガイドラインは、業界団体や広告媒体による自主規制も重要だとしています(ガイドライン7.)。掲載先の広告審査の基準もあわせて確認しましょう。

化粧品・医薬部外品の比較広告は薬機法側のルールに注意

化粧品・医薬部外品・医薬品・医療機器・再生医療等製品の広告には、厚労省の通知「医薬品等適正広告基準」があります(平成29年9月29日 薬生発0929第4号)。新聞・テレビからウェブサイト・SNSまで、すべての媒体の広告が対象です(第2)。

この基準は法律ではありません。都道府県などが、薬機法第66条〜第68条に基づいて広告の監視指導を行う際のよりどころとされています(同通知の前文)。

他社製品の誹謗は不可(第4の9)

基準の第4の9は、品質・効能効果・安全性などについて、他社の製品を誹謗するような広告を行ってはならないと定めています。解説は、抵触する表現の例として次の2つを挙げています。

  • 他社製品の品質などを実際より悪く表現する場合(例:「他社の口紅は流行おくれのものばかりである。」)
  • 他社製品の内容について事実を表現した場合(例:「どこでもまだ××式製造方法です。」)

景品表示法のガイドラインは、事実に基づく中傷・ひぼうについて、信用失墜や人身攻撃にわたるもの等を挙げています。比較対象が実際より著しく劣っている印象を与える場合に、不当表示のおそれがあるとしています(ガイドライン6.)。一方、適正広告基準の解説は、他社製品の内容を事実どおりに書いた場合も誹謗の例に挙げています。

他社製品との比較広告は行わない

解説は、比較広告について次の2点を示しています(第4の9の解説(2))。

  • 漠然と比較する場合でも、効能効果等または安全性を保証する表現の禁止(第4の3(5))に抵触するおそれがある
  • 製品どうしの比較広告は、自社製品の範囲で、対照製品の名称を明示する場合に限る。明示的・暗示的を問わず、他社製品との比較広告は行わない。この場合も説明不足にならないよう注意する

会社名を出さない「一般的な化粧水の2倍うるおう」のような表示も、他社製品との暗示的な比較や、漠然とした比較に当たり得ます。化粧品で表現できる効能の範囲(56項目)を超えないことも前提です(基準 第4の3(2))。

表現によっては、薬機法第66条第1項(虚偽・誇大広告の禁止)の問題にもなり得ます。違反には、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金(併科あり)の定めがあります(第85条第4号、e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)。

なお、健康食品は医薬品等ではないため、この基準の対象外です。比較の表示は主に景品表示法で判断され、健康保持増進効果に関わる表示には健康増進法第65条(誇大表示の禁止)もかかります(e-Gov法令検索「健康増進法」)。医薬品的な効能効果をうたうと、薬機法の問題にもなります(第68条 承認前の医薬品等の広告の禁止など)。

比較広告の違反事例と問題になりやすい例

措置命令の例:他社サービス比較表の「×」

消費者庁の「景品表示法における違反事例集」(2016年2月)には、他社との比較表示が優良誤認とされた措置命令が載っています(38ページ)。

  • 対象:モバイルデータ通信サービスのウェブサイト(2012年6月7日 措置命令)
  • 表示:「他社サービス比較表」の「メール」欄で、他社の同種サービスに「×」を付け、電子メールサービスが付いていないかのように示した
  • 実際:他社も、同種サービスの無料オプションとして電子メールサービスを提供していた
  • 違反:景品表示法第5条第1号(当時の第4条第1項第1号)の優良誤認

比較表の「○」「×」は、他社商品の内容を示す表示でもあります。他社の仕様や提供条件は変わることがあるため、公開前だけでなく掲載中も確かめましょう。

消費者庁が示す「問題となる比較広告の具体例」

消費者庁「比較広告」のページは、問題となる比較広告の例として次の4つを挙げています。

業種 表示 問題点
パソコンメーカー 「この技術は日本で当社だけ」 他社も同じ技術を採用した製品を販売していた
予備校 大学合格実績No.1 他校と異なる方法で数値化したもので、適正な比較ではなかった
携帯電話の通信事業者 店頭チラシの料金比較で、自社が最も安いように表示 自社に不利な割引サービスを除いて比較していた
酒類量販店 新聞折込チラシで「この辺で一番安い店」 周辺の酒店の価格を調査しておらず、根拠がなかった

「No.1」「日本で当社だけ」「一番安い」のように、比較の相手を明示しない表示も、他社と比べた結果を示す表示です。広告表現全般の違反事例は「広告表現の規制と違反事例一覧」にまとめています。

比較広告のNG例と言い換え

よくある比較表現を、なぜNGか・言い換えの方向性とあわせて整理しました。

比較広告のNG例と言い換え
✕ NG
A社製品より優秀!
なぜNG:根拠は某市での少人数の調査だけ。主張する全般的な優秀性まで実証できていない
○ 言い換え
調査機関・時点・場所を示し、調査で確かめた範囲に絞って表示する
✕ NG
当社比2倍の保湿力
なぜNG:化粧品の場合、何と比べたか分からず、漠然とした比較は効能の保証表現に触れるおそれ
○ 言い換え
対照とした自社製品名を明示。一般向けの広告で試験データは原則示さない
✕ NG
他社の美容液は、まだ旧式の製法です
なぜNG:化粧品等では、事実であっても他社製品の誹謗に当たる例とされている
○ 言い換え
他社には触れず、自社製品の製法・成分の事実だけを説明する
出典:消費者庁「比較広告に関する景品表示法上の考え方」3・4(2)、厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」第4の3(5)・第4の9

1つ目は要件①の問題です。某市の少人数の調査では、主張している全般的な優秀性まで実証できていません。広い地域に向けた広告なら、相当数のサンプルによる調査も必要になります(ガイドライン3(1)・3(2))。2つ目と3つ目は、化粧品などに適用される厚労省の通知の解説に基づく例です。

そのほか、次の表現も見直しの対象になりやすいものです。

NG表現の例 なぜNGか 言い換えの方向性
「他社より30%安い」(他社の価格を最近調べていない) 他社の最近時の価格と比べていないと、有利誤認のおそれ(価格表示ガイドライン 第4の4) 比べた他社名と調査時点を示し、最近時の価格を正確に調べて比べる
「近時の権威ある調査で、A社より高評価」(実際は数年前の自社調査) 第三者の最新の調査のように誤認させる(ガイドライン4(2)) 調査機関・調査時点・調査場所を正確に表示する
「他社品の2倍長持ち」(自社の上位モデルと他社の標準モデルを比較) 同等でないものを同等のように比べている(ガイドライン5(2)) 比べたモデル・グレードを明示し、同等品どうしで比べる
「性能で他社を圧倒」(比べたのは一部の項目だけ) 一部の差を、商品全体の優秀性のように強調している(ガイドライン5(1)) 比べた項目と条件に絞って表示する

言い換えても、必ず適法になるわけではありません。商品区分や比較の内容、表示全体の印象で個別に判断されます。

比較広告の公開前チェックリスト

主張と根拠

  • □ 比較で主張する範囲(地域・対象・項目)を、根拠資料が実証している
  • □ 確立された測定方法か、妥当な調査方法(無作為抽出・十分なサンプル)で調べている
  • □ 調査機関・調査時点・調査場所を広告に示している(省く場合も説明できる)

引用と比較の方法

  • □ 限られた条件での結果を、すべての条件に当てはまるように見せていない
  • □ 調査結果の一部を、趣旨と違う形で切り出していない
  • □ 比較対象は同等の商品で、現在販売されている(違う場合はその旨を明示している)
  • □ 一部の項目の差を、商品全体の優秀性のように強調していない
  • □ 長所と切り離せない短所を隠していない

他社・表現

  • □ 他社やその商品をおとしめるだけの表現がない
  • □ 比較表の「○」「×」など、他社商品についての記載が最新の事実と合っている
  • □ 他社の価格と比べる場合、最近時の価格を調べ、比べた他社名を示している
  • □ 「当社比」は、比べた自社製品と条件が分かる
  • □ 化粧品・医薬部外品・医薬品等で、他社製品と比べていない(明示・暗示とも)

比較表現は、根拠資料と照らし合わせないと判断できない部分が多くあります。表現の洗い出しには、AIツールを使う方法もあります。アドミルは、広告のテキストや画像、LPを景品表示法・薬機法の観点からAIで審査し、NGになり得る表現と理由、代替案を示すツールです。使い方は「景表法AIチェックとは」で紹介しています。根拠資料との照合と最終判断は、担当者が行いましょう。

よくある質問

Q. 比較広告は違法ですか?

比較広告そのものは、景品表示法で禁止されていません。消費者庁も、競争事業者の商品との比較そのものを禁止・制限するものではないとしています。ただし比較広告ガイドラインの3要件を満たす必要があります。化粧品・医薬品等では、厚労省の通知の解説で他社製品との比較広告は行わないこととされています。

Q. 比較広告ガイドラインに違反すると罰則がありますか?

ガイドライン自体は、景品表示法上の考え方を示した資料で、罰則の定めはありません。ただし、ガイドラインに沿わない比較広告が第5条の不当表示に当たると、措置命令や課徴金納付命令の対象になります。優良誤認・有利誤認の表示には、100万円以下の罰金の直罰もあります(第48条)。

Q. 他社名を出して比較してもいいですか?

景品表示法上、他社名を出すこと自体は禁止されていません。3要件を満たし、中傷・ひぼうにわたらないことが前提です。他社の価格と比べる場合は、その他社の名称を明示し、最近時の価格を正確に調べる必要があります。化粧品・医薬品等では、他社製品との比較広告は行わないこととされています。

Q. 「当社比」は比較広告ガイドラインの対象ですか?

ガイドラインの対象は、競争関係にある商品との比較です。当社比のような比較は、ガイドラインの趣旨を参酌して個別に判断されます。何と比べたのか、どんな条件で比べたのかを説明できるようにしておきましょう。

Q. 自社で行った調査を根拠にしてもいいですか?

実証の方法が妥当であれば、根拠として使えるとされています。第三者機関の調査が望ましいとされますが、必須ではありません。ただし、自社調査であることを伏せて「権威ある調査」のように見せると、不当表示のおそれがあります。

Q. 化粧品で「従来品と比べて」は使えますか?

化粧品などの製品どうしの比較は、自社製品の範囲で対照製品名を明示する場合に限るとされています(厚労省の通知「医薬品等適正広告基準」の解説)。「従来品○○と比べて」のように、対照製品名を示す形が前提です。一般向けの広告で試験データを例示することは、原則として行わないこととされています。

まとめ

  • 比較広告そのものは、景品表示法で禁止されていない
  • 比較広告ガイドラインの3要件(客観的な実証・正確かつ適正な引用・公正な比較方法)をすべて満たす必要がある
  • 他社名を出す比較も禁止されていないが、中傷・ひぼうは不当表示のおそれ。他社の価格と比べるなら名称の明示と最近時の価格調査が必要
  • 「当社比」もガイドラインの趣旨を参酌して判断される。比べた製品と条件が分かるようにする
  • 化粧品・医薬部外品・医薬品等は、厚労省の通知の解説で他社製品との比較広告は行わないこととされている

表示の適否は、商品や比較の内容、表示全体の印象で個別に判断されます。迷う表現は、消費者庁や都道府県の景品表示法の相談窓口、化粧品などは都道府県の薬務課への相談も検討してください。

参考資料

本記事は2026年10月22日時点の公的資料に基づきます。個別の表示の適否は、商品区分・承認内容・表示全体の印象で判断が分かれるため、必要に応じて専門家や所管の窓口に確認してください。


比較広告やNo.1表示などの表現を公開前にチェックしたい方は、AIで景品表示法・薬機法の観点から広告を審査するアドミルをご覧ください。→ アドミル(広告審査AI)