薬機法違反とは?広告のNG例・罰則・対策を実務解説

薬機法違反とは?広告のNG例・罰則・対策を実務解説

最終更新日:2026年5月21日

「薬機法違反」と検索している方の多くは、どこからが違反なのか、広告の何が危険なのか、違反したら何が起こるのかを短時間で把握したいはずです。

結論からいうと、薬機法違反はNGワード集だけでは防げません。広告表現の適否は、商材区分、根拠資料、画像、体験談、注記、遷移先を含む表示全体で判断されます。特に化粧品、医薬部外品、健康食品、機能性表示食品、美容機器の広告では、薬機法だけでなく景品表示法や健康増進法まで横断して確認が必要です。

本記事では、広告実務に関わる担当者向けに、薬機法違反の基本、広告のNG例、罰則、予防策を一次情報ベースで整理します。あわせて、「医師推奨」「No.1表示」「SNS投稿」「記事LP」で見落としやすい論点まで実務目線で解説します。

この記事の要点

  • 薬機法66条は「何人も」が対象で、広告主だけでなく代理店、アフィリエイター、インフルエンサーなども無関係とはいえません。
  • 広告の適否は文言単体ではなく、商材区分、根拠資料、画像、注記、前後文脈を含む表示全体で判断されます。
  • 「医師推奨」「顧客満足度No.1」「Before/After」は、薬機法だけでなく景品表示法や健康増進法の論点も重なりやすい表現です。
  • 一般化粧品、医薬部外品、健康食品、機能性表示食品、美容機器では、使える表現の範囲が大きく異なります。

薬機法違反とは

薬機法違反とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などに関して、薬機法で定められた規制に反することをいいます。広告実務で特に重要なのは、次の3論点です。

主な論点 概要 実務での注意点
66条:虚偽・誇大広告等 効能、効果、性能などについて、虚偽・誇大な広告を禁止しています。 明示表現だけでなく、暗示的な表現も対象になり得ます。
66条2項:医師等の保証誤認 医師その他の者が効能・効果・性能を保証したと誤解されるおそれのある表示も規制対象です。 「医師推奨」「専門家も認めた」は表示全体で慎重な確認が必要です。
68条:承認前広告の禁止 承認・認証を受けていない医薬品等について、名称、製造方法、効能、効果、性能に関する広告を禁止しています。 食品や雑貨でも、医薬品等のような効能訴求をすると問題化するおそれがあります。

特に重要なのは、66条の対象が「何人も」である点です。つまり、メーカーだけでなく、広告代理店、制作会社、アフィリエイター、インフルエンサーなども、関与の仕方によっては無関係とはいえません。

まず確認したい:薬機法上の「広告」に当たる3要件

実務では、「これは記事だから広告ではない」「SNS投稿だから広告ではない」と誤解されることがあります。しかし、薬機法上の広告該当性は、媒体名ではなく内容と状態で判断されます。

厚生労働省の通知では、一般に次の3要件を満たす場合、広告に該当すると整理されています。

要件 意味 該当しやすい例
顧客を誘引する意図が明確 購入・申込につなげる意図があることです。 記事LP、比較記事、レビュー投稿、動画導線
特定の商品名が明らか どの商品か特定できる状態です。 商品名、ブランド名、画像、リンク先での特定
一般人が認知できる状態 不特定多数が閲覧可能な状態です。 公開Webページ、SNS投稿、動画配信、広告バナー

そのため、LP、記事LP、比較サイト、SNS投稿、アフィリエイト記事、YouTube動画、ライブ配信の固定コメントなども、内容次第で広告に当たる可能性があります。

【早見表】広告のNG例と見直しの方向性

以下は、実務で特に差し戻しやすい表現です。なお、適否は文言単体ではなく、商材区分、根拠資料、画像、体験談、注記、表示全体で変わります。

NGになりやすい例 主なリスク 見直しの方向性
シミが消える、シワが治る、再生する 化粧品や食品で医薬品的効能を想起させるおそれがあります。 商材区分を確定し、認められた範囲の効能表現に置き換えます。
医師も推奨、専門家が保証 66条2項の保証誤認や景表法上の問題が重なりやすい表現です。 肩書、評価対象、質問文、表示全体との対応を確認します。
顧客満足度No.1、医師の90%が推奨 比較対象や調査設計が不適切だと景表法上の問題が生じやすいです。 比較対象、調査対象者、質問文、集計方法、調査時点まで確認します。
たった7日で-5kg、脂肪肝を改善 健康食品・サプリで医薬品的効能や誇大表示の論点が出やすいです。 食品として許容される表示範囲と根拠資料を個別に確認します。
劇的なBefore/After 表示全体で効能を断定的に印象付けるおそれがあります。 画像、本文、注記、レビュー、導線全体で再確認します。

薬機法違反になりやすい広告のNG例

1. 誇大広告・暗示的広告をしてしまう

薬機法66条では、効能、効果、性能に関する虚偽・誇大な広告が禁止されています。重要なのは、明示的であると暗示的であるとを問わず規制される点です。

たとえば、本文では「治る」と書いていなくても、体験談、比較図、白衣画像、漫画、レビューの見せ方によって、消費者に医薬品的な効能を想起させることがあります。文言だけではなく、表示全体での印象管理が必要です。

2. 「医師推奨」「専門家監修」で保証したように見せてしまう

66条2項では、医師その他の者が効能・効果・性能を保証したと誤解されるおそれのある表示も規制対象です。以下のような表現は特に慎重な確認が必要です。

  • 医師の90%が推奨
  • 現役医師が効果を認めた
  • 専門家も絶賛
  • クリニック品質だから安心

この種の表現は、薬機法だけでなく景品表示法の論点も重なります。誰が、どの立場で、何を、どの方法で評価したのかまで確認が必要です。

3. 承認前の商品を医薬品等のように訴求してしまう

68条では、承認・認証を受けていない医薬品等について、名称、製造方法、効能、効果、性能に関する広告が禁止されています。食品や雑貨として販売していても、広告の見せ方によっては承認前広告の問題を招くおそれがあります。

特に、美容機器、健康食品、サプリ、デバイス系商材では、治療・改善・修復・再生などの医療的な印象を与える表現に注意が必要です。

4. 体験談・Before/Afterで効果を強く印象付ける

体験談やBefore/Afterは、事実をそのまま載せているつもりでも、表示全体として効能を断定的に印象付けることがあります。数字の見せ方、写真の角度、比較条件、注記の位置なども判断に影響し得ます。

5. 「No.1」「高評価%表示」を安易に使う

「顧客満足度No.1」「医師の90%が推奨」などは、薬機法だけでなく景品表示法でもリスクが高い論点です。消費者庁の調査でも、No.1表示は購入の意思決定に影響しやすく、実際の利用者評価や他社比較であると受け取られやすい傾向が示されています。

注記を書けば直ちに問題が解消するとは限りません。比較対象、調査対象者、質問文、集計方法、調査時点が表示内容と対応しているかまで確認してください。

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商材別に変わる判断基準

広告表現の適否は、まず何の商品なのかを確定しないと判断できません。ここを曖昧にしたまま文言だけで判断すると、社内確認や代理店確認で事故が起きやすくなります。

商材区分 基本的な考え方 注意したい表現例
一般化粧品 原則として、厚生労働省通知で整理された56の効能効果の範囲内で考えます。 シミが消える、シワが治る、肌再生
医薬部外品 個別に承認された効能効果の範囲内で訴求します。 承認外の効能や、承認範囲を超えて読める見せ方
健康食品・サプリ 食品である以上、医薬品的効能効果の標ぼうは避ける必要があります。 血糖値を下げる、脂肪肝を改善、がん予防
機能性表示食品 消費者庁長官への届出制で、事業者の責任において表示する制度です。届出内容に即した表示が前提です。 届出範囲を超える効果訴求、国が効果を保証しているかのような見せ方
美容機器・雑貨 医療機器的な効能や治療的な印象を与えると、承認前広告などの論点が出ます。 たるみ治療、細胞修復、治療レベル

一般化粧品では56効能の範囲が基準になります。一方、医薬部外品は「薬用」だから何でも言えるわけではなく、承認された効能効果の範囲内での訴求が基本です。健康食品やサプリは、医薬品的な効能を標ぼうしないことが重要で、機能性表示食品も届出内容を超えた広告は要注意です。

薬機法違反をするとどうなる?

広告実務では「まず直せば済む」と見られがちですが、違反が疑われると、出稿停止や媒体調整だけでなく、社内報告、代理店対応、レビュー対応まで連鎖することがあります。整理としては次の順で理解すると実務で使いやすいです。

区分 内容 実務への影響
措置命令等 66条1項または68条違反では、厚生労働大臣または都道府県知事が、行為の中止、再発防止、公示などを命じることができます。 広告停止、差し替え、社内是正、取引先説明が必要になります。
課徴金納付命令 66条1項違反は、対価合計額に4.5%を乗じた額の課徴金対象になり得ます。 広告費ではなく売上ベースで影響が出るため、事業インパクトが大きくなりやすいです。
悪質な場合の刑事罰 66条1項・3項違反や68条違反は、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金、またはこれらの併科の対象となる場合があります。 企業信用や取引継続、採用広報にも影響し得ます。

なお、個別事案でどの条文が問題になるか、どこまで処分対象となるかは、表示内容や関与状況によって異なります。判断が分かれうるケースでは、必ず個別確認が必要です。

広告実務での対策

薬機法違反を防ぐには、公開前に確認の順番を決めておくことが重要です。文言だけを単発で見るのではなく、商材区分、根拠資料、画像、導線全体をつなげて確認する運用が有効です。

1. まず商材区分を確定する

化粧品、医薬部外品、健康食品、機能性表示食品、美容機器、雑貨のどれに該当するかを先に確定します。ここが曖昧なままでは、使える表現の範囲を判断できません。

2. 使いたい訴求と根拠資料を対応付ける

「保湿」「整肌」「サポート」「推奨」など、使いたい訴求ごとに、承認書、届出資料、試験データ、調査票などの根拠があるかを確認します。根拠が弱い訴求ほど、表示全体で強く見せない工夫が必要です。

3. 文言だけでなく画像・体験談・注記も一緒に見る

本文だけをチェックしても、画像や口コミで効能を強く印象付けていれば意味がありません。制作段階では、原稿、ワイヤー、画像、遷移先をセットで確認する運用が有効です。

4. No.1表示や高評価%表示は調査票まで確認・保管する

比較対象、調査対象者、質問文、回収数、集計方法、調査時点まで確認できる資料を保管しておくと、社内監査や代理店差し戻しへの対応がしやすくなります。

5. バナー・SNS・記事LP・販売ページで表現を統一する

媒体ごとに表現の強さがずれると、最終的に最も強い訴求で見られやすくなります。流入導線から購入導線まで、一気通貫で確認することが重要です。

6. AIと人の二段階で確認する

大量のクリエイティブの一次スクリーニングにはAIが有効ですが、最終判断は商材区分、根拠資料、表示全体を踏まえた個別判断が必要です。AIはチェック工数の削減を支援する役割として位置付けるのが現実的です。

SNS・アフィリエイト・記事LPで見落としやすいポイント

  • 投稿文だけでなく、ハッシュタグ、固定コメント、プロフィール文、リンク先も確認する
  • 記事LPの比較表、ランキング、レビュー、漫画、吹き出しまで広告表現として見る
  • アフィリエイターやインフルエンサー向け配布素材に強い訴求が含まれていないかを確認する
  • 「医師推奨」「No.1」「実感率○%」は調査設計と表示内容の対応まで確認する
  • 誰が何を作成し、どの時点で確認したかを記録に残す

FAQ

Q1. 薬機法違反は広告主だけが責任を負いますか?

そうとは限りません。66条は「何人も」を対象としているため、表示内容や関与の態様によっては、メーカー、広告代理店、アフィリエイター、インフルエンサー、媒体運営者なども無関係とはいえません。

Q2. 一般化粧品なら「シワ改善」は使えますか?

個別判断です。一般化粧品では厚生労働省通知で整理された効能範囲が前提になります。医薬部外品や医療機器とは判断枠組みが異なるため、まず商品区分を確認してください。

Q3. サプリなら薬機法の対象外ですか?

対象外とは言い切れません。食品であっても、広告で医薬品的な効能効果を標ぼうすると、未承認医薬品等の広告として問題になるおそれがあります。

Q4. 「医師推奨」と書かなければ、医師コメントは使えますか?

それだけで問題がなくなるとはいえません。肩書、見出し、白衣画像、注記、周辺コピーなどから、効能・効果・性能を保証していると受け取られるおそれがあるかを表示全体で確認する必要があります。

Q5. No.1表示に脚注を付ければ大丈夫ですか?

脚注だけで足りるとは限りません。比較対象、調査対象者、質問文、集計方法、調査時点が表示内容に対応していない場合、景品表示法上の問題が残る可能性があります。

Q6. AIの広告チェックツールがあれば、法務確認は不要になりますか?

不要になるとはいえません。AIはリスク箇所の洗い出しや代替表現の方向性整理に有効ですが、最終判断は商材区分、根拠資料、表示全体を踏まえた個別判断が必要です。

公開前に薬機法リスクを整理したい方へ

制作と法務の差し戻しが続くと、スピードもCV改善も止まりやすくなります。公開前にリスク箇所を整理しておくことが、実務では大きな差になります。
AIによる広告法務チェックツール「アドミル」なら、リスク箇所を瞬時に判定し、ガイドラインに沿った代替表現の方向性をご提案します。

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まとめ

薬機法違反は、単に強い言い回しを避ければ防げるものではありません。実務で重要なのは、商材区分を先に確定し、根拠資料と表示全体を対応付けて確認することです。

  • 薬機法66条は「何人も」が対象で、広告主以外も関係し得ます。
  • 66条2項の医師保証誤認、68条の承認前広告、No.1表示は特に見落としやすい論点です。
  • 一般化粧品、医薬部外品、健康食品、機能性表示食品、美容機器では、使える表現の範囲が大きく異なります。
  • 売れる表現と守りの両立には、制作段階でのチェックフロー設計が欠かせません。

薬機法違反を防ぐには、公開前に論点を整理し、広告の訴求力を落としすぎずに適正化する運用が重要です。

免責事項

本記事は、薬機法、景品表示法、健康増進法等に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、個別案件についての法的判断を示すものではありません。広告表現の適否は、商材区分、根拠資料、表示全体、画像、注記、媒体、前後文脈によって異なります。最終的な出稿判断にあたっては、最新の公的資料を確認し、必要に応じて専門家へご相談ください。