薬機法と薬事法の違いとは?名称変更だけでなく規制内容もアップデート
広告のクリエイティブ制作や法務確認の現場で、「薬機法」と「薬事法」という2つの言葉が混在している場面に遭遇したことはありませんか?
結論から申し上げますと、薬機法は旧薬事法をベースにしていますが、「違いは名称のみ」ではありません。名称の変更とともに、安全対策の強化や医療機器規制の見直しなど、時代の変化に合わせた実質的な法改正が行われています。

2014年(平成26年)に「薬事法等の一部を改正する法律」が施行
平成25年(2013年)11月27日に「薬事法等の一部を改正する法律」が公布され、翌年の平成26年(2014年)11月25日に施行されました。この改正によって、法律の題名が変更されるとともに、新たな規制枠組みが構築されました。
つまり、2014年11月以降は旧「薬事法」に基づく体制から新しい法律へと引き継がれています。現在でも便宜上「薬事法」と呼ぶ方はいますが、業務上は現在の名称で統一することをおすすめします。
厚生労働省「平成25年の薬事法等の一部を改正する法律について」
正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」
現在の法律の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」という非常に長い名前です。
厚生労働省の公式資料などでは、略称として「医薬品医療機器等法」が用いられることが多いですが、広告業界やPMDA(医薬品医療機器総合機構)の関連資料などでは「薬機法」という呼称も広く見られます。どちらも同じ法律を指しています。
- 旧称:薬事法
- 正式名称:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
- 現在の略称:医薬品医療機器等法、または薬機法
なぜ「薬事法」から名前が変わったのか?3つの改正ポイント

当時の医療環境の変化に合わせ、単なる題名変更にとどまらない重要なアップデートが行われました。主な背景は以下の3つです。
1. 医療機器の特性を踏まえた規制の構築
以前は医薬品も医療機器も同じ枠組みで規制されていましたが、医療機器はソフトウェアのアップデートなど改良のスピードが速いという特性があります。そのため、医薬品とは章を分け、医療機器の実態に即したスピーディな承認・規制ができるように制度が見直されました。
2. 再生医療等製品の新設
iPS細胞や細胞培養技術など、最先端の再生医療技術が実用化される時代背景を受け、「再生医療等製品」という新しいカテゴリが新設されました。
3. 安全対策の強化
医薬品や医療機器の安全性をより一層高めるため、製造販売業者などに対し、最新の知見に基づいた添付文書の届出を義務付けるなどの安全対策の強化が図られました。
広告担当者が知っておくべき!薬機法における広告規制の基本

法改正の背景を理解した上で、化粧品や健康食品のマーケティング担当者が最も注意すべきなのが「広告規制」です。消費者を誤認させないために厳しいルールが定められています。
誇大広告の禁止(第66条)
薬機法第66条では、医薬品等の名称、製造方法、効能・効果、性能に関して、明示的であっても暗示的であっても、虚偽または誇大な記事を広告し、記述し、または流布することを禁止しています。
例えば「医師が推薦」といった表現も、直ちにすべてがNGとなるわけではありませんが、文脈上、医師その他の者が効能効果を保証したと誤解されるおそれがある場合には、第66条1項に抵触する扱いとなります。
承認前の医薬品等の広告の禁止(第68条)
まだ承認や認証を受けていない医薬品や医療機器等について、その名称や製造方法、効能・効果、性能に関する広告を行うことは第68条で禁止されています。
化粧品や健康食品(サプリ)での具体例と法体系の整理
特に注意が必要なのが、健康食品(サプリメントなど)の広告です。通常の健康食品は法体系上「食品」に分類されるため、広告表現において主に問題となるのは「景品表示法」や「健康増進法」です。
しかし、食品であるにもかかわらず、病気の予防や治療、身体の組織機能の増強など「医薬品的な効能効果」を標ぼうした場合、薬機法上の「医薬品」に該当し得ると判断され、無承認無許可医薬品の販売等として薬機法違反に問われるリスクがあります。
【表現の具体例と注意点】
- 健康食品:「飲むだけで痩せる」「〇〇病の予防に」などは医薬品的な効能効果の標ぼうとみなされるリスクが高いです。
- 化粧品:化粧品で標ぼうできる効能効果は原則56項目に限定されています。「シミが消える」等の表現は範囲逸脱となります。関連通知に則り、事実に基づいた上で「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」と記載するのが安全な表現です。
広告表現の言い換えが思いつかず、お悩みではありませんか?
「この表現は法的リスクがある?」「安全な表現にどう言い換えればいい?」
そんなお悩みには、AIによる広告法務チェックツール「アドミル」が便利です。薬機法や景表法のリスクを瞬時に判定し、ガイドラインに沿った代替表現をご提案します。
薬機法違反にならないための対策とチェック体制

広告を運用する上で、売上を伸ばすための「攻め」の表現と、法律を守る「守り」のバランスを保つことが不可欠です。社内でどのような対策を行うべきか解説します。
常に最新のガイドライン・関連法規をキャッチアップする
法令やガイドライン(医薬品等適正広告基準など)は定期的に改定されます。過去にOKだった表現が、現在はNGになっているケースも少なくありません。厚生労働省などの公的機関が発信する一次情報を定期的に確認する体制を整えましょう。
表現の言い換え(代替案)リストを作成・共有する
法務担当者とクリエイティブ担当者の間で、よく使うOK表現・NG表現のリストを作成し共有することが有効です。属人化を防ぎ、社内や広告代理店との認識のズレをなくすことで、修正のラリーを減らすことができます。
法務確認プロセスをシステム化する
目視によるチェックはヒューマンエラーが起こりやすく、担当者の工数も膨大になります。特に複数媒体で広告を展開している場合、チェック漏れのリスクが高まります。システムやツールを導入し、一次チェックを自動化することで、人的リソースをよりクリエイティブな業務に集中させることが可能です。
まとめ:法体系を正しく理解し、安全な広告運用を
旧「薬事法」から現在の「薬機法(医薬品医療機器等法)」への移行は、単なる名称の変更ではなく、医療環境の進化に合わせた重要な制度改正と安全対策の強化が背景にあります。
私たち広告運用に携わる者は、法律の背景にある「消費者の安全を守る」という目的を理解し、薬機法だけでなく景表法や健康増進法などの関連法規も正しく把握する必要があります。ルールを遵守しながらも魅力的なコンテンツを制作し、ユーザーの信頼を獲得していきましょう。
法改正への対応や、チェック工数の削減に課題を感じていませんか?
「アドミル」なら、薬機法・景表法などの最新リスクをAIが自動でチェック。
法務担当者の負担を減らし、安全と売上を両立する強固なチェック体制を今すぐ構築できます。
